ボッチプレイヤーの冒険 ~最強みたいだけど、意味無いよなぁ~   作:杉田モアイ

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第8章 自キャラ別行動編
63 騎士様? と、これから


 バハルス帝国の東の端に位置する小さな村ボウドア。

 昼食時が終わり村人たちが仕事を再開させる為に動き始めた頃、この村から出てくる小さな二人の女の子の姿があった。

 

 「あっおねえちゃん、あれみて! アルフィンさまの馬車だ!」

 「え? あっ本当だ!」

 

 午後のお手伝いをする為に大浴場兼洗い場になっているイングウェンザーのお屋敷前の小屋まで洗濯物が入った籠を持って歩いていたユーリアとエルマの姉妹は、街道の先からこちらに向かってくる馬車を見つけて嬉しそうな声を上げた。

 

 アルフィンは他国の偉いお方だと聞いてはいるものの、彼女たちにとってはいつも遊んでくれる優しいお姉さんでしかない。そんなお姉さんが村に来た事を彼女たちは純粋に喜んでいた。

 

 「アルフィンさま、今日も私たちとあそんでくれるかなぁ?」

 「きっと大丈夫よ。アルフィン様がこの村に来て私たちと遊んでくれなかった事はないもの。でもアルフィン様、たまに遊びに夢中になりすぎてメルヴァさんに怒られちゃうから、私たちが気をつけてあげないとね」

 「そうだね、きをつけてあげないとね!」

 

 村の中で遊んでもらう時や村の大人たちがいる前ではありえない話だけど、館に招待された時はアルフィンが仕事の時間さえ忘れて遊んでしまう事がたまにある。そしてそんな時はいつもメルヴァが現れて、その度にアルフィンは「い~や~だぁ~、この子たちともっと遊ぶんだぁ」と叫びながらも、怒られながらそのままずるずると引きずられて行くなんて光景がいつもユーリアたちの目の前で展開されていた。そのアルフィンの姿を会話をしている内に思い出して、二人はクスクスと笑い合う。

 

 そんな姿を知る彼女たちにとってはアルフィンが本当に偉い人物で、普通では近寄る事も話をする事も出来ない程の身分だなんて村長たちから聞かされても、とても信じる事は出来なかった。因みにこれはこの村の子供たち全てにおいて共通認識である。

 

 実際この村の子供たち対してはアルフィンに威厳などまるで無く、むしろ優しいけどちょっと残念なお姉さんと言う印象すら持たれているのだった。

 

 

 

 そうしているうちに馬車は近づいてくる。そして、

 

 「こんにちはユーリアちゃん、エルマちゃん。今日もお母さんのお手伝い? 偉いわね」

 

 二人は馬車の前を進む馬に乗る、白い鎧を着た人に声をかけられた。

 これには二人ともびっくりして顔を強張らせてしまった。それもそのはずで、声こそ優しげな女性のものだけどその姿はお偉い騎士様のものだ。そんなお偉い騎士様が自分たちの名前を読んだのだから、この二人が驚き緊張に身を硬くしてしまうのも無理は無いだろう。

 

 そしてその驚きの一瞬が去った後、今の状況を理解したユーリアは持っていた洗濯物が入った籠を放り出し、慌てて頭を下げる。

 

 「とんでもございません、騎士様!」

 「とんでもございません、きしさま」

 

 そんな姉を見てユーリアも慌てて頭を下げた。相手は偉い騎士様だ、無礼があってはお母さんやお父さんにお咎めがあるかもしれないと二人とも必死である。しかし、そんな姿を見て慌てたのはむしろその騎士の方であった。それはそうだろう、彼女にとってこの子たちはよく知っている子たちなのだから。

 

 おまけに、こんな二人の姿を絶対に見られてはいけない人物がすぐ後ろの馬車に乗っているのである。このような状況では慌てるなと言う方が無理だろう。

 

 「ふふふっ二人とも、どうしたの!? とっ兎に角、早く頭を上げて! そんな格好をさせているのを見られたら私がアルフィン様にどのような恐ろしいお叱りを受ける事になるか!」

 「サぁ~チぃ~コぉ~、ユーリアちゃんたちになぜそんな格好をさせているのかなぁ?」

 「ヒッ!?」

 

 慌てる馬上の騎士の後ろから優しい、しかししっかりと批難している事が解るように聞こえる口調を作って話す、二人がよく知る大好きなお姉さんの声がした。その声に顔をあげるとそこには予想道理の人が、アルフィンが馬車の窓から顔を出している姿が見えた。

 

 「あっ、アルフィン様だ! って、えっ? サチコさん?」

 「アルフィンさまだぁ、こんにちわ!」

 

 アルフィンを見て破顔する二人。と同時に、ユーリアだけはアルフィンの言った言葉を理解して驚いた顔になる。目の前の荘厳な白く輝く鎧を着た騎士様が誰なのか気付いたからだ。

 

 「ちっ違うんです、アルフィン様。ユーリアちゃん、エルマちゃん、ほら私よ、私」

 

 そう言うと馬上の騎士様は慌ててフルフェイスの兜を外した。するとその下から現れたのは二人のよく知る、一見少し厳しそうに見えるけど実はとても優しい、綺麗な長い髪のお姉さんの顔だった。

 

 「サチコさん!? 本当にサチコさんだぁ。でも、サチコさんがなんで騎士様の格好をしているんですか?」

 「きしさまのかっこ、してるんですかぁ!?」

 

 アルフィン様が館を訪れる時はいつも必ず同行してくる使用人たちの一人であるメイドさんのサチコさんが、なぜかこんな立派な鎧を着て馬上の人になっている事に二人は心底驚いていた。

 

 

 ■

 

 

 ボウドアの館の二階、いつも私室として使っている部屋でアルフィンとシャイナの二人はソファーに対面で座って寛いでいた。

 

 「ふふふっ、さっきのサチコの顔ったらなかったわね」

 「マスター、ちょっと意地悪がすぎたんじゃない? サチコ、涙目になっていたじゃないの」

 

 さっきのサチコの姿を思い出して、つい思い出し笑いをしていたらシャイナに怒られてしまった。でも騎士様かぁ、顔が見えないとよく会っている人でも見分けが付かないものなのね。

 

 「そうね、ちょっとやりすぎちゃったかも。でも、いつも会っていて声も聞いているのに、あの格好だと解らないものなのね」

 「兜越しだと声が少しくぐもって聞こえるからね。それにメイドだと思い込んでいた人物があの格好で現れちゃね」

 

 なるほど。確かにちょっとこもった感じで聞こえるから、子供だと判断付かないかも。

 

 「ところでマスター、ユーリアちゃんたちとはお手伝いが終わった夕方から遊ぶ約束だよね?」

 

 そう、ユーリアちゃんたちとは別れ際に約束しておいたの。夕方から遊んで晩御飯も一緒に食べて、その上この館に泊まってもらうから夜まで遊べるのよね。お風呂も一緒に入っちゃおうかしら。ふふふ、楽しみだわ。

 

 「そうよ。さっき約束した時、一緒に居たんだからシャイナも知ってるでしょ。なぁに? シャイナも一緒に遊ぶ?」

 「当然! でもそれはいいとして、夕方まで結構時間があるよね。それまで何をするつもりなの?」

 

 確かに今はまだお昼を回ってそれほど時間も経っていないのよね。今昼食を用意してもらってはいるけど、別にコース料理を食べると言う訳ではないからそんなに時間が掛かる訳でもない。だからその時間を使って、これからの予定をどうするか決めようと私は考えていた。

 

 「その事なんだけどねぇ、時間もあるしカロッサさんの所で色々とこれからの事が決まったからその事についてゆっくり考えようかなんて思ってるわ」

 「一人で?」

 

 これに関してはどうしようかなぁと考えていたのよ。本当はギャリソンやメルヴァを交えて考えた方がいい気もするんだけど、一つ問題があるのよね。

 

 「う~ん、メルヴァたちには聞かせられない内容もあるからなぁ。でも、シャイナには聞いて貰った方がいいかも」

 「聞かせられない? って事はマスター自身が何かやる気なのね」

 

 そう、今回は私が色々と動かなければいけなくなると思っているのよね。だからNPCたちには相談せずに自キャラたちだけで決めなければいけない事を先に決めておいてから相談をしようと思ってる。

 

 コンコン

 

 そんな話をしているとドアがノックされる音が聞こえてきた。

 

 「どうぞ。入っていいわよ」

 「失礼します。アルフィン様、シャイナ様、ご昼食をお持ちしました」

 

 私が返事をするとフルプレートアーマーからメイド姿に着替えたヨウコが、私たちの昼食を乗せたワゴンに押して部屋の中に入ってきた。

 

 「シャイナ、昼食も来た事だし、この話はまた後にしましょう」

 「解った。それじゃあヨウコ、御願いね」

 

 

 

 昼食の後のお茶が済んだ後、ヨウコを下がらせてから私たちは話を再開する事にした。

 

 「とりあえず今すぐに手をつけなければいけないであろう事は大まかに別けて3つね。一つはボウドアとエントの村の農業指導、二つ目はケンタウロスの状況調査と必要なら使者を送って私たちの城の事をどう思っているかの確認。そして最後が近くの町や帝都へ人を送ってのこの世界の大まかな物価と価値基準の調査ね」

 「今のところ、目に見えているやるべき事は確かにその3つだね」

 

 本当はその他にもこの世界の勢力分布図作成とかプレイヤーらしき人物の所在の有無の確認、口だけの賢者などの過去のプレイヤーらしき人物がどうなったか等々、色々とやらなければいけない事はあるのだけれど、そんな事にまで人員を裂いている余裕はないというのが実情だから、とりあえず目に見えている事を順番に片付けて行こうと思っている訳なのよ。

 

 「それでねぇ、ここで問題になるのが各部門に誰を割り振るかと言う事なんだけど、まるんとあいしゃには農業指導には無理よね。能力的に言うとまるんは出来るだろうけど、外見が子供だから指導者としては絶望的だと思う」

 「それを言ったらあやめとアルフィスも無理だよ。何せあの外見だからね」

 

 確かに。あやめも外見上は子供だしアルフィスは亜人だ。人に何かを教えるという立場にするのは無理だろうね。と言うか、アルフィスはこの三件とも多分無理なんじゃないかな?

 

 「アルフィスはこの三件の事案からは、はじめから外すつもりだったわよ。唯一出来そうなケンタウロスの件も彼の能力的にはまるで向かない任務だし、何よりケンタウロスの件は最初に聞いた時点ですでにあやめにやってもらおうと考えていたもの」

 「あら、それは決定してるんだ」

 

 そう、この任務は多分あやめが一番向いていると思う。

 

 「相手が縄張りを持つ群れだからね。それも一つの群れしかいないとは限らないから広範囲の偵察を考えた場合、精霊召喚士のあやめが担当するのが一番適任だと思うし、いざ戦闘になった時も、まるんの魔法やあいしゃのゴーレムでは手加減が難しくて下手をすると絶滅させてしまうでしょ。私としては何も悪い事をしていないケンタウロスたちを邪魔だからと言う理由で殺したくは無いのよ。その点から見ても眠りの精霊であるサンドマンを召喚できるあやめなら、殺す事無く無力化できるでしょ」

 「なるほど。だからあやめが適任なのか」

 

 ホント、この任務の為に取った能力なんじゃないかしら? と思うほど、この任務にはあやめが向いているのよね。

 

 「と言う訳で、この任務はあやめに振るとして、問題なのが物価や価値基準の調査なのよね。これから先、商人の顔を合わせ持つ貴族として行動するつもりのアルフィン本人が出向く訳には行かないし、戦闘特化で元々こういう任務には向かない性格のシャイナ、貴方が出向く訳にもいかない。本当はアルフィンに行ってもらうのが一番いいと私は思うんだけどね」

 「アルフィンにって、マスターが行くのではなくてアルフィン本人に行かせようと考えていたの!?」

 

 あら、そんなに驚く事だったかしら?

 

 「そうよ。だって能力的に見ても人選的に見てもアルフィンが一番適任だもの」

 「じゃっ、じゃあマスターは誰の体を使うつもりなのさ」

 

 なんか急に、シャイナの顔が真剣な物になった。そんなに気になる事なのかなぁ?

 

 「私? 私はあやめの体を使ってケンタウロスの件を担当するつもりよ。だってこの件が一番時間が掛かりそうだし、何かあった時はいちいち報告をしてもらってから判断するなんて言っていられないからね。常にその場で判断して臨機応変に動かなければいけない事案だからこそ、私自身が動かないと」

 「あっ、ああそうなの。あやめの体を使うつもりなのね。うん、そういう理由なら仕方ないか」

 

 ん、何が仕方ないの?

 なぜかちょっと残念そうに、しかし納得しようとするような顔でシャイナは何度も頷いている。

 

 よくは解らないけど、シャイナが何か納得したかのようだから、まぁいいか。

 

 「さて、アルフィンがダメとなるとなぁ。ギャリソン一人だけに任せるというのもちょっと不安なのよね。確かに有能ではあるけど・・・なんと言うかなぁ、NPCたちってどこか人と違う所があるから」

 「そうだね・・・」

 

 元プレイヤーキャラクターであり私の人としての記憶の一部を持つ自キャラたちと違って、メルヴァやギャリソンたちNPCはどこか人と違う思考パターンを持っているような気がする時があるのよね。なんと言うか、合理的すぎると言うか。

 

 私たち相手の時や私たちの知り合いが相手の時はそうでも無いんだけど、初対面の相手だとなんと言うかなぁ、ちょっと普通の人とは違うように思えるのよ。いくら転移をして人格を持ったとは言え、やはり元はプログラムで動いていたからこそなのかな? 傍から見ていると違和感みたいな物がある気がする。

 

 その違和感がもし致命的な失敗に繋がったりしてしまったら考えると、全てを任せてしまうにはどうしても心配が先にたってしまうのよね。

 

 「でもアルフィンもシャイナもアルフィスもダメとなると、大人の外見を持つ自キャラは全滅なのよねぇ」

 「となると一人しか適任者はいないんじゃない?」

 

 そうだよねぇ。これもちょっと不安ではあるけど仕方がないか。

 

 「小さな子供が一人で執事とメイドを連れて知らない町を訪れると言うのもなんか変ではあるけど・・・仕方がない。まるんに行って貰うしかないか」

 「能力的には私なんかよりよっぽど適任な気がするしね」

 

 ボウドアの騒ぎの時も私が着くまではまるんが全てを取り仕切っていたんだし、確かに能力と言う点では任せてしまっても何の問題も無いと思う。怪しさ満点ではあるけど、まるんとギャリソン、それに誰かメイド隊の子を一人つけて派遣する事にするか。いや、待てよ。

 

 「そうだ! カルロッテさんに同行して貰いましょう。それなら子供だけで行動する訳ではないから怪しまれる心配も無いし、この国の人だから行動でおかしな所があれば指摘もしてもらえるし」

 「なるほど、それはいい考えかも」

 

 うん、これで行こう。では、町の物価や価値基準調査はこのメンバーで決定っと。そして最後に残ったのが農業指導か。

 

 「さて、最後は農業指導だけど残ったメンバーはアルフィン、シャイナ、あいしゃなんだけどぉ」

 「わっ私は無理よ! 農業指導なんてとても出来る訳がないじゃない」

 

 残ったメンバーを並べた所で、何かに気付いたのかシャイナが慌ててそう宣言した。

 うん、私もそう思う。でもねぇ。

 

 「それは私もそう思うけど残ったメンバーの内アルフィンは問題ないとして、先ほども言ったけど貴方、あいしゃに務まると思う?」

 「うっ! ・・・無理だと思う」

 

 そうだよねぇ。グラスランナーと言う種族特性で外見が子供なだけで実はシャイナより年上のまるんと違って、あいしゃはそのまま子供だからなぁ。

 

 元が私のプレイヤーキャラで記憶の一部を受け継いでいるから多少は大人じみた考え方は出来るだろうけど、基本は子供らしい思考だから仕事を与えてもすぐに飽きて他に何か興味が惹かれる事があればそちらに行ってしまうと思う。これがあやめとかまるんが一緒に行動すると言うのなら一定の方向に注意を向け続けさせられるだろうけど、一人で派遣したら絶対に失敗すると言う自信があるわ。

 

 「あいしゃは農作業をするゴーレムを作ると言うのなら喜んでやるだろうけど、農業を教え込んで村人たちに指導するなんて事が出来る訳がないのよ。そして何よりあんな小さな子供に教わりたい人がいると思う?」

 「いない・・・と思う」

 

 私の言葉にどんどんシャイナの声が小さくなっていく。これが大人びた口調で話すあやめなら、エルフで長寿種だから外見は子供でもある程度成熟しているとか適当にごまかせるだろうけど、外見も行動も全て子供なあいしゃでは絶対に無理なのよね。

 

 「これが当初の予定通りボウドアの村だけならアルフィンに任せてしまえばよかったんだけど、エントの村までお願いされちゃったからなぁ。でもまぁ、とりあえず最初はボウドアである程度指導した後、そこでの経験を生かして指導するメンバーの半分をエントに送り込む予定だから、いきなり村に放り込む訳じゃないし、きっと大丈夫よ」

 「でもさ、私はマスターも知っての通り脳筋だから自信ないよ」

 

 そうなのよねぇ。

 プレイヤーメイキング段階で前衛職として作ったし、スキルビルドもモロにそれ方向だからなのかシャイナのINTは少し低めなのよね。この世界に転移した時、そのステータスの影響でマジックキャスター系のキャラと前衛系キャラではちょっと頭の出来に差がついちゃった子もいるみたいなのよ。

 

 ギャリソンは前衛系だけど交渉とか鑑定とか持っていて、なおかつフレイバーテキストで物凄く優秀と書いたからなのか頭がいいけど、プレイヤーキャラでフレイバーテキストをあまり細かく書いてなかったシャイナはその影響をもろに受けている。実の所、頭の良さという点だけで言えば、下手をするとあいしゃの方がいいかもしれないくらいなのよね。

 

 「そうねぇ。仕方ない、本当はアルフィンにつけるつもりだったけどミシェルをシャイナにつけてエントの村に一緒に行ってもらう事にするわ」

 「ミシェルをつけてくれるの? よかった、それなら大丈夫そうだね。ミシェルは収監所で農作業をしている野盗たちを見ているし」

 

 自分一人ではなく、ミシェルも指導監督の一人としてつけてもらえると聞いてシャイナはホッとしたような表情になった。でも、実はミシェルも前衛系だからちょっと心配だったりもするのよねぇ。それに実際に農作業をしている訳じゃないし。

 

 他に魔女っ子メイド隊から頭のよさそうな子をもう一人くらい選抜してつけた方がよさそうね。

 

 「うん、それにもう一人くらいしっかりと農作業を覚えさせた子をつけるから心配しなくてもいいわよ。後そうねぇ、城に帰ったら図書館からその手の本や映像媒体を持ってこさせて事前に計画案と資料教材を作成した方がいいわね」

 「そこまでしてくれるのか? それなら安心だ」

 

 今度こそ本当に安心したのか、シャイナは心からの笑顔になった。

 でもこれによってもう一つ問題がでてきたのよねぇ。

 

 「さて、これで問題になったのはボウドアなのよね」

 「えっ? ボウドアの村はアルフィンが担当するんでしょ? それなら何の問題も無いじゃない」

 

 何の疑問も無いような顔でシャイナはそう言い放った。

 ん? アルフィンが担当すると言うだけでなぜそこまで言い切れるんだろう? 私が行くのではなく、アルフィンが行くんだけど。

 

 「私じゃなくアルフィンが行くんだけど、なぜそんなに確信が持てるの?」

 「だってアルフィン、私たちの中で一番頭がいいし。それに常にマスターに体を使ってもらえているからなのか一番マスターの考え方に近いからよ。何より体を使ってもらっている時は心が繋がっているから、マスターが何をどうしようか説明されなくても全て理解してるしね」

 

 そうなのか。

 

 実は私、殆どの時間アルフィンの中にいるし他の自キャラたちの中にいる時は何かしら用事で出かけている事が多いから彼女とはあまり話をした事がない。でもシャイナたちは一緒にお茶を飲んだりお風呂に入ったりして交流しているから、アルフィンというキャラを私以上によく知っているのよね。だからこその信頼なのか。

 

 「それならば安心ね。今回はギャリソンがまるんと一緒に出かけるからメルヴァには城に残ってもらう事になるし、セルニアでは護衛にはなっても補助にはならないからある意味一番心配していたのよ」

 「うん、アルフィンなら大丈夫。私たちがマスターの器として一番ふさわしいと選んだ子なんだから全て任せてしまっても何の心配も無いよ」

 

 シャイナはそう言って、今日一番の笑顔を私に向けるのだった。

 

 




 セルニアはマジックキャスターです。でもフレイバーテキストに残念な子として設定されているので頭はあまり良くありません。INTは高いんですけどねw

 今回の章の名前を「自キャラ別行動編(仮)」としていますが、これは本当に仮の名前です。この名前のままに章分けをすると、話数がとんでもない事になりそうなので。

 さて、来週ですが、流石に年末年始は忙しいので来週は休ませていただきます。
 また、1月の3連休は水木一郎さんのバースデーライブを見るために東京へ行ってしまうので次回の更新は多分9日の夜になると思います。

 それでは皆様、よいお年を。
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