Fate/Grail Seeker   作:てんぞー

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正直な答は、真の友情の印 Ⅹ

「敗北があるとすればそれは貴様の采配が至らぬ事である事を胆に銘じろ雑種(マスター)!」

 

「おすっ!」

 

「ならば良い! ふはははははは! 行くぞエア! 相手が相手だ、一切の出し惜しみはせんぞ!」

 

 そう言って、乖離剣エアをギルガメッシュは前へと突き出した。ドリルの様に回転する赤黒い筒は輝きながら破壊の光を生み出し、その進路上の存在全てを砕きながら直進する。反応したエルキドゥが凄まじい速度でそれを回避し、ギルガメッシュの横へと回り込んでくる。即座に装備している礼装の効果を発動させ、ギルガメッシュに強制回避効果を付与する。エルキドゥから放たれた十数の槍の同時攻撃を回避しつつ、

 

「もっと早い攻撃を(Quick)ッ!」

 

「ならばこれであろう!」

 

 ギルガメッシュの頭上に黄金の揺らめきが生み出され―――二桁を軽く超える次元の扉が開く。否、宝物庫の扉だ。【王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)】、その扉が開かれ、射出するという形で待機に入り、超高速で動くエルキドゥに対して、マシンガンの様に宝具が打ち出され始める。その速度はすさまじく早く、尚且つ数が多すぎる。打ち出した瞬間には既に次のが装填されており、そして打ち出す準備が完了している。マシンガンと表現したが、目視する限り、それはマシンガンという表現には温すぎる。正しくその脅威を表現するなら、

 

 メタルストームという言葉が一番合うだろう。

 

 暴風の様に吐きだされる宝具が大地やビルに突き刺さりながら、余すことなくエルキドゥへと向かって放たれる。それをエルキドゥは異常としか表現できない速度で移動し、【王の財宝】の掃射から逃れる。そう、異常、そうとしか表現の出来ない速度だ。もはや相手の正体は解ったため、相手のステータスや情報が入りこんでくる。バーサーカー・エルキドゥ、それは別の言葉では”原初のエルキドゥ”とも、”荒れ狂うエルキドゥ”とも呼ばれる、生まれたての存在を表現されたエルキドゥだ。生まれたばかりであり、人の形を持たず、万物に変化する土塊であるエルキドゥは神話の時代の怪物としての側面を最大限に発揮している。その役割は、

 

 ギルガメッシュを討伐―――殺す事。

 

 原初のエルキドゥの機能はその全てに特化している。

 

「ふ、ふは、ふははははは! 流石だなぁ―――!」

 

 故に【王の財宝】の掃射をジグザグの動きを咥えながらビルの影へと瞬間的に回避する事で原初の獣が回避を完了させながらギルガメッシュへと接近する。瞬間的にギルガメッシュとエルキドゥの戦闘を見て、”このままでは確実に負ける”という事を悟り、ギルガメッシュの”敗北する理由は俺にある”という言葉の意味も悟る。大聖杯のバックアップに加え、バーサーカーとして全てが強化されているエルキドゥに対して、ギルガメッシュはサーヴァントという枠に抑え込まれている為に、その能力が制限されていると言っても良い状態だ。原初のエルキドゥと対等に戦うにはサーヴァントという枠が邪魔しており、

 

 その枠を超えて実力を発揮させられるのがマスターという存在だ。

 

「―――【神明裁決】を宣言する! ルーラーの権限を用い、令呪の使用を執行する―――!」

 

 【神明裁決】は本来、ルーラーがサーヴァントを止める為に令呪を行使する能力であり、サーヴァントを止める事など副産物でしかない。令呪を使う事が本来の機能であり、抑止力としての能力が本命だ。ただこの能力は、召喚する度にサーヴァントに対応した令呪が二個生える、という風に現在はなっている。故に、ギルガメッシュに対応する令呪が二画、存在する。

 

「―――令呪を一画を以って宣言する、汝ギルガメッシュ、心の赴くままに戦え、と!」

 

 そして、

 

「―――二画目の令呪を以って宣言する、汝ギルガメッシュ、勝利せよと!」

 

 ギルガメッシュの手綱を完全に投げ捨て、ギルガメッシュを止める、或いは自害させる為の最終兵器である令呪を完全に放棄し、そしてそれをギルガメッシュの強化に当てる。令呪二画の強化を得たギルガメッシュの全身に魔力と覇気が満ちる。令呪の使い方にギルガメッシュが笑い声を上げながら【王の財宝】による射出速度を倍加させる。それはさらにエルキドゥを追い込むようであり―――届かない。

 

「鮭とびの術―――!」

 

 見えた瞬間、ギルガメッシュの腰に腕を回す様に掴み、その体勢を崩さない様にしながら秋葉原の外へと出るように跳躍する。

 

「市街地では絶対に勝てない、好き勝手破壊出来る所まで誘導する!」

 

「丁重に我を運べよ雑種(マスター)? 今の我は機嫌が良い、少々手荒でも許してやろう―――!」

 

 鮭とびの術で超跳躍を行いながら秋葉原から離れようとする姿を、追撃する様にエルキドゥが追撃にやってくる。空に浮かび上がったところで隠れ場所を失くしたエルキドゥへ襲い掛かる様に、百を超える【王の財宝】の扉が開き、視界全てを覆う様に赤い残光だけを残して死の暴風を巻き起こす。空に巻き起こる破壊の領域に、轟音と爆風が響く。が、その間を縫う様に、エルキドゥの姿が変形する。形を持たない土塊は一本の槍へと姿を変え、

 

 ―――そして空間を貫いた。

 

 そもそもエルキドゥ自身が一つの神造兵器である。自由に姿を変え、そしてその機能を十全に発揮できる兵器、ギルガメッシュという凄まじい数の宝具を収集した黄金の王に対応する為に、たった一つの身で何十何百という宝具に対応、適応できるように、エルキドゥは様々な神造兵器へとその姿を変形させる。そうやって、槍へと変形したエルキドゥがやったことは簡単で、空間と空間を貫いた、A点からB点へと貫き、

 

 そして真横へと接近しただけだ。

 

 まさに神話の時代に名を連ねるのに相応しい怪物っぷりだった。

 

「来ると解っていたぞ」

 

 だがそれを既に読み切っていたギルガメッシュの乖離剣エアから天地を断つ破壊が放たれる。赤い螺旋の渦に巻き込まれたエルキドゥの姿が半分に両断され、四つに両断され、切り裂かれ、後ろへと吹き飛んで行く。秋葉原のビルの上へと着地し、軽く振り返り、エルキドゥの姿が再生に入っているのを見て、ギルガメッシュがもう一度エアを叩き込む。虚空が再びギルガメッシュの無二の愛剣によって断てられ、通常のサーヴァントであれば問答無用の死を与える。が、エルキドゥは地に落ちながら再生を開始する。崩れた土塊が再び集合し、荒れ狂う獣の姿を取り始める。

 

「戯け、奴を滅ぼせるのは死の運命か我の最大の一撃のみだ。来るぞ」

 

「クソッ!」

 

 一直線にエルキドゥが迫ってくる。逃げるように秋葉原の外へと向かって鮭とびの術で逃亡し、【王の財宝】とエアで迎撃に入る。それが来るのを理解していたかのように、エルキドゥが空中を蹴って無理やり軌道を替え、足を砕くのと再生を行いながら空中を跳ね、地と着地し、更に加速し、その動きで衝撃波を生み出し、破壊しながら接近して来る。逃れきれない。そう判断した直後、ギルガメッシュが此方を片手で掴み、放り投げ、

 

 正面からエアでエルキドゥとぶつかり、吹き飛ばされながら空中で体勢を整え直し、そのままエアを放った。秋葉原の外へと両者が吹き飛ばされながら攻撃を止めはしない。もはやギルガメッシュも遠慮なく攻撃を放てる環境となった。その頭上に、エルキドゥの足元に、背後に、空間の四方八方に【王の財宝】が展開され、宝具による十字砲火が開始される。超高速で射出された宝具が一切の逃げ場を許す事もなく破壊を撒き散らしながら、エルキドゥの回避動作と攻撃動作を合わせ、復興を始めた秋葉原の外のエリア、隣町はドンドン更地へと変形して行く。

 

 その光景は壮絶の一言に尽きる。

 

「ふはははははぁ! いいではないか! 我も乗って来たぞ。ん? 貴様はどうだ―――エルキドゥ」

 

「■■■■■■■■―――!!」

 

 獣の咆哮に楽しそうな声を漏らし、エアが再び放たれる。天地を両断する破壊の赤い真空派は破壊を生み出し、それを回避したエルキドゥが変形し始める。それが【啓示】に宝具の解放である事を理解させられる。

 

「ギルガメッシュゥ―――! 宝具を使って来るぞ!」

 

「王律権バヴ=イルを使う、我が宝物庫を開けよ!」

 

 笑いながらギルガメッシュがエアを握り、構える。回転を始めるエアに合わせるように、ギルガメッシュに大量の魔力が収束し、そして空間そのものが悲鳴を上げ始める。また同時に、エルキドゥの周りの空間も、エルキドゥの変形と共に悲鳴を上げ、砕かれる様に力が湧き上がる。ギルガメッシュをサポートする為に体内で魔力を生成し、それを一気にギルガメッシュへと送り込む。それでも撃ち負ける、と【啓示】が危機を示す。

 

「財は使ってこそかぁ! ドルオタの分の令呪もぶっ込む!! 魅せてくれ、英雄王の所以たる姿を!!」

 

『ちょ』

 

 【神明採決】によって確保しているシャルル=アンリ・サンソンの令呪二画を消費し、更にギルガメッシュを強化する。それに合わせるようにギルガメッシュの背後、【王の財宝】の中からエアの力を増幅させる様な、未知の宝具が出現する。それが更にギルガメッシュの力を高め、周囲を更地へと変えながら、

 

 三つの渦をエアの前に生み出す。

 

 生み出された三つの力場はまるで一つ一つが凝縮された銀河の様であり、それが混ざる様に一つの力に形成される。

 

「―――原初を語る。元素は混ざり、固まり、万象織り成す星を生む―――」

 

 そして、人類最古の地獄が地上に形成された。

 

「―――【天地乖離す開闢の(エヌマ・エリシュ)星】」

 

 ギルガメッシュが宝具を放つのと同時に、またエルキドゥも、その宝具を完成させる。

 

「【人よ、神を繋ぎ止め(エヌマ・エリシュ)よう】」

 

 それは、その宝具の発動だけは溢れる閃光と共に、だが謳う様な美しい、男とも女とも解らない、そんな声によって宣言された。ギルガメッシュの保有する乖離剣エアによる【天地乖離す開闢の星】は【対界宝具】、世界そのものに対する攻撃と取れるレベルの宝具である。それに対するエルキドゥの宝具は【対粛清宝具】の【人よ、神を繋ぎ止めよう】。それは”ギルガメッシュを殺す為だけの宝具だ。世界すらも切り裂いた一撃、そしてギルガメッシュを粛正する為にだけ生み出された怪物の、粛清する為だけの宝具。それはギルガメッシュという滅ぼすべき相手を前にしている為、最大の威力を宿して輝き、光の楔となって真正面から、エアから放たれた衝撃波とぶつかる。

 

「ぐぁっ―――」

 

 その衝突の衝撃はあまりにも凄まじく、神話の再現と呼ぶしかない状況だった。ギルガメッシュとエルキドゥが戦いを繰り広げている点を中心に、更地になるどころか地形が変化し、生物が生息の出来ない環境に変貌しつつ、空間に無の虚空を生み出しすらあった。神話の時代の圧倒的暴力、数多くの宝具を超える凄まじい破壊、ぶつかり合った衝撃だけでも体が震え、そして意識が飛びそうになる。それを歯を食いしばりながら耐えつつ、正面へと視線を向ける。

 

 完全にギルガメッシュとエルキドゥの一撃は拮抗していた。

 

 それに反応するようにギルガメッシュがもう一度乖離剣エアを振り上げる。何をしようとしているのは理解している。そして、それに対応するエルキドゥが二射目を放とうとする。止める方法はない。必要なのは上回る事であり、そして勝利する事である。

 

「―――アルトリアの分の令呪だぁ、もってけぇ―――!!」

 

 更に二画、使い時だと判断し、ギルガメッシュへとその力を叩き込み、

 

「―――大義である、未だかつてには届かずとも、魅せてやろう【天地乖離す開闢の星】―――!」

 

 再び【天地乖離す開闢の星】が放たれ、【人よ、神を繋ぎ止めよう】がエルキドゥから放たれ、ぶつかり合う。正面からぶつかり合った最高ランクの宝具は辺り一帯を焦土へと変えながら、

 

 世界を閃光で包んだ―――。




 これが神話だ。

出力
エルキ>ギル (大聖杯バックアップの為
相性
エルキ>ギル (ギル粛清するぞー時代な姿の為
テンション
ギル>エルキ (わぁい、エルキだー

 この戦いだけでギルに令呪6画ぶち込んでいるという
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