らくえんぐらし! 作:カレーのぐざい。
「ただいま!」
「あら由紀ちゃん。どうしたの?」
「一区切りついたから休憩って事になったんだよ。」
勢いよく部の扉を引いて飛び込んだ由紀に続き、俺達も部室へと入る。部屋では、炊飯器やらフライパンやら調理器具を総動員してお弁当を作っていた。調理場に立っているのは悠里と圭だけで、みーくん含め他のメンバーは机で作業している。
「あれ、みーくんもお弁当係の方を手伝ってるのか?」
「はい。桜の方は描き終わったので、こっちの手伝いを。後、みーくんじゃないですよ。」
「みーくんは真面目だなあ。私ならすぐに休んじゃうな。」
「だから、みーくんじゃないです。」
みーくんと言われる度に否定するみーくん。原作でのめぐねえポジションかな?
「あれ?でも、ホワイトボードには何も書かれてないみたいだけど?」
「そっちが裏側だからですよ。」
「何で裏返しにしてるんだよ・・・・裏返して、いや、表返して見てもいいか?」
「ダメです。どうせなら、お花見する時に見てもらいたいので。」
「えー、みーくんはけちんぼだなあ。」
「みーくんじゃないです、先輩。」
もうそのくだりはいいだろ。3回はくどいぞ、みーくん。
唐突に、俺のブレザーはちょいちょいと引っ張られる。そちらに目を向けて見ると、渚がブレザーの端を掴んでいた。
「どうした?」
「お兄ちゃんお兄ちゃん。私もおにぎり作ってみたから、食べて欲しいな。」
机の上の、渚側に並べてある1つのおにぎりを取って俺へと差し出す渚。そうか、渚はおにぎりを作ってたのか。
渚も別段料理が出来るわけでもないから俺達と同じ桜側に来ると思っていたが、お弁当の方に回っていた。手伝いくらいなら出来るだろうと思って何も言わなかったが、確かにおにぎりくらいなら料理が得意じゃなくても出来るか。
ちなみに、この部で料理が上手いのは悠里と圭だけだ。俺とめぐねえは簡単なものくらいなら出来る程度かな。
「お兄ちゃん?」
「ああ、うん。じゃあ、一個貰おうかな。」
渚からおにぎりを受け取る。見た目は普通の白米だ。他のおにぎりを見ると、紫や緑、赤など、カラフルな色付けがされているものもある。紫はゆかりのふりかけで、緑は・・・・・青のりかな。赤はよくわからない。
渚が選んだこにおにぎりは王道梅干しおにぎりかな、と思いながら口へと含む。
「甘っ!?甘ッ!?!?!?渚、お前絶対塩と砂糖間違えただろ!!」
「えー、そんなことないよー。」
「そんなことないことないだろ!」
「とにかく、具まで食べて見て。」
「えぇ、まだ食べるの?これ。」
砂糖ご飯だぞ。凄い
でも、仕方ないか。捨てるなんて勿体ないことは出来ない。物資が不足気味なこの状況では、尚更のこと。それに、妹が作った初めての料理(?)を残すなんて罰当たりなことする訳ないしな。
覚悟を決め、砂糖握り飯を口へ放り込む。うん、砂糖の甘さは無視しよう。そして具は・・・・・
「えっ!?甘っ!甘ッ!?渚、これ具何入れたんだ!?」
「いちごジャムだよ。」
「何入れてんの!?」
砂糖の飯の中にいちごジャムって最早甘味のテロだろ。おにぎりを茶菓子にするんじゃない。
次回、渚のおにぎり第二号、三号が火を吹く(予定)!