らくえんぐらし!   作:カレーのぐざい。

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ろくっ!うすこげちゃいろ

「おい!どこ行くんだよ!!」

 

校門を出て行こうとした俺の腕を、男子生徒が掴む。

 

「家に妹が居るんだよ!!助けないと危ないだろうが!!」

「正気か!?学校の外にはもうあんな奴らが(たむろ)してるんだぞ!?どっから見ても、あれは人間じゃない!!」

「だからこそだ!!そんな危険な場所に渚を置いていけるかよ!!」

「あっ、おい!」

 

そいつの腕を振り払い、門からグラウンドへ入ってきていた「奴ら」を蹴り飛ばす。やはり普通に蹴るだけではこいつらは死なないみたいだ。脚力には自信があったが、残念だ。

仕方が無いので、コイツらは門の外まで何回か蹴り飛ばして学校から無理矢理押し出した。

そして、校門を閉めて道路へ出る。校門は閉めたものの、あまり強度があるようにも思えない。出来るだけ早く戻ってこよう。

道路にはやはり多くのゾンビがいた。

 

「ははっ、避けゲーは俺の得意なゲームのジャンルの1つだ。こんなに遅い敵キャラなら余裕だぜ、イージーモードにも程があるよな!!」

 

何度も通った通学路、そこを最高速度で駆け抜けていく。ちょっと足には自信があるんでね。こんなんでも、陸上部のエースなんだわ!

 

 

 

 

 

 

 

家の近くまで来た。流石に走りっぱなしはこの体でもつらい。

俺の家の前には、奴らが沢山いる。ん?何かを囲って・・・・まさか・・・・・

 

「そこからどけ!!」

 

()()を貪り食う奴ら共を蹴り上げる。ゾンビ共が囲っていた物を見れば、肉片と化したそいつの顔は原型をとどめてはいなかった。だが、

 

「・・・・・・渚じゃない・・・・」

 

明らかに髪の色が違う。あいつは綺麗な銀色だ。薄焦げ茶色とは似ても似つかない。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙」

「ま、良かったけど・・・・・・・家に入る前に、まずはこの辺のゾンビ共を一掃しないとな・・・」

 

先程蹴り上げたゾンビの他にも、周りからじりじりと集まってきていたりする。戻る時に立ち塞がれてBADENDになるのは勘弁だからな。最低でも、この辺の奴らの脳天だけでも破壊しておかなければ。

 

「ただ、この数を蹴って倒すのは骨が折れるぞ・・・・・・」

 

なにか丁度いい武器があれば、そうだな・・・・・・包丁?いや、家に入って台所に行ったんじゃ渚を巻き込みかねない。家の中にあるものじゃダメだ。庭にあるもので・・・・・・自転車?いやいや、どうやって倒すんだ。くそ、俺の家の庭には、人を殺せそうな道具すらないのか!!

いや、別に殺さなくてもいいかもしれない。倒せないなら、奴らの気を引けるものがあればいい。何か音の出るようなものはどこかにないか・・・・・・

そんなもの落ちてるわけないか、いや待て、携帯なら・・・・・・

ポケットをまさぐり、スマホがあるのを確認する。これは俺の妹の命がかかっているんだ。携帯くらい惜しくもなんとも・・・・な、ない!!!多分!!

ポケットから携帯を取り出し、音楽を流して音量を最大にして、

 

「持ってけ泥棒!!」

 

ぶん投げる。俺のスマホは隣の家の庭あたりに飛んで行った。

なんにせよ、これで俺たちを追う奴らの数は多少なりとも分散されて減るだろう。

 

バン!

扉を勢いよく開け、叫ぶ。冷静に考えれば、この時に大声や大きな音を出してはいけなかった。

 

「渚!!」

 

「・・・・・なに、お兄ちゃん?」

「なに、やってんだ・・・・お前?」

 

渚は玄関にいた。

 

「何って、お菓子食べてるんだけど?」

「いや、それはわかる。なんでこんな時にこんな所でそんなことをしているのかって言ってるんだ。」

「あ、これ、もしかして食べちゃダメだった?」

「そうじゃなくて・・・・渚。もしかして今の状況、わかってないのか?」

「状況?」

 

呑気に新しいお菓子の箱を開け始めた。あ、それ俺が通販で買った保存食だろ。

 

「はあ。怖がってるかと思って、焦って走って帰ってきたが、どうやらそんなことはなかったみたいだな。」

「なんの事?」

「いいから行くぞ、学校が心配だ。」

「学校?本当になんの事を言ってるの?」

「来たらわかる。ほら早く立て、時間が無いんだ。」

「時間が無いって・・・・あれ?誰か来たよ。」

「何!?」

 

気付いて後ろを振り向いたが、その時にはもう遅い。

 

「っぁあああッ!?」

「お兄ちゃん!?」

 

噛み付かれた、肩に。完全に不注意だった。振り返りざまに回し蹴りをおみまいした。

 

「痛いんだよ!!」

 

蹴りの当たった腰はくの字に折れ曲がり、倒れる。

そいつの髪は、薄い焦げ茶色をしていた。

 

「何!?何なのあれ!?」

「いいから行くぞ!」

 

腕を掴み、強引に引っ張って駆け出す。本当に話してる時間はない。さっきみたいに不意を突かれたら危険だ。幸運なことに俺たちの方と来ていた奴らはアイツだけで、他のゾンビ共は携帯のある隣の家に集まっていた。

 

「お兄ちゃん、痛い・・・」

「ああ、悪い。」

 

家を出て、路上をしばらく走っていると渚が呟いた。無意識に手を強く握っていたらしい。立ち止まって手を離し、少し休憩する。休憩と言っても座ったりだとかはできない。ゆっくりとだが、奴らも俺たちに近づいてきているのだ。

 

「何なの、この人たち・・・・・」

「ゾンビ、って言ったら、信じるか?」

「信じれない、信じれないよ。でも、そうとしか思えない・・・・」

「そうだろうな。」

「この人たち全員が、ハロウィンの仮装をしてるっていう可能性は?」

「0だろうな。大体、何でハロウィンだよ。季節外れにも程があるんじゃないか?」

「そうだよね・・・・じゃあ、やっぱり・・・・」

「ああ。聞いて驚け、リアル人類種の危機(バイオハザード)だ。」

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、これ・・・・」

「ああ。心もとないとは思ってたが、こんなに早く決壊してるとはな。」

 

学校の校門は外側から打ち破られていた。グラウンドには制服を着た奴らも見える。

 

「学校も、襲われたの?」

「そうみたいだな。行くぞ。」

「ま、待ってお兄ちゃん!本当に学校に入るの!?危ないよ・・・・」

「いや、最終的に一番安全なのは、部屋に鍵の掛かってない高い建物だ。ま、建物の中に入られてたとしたら、一番危ない所だけどな。」

「どう見たって、建物の中にもいるよ!」

「ああ。だけどな、お前はこの学校に居てもらわないと困るんだよ。」

「困る?」

「それより、早く行くぞ。」

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