らくえんぐらし! 作:カレーのぐざい。
「屋上?」
「ああ。今この校内で一番安全なのは屋上だろう。今からそこへ行く。この防波堤は予防線だ。」
「高い所が苦手、なんだっけ?」
「いや、階段が苦手なんだ。」
「そうなんだ・・・・」
「って事で、屋上まで行くぞ。それまでにある教室を1つ1つ見て回ろう。」
「どうするの?」
「生きてる奴がいたら助ける。奴らがいたら、これまでと同じように息の根を止めるか窓の外へ放り投げる。簡単なことだ。」
「そっか、生きてる人がいるかも・・・知れないもんね。」
「そういうこと。」
「お兄ちゃん、あっちから来たよ!」
「そうみたいだな。」
数個目の教室を調べていると、反対側の階段からゾンビが1匹上がってきていた。かなり距離があるから大丈夫だろうが。
この校内は、階段は1つじゃない。一方の階段は使えなくしたが、もう一方の方からという可能性もある。だが、すべての階段を塞ぐのは後からでいいだろう。例え登ってきていたとしても数匹くらいならなんとかなる。それに、先程のように大きな音を立てなければ自分で上がって来る者は少ない。
「渚はあれを見てろ。近くまで近づいてきたら教えてくれ。足が遅いしそうすぐにはここまで来られないとは思うが、もし後ろから襲われたら終わりだからな。念には念を、ってやつだ。俺はこの教室を見てくる。」
「わかった。気を付けてね。」
「わかってる。」
ガラガラと教室の引き戸を開けて中へと入る。見た感じ異常はない。が、一応奥まで入って死角になっている場所や隠れることができそうな場所をくまなく探す。
例えば、教卓とかに隠れていた奴がいたとする。その見落としたのが生存者ならばいいが、もしもゾンビだった場合、俺たちはどうなるだろう。奴らが安全圏の中にいた場合、見える未来は俺たちの全滅だ。少しは気合を入れて確認する必要がある。
ガタン
唐突に、教室の後方にある掃除用具入れが音を立てる。まさか、生存者か?
いや、答えを出すにはまだ早い。あの中にいるのがゾンビだとして、俺が不用意に開ければどうなるか。まあ、一遍の迷い無く喰われるだろう。ロッカーの中でこれまで音を立てずに隠れていたことから考えて8割方人間だろうが、噛まれていない保証はない。
ゆっくりと掃除用具入れに近寄り、扉を開ける。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
中には、青ざめた顔で自分の体を抱く女の子の姿が。この子どこかで見覚えが・・・
「な、乃至くん!?」
「あー、えっと・・・・ああ、あの時のお漏らしさん?」
「うわあああっ!?」
青かった顔が一瞬で赤く染まる。うん、女の子に言うセリフじゃなかったね。
すると教室の扉が勢い良く開かれた。
「お兄ちゃん!?」
「どうした、渚!?ゾンビか!?」
「違うよ。今、明らかにお兄ちゃんじゃない声が聞こえたから・・・・」
「ああ、それならこの子だ。」
「・・・・・誰?」
「ああ、今日知り合ったお漏r「
俺の言葉を遮るように叫ぶお漏らしさん改め、日高 蒼海先輩。
「おも?」
「お、おもろい人やな!って言おうとしたんですよね、乃至くん!?」
「「なんで関西弁?」」
「うう、なんで乃至くんまで・・・・」
「それより渚、ゾンビの見張りは?」
「あ。・・・・えっと、戻るね。」
「いや、一通りこの教室は調べたから、次の部屋へ行く。だがその前に、あいつを処理ないとな。」
「あいつ?」
「そう、あいつ。」
蒼海が聞き返す。俺の言ったあいつというのは勿論、
「ひっ!?」
「落ち着け、相手は1匹だ。足も遅いし落ち着けば簡単に対処できる。が、焦れば終わりだ。廊下は長い。見通しがいいから落ち着いていれば何とかなる。」