らくえんぐらし! 作:カレーのぐざい。
「渚、窓開けて。」
「うん。」
何回かこの戦法(戦うわけでは無いので戦法と呼べるのかはわからないが)を使った事があるからか、渚は何の疑問も抱かずに近くの窓へと走って開ける。
「窓?」
渚とは対照的に、俺たちの意図を汲み取れず疑問に思う蒼海。
俺は充分ゾンビをこちらまで引きつけて足払いをかける。奴が転んだ拍子に、廊下に血糊がこびりつく。これくらいなら後ででも何とか取れるからいい。そしてまだ起き上がらないうちに、口元に気をつけて持ち上げて開いた窓へとダストシュート。
ドサッと嫌な音がしたが、まだこの程度では機能停止しないだろう。また動き出す筈だ。
「ふう、片付いた。」
「あの、今のは?」
「ん?いや、俺たちの生活区域に彼奴らがいたら困るだろ。だから、速やかにご退場いただいたってわけ。」
「そ、そうなんですか・・・・・」
「そういうこと。俺らがこの三階の教室を一つ一つ見て回ってるのも、その為って事。それに、たまに副産物もあるからな。」
「副産物、ですか?」
「そ。」
そう言いながらにこりと笑う。お前のことだよ。
ドンドンドン!
「な、なに!?」
「・・・・・この音、そこの音楽室からか。」
急に聞こえた、扉を叩くような音。いや、実際扉を叩いているのだろう。音楽室に目をやると、学校特有のあの横開閉の引き戸の磨りガラスに人影が映っている。
「私たち以外にも、生きてる人が!?」
「いや・・・・その可能性は低いだろう。あれは、十中八九俺たちの敵だ。」
「じゃあ・・・・・」
「そういうこと。下がってろ。」
学校の扉は別に頑丈じゃない。むしろ、あれはすぐに外れる。いつ壊されても不思議はない。窓際まで2人を下がらせると、こちらから扉に飛び蹴りを放つ。
俺の体重の乗った蹴りはこの引き戸には耐えられないようで、あっけなく内側へと倒れた。
扉が無くなったことにより見えた音楽室の様子は、まさにサスペンスかと言うようにそこらじゅうに血が飛び散り、真っ赤な花が咲いていた。本当に咲いてはいないよ。
「「「ア゙ア゙ア゙ア゙」」」
中には、扉を叩いていた奴の他に3匹のゾンビがいた。扉の近くにいたそいつは、吹き飛ばした扉の下敷きになっている。
まずったな。一匹だと簡単だが、複数匹となると結構大変だ。一匹にかまけていたら、他の奴に殺られかねない。つまり、窓の外へと放り投げる戦法は使えないって事だ。
追い出せないなら、この場で殺すしかない。いや、もう死んでるけど。一方のゾンビを蹴り飛ばすが、やはり致命傷にはならない。まだ動けるようだ。この部屋に何か、こいつらを動けなくさせられるような武器は・・・・・これか!
俺が手にしたのはギター。エレキの方だ。音楽室にエレキギターなんかあったか?まあ、あるなら活用させてもらいますけどねっ!
ギターを逆手に持ち、弦の張られている長細い、正式名は知らないけどそこを掴む。ギターの、やはり正式名は知らないけど、大きくなっている方をあいつらに向ける。
「悪いな。願わくば俺を恨んで欲しくないもんだね。なにせ、俺はリアルホラーが苦手なんだ。」
エレキギターを振り回し、人間では無くなった者たちの首を弾き飛ばす。
そして、計4つの骸が出来上がった。
「・・・・・終わったぞ。」
「・・・大丈夫だった、お兄ちゃん?」
「まあな。ところで渚。この学校に軽音部はあったか?」
「うん、あったけど・・・・・どうして?」
「いや、なんでもない。」
俺は手に持っていた、真っ赤に染まったエレキギターを音楽室の中へ投げ捨てた。これは、俺には持っていけない。
音楽部に4人の元生徒が居たのは、部活だったからなんだろう。俺が音楽の授業を受けているときには、ここにエレキギターなんて置いてなかったしな。扉を蹴り飛ばした時疑問に思ったが、この扉には鍵が閉まっていた。誰かが外から鍵を使ってこいつらを音楽室に閉じ込めたとは考えにくい。ということは、内側から鍵をかけたのだろう。中に感染している奴がいるまま。
別に俺の感知する事ではないが。
俺は、知り合いが感染した時すぐに殺したり、見捨てることができるだろうか。
一刻も早く、