時間が無くて…。
それでは、短めの4話です!!
どうぞ、期待しないで読んでください!!
※2月10日追記
大改稿しました。コイツだけ海斗の性格が違ったので。
広島県
時計の指し示す時刻は8月15日、0時26分。
3分前、お嬢様に手をとられ、握手をしていたはずの俺はというと、
「―――おお、速いぞ!そなた、ここまで速く走れるのじゃな!」
「すんません、もう少し、つかまっててください!!」
―――その3分後(つまり今)、謎のエスケープを繰り広げていた。
全くもって理解に苦しむ。俺どころか誰だって理解できない。
というか。
和服の美少女をお姫様だっこして駅を爆走するとか、どうせ正気の沙汰と見られるはずもないだろう。なんせ俺だって平気な顔してられないから。
どういうことなんだろう。
「―――どうしてああなった!?」
黒スーツが叫んでるのが聞こえる。
俺も全力で頷きたい。俺だってわかんないよ。なんでこうなったのかわかんないよ。
―――ま、こんな状況を見たら、誰だって理由を求めるだろう。
野次馬根性と同じ。なんか事件を見たら「え、何アレ何アレ!!?」とか言っちゃうアレと同じだ。
でもそんなもん、俺に聞かれても困る。俺は流れに乗ってしまっただけ、特になーんにもしていない。
ということは経緯から推測するしかないだろう。
その
まず、彼女が俺の手をとって、握手をしたことは俺の記憶に新しい。
目の前にいた美少女、
そしたら、俺はその子が、口だけで何か喋っているのに気づいた。
正直言って頭抱えたけど、読唇術なんて知らなかったけど、なぜかその子の言ってることが分かった。我ながらよくわかったと思う。ぱっと見ただけじゃ分からなかったし。
目を凝らしてよく見てみてようやく分かった。
―――実のことを言うと、本音は彼女をガン見してただけだ。絶対に言えない。というか、言ってたまるか。
そうしたらだ。彼女の言いたかったことを読み取った俺は、目を疑った。
まぁそりゃそうだ。そもそも読み取れたことすら奇跡なんだから。でも、それだけじゃなかった。あれは俺でもぶったまげた。
彼女は、
俺に向かってずっと、『わらわを連れ出しておくれ』って言ってたんだよ。
これはつまり駆け落ちだろう。
俺に
なんと俺、まさかの一目惚れをされたらしい。自意識過剰だけどこう考えないと辻褄が合わん。でもどうしようかこの子。
俺はすげぇ迷った(3秒)が、結局連れ出すことにした。
そして、俺は手を握った状態から、流れるように彼女を抱きかかえお姫様だっこをして、そのまま後ろ向きに逃走。
で、出来たのが今の状況だ。
な、意味が分からんだろ?俺は何が悲しくて真夜中に逃走中しなきゃならんのだか。
もし背を向けると、下手したら銃殺されかねないので、俺は前を向いたまま逃走するという、ある意味器用な逃げ方をしていた。
後ろ走りで左にターン。超足遺体。間違えた、超足痛い。
(…んだありゃ?)
と、俺の両目は何かが瞬いたのを感知した。
―――何となく嫌な予感がする。マズルフラッシュな気がする。
俺は彼女を抱えたまま、本能の示すとおりに斜め左後ろ向きにジャンプした。
十二単が予想以上に邪魔だが、何とかジャンプ。
その一瞬後、チュンッ!という音と共に、俺がもといた場所を銃弾が掠めた。
「―――チッ、外したか…!!」
先ほどの黒スーツが、悪態をつきながら、流れるように拳銃の弾薬を交換していく。
ちなみに、エアガンではない。マジの拳銃。
つまり当たったら死ぬのだ。止まれば殺される。そこで俺の人生はジ・エンド。
だから俺は、再びバンバン撃たれる銃弾を掻い潜り、後ろ向きにくねくねと猛ダッシュ。
考え事を止めないままに、動き回る。
「ちょこまかと動き回りやがって…!!」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!」
「香倶夜さまに地球人が触れるとか、マジありえない!!」
「地獄に堕ちろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
「誰か、拳銃を持っていないか!?」
「香倶夜さまぁぁ!!今その汚らわしいヤツからあなた様をお助けいたしまぁすっ!!!」
後ろからうるさい
というか、両手に抱える月夜見さんのパワーがでかい。あの子には誰一人として手を触れようとしないから、脳震盪が起こるレベルで振り回して威嚇しているのだ。
本当に器用なことしてると思う。そして月夜見さんごめんなさい。
「―――宇和島海斗よ、そなた、大丈夫か?」
「…ええ、一応は、ねッ!!!」
その彼女から心配された。罪悪感でそろそろ死んでもいいような気がしてくる。
俺はなんちゅうことを…。
チュンチュンと、弾丸がコンクリートを掠める音を耳で聞きながら、俺は彼女と会話する。
「そういう月夜見さんは大丈夫ですか!?俺、そろそろ辛くなってきましたけど…!」
「大丈夫、出口はすぐそこじゃ!急ぐぞ、宇和島海斗!!」
「マジっすか!?…何処でしょうか!」
すると驚きの情報が。
そろそろ出口らしい。何とかお陀仏にならずに済んで全俺が大号泣してる。
ということは、このチェイスは今まさにクライマックスだ。
俺もちょっとスピードを上げてみよう。
「―――なっ!!このままでは、香倶夜様に逃げられてしまう!!早く、早くあの不届き者を捕らえてこちらに寄越せ!!」
黒スーツが焦ってギャアギャア喚いているのが聞こえるが、この際気にしない。
俺はでかしたとばかりに彼女の頭を撫でながら、出口の場所を問う。
「そこの階段の裏じゃ!!そこから4番ホームに戻れるぞ!!」
「了解、ですっ!!」
場所を聞き届けた俺は、さらにペース・アップ。
爆発するような俺の走行スピードに、他ならぬ俺自身が驚いていた。
(―――俺は、ここまでのスピードを出せるような、強いヤツだったか…?)
一抹の疑問が胸に去来するが、今の俺にそれを構っているヒマはない。
考えを強引にシャットダウンさせて、足を動かす。
そこに雑念はいらない。
ひたすら、ただひたすらに、走り続ける。
「うおらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
雄叫びを上げながら、腹の底から声を絞り尽くしながら。
「待てコラァァァァァァ!!!」
「香倶夜さまだけ置いてけぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ちきしょおぉぉぉぉぉぉ!!!」
「香倶夜さまぁぁぁぁぁ!!!」
最後の死力とばかりに、人々が手を伸ばしてくる。
―――だが、もう遅い。
人々の手が届くより一瞬早く、俺は
壁から吐き出されるような不快感を一瞬感じる。
しかし。
(―――やっぱ夢だったじゃねぇかよ…)
この浮遊感と乗り物酔いのようなグワングワンした感覚のせいで、俺はこの出来事を夢だと勘違いしてしまった。
夢から強制的に目を覚ますときのような、とんでもなく不快な感覚だと。
そんな俺は思う。
(…次に目が覚めたときは、
と。
★
★ 月★日、★時★分。
「―――…う、うぅん………」
俺は小さなうめき声と共に、目をあけた。
世界が暗い。まだ、夢の中なのかもしれない。それにしては光が少ないような気もする。
視界を空けて、ゆっくりと目を開ける。
すると俺の目には、見慣れた景色が飛び込んできた。
見間違えるはずも無い、俺の最寄り駅、
閑静で平凡な、海風の吹きすさぶ気持ちいいぐらいに田舎の駅。
見上げるとそこには、古びた蛍光灯に集まる虫と、燦然と輝く『3』と『4』の数字。
つまり、ここは、
ここまで視認して、俺は結論を出す。
「―――…ようやく、夢から抜け出したのか…」
そう結論付けた途端、俺はまず何よりも先に、安堵感を覚えて、地面にへたり込んだ。
もう帰って来れないかと本気で思っていた。だって意味分からんし。
誰もいない4番ホームで、俺は1人、感動を噛みしめる。
俺は帰ってこれた。なんとなく、よく分からないけど帰ってこれた。
あれは夢だったのだろう。もうそういうことにしておこう。疲れた。
とりあえず帰ろう。今は何時だ?
笑顔のまま時計を見ると、今は8月15日の、0時27分。
――――――――。
笑顔が凍りつく。
状況整理に、脳の全栄養を傾ける。
…この時計が正しいなら、電車がついてから15分近く、俺は意識不明だったことになる。
………………。
―――俺には何か持病でもあったのだろうか。でも健康診断で「ここまで元気な体は見たことが無い」って言われたしなぁ。
と、ふと俺は、最悪の可能性にぶつかる。
もしかして。
俺マジで命ヤバかったんじゃ無いだろうか。
俺結構瀕死だったんじゃないだろうか。
何かに命狙われてたんじゃないだろうか。
…えっ、何それ怖い。
そこまでテンパってふと、考え付く。
そういえば、の話だ。
(―――確かあの新幹線って、「0時23分発」だったよな…?)
………………。
(―――いや、まさか、な…)
俺は一瞬浮かんだその可能性を頭から振り去ると、無人の糸崎駅4番ホームを後に、家への帰路へとついた。
全く検閲してないものでして、はは…。
次の5話はシルバーウィーク中に投稿したいです!
…定期更新じゃ、全然無いですね。
タグ変えようかな…。
それではまた、5話で!!
M崎