月夜の悪戯   作:M崎

4 / 10
 更新遅れてすいません!!

 時間が無くて…。
 それでは、短めの4話です!!

 どうぞ、期待しないで読んでください!!

 ※2月10日追記

 大改稿しました。コイツだけ海斗の性格が違ったので。





4話目にして、俺の存在意義が危うくなってきた。

 

 

 広島県三原(みはら)市、糸崎(いとざき)駅5番ホーム。

 時計の指し示す時刻は8月15日、0時26分。

 

 

 

 3分前、お嬢様に手をとられ、握手をしていたはずの俺はというと、

 

 

 

 「―――おお、速いぞ!そなた、ここまで速く走れるのじゃな!」

 「すんません、もう少し、つかまっててください!!」

 

 

 

 ―――その3分後(つまり今)、謎のエスケープを繰り広げていた。

 

 全くもって理解に苦しむ。俺どころか誰だって理解できない。

 

 というか。

 和服の美少女をお姫様だっこして駅を爆走するとか、どうせ正気の沙汰と見られるはずもないだろう。なんせ俺だって平気な顔してられないから。

 どういうことなんだろう。

 

 「―――どうしてああなった!?」

 

 黒スーツが叫んでるのが聞こえる。

 俺も全力で頷きたい。俺だってわかんないよ。なんでこうなったのかわかんないよ。

 

 ―――ま、こんな状況を見たら、誰だって理由を求めるだろう。

 野次馬根性と同じ。なんか事件を見たら「え、何アレ何アレ!!?」とか言っちゃうアレと同じだ。

 

 でもそんなもん、俺に聞かれても困る。俺は流れに乗ってしまっただけ、特になーんにもしていない。

 ということは経緯から推測するしかないだろう。

 

 その経緯(いきさつ)はこうだ。

 

 まず、彼女が俺の手をとって、握手をしたことは俺の記憶に新しい。

 目の前にいた美少女、月夜見(つくよみ)香倶夜(かぐや)に、俺は差し出した手を握られた。正直言って有頂天になった。可愛いは正義。

 

 そしたら、俺はその子が、口だけで何か喋っているのに気づいた。

 正直言って頭抱えたけど、読唇術なんて知らなかったけど、なぜかその子の言ってることが分かった。我ながらよくわかったと思う。ぱっと見ただけじゃ分からなかったし。

 目を凝らしてよく見てみてようやく分かった。

 

 ―――実のことを言うと、本音は彼女をガン見してただけだ。絶対に言えない。というか、言ってたまるか。

 

 そうしたらだ。彼女の言いたかったことを読み取った俺は、目を疑った。

 まぁそりゃそうだ。そもそも読み取れたことすら奇跡なんだから。でも、それだけじゃなかった。あれは俺でもぶったまげた。

 彼女は、

 

 

 俺に向かってずっと、『わらわを連れ出しておくれ』って言ってたんだよ。

 

 

 これはつまり駆け落ちだろう。

 俺に(さら)ってくれと言っているようなもんだ。

 なんと俺、まさかの一目惚れをされたらしい。自意識過剰だけどこう考えないと辻褄が合わん。でもどうしようかこの子。

 

 俺はすげぇ迷った(3秒)が、結局連れ出すことにした。

 

 そして、俺は手を握った状態から、流れるように彼女を抱きかかえお姫様だっこをして、そのまま後ろ向きに逃走。

 で、出来たのが今の状況だ。

 

 な、意味が分からんだろ?俺は何が悲しくて真夜中に逃走中しなきゃならんのだか。

 

 もし背を向けると、下手したら銃殺されかねないので、俺は前を向いたまま逃走するという、ある意味器用な逃げ方をしていた。

 後ろ走りで左にターン。超足遺体。間違えた、超足痛い。

 

 (…んだありゃ?)

 

 と、俺の両目は何かが瞬いたのを感知した。

 

 ―――何となく嫌な予感がする。マズルフラッシュな気がする。

 

 俺は彼女を抱えたまま、本能の示すとおりに斜め左後ろ向きにジャンプした。

 十二単が予想以上に邪魔だが、何とかジャンプ。

 

 その一瞬後、チュンッ!という音と共に、俺がもといた場所を銃弾が掠めた。

 

 「―――チッ、外したか…!!」

 

 先ほどの黒スーツが、悪態をつきながら、流れるように拳銃の弾薬を交換していく。

 ちなみに、エアガンではない。マジの拳銃。

 つまり当たったら死ぬのだ。止まれば殺される。そこで俺の人生はジ・エンド。

 

 だから俺は、再びバンバン撃たれる銃弾を掻い潜り、後ろ向きにくねくねと猛ダッシュ。

 考え事を止めないままに、動き回る。

 

 「ちょこまかと動き回りやがって…!!」

 「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!」

 「香倶夜さまに地球人が触れるとか、マジありえない!!」

 「地獄に堕ちろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 「誰か、拳銃を持っていないか!?」

 「香倶夜さまぁぁ!!今その汚らわしいヤツからあなた様をお助けいたしまぁすっ!!!」

 

 後ろからうるさい月世界の人々(モブキャラども)が追いかけてくるが、俺はひょいひょいと動いて伸ばされる手を(かわ)す。

 というか、両手に抱える月夜見さんのパワーがでかい。あの子には誰一人として手を触れようとしないから、脳震盪が起こるレベルで振り回して威嚇しているのだ。

 本当に器用なことしてると思う。そして月夜見さんごめんなさい。

 

 「―――宇和島海斗よ、そなた、大丈夫か?」

 「…ええ、一応は、ねッ!!!」

 

 その彼女から心配された。罪悪感でそろそろ死んでもいいような気がしてくる。

 俺はなんちゅうことを…。

 

 チュンチュンと、弾丸がコンクリートを掠める音を耳で聞きながら、俺は彼女と会話する。

 

 「そういう月夜見さんは大丈夫ですか!?俺、そろそろ辛くなってきましたけど…!」

 「大丈夫、出口はすぐそこじゃ!急ぐぞ、宇和島海斗!!」

 「マジっすか!?…何処でしょうか!」

 

 すると驚きの情報が。

 そろそろ出口らしい。何とかお陀仏にならずに済んで全俺が大号泣してる。

 ということは、このチェイスは今まさにクライマックスだ。

 俺もちょっとスピードを上げてみよう。

 

 「―――なっ!!このままでは、香倶夜様に逃げられてしまう!!早く、早くあの不届き者を捕らえてこちらに寄越せ!!」

 

 黒スーツが焦ってギャアギャア喚いているのが聞こえるが、この際気にしない。

 俺はでかしたとばかりに彼女の頭を撫でながら、出口の場所を問う。

 

 「そこの階段の裏じゃ!!そこから4番ホームに戻れるぞ!!」

 「了解、ですっ!!」

 

 場所を聞き届けた俺は、さらにペース・アップ。

 爆発するような俺の走行スピードに、他ならぬ俺自身が驚いていた。

 

 (―――俺は、ここまでのスピードを出せるような、強いヤツだったか…?)

 

 一抹の疑問が胸に去来するが、今の俺にそれを構っているヒマはない。

 考えを強引にシャットダウンさせて、足を動かす。

 

 そこに雑念はいらない。

 ひたすら、ただひたすらに、走り続ける。

 

 「うおらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 雄叫びを上げながら、腹の底から声を絞り尽くしながら。

 

 「待てコラァァァァァァ!!!」

 「香倶夜さまだけ置いてけぇぇぇぇぇぇ!!!」

 「ちきしょおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 「香倶夜さまぁぁぁぁぁ!!!」

 

 最後の死力とばかりに、人々が手を伸ばしてくる。

 

 

 ―――だが、もう遅い。

 

 

 人々の手が届くより一瞬早く、俺は糸崎(いとざき)駅『5番ホーム』を抜け出した。

 月夜見(つくよみ)香倶夜(かぐや)と共に。

 壁から吐き出されるような不快感を一瞬感じる。

 

 しかし。

 

 (―――やっぱ夢だったじゃねぇかよ…)

 

 この浮遊感と乗り物酔いのようなグワングワンした感覚のせいで、俺はこの出来事を夢だと勘違いしてしまった。

 夢から強制的に目を覚ますときのような、とんでもなく不快な感覚だと。

 

 そんな俺は思う。

 

 (…次に目が覚めたときは、異次元(ドリーム)から日常(リアル)に帰ってこれますように…)

 

 と。

 

 

 

                     ★

 

 

 

★ 月★日、★時★分。

 

 「―――…う、うぅん………」

 

 俺は小さなうめき声と共に、目をあけた。

 世界が暗い。まだ、夢の中なのかもしれない。それにしては光が少ないような気もする。

 

 視界を空けて、ゆっくりと目を開ける。

 

 すると俺の目には、見慣れた景色が飛び込んできた。

 見間違えるはずも無い、俺の最寄り駅、糸崎(いとざき)の駅。

 閑静で平凡な、海風の吹きすさぶ気持ちいいぐらいに田舎の駅。

 見上げるとそこには、古びた蛍光灯に集まる虫と、燦然と輝く『3』と『4』の数字。

 つまり、ここは、山陽本線(さんようほんせん)糸崎駅、3番ホームと4番ホーム。

 

 ここまで視認して、俺は結論を出す。

 

 「―――…ようやく、夢から抜け出したのか…」

 

 そう結論付けた途端、俺はまず何よりも先に、安堵感を覚えて、地面にへたり込んだ。

 非日常(ファンタジー)から日常(リアル)に帰って来れたことに、安心した。

 もう帰って来れないかと本気で思っていた。だって意味分からんし。

 

 誰もいない4番ホームで、俺は1人、感動を噛みしめる。

 俺は帰ってこれた。なんとなく、よく分からないけど帰ってこれた。

 あれは夢だったのだろう。もうそういうことにしておこう。疲れた。

 とりあえず帰ろう。今は何時だ?

 

 笑顔のまま時計を見ると、今は8月15日の、0時27分。

 

 ――――――――。

 

 笑顔が凍りつく。

 状況整理に、脳の全栄養を傾ける。

 

 …この時計が正しいなら、電車がついてから15分近く、俺は意識不明だったことになる。

 ………………。

 ―――俺には何か持病でもあったのだろうか。でも健康診断で「ここまで元気な体は見たことが無い」って言われたしなぁ。

 

 と、ふと俺は、最悪の可能性にぶつかる。

 

 もしかして。

 俺マジで命ヤバかったんじゃ無いだろうか。

 俺結構瀕死だったんじゃないだろうか。

 何かに命狙われてたんじゃないだろうか。

 …えっ、何それ怖い。

 

 そこまでテンパってふと、考え付く。

 そういえば、の話だ。

 

 (―――確かあの新幹線って、「0時23分発」だったよな…?)

 

 ………………。

 

 (―――いや、まさか、な…)

 

 俺は一瞬浮かんだその可能性を頭から振り去ると、無人の糸崎駅4番ホームを後に、家への帰路へとついた。

 

 

 

 

 




 全く検閲してないものでして、はは…。

 次の5話はシルバーウィーク中に投稿したいです!

 …定期更新じゃ、全然無いですね。
 タグ変えようかな…。

 それではまた、5話で!!

 M崎


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