織田信奈の刀 ―私の兄は虚刀流―   作:怠惰暴食

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七花、例の猪が清州城に現れる

「合戦が始まるよりもだいぶ前じゃから、わしらは楽に川を下る事ができたわい」

「もしかしたら、あいつら、道三が消えたと思って、どこにいるか探しているのかもしれないな」

 

 七花の言う通り、義龍はもぬけの殻となった道三の本陣を見つけ、その周辺を、兵達を使って探索するが何も出ず、道三が戦わず逃げた事を知り、一旦城へと戻り体制を立て直す事になる。道三を追いかける事もできたが、道三の脅威を知っている義龍は何か策を練っているのではないかと勘違いし、調べる事に時間をかけすぎてしまい、追いかけたときには尾張軍の待ち伏せがある可能性を考え、不慣れな船の上での戦闘を行うよりは稲葉山城で尾張の出方を待つ方が得策と考えているのだ。

 

 そんな話を道三と七花は信奈達にしているが、信奈の聞いている姿に首を傾げたくなる。

 

 現在、七花は胡坐をかいており、七花の組んだ足の上を信奈が座り、七花の胸を背もたれにしている。「あんたを斬る事ができないのなら、せめて椅子にして座ってやる」的な感じで座っている。言ったら信奈は否定するだろうが、どう見ても仲の良い兄妹です。

 

 状況の補足として七花に座っている信奈を見ながらうらやましそうに勝家と犬千代は見ていた。

 

 そんな中、また小姓が走ってきた。

 

「あの……お邪魔でしたか?」

 

 仲の良い兄妹らしきものを見て小姓はそう言った。

 

「!! 邪魔じゃないわ。続けなさい」

 

 そう言いながら信奈は七花の上から退いた。

 

「……お知らせします。今川義元が二万五千の軍勢を率いて、尾張に進軍を開始し、国境を守っていた砦は次々落とされ、尾張領内に突入してきました」

「どうして、報告が遅れたのかしら?」

「どうも、元康に忍を砦の中に前もって、潜入させていたらしく」

「デアルカ」

 

 更にもう一人の小姓が走ってきた。

 

「報告します。清洲城敷地内に赤兜が」

「次から次へと厄介な事態になるわね。まずは大猪から始めましょう。蝮はここで待ってて、ここまで来るのに休みなしでしょう。今の内に体を休めて」

「お言葉に甘えるとしようかのう」

「行くわよ。みんな」

 

 信奈は勝家、犬千代、長秀を連れていく。しかし、七花は信奈について行かず、最後まで会話をしなかった否定姫のところへ行く。

 

「大丈夫か?」

「大丈夫、と言いたいところだけど無理ね。気分が悪いわ」

 

 そう言う否定姫の顔は本当に気分が悪いのか、顔を顰めている。

 

「私の事はいいから、七花君は急いで信奈ちゃんについて行きなさい。赤兜は以前、七花君が乗っていた大猪の事で、結構暴れていたらしいのよね。殺される可能性があるわ」

「……わかった。道三、こいつの事を頼む」

「ふふ、女人の世話か、張り切るしかないのう」

「? 何をするのか知らないけど、また腰を悪くするなよ」

 

 そう言って七花は信奈達の後を追う。

 

 七花が清洲城を出ると、信奈達と山であった猪が対峙していた。

 

「よう」

 

 七花が大猪に声をかけると、大猪はやっと来たかと言わんばかりに立ち上がり、

『ちょっと、顔を貸せや』

 と頭を振る。

 

「どうかしたのか?」

 

 七花は大猪に尋ねる。

 

「ちょっと待ちなさいよ!!」

 

 しかし、信奈に邪魔されてしまった。

 

「? どうしたんだ、信奈?」

「何、普通に赤兜と会話してるのよ」

「そりゃ、山の中で戦って友情を深めた仲だからだ。なあ?」

 

 七花の問いに赤兜は『そうだな』と頷く。

 

「ほら、それに背中にも乗せてくれたんだぞ」

 

 嬉しそうに赤兜との仲を話す七花に、

 

「どうしよう。頭が痛くなってきた」

 

 信奈は自由奔放な七花に頭を押さえ、

 

「赤兜を手懐けるとは流石は兄者だ」

 

 勝家は七花を感心して、

 

「……まだまだ、犬千代はかぶきが足りない」

 

 犬千代は何処へ向かうのか、わからない方向に向上心を見せて、

 

「訳がわかりません。採点不能です」

 

 長秀はその内、考えるのをやめた訳ではなく、目の前の状況に採点拒否した。

 

 そんな四人の反応を見ずに七花は赤兜のジェスチャーと鳴き声で判断して、赤兜と会話していた。

 

「なあ、信奈。赤兜だっけ? まあ、こいつが言うには縄張りに気にいらない奴等がやってきたらしいから、追い払うのを手伝ってくれって話なんだけど」

「行ってきてもいいわよ。私もあんたを独断専行した事により謹慎させるつもりの予定だから、ちょうどいいわ。迷わず行きなさい」

「そうか、ありがとう」

 

 そう言うと七花は赤兜に跨り、清洲城から出た。

 

 七花が見えなくなって信奈は溜息を吐く。

 

「よかったのですか、姫様?」

「仕方ないわよ。今の私では七花を扱えそうにないわ。それなら、七花にやりたい事をやって貰った方が得策よ。それよりも熱田神宮に本陣を敷くわよ」

 

 信奈はそう指示を出して、行動を開始する。

 




再び、あの猪が再登場。

道三を合戦が始まる前に連れてきた事、それは時間軸がこんがらがってしまい。自分には収拾不可能でした。これが今川との戦いを書き終える事ができなかった理由の一つです。

ところで猪ってオリキャラに入るのでしょうか?

このまま、この猪を出す予定でいますから
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