戦士と悪魔の外史旅行 ※打ち切り   作:基準の少年

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あれ、あれえ? UAが25000超えてる・・・

ではどうぞ。


第弐拾玖話 暴走と涙

 

何かが割れるような音。それは、立ち尽くす零の中から聞こえた。

 

「・・・ま・・・」

 

ボソリと零が何かを呟く。それを天統は零を薄ら笑いを浮かべながら眺めている

 

「どうした? 命乞いか? 聞くだけ聞いてやるぞ? 我は寛大だからなあ」

 

調子に乗っている天統をナエムが抑える。冷や汗を流すその顔には警戒の色が見て取れる。

 

「待って下さい。様子がおかしい」

 

俯き加減で立っている零。目は隠れて表情が分からない。周りに居る将達も零の異常に気付き始めた。

 

「て、天っち? どうしたんや?」

 

「ちょっと、零? 大丈夫なの?」

 

掛けられる声を無視して、また呟く。

 

「今・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今・・・ミンナヲワラッタナァ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ひと)の口から出された声としては、余りに異質。更なる異常に周囲が気付けたのは奇跡と言っていいだろう。周りから

 

霞達が飛び退いた瞬間、膨大な量の殺気と「妖気」、「邪気」が周囲を包み込んだ。

ドッと脂汗が吹き出る。ただ単に恐怖(こわ)い。歴戦の将達でさえ、(ソレ)に恐怖した。

 

本能が警鐘を掻き鳴らす。あれは脅威だ。危険過ぎる。立ち向かうな。相対するな。ここから逃げる事だけを考えろ。逃げろ逃げろ逃げろ似解呂(にげろ)弐外炉(にげろ)煮下路(にげろ)荷毛絽(にげろ)にげろにげろにげろにげろにげろニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロNIGERONIGERONIGERONIGERONIGERONIGERONIGERO!!!!

 

天統の口から奥歯が鳴る音が聞こえる。汗で手が濡れている。動きたくても動けない。息も詰まりそうだ。

障壁を張ったナエムとトリューグは驚愕していた。零の源性が闇の分類に入る事は分かっていたが、流石に予想以上だった。

普通、誰がも思わないだろう。

 

 

 

――――身体の中にこの世全ての悪(アンリ・マユ)(クラス)(ヤミ)を飼っているなど。しかも、今も尚、外史の負力を吸収して増大し続けている。

 

 

 

気の量は人より多いだけ。忍術は性質変化以外。(パワー)速さ(スピード)技術(テクニック)でカバーしてるだけ。転生特典も中々のチートだが、それだけ。

どこにでも居そうなよくあるオリ主。その筈「だった」。

 

ならあれは何だ。何なんだあれは――――。

 

 

 

―キヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ―

 

 

 

「な、何、だ・・・?」

 

どこからか、笑い声が聞こえる。

 

 

 

―ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ―

 

 

 

人じゃ、ない。そもそも「生き物」ですらない声。

 

 

 

―カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ―

 

 

 

愉悦の感情が伝わって来る。

 

 

 

―ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ―

 

 

 

まるで、新たな同胞(はらから)の、(ヤミ)の誕生を祝福するかのように。

 

 

 

―アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ―

 

 

 

声は、嗤う。

 

不意にザシュリという音がして、ナエムの横で、天統の頸が()んだ。

 

「「・・・・・・・・・・・・え?」」

 

余りにも、あっけない最期。気付いた時には遅過ぎた。

天統の身体は、重力に従ってゆっくりと倒れ伏す。

ナエムとトリューグは、否、この場に居る全員が、それを見ている事しか出来なかった。

ゆっくりと、ナエムが零の方を向く。

零はナエムを見て嗤っていた。口は、赤い三日月の体裁をなしていた。

ゾクリとする間もなく、零の影が現世(うつしよ)に躍り出る。影は瞬時に槍の形を取り、ナエムを襲う。

 

「グッ!!」

 

障壁を斜めに張って槍を逸らし、トリューグに腕を掴まれて空中へ退避する。腕は衝撃で痺れ、動かす度に激痛が走る。

 

(クッ、細い骨が何本か逝きましたか・・・気や魔力での補助でもギリギリ・・・化物ですか「アレ」は!!)

 

ナエムは戦慄する。あのような化物、勝てる気がしない。今すぐここから逃げなければ――――。

しかし、ナエムは未だ、狙われていた。

 

「ッ!? 来るぞ!!」

 

零は影を戻し、右手を2人の方に向ける。何かを呟いたかと思うと、零の周囲に突如大量の刀剣が現れた。しかも、投影出来る筈の無い物ばかりだ。

 

「『宝具』だと!? 奴は『干将・莫耶』と『熾天覆う七つの円環』以外投影出来ないんじゃなかったのか!?」

 

トリューグがソレを見て驚愕する。零の周囲には事実、大量の宝具が漂っていた。

螺旋剣(カラドボルグ)然り、原罪(メロダック)然り、刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)然り、必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)然り・・・

挙句の果てには、無毀なる湖光(アロンダイト)勝利すべき黄金の剣(カリバーン)幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)さえも投影していた。

 

「――――停止解凍(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)

 

「チイッ!!」

 

腕が逝ったナエムの代わりにトリューグが障壁を張る。だが、基本戦闘専門のトリューグは、防御用の術を苦手としていた。

ガラスが割れるような澄んだ音がして、障壁が容易く突破される。あわや――――と思われたが、突如として2人の姿が掻き消えた。同時に、何かが割れるような音がして、零が瞬時に正気に戻る。

 

「ッッ!? あ、れ?アタシは、何を――――」

 

周囲を見渡し、絶句する。

 

「何、これ・・・」

 

今更のように、将達も異常に気付いた。先程から、異様に静かなのだ。

 

 

 

――――周囲は、惨殺された死体が転がる、血の海だった。

 

 

 

半径100mに渡って、頭部を撃砕された死体や、四肢を失った死体、挙句何かに食い散らかされた死体が所狭しと並んでいる。将達がそれを呆然と眺める中、零は瞬時に振り向き己の腕を凝視した。

黒い紐状の何かが巻き付いた腕。所々隙間から見える素肌は、血で濡れていた。

 

「あ、ああ、ああああああああああああああ!!」

 

ガタガタと震える腕で零は頭を抱えて、絶叫した。

瞬間、新たな闇の奔流が天へと駆け上る。

逸早く正気に戻った鳳蓮が零に呼びかける。

 

「零!! 零!? 落ち着いて!! 大丈夫だから!!」

 

「いや、いやああああああああああああああああああ!!」

 

しかし、零は頭を抱えて叫び、震えるばかりだ。

自分の声が届いていないと理解し、鳳蓮は零の元へ駆け寄ろうとする。

 

「近づくなッ・・・!!」

 

それを、満身創痍の状態で尚、刀を杖にして立ち上がった竜が止めた。

 

「何でよ!?」

 

「今零に近付くと・・・『喰われる』ぞ」

 

「喰われるって・・・」

 

それだけ言うと、竜は何とか零に歩み寄ろうとする。勿論身体はボロボロで、寧ろ立っているのがおかしい位だ。

 

「兄様!? そんな身体で無理しないで下さい!!」

 

「竜!! 止めろって!! 自滅する気か!?」

 

「俺が・・・止めるしか・・・!!」

 

無理矢理に零の元へ動こうとした時、竜に向かって光の奔流が降り注ぐ。

地面に押さえ付けられた竜の前に、2人の老人が立っていた。2人は唯の老人ではない。

 

「いつかの駄神に、宝石翁!?」

 

かたや、零と竜を転生させた神、北一。

 

かたや、世界を渡る宝石翁、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。

 

片方の実力は未知数だが、もう片方は言うまでも無いだろう。

 

「ふむ・・・まさか『この世全ての悪(アンリ・マユ)』と同等の闇とはな・・・」

 

「わしも計算外じゃ。転生の際、濃い闇の力じゃとは思っておったが・・・」

 

「兎に角、力尽くでも抑えねばなるまいて。北一とやら、行くぞ」

 

「言われんでも分かっておるわい。・・・フウウウッ!!」

 

北一は右手に持った杖に魔力を込め、竜を地に押さえ付けた光と同じ物を零に放つ。ゼルレッチは宝石剣を取り出し、横に振るって魔力の斬撃を飛ばす。

しかし余りにも濃い闇の力にそれは容易く弾かれ、魔力の斬撃は吸収されてしまう。

 

「ぬうッ!! いかんな、流石に斬撃を連発しては力を与えるようなものじゃしなあ・・・」

 

事実、零の闇は斬撃の魔力で力が増している。魔力を扱うゼルレッチには分が悪い相手だ。

 

「ならわしに魔力を譲渡せい!! 神力に変換すれば何とかなるじゃろ!!」

 

「それしかないか、はああああああ!!」

 

ゼルレッチは魔力を一気に北一に流し込む。北一は受け取った魔力を神力に変換し、散弾にして撃ち出した。一発一発が突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)並の威力が有ると思われる。

 

「あああああ、ああああ、あああああ、あっ・・・・・・」

 

頭を抱えて苦しんでいた零は、不意に力が抜けたようにその場にへたり込む。どうやら自分への恐怖に精神が耐えられなかったらしく、気を失ったようだ。だが、それにより闇を抑えるストッパーが外れた事になり、より強い闇の波動が零を包み込む。それは神力の散弾さえも簡単に弾き返す程だった。

 

「・・・何じゃと?」

 

「・・・こりゃあ不味いのお」

 

冷や汗を流して後退る老人2人。何気にカッコ良さげな登場をした割には結局使えないジジイ共である。

 

「・・・・・・アンタら、下がってろ」

 

気で無理矢理細胞を活性化させて傷を応急処置した竜が前に出る。勿論重傷が治った訳ではないので、凪と焔耶に支えて貰っている状態だ。

竜は目を閉じ、静かに宣言しようとする。

 

「――――無銘流・禁術、封道・源性解――――」

 

だがそれは、2人の少女の行動によって遮られる。

 

「「――――零(姉)!!」」

 

恋と明命だ。満身創痍の身体で無理矢理駆け出した。

 

「なあッ!? 無茶だ!! 2人とも下がれ!!」

 

しかし、2人は止まらない。傷から血が噴き出しても、必死に走る。

己の身体が傷つく事も厭わず、零に駆け寄って、抱き付いた。

途端に、闇の波動が2人を襲う。それでも尚、2人は零を離さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「お願い!! 元に戻って!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叫んだ後、涙が2粒、零れて弾ける。瞬間、零の瞳に意識と理性の光が灯った。

それに乗じて、闇の波動が急激に収束する。

全て零に飲み込まれた後、零、明命、恋の3人は、抱き合ったまま地面に倒れ伏した。

 




基準「零さんの暴走回です」

竜「言ってしまえば、二次創作かなんかでよく有るパターンだよな。今回もヤッパリ零は来てないのか」

基準「当たり前です。今日はゲストも居ないですし」

?「ここにいるぞー!」

竜「またか。結界突破」

基準「ちっ、博霊大結界と同じ物を幻想郷の皆さんに頼んで張って貰っていると言うのに・・・という訳で、飛び入り参加、今でも本編未登場の蒲公英こと馬岱ちゃんです」

竜「何て無駄にレベルの高い結界を張っときながらこうも易々と・・・しかもまたシリアスぶち壊すような奴が来やがったし・・・」

蒲「ちょ、竜さん扱い酷いよ!!」

基準「因みに馬騰さんは原作通りお亡くなりになっておりまして、馬超、馬岱の2人は蜀に身を寄せているという設定です」

竜「書けよ。忘れてたのか?」

基準「すみません・・・」

蒲「うわー、作者まで扱い酷いよ私達の事忘れるなんて・・・後で罠に嵌めるから」

基準「言っちゃったら罠じゃ無いでしょ。兎に角! 偶には本編に付いて何か話しましょうよ!! 後書でシリアスムードぶち壊しですよ!?」

竜「書いたのはテメエだよ。・・・うん、零暴走したな」

蒲「したね」

基準「しましたね」

竜「しかも何だよ『この世全ての悪』と同ランクって。ハッキリ言ってチートだろ?」

基準「この展開に付いては前々から考えていたんです。ここまで長かった・・・」

蒲「金ぴかアッサリご退場? 『王の財宝』の射出だけでも大陸征服出来るのにね」

竜「まあ慢心王選んだ時点で運の尽きだっつーかこの回何もやってねーじゃん」

基準「噛ませですから」

竜「にしても酷いな。他のSSでももうちっとは活躍(?)したり噛ませとしての役割ちゃんと果たしてるのに」

基準「展開早めないと終わらないんですよ。もう続編のテロップまで考えてるんですから」

蒲「獲らぬ梟の羽算用は止めといた方が良いよ?」

竜「よく知ってたなその諺。出てきたの謎プリだっけ?」

基準「というか三国時代に無いでしょハリポタ」

蒲「作者の部屋の本棚の一番下の横山光輝『項羽と劉邦』『史記』の後に有った」

基準「無駄に細かい描写をどうもありがとう」

竜「書いてるのお前だからな!? ・・・む、時間だな」

基準「今回後書長いですねー」

蒲「じゃ、私が行くね!! 『戦士と悪魔の外史旅行』ー!!」

基準「次回の投稿は未定です。宿題が・・・」

竜「頑張れ。じゃ、次もヨロシクな!!」



蒲「さーて! 焔耶を罠に嵌めるとでもしますか!!」

竜「おい」
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