現代、21世紀の世界を舞台にしていますが、現実の国名は一切使ってませんし、関連づけようともし手ません。雰囲気だけ現実と似てるな〜ってことを感じていただければいいです。
続きません。
自分ではわからない悪い部分を教えてくれればそれほど嬉しいこともありません。
文章全体が悪いと言われればまあもうそれは鍛え上げるしかないのですが笑
よろしくおねがいします。
大地を焼くような日差しは、シャツ越しにでも突き刺すような痛みを皮膚に伝える。
陽炎が土塊を写し揚げ、空間を絶えず揺らす。
街の大通りではあるが、発展しているとは言えないこの国の建物は煉瓦造りであったりコンクリであったり違う種類の建物が乱雑に立ち並んでいる。
じりじりと射す光の中。
おれはただそこを歩いていた。
いましがた経験した惨状は、世界を驚かすには十分だった。外交官の一人として、王族の命を救い、一つのテロ組織の頭を屠り、国と国をつなげた。
かわりに全身に渡る切り傷と、腹には三つの穴が開き、左脇腹には火裂傷が走り、背中にはナイフが四つ刺さったままで、右足の上半分は消え、土埃で汚れた皮膚と血は混じり凝固し、ずるずると歩くたびにぽろぽろと零れ落ちる。
オーダメイドで仕立てたスーツの惨状を見るとおれはもったいないことをした、とすこしばかり気が沈んだ。スーツが生まれた地に出向き、同郷の職人にわざわざ会って仕立ててもらったつい1年前の出来事も今では永遠の昔に感じる。
しかし命の終わりを感じる中、その思考の流れも命を燃やし続けるためにすぐに刈り取られた。
人気のない大通りを一人で歩いていると、もはや世界に自分一人しかいないとさえ錯覚する。
なぜおれはここを歩いているのか。
やがて歩く力すらも失うと自分が引きずってあるいた刀を支えにして、ゆっくりと姿勢を整え、空を仰ぐ。
これから死ぬとわかって見る太陽の光はどうしようもなく美しく輝いて見えて瞳からは大粒の涙がボロボロと溢れる。
愛する妻と娘と息子。彼らのそばで逝けないことがどうしようもなく悲しい。
「ごめんな。。おれはもうここまでだ」
「強く、生きろ」
やがて視線を落として命が消えようというその時、目の前にヒトが現れた。
黒い瞳、黒い髪、真っ白な肌、赤い唇、大きな瞳に浮かぶ瞳孔も赤い。
東洋風の薄衣の黒い生地は全身のシルエットを余すことなく綺麗に包み込んでいる。全身に華が黒の濃淡だけであしらわれ、そのヒトの異様な美しさを際立たせる。
「この世界での貴方はここまで」
「でも、貴方はここでは終わらない」
「いや終われないと言ったほうが正しいかな」
そのヒトはそう言うと、おれに近寄りそっと頬に手を寄せる。
「歴史の因子よ。貴方は”この時軸”と”この座標”では起こり得なかった筈の異分子」
「そういう人間が必要なの」
「”あの世界”で生き残れることを祈ります」
そういうとそのヒトはおれに唇を重ねた。
意識が薄れていく中、おれはもはや自分になにが起こっているのか認識できてはいなかった。最後に覚えているのは、目の前に見える大きな瞳と柔らかな肌の感触そしてなにかが喉をとおって体のなかに消えていく感覚。命が燃え尽きていった。
そのヒトはおれの死を確認すると、おれの胸に手をかざしずぶずぶと体の中に沈めていった。やがておれの心臓の感触を確認すると、そのヒトはおれの心臓を引き抜いた。血と肉が勢い良く吹き出るがそんなことなど気にもとめず、心臓の拍動がやむまでそれを見つめていた。
やがて鼓動が停止するとそのヒトは心臓を握りつぶした。
「さてさて」
そうつぶやくとそのヒトの形がだんだんと薄くなっていった。そのヒトの視線は大通りの建物をなにかをさぐるように泳いでいく。
やがていくつかの場所に視線をとめたかと思うと穏やかな笑顔を浮かべる。
やがてうっすらとしたモヤのようなものになると、一陣の風とともに吹き消えていった。
大通りの建物の屋上でその一連の事件の全てを撮っていた何人かのジャーナリストは息をするのも忘れたかのようにただカメラを回し続けていた。
その外交官がやったことですら世界をひっくり返すものだったのに、その人間の身にその後起きた物理法則を無視した出来事は世界のなにかを根本から覆してしまうものだった。
そして幸か不幸か、そのカメラは”ライブ中継”でいくつかの国の幾つかの放送局が流していた。
まもなくしてこの外交官の名前とこの事件は”この世界”での人類史に永遠に名前を刻むこととなった。
読んでくれてありがとうございます!