でも。ぷろろーぐ入れると11話目なのは、密に、照に。
「…………絵を、描けと?」
「ん………………ミラクルちゃん」
そう言ってプリムラが紙とペンを渡してくる。
そもそも、ミラクルちゃんとは一体何なのかと、和也は頭を捻る。
「プリムラ、幾ら俺でも知らないものは描けんぞ?」
「和也も、見る」
「ん、んん? いや、見ても良いんだが、ミラクルちゃんって何だ?」
「最近プリムラが見てる子供向けのアニメだよ。休みの日には楓が付き合って見てる」
「アニメ、アニメか。休みの日って事は、土日のどっちかにやってるのか。じゃあ、見てから描く事になるが、良いか?」
「…………………………」
「…………プ、プリムラ? そ、その、何だ。そんな目でこっちを………………」
「……………………………………………………」
「………………くっ……だ、誰かこの学園にミラクルちゃんの絵をお持ちの学生様はいらっしゃいませんかぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
そう、叫びながら和也は教室を飛び出していくのであった。
何をやっているんだアイツはと言う表情が半分、可哀想にと言う哀れむ表情が半分で見られている事に、和也は気付かない。
「…………和也、暑さでやられたのか?」
「稟くん、まだ4月だから暑くないですよ?」
「そ、そう言う事じゃないですよ楓さん…………和也さまは、リムちゃんの事を妹さんの様に可愛がっていますので、頼み事を断る事が出来なかったのだと思いますよ」
「…………アレは、甘やかしすぎと言うんじゃないか?」
「稟、楓ちゃんに甘やかせて貰っている身で、良いご身分だね」
無言の圧力に屈している兄など、威厳も糞も無い気がすると、稟は和也を見て思う。
そして、そんな稟をニヤニヤしながら緑葉はからかうのであった。
「うぐっ…………まあ、プリムラ。昼休みにもう一度会うわけだし、その時に和也にじっくりと話をしてみたらどうだ?」
「……………………ん」
何時和也が帰ってくるのかと、このままではプリムラが教室に居つきそうなので、先ずは二年の教室へ帰す。
とりあえず、今後は和也が授業開始までに帰ってくるかが問題になるのであった。
・・・・・・
「……………………和也」
「おお、プリムラか。描いたぞ、コレで良いんだな?」
「…………………………」
感情の変動が少ないプリムラであるが、今回は変化が多少あった。
それでも未だ無表情に近いが、親指を立てて無言で和也に見せる。
つまりは、良い仕事をしたと伝えているのだ。
「ふう、良かった良かった」
「オイ待て和也。お前何時の前に描いた!?」
「ああ、流石に稟とかには解らんよな。俺は、授業中にペンを魔法で操って描いてたんだよ。まあ、簡単な魔法と言う奴だ」
「……………………よく、ミラクルちゃんの絵とか、見つけられたな?」
「購買のおばさんに、持ってそうな人を聞いたのさ」
「いや、意味が解らんぞ!?」
「ほう、流石七瀬だ。既に購買の利用の仕方を心得ているとは」
大半が頭にハテナマークを浮かべる中、杉並は何をしたのか気付く。
だが、杉並が理解出来ていると言う事は、きっと碌でもない方法なのだと、そして購買とやらも普通の購買じゃ無いんだろうなと呆れるのであった。
「だが七瀬、余りその話題は人前で口にしない方が良い。悪用を防ぐ為にな」
「それを杉並君が言うんですか…………」
悪用をしているのは杉並の方であろうと、音夢は頭が痛そうにツッコミを入れるのであった。
「で、購買だか何だか知らないが。持ってる奴に出会えたんだな?」
「俺が教えてもらった情報ってのは、正確には現状持っていそうな人間をピックアップしてもらっただけだ。それで、初等部まで行って土下座をしてきた」
「……………………可哀想に」
朝倉が呟いたそれは、行き成り変な上級生が土下座をしに来た事に対してか。
若しくは和也の頭の中に対してなのか。
はたまた、両方なのかは解らない。
「プリムラが欲しいとあれだけ目で訴えかけてきたんだぞ。叶えてやらないでどうする」
「その事について、稟が自分の事を棚に上げて甘やかせ過ぎだって苦言を呈してたね?」
「クックック。甘やかせ過ぎ? まあ、そう見えるならそうなんだろうな」
「な、何だよ。別に悪影響になるから止めろって言ってるわけじゃないぞ、俺は和也の変態染みた行動力に呆れてただけだ」
「変態染みた…………緑葉、お前は稟の意見にどう思う?」
「俺様、女の子には常に全力投球だからね。和也のやってる事が解らない事は無いよ。寧ろ、何もしなくても寄って来る稟とかが可笑しいのさ」
「いや、俺は別にプリムラにアプローチしかけてる訳じゃ無いんだがな」
正直緑葉に聞いたのは間違いだったかなと和也は思うのであった。
「俺は、ちゃんとした考えの下……そう、プリムラが魔法を使えるようにするって目的の為に甘やかしているんだよ」
「甘やかす事と何か関係有るのか? いや、確かに、プリムラの魔法が暴走してこっちの世界の都道府県1個が消え去っても問題だけどさ」
「ああん? 何聞いてたんだ稟。俺が言ったのは魔法が使える様に、だぞ? 今のプリムラじゃ、都道府県どころか、ゴミ屑一つすら燃やせんよ」
「そう、なのか?」
和也の言った事は、稟にとっては衝撃的な話であった。
元々、神王や魔王からは、暴走すればその程度吹き飛ばすであろう凄まじい魔力の持ち主だと聞いて居たからだ。
「どうせ、あのオッサン共から『暴走したら』とか言われてたんだろ。暴走なんて起きるか、魔法を使う技術ばかり教え込まれて、魔力の引き出し方を知らないプリムラに魔法行使は出来ないさ」
「だけど和也くん、私達って別に、使い方を習えば普通に使える様になってたよ?」
「そらそうだろ、神王様とか魔王様とか見てると、過保護に育てられたって解るしな」
「えっと、何か関係あるの?」
「有ると言えばあるし、別に無いと言えば無いな。魔法なんて火薬を爆発させる様な物なんだが、プリムラには火が足りてない。そんな感じだ…………足りてない火が何なのかは説明するつもりは無いぞ。説明した所でどうにかなる物でもないし」
だから甘やかしているらしい。
正直な話、魔法を使う事につながるのかは、殆どの者が理解出来ていないのであった。
「因みに七瀬君。クライス君が魔法を使えてない理由って、同じ理由だったりするの?」
「………………亜沙先輩? 其処で何でオレの話に?」
「あ、いやほら、何時も魔法使えないって言ってるし、ボクとしてはちょっと気に成ったんだけど」
「ダイルの場合は…………なんで使えないんでしょうね。やっぱり火が足りないんでしょうね多分、火薬が湿気って、その上で火力不足で火が足りない最悪な状況だと思うんですけど」
「和也の説明は相変わらず解り辛いな。もっとストレートに言ってくれよ」
「今回の場合はストレートに言っても無駄だったろ」
もっと自分の問題なのだから、確りと悩んで欲しいものだと、和也は頭を抱える。
「…………ダイルも、命の危険が迫れば魔法を使うかもな。そう、荒療治と言うが」
「断固拒否するぞ。それなりに平和な日常を生きて居たいのに、死にかけるなんざ誰が望むかっての」
「まあ良い。いざとなったら師匠に………………」
「やめろ!?」
和也ならば本気で提案しかねないと思ったのか、ダイルはかなり慌てるのであった。
「…………まあ、ダイルは置いといて、初等部の子にも、お礼をして来ないとな」
「――――――その事について話がある。七瀬、放課後にちょっと来てもらおうか?」
「べ、紅女史……!?」
いつの間にか、撫子が後に立っていた。
引きつった笑顔なのはきっと、和也の行った事に対して物申したい事があるからだろう。
だから、和也は下手に言い訳をせず、従うしかないのであった。
・・・・・・
「説明会ですか?」
「ああ、今週末にやる。初等部、特に6年生は何処を目指すか考えても良い時期だ。勿論、普通ならば考えれない程早い事かも知れんが――――――――」
「風見学園に属する中等部だけでも、進学先としては多々ある。そう言う事ですね」
「ああ」
職員室に呼び出されてみれば、その初等部に対しての学校説明会についての話をされるのであった。
勿論、目立った奇行については確りと怒られた後での話である。
「本校隣の女学院に進む事だってある。お前等の直接の後輩に成る事だってある。勿論、外部へと進学していくと言う道もある。だからこそ、説明会だ」
「それで、俺は一体何を行えば良いんです?」
「魔法を見せるだけでいい。滅多に居ないが、魔法を使えるようになる学生も出てくる。そう言う者には魔法科へと進んで貰いたいしな」
「成程。しかし、それなら別に魔法科の生徒がやれば良いんじゃないですか? ほら、魔法科の神坂さんとか」
「説明会と言っても、実際には見学して回るのがメインだからな。彼女にはそちらの担当をして貰う……と言うか、魔法科生徒はそちらがメインだ」
「あー…………確かに。ダイルから聞きましたし、あの校舎は、かなり複雑らしいですね。確かにそれならば知っている人物が行った方が楽ですよね」
二度と入りたくないとダイルは怯えていたのを思い出す。
七瀬家の倉庫に入った時と同じ反応であったので、余程の迷宮だったのだろうと思う和也なのであった。
「所で、誰か他に説明会に出る人はいるんですか?」
「とりあえず、2組の赤星と芳乃だ。白河先生は、都合が整えばもう1人来るとは言っていたな」
「
「何だ、知らなかったのか。あいつはアメリカで大学を飛び級してきてるんだよ。確か、植物学の博士号をとってる筈だ」
「…………凄い人物も居たものだ。もう少し朝倉も見習えば良いのに」
「あいつも、やる時はやる男なんだがな。最近、と言うか、付属の3年に上がる頃から随分大人しくなったよ。前は杉並と一緒に馬鹿騒ぎをしてて、大変だった」
だから同士朝倉とか呼ばれているのかと和也は納得する。
そして、杉並に同士と呼ばれる程度には出来る奴だったのかと、クラスメイトを認識しなおすのであった。
「まあ、話は解りましたが、何を行うかとかは、本人達と話し合えば良いんですか?」
「いや、取りあえず、七瀬も参加することになったと、児童会長に報告だな。向こうへと連絡を入れる」
「向こうを呼び出すんですか? こちらから向かえば…………」
「…………悪いとは思うが、向こうは非常に多忙でな。児童会の会長室に居るかどうか解らんのだ」
「は、はぁ…………?」
どんな小学生だよと思いながらも、和也は児童会長を待つのであった。
それから、5分くらいで到着である。
「――――――失礼します」
「ああ、来たか。七瀬、この娘が初等部のまとめ役だ」
「…………成程。優秀そうだとは思ったが、君だったのか」
「あ…………土下座先輩」
「何だ七瀬、知り合い……か?」
「ええ。プリムラの為に、ミラクルちゃんを探し回った時に出会ったんですよ」
同じ学び舎に居るのであれば、礼をする機会にも巡り合えるであろうと考えていた和也であったが、その機会はとても早く訪れたのであった。
「あの時は有難う。大事そうに持ってたソレを貸してくれて」
「いえ、余りにも必死そうでしたので」
「七瀬、お前少しばかり恥とか外聞とかを気にした方が良いぞ…………それで春菜。この印象としては完全に変な奴であっただろうこの男が七瀬和也、魔法界からの転入生だ」
「春菜来華です。初等部の方で児童会長をしています」
自己紹介(和也は撫子にされたが)をして、握手。
そして座って説明会の事を話し始めるのであった。
「しかし、今週末なら、もっと早くに言って頂ければそれなりに準備も出来ましたが」
「仕方ないだろう。予定とは往々にして狂うものだ。大体、今年はお前らの転入でただでさえ慌しい始まりだったからな」
「まあ、その辺りの文句は両殿下に……………………ですがまあ、それなりの準備ですけど。魔法使いなんて、見るだけなら何処の魔法使いが行っても同じなわけですし、いっそ錬金術でもやって良いですか?」
「おお、良いかも知れんな。魔法界式錬金術か」
「魔法界式、ですか?」
「そ、魔法界式。来華ちゃんとか、こっちの人には、実際に見て貰えば違いが解るよ」
そう言って、撫子の机の上にあるティーカップを手に取る。
水を注ぎ、青色の薬品、そして何かつるつるとした石を入れ、カップを暖めながらスプーンでかき混ぜるのであった。
「…………ほら、出来た」
「え゛!?」
ティーカップから取り出されたのは、宝石のような鉱石であった。
明らかに入れる前と変化した物が出来たので、冷静に見ていた来華もかなり驚いている。
「紅女史、如何です。この錬金術が出来るということは、潜在魔力があると言う事にも繋がります。説明会に見せる余興には、十分でしょう?」
「…………七瀬。別にソレで良いと思うが、私のコップは使えるのか?」
「……………………洗えば、きっと」
「全力で綺麗にしろ、これは命令だ」
「いっ、Yes, Ma'am !!」
ソレはソレは良い笑顔で睨まれたので、和也はコップを洗いに行くのであった。
尚、来華はこの出てきた鉱石をかなり興味深そうに見ており、後輩たちに対する掴みとしては十分そうであると和也は思うのであった。
用語集
購買
何れ解るさ、何れな……
春菜来華
漫画家『むんこ』先生の作品
『らいか・デイズ』の主人公でメインヒロイン。
小学6年生で児童会長で学級委員を兼任する女の子。
天才っ娘。テストで満点と言うレベルじゃなくて、大学受験生とかに勉強教えれるレベルでの天才っ娘。
その反面、最近の流行や恋愛には疎いと言う弱点持ち。
そんな彼女と、友人達が織り成す日常系の漫画。
どれだけ頭が良くても、どれだけ知識があっても、彼女はまだまだ子供。
周りに支えられながら成長していく物語でもあるのです。
詳しくは買って読むヨロシ。
錬金術その2
蒸留水(飲料水って蒸留水だよね)+何かの薬品(中和剤(青))+つるつるした石(雨雲の石)
ぐーるぐーるすれば精霊の光球になるよ! これで君も立派な(ry
…………何度も同じようなネタを繰り返すのは拙い気もするなぁ。