だったのだが、手直ししたら多分もう年明け投稿なんだよなぁ…………
「――――――頼むから、俺に、日常をくれよ」
何事もない休みであれば良いと、先日願ったばかりでは無いかと、和也は
両殿下から呼び出されて学園に来てみれば、魔法科の校舎が全壊していた。
どういう事だよと、この学園は色々と壊れる事が多すぎるだろうと、和也の心も折れかけているのであった。
「それで、ネリネ…………なんですか?」
「ハハハ、和也ちゃん。一昨日怒られたばかりのネリネちゃんが、そんな事をすると思うのかい?」
「じゃあ、シア……?」
「そりゃねえぜ和也殿! ウチのシアは、ネリッ子と違って人様の物を破壊するようになんか育ててねえぜ!」
「おおっと神ちゃん、ネリネちゃんがまるで好き勝手に破壊する様に育てられたって和也ちゃんに思われるじゃあないか。ウチのネリネちゃんは稟ちゃんの事が大好きで、稟ちゃんが傷つく姿が見たくないからちょっと愛が暴走しただけさ…………決して椅子で殴ってきたりはしないよ」
「待てよまー坊、言葉にちと棘があるんじゃねえのか? ウチのシアだってなぁ!」
「あんた等、いい加減にしろや…………」
それぞれが魔力を手に集中し始めたので、
ツッコミを入れるだけなのに気力だけではなく魔力まで消費しなければならないのであった。
「それで、この惨状は何なんです、俺に犯人捜しでも行えと?」
「昨日、この校舎が壊れるほどの魔力の衝突があったって話だよ。和也ちゃんは気づかなかったのかい?」
「昨日お話した通りですよ。あの後突っ込んできた車の人物を探せないかと少しばかり色々やって居ましたから、夜は疲れて眠ってたんです」
「見た感じ、魔力も既に拡散してるな。少しでも残って居れば和也殿が探せたかも知れねえが、まあ今回は先生様が言うには犯人は捜さなくて良いそうだ」
「探さなくて良い……?」
「魔法科の校舎が全壊したのにも、ちゃんとした理由があるって話だ。学園側としては理由は確りと把握してるから、一番の問題である校舎の復元に力を貸して欲しいだとさ」
「それはまた。両陛下も良いように使われますねぇ」
詳しい話は2人とも聞いては無さそうであった。
仮にも別世界の王たちだと言うのに、どうしてただの学園経営者に従っているのか気になる和也であった。
「で、俺を読んだ理由は?」
「ネリッ子が壊した体育館の復元とは訳が違う。魔法科ってえのは、色々と魔力アイテムを保管しておく必要がある」
「知ってますよそれくらい。何か、ダイルの奴が魔法科に怯えていましたから…………所で、その色々な魔力アイテムって、吹っ飛んで居ませんか?」
「形あるものは、何時か壊れるんだよ、和也ちゃん?」
「いや…………いえ、はい」
取りあえず、魔法科の校舎全部が吹っ飛んだついでに、その他貴重な物は全て新しくするつもりであると言う学園側の意思が見てとれた。
金あるなーと呟きながら、瓦礫の山となった校舎を見るのであった。
「それで……だ。和也殿はマジックアイテムの魔力が干渉しない様に部屋の配置を考える事、そして魔法科校舎を守るための結界を張る作業をやってくれ」
「…………そんなこと言って、自分が楽をしたいだけでしょう?」
「ふ…………そうでもあるが!」
「――――――――光に成れェ!?」
一年くらいと言う短い付き合いの中で、中々ノリが良いオッサンだとは思って居た。
だから、これくらいやっても問題ないだろうと、神で、王を大空へとかち上げたあと、落ちて来るまでにそう考えるのであった。
・・・・・・
「ううむ……此処がこうなると、魔力の流れが拡散するから………………」
結局、部屋の配置を考え、そして結界を張る為に校舎の周囲を歩き回ることに成った。
これまでは、この風見学園のどんな建物であろうと一日で直してきた神界・魔界の工作部隊であるが、今回ばかりは勝手が違うらしく、見た目は直せても、中身は空っぽと言う状況になってしまうらしい。
「結界、結界を設置する場所…………いっそ結界の起点をその辺の――――――おっと」
「んむっ」
考え事をしながら歩いていたためか、後輩らしき人物にぶつかってしまう。
ぶつかる序に、ラッキースケベは無かったので、フラグは立たないなと、疲れもあるのかそんな事を考えてしまうのであった。
「スマンな。考え事をしていた」
「いや、此方もだ」
「それより、ここ等一帯は、現状立ち入りに制限がかかっているぞ、何せ校舎修復中だからな」
「………………近道だ、家にはこちらを突っ切る方が早いのでな」
「ふむ。その顔は知ってるが入ってきたって感じか…………まあ良い、見られて困る様な作業は無い。見つからないようにな」
「言ってみるものだな。七瀬和也、矢張り七瀬は甘いのだな」
「――――――まて後輩、何故俺の事を知って居る」
「後輩などと言う名前では無い、私は式守伊吹だ。それで、何故知って居るかだが、色々と有名だ、七瀬はな」
不敵な笑みを浮かべながら、伊吹は和也が歩いてきた方向へと向かって歩いて行くのであった。
「有名、ねえ?」
随分尊大そうな後輩だと、そしてなぜ名前を知られているのかと色々な事が頭を過るのだが、今は任された仕事を行うべきだと、考えを切り替えて歩き始める。
「まあ、先に結界で良いか。その辺の桜の木に同化するように埋め込めば、桜を切り倒したりしない限りは結界が消える事も無いだろうし――――――ん?」
「あれー? 和也じゃない」
「準…………お前もか」
「お前もか、って。あたしなにかやったの?」
本日2人目となる不法侵入者である。
正規の入り口辺りは確りと警備員が立っている筈だが、どうしても土地が広いので、それ以外には監視の目が行き届いて居ないのであろう。
だから先ほど伊吹に行ったように説明し、そしてまた同じように何の用事で此処に居るのかを聞くのであった。
「みんなとお花見をしてたんだけど……あたしはちょっとお手洗いに出てたのよ」
「皆…………」
「でも、先刻ちゃんと許可はとったわよ?」
「………………誰に?」
「え、ほら。一緒にあそこでお花見やってるじゃない?」
準が指差した先には、花見と言うより宴会が行われており、またその雰囲気を作り出している人物は魔王フォーベシィであった。
「ハハハ。羨ましいね、小日向君と言ったかい? こんなにも麗しい少女たちに囲まれて、男して本望だろう?」
「は、はぁ」
「おっとっと、こう言う話を、宴の席で行うのは無粋と言うのかな? まあ、飲んで飲んで」
「い、いえ! これはどう考えても学生が飲んで良いような物では無いでしょう!」
酒では無い……らしいのだが、甘口でフルーティとか、辛口とか、正直ジュースにつける表現ではない。
尚、
「そ、それにしても、あの。ま、魔王様は、遊んでても宜しいのですか?」
「ハハハ、確か春姫ちゃんだったね? 大丈夫、ちょっと協力してくれる人に、全部任せてあるから」
「その、協力してる人は……七瀬君ですよね? 凄く、怒っていますけど」
「――――――――――――え?」
魔界の最高権力者が目の前に居ると言う事で緊張しているのもあるのだろうが、それ以上に迫ってきている和也に怯えているのであった。
そして、フォーベシィが振り向いた時、怒り狂う和也の様なモノが居るのであった。
「これはこれは、陛下。ご機嫌麗しゅう」
「や、やぁ、和也ちゃん! ちょっと休憩させて貰っているよ!」
「まだ、そうですね。別れてから30分と経っておりませんが、何か言う事はありますか?」
「…………………………」
目が言っていた、何を言おうが聞くつもりは無いと。
ならば、黙って居ようとフォーベシィは覚悟を決める。
気がついた時には、首だけが地上に出ている状態であったと、後に魔王は語る。
「ふう。神王様は天に吹っ飛ばしたから、魔王様は地に埋めてみたわ」
「良いのか、コレ……?」
「おう」
この程度ならば問題ないだろうと、和也は桜の横に沈んだフォーベシィを見ながら言う。
そして、結界に関する仕事もやらないといけないと思いだし、その辺に落ちている桜の花弁を適当に拾うのであった。
「そんなもの集めてどうするんだ、まさか魔王様に被せるのか?」
「誰がそんな酔っ払いみたいなことをするか! この桜の花弁に結界の起点となる術を組み込むんだよ…………で、これを桜の木の根元あたりに埋め込めば、養分として吸収されると同時に桜の木本体が結界の起点に成ると言う訳だ」
かくかくしかじかと結界を張る理由も説明しながら、結界の張り方を説明していく。
普通科の生徒には全然理解できないような内容であったが、3人程居た魔法科の生徒は、興味深い顔をしながら聞いている。
「それで、同じような事を全部の木にやるのか……? 随分と結界を張るのは面倒なんだな」
「違うわよ雄真、まあ本来だったらそう言った作業が必要なんだけどね。七瀬の家に伝わってる魔法の一つなんだけど、縁結びの力の応用を使って結界を作って行くのよ」
「……………………良くご存じで?」
「え? 魔法科では有名よ?」
「有名、有名、ね……俺の事が何で有名なのか、答えてもらえると有難いな。先刻後輩に俺は有名だと言われて何でかと疑問だったんだよ」
しかもその上、面識がない魔法科の同学年――――柊杏璃に至っては七瀬家に伝わる秘術と呼ばれる魔法まで知って居るのか、どういう事だと混乱するほか無い。
「七瀬君だけじゃ無いですよ? ウィローナイト君も、クライス君も、ソレイユ先生の魔法学の授業で良く見かけますから」
「授業で?」
「はい。魔法の理論を座学で学んだ後に、実際に使っているシーンを映像として見せて頂いています」
「俺の……俺達の?」
「魔法使いとして活動しているシーンをです」
「…………………………………………あ、の、ロリ……ババァ!」
弟子たちに何も断りなく戦闘スタイル等を教えているのかと頭を抱える。
そして、七瀬家の秘術まで簡単に伝えているとの事であれば、きっとルシアンやダイルが持つ特異性も伝わっているのであろうと認識するのであった。
「釈然としないが、師匠の事だ、何か考えは有るんだろう…………それに、縁結びの魔法何ぞ知られた所でその程度かと笑われるだけだろうしな!」
「そんな事無いです! とっても素敵な能力です!」
「そうよ、素敵な出会いとかを作ってくれるんでしょ?」
目を輝かせながら言うのは準と、雄真の妹である小日向すももである。
純粋に羨ましそうに聞いてくるので、準は兎も角、すももにはどうやって傷つけない様に説明しようかと和也は戸惑うのであった。
「あー……非常に申し訳ない話だが、無理やり両想いにさせるのは洗脳、若しくは呪いと言ってだな?」
「そうなんですか………………」
「まあ、だから本来の縁結びとしては使う機会が少ないのさ」
「………………さっき、杏璃が言ってたけど、何をどう応用すれば縁結びの力で結界が作れるんだ?」
「可視化必要だな…………ええと、之が結界の起点になるのは解るよな?」
現在は地面に埋まっている結界の起点が光る。
その光から一本、魔力の糸が伸びて和也の手に収まる。
「これをこうやって結んで…………ってのを繰り返すわけだ」
「何で魔王様に結びつけた、何で魔王様に結びつけた!?」
「気にするな、解りやすいだろ」
首だけ出ているフォーベシィの頭に蝶結びで魔力の糸を結びつけると、何ともシュールな光景になるのであった。
「さて、魔王様が起きた時が楽しみだ」
「俺は神をも恐れぬ行為に恐怖してるよ」
「まあ、魔王様は置いといて、こうやって結んで行けば、大きな結界が作れると言う訳だ」
結界の起点も作ったので、そろそろ本格的に結界を繋いでいこうかと和也は立ち上がる。
「――――――ああ、やれやれ、今日中に終わるかなコレ、明日は朝倉達に遊びに誘われてるんだがなぁ」
「商店街の祭か、あいつらも好きだよな」
「クックック、何せ病弱設定な音夢が目の色変えて参加するって言ってたからな」
本人が言うには、毎年お祭りごとの為だけに体力を残しているとの事であった。
「大変だぞ、体力要るからなアレ」
「体力…………?」
「まあ、参加してみれば解るさ」
体力が必要になってくる祭とは一体何なのかと思いながらも、和也はまずは結界張りの仕事を終わらせようとするのであった。
用語集
縁結びの魔法(?)
魔法とは
例えば、縁と言う言葉一つとっても、エンと読むか、フチと読むかでも意味は少々変わってくるわけで。
今回の場合はフチと捉えれば、結界の外縁を作るモノとしての役割を果たしたと言う事でどうかひとつ。
式守伊吹
雄真のゲームのヒロイン・兼ラスボス
尊大な言葉で喋るけど、決してのじゃロリ系統では無い。
柊杏璃
雄真のゲームのヒロイン。そして春姫のライバル……?
才能はあるのだろうが、きっと焦りとかで本領発揮できない人物。
ただし、ゲーム初めの頃は少し実力不足も目立った感じである。
小日向すもも
雄真のゲームのヒロイン。義妹。
兄を魅了するコロッケの作り手。
Lyceeでは2コスト以下を奪っていく魔性のコロッケの作り手。