さあ、約一年ぶりの投稿はオリ設定の嵐、
そして、サブタイトルを本気で着けるならば、世界で一番駄目なデート!
プロットとだいぶ違う。
プロットは投げ捨てる物!
もういい、休め、私!
「遊園地ですよ、遊園地!」
「ああ、そうだな。犬の散歩ってこんな気分なんだろうなぁ」
見えないはずの犬耳、そして尻尾が見える。
以前、真紀子がそんな話をしていたと思い出す。
幾ら杉並からわんこ嬢と呼ばれ、その他の人間からも犬っぽいと言われて居ようと、本当に犬耳と尻尾は無いだろうと目を擦るのであった。
「――――? 何か言いましたか?」
「いや。楽しそうで何よりだ」
「はい!」
はしゃぎ過ぎて聞いていないならと、余計に見失わない様にと思う。
「んで、ジモティーさん。この桜パークとは、どんな娯楽施設なんですかね?」
「ジモティー……随分と前の言葉知ってますね、まあ良いですけど。ごく普通の遊園地ですよ。温水プールが付いているので、夏も冬も人気ですけどね」
「随分と………………温水プールがあるのか。こんな四方八方海に囲まれたこの島で、温水プールがあるのか。北に工業地帯が有るとは言っても、汚れていない不思議な海なのに」
「まあ、夏は流石に海にお客さんを取られてしまうみたいですけどね。それでも、遊園地ついでに遊んで行こうとする人は多いみたいですよ」
「溺れるだろそれ…………」
遊園地とプール、どちらの順番が先であっても、体力は凄まじく消費する組み合わせだ。
帰るまで行動できたとしても、夜は動く体力は残って居なさそうだと感じるのであった。
「プールも良いが、今日は水着持ってきてないしな。普通に遊園地か、エスコートは任せていいのか?」
「普通、逆だと思うんですけどねぇ」
「んな事言ってもな、俺主動だと――――――」
そう言われたので、先ずはと言う事でジェットコースターへと美春を連れて行く事にする和也であった。
・・・・・・
「何、固定された状態で引き摺られるのも中々に良い体験だった」
「…………みたいですね。とっても良い笑顔で写真に写っていますよ」
普段から杖や箒で空を飛ぶことが多い和也であったが、逆にジェットコースターの様な乗り物は初めてあり、楽しんでいたようである。
反対に、美春は半泣きの状態で写真に写っている。
それでも思い出と言う事で購入する2人なのであった。
「次は――――お化け屋敷でも行くか?」
「え、お、お化け屋敷ですか?」
「ん、定番だろ?」
「え、えっと。今度は美春のエスコートと言う事でー…………さ、先にご飯にしませんか?」
「まだ昼にもなってないのにか?」
歯切れが悪い返事から、お化け屋敷を嫌がっている事を和也は気づく。
しかし、不可解な事であるのだが、平時から美春と話をしていてお化け等が苦手で有ると言った様には見受けられなかった。
「美春は、お化け系統は嫌いだったか?」
「いえ、お化けが嫌いと言うよりも…………」
「【和風】な所か?」
「………………はい」
まだ夏には程遠いが、お化け屋敷の看板には【納涼!和風ホラーハウス】と書かれていた。
話を詳しく聞いてみると、どうやら此方を見ている日本人形が怖い様子である。
「何で日本人形限定なんだ、西洋人形でも変わらないと思うが……」
「に、日本人形は身近にあるものだから怖いんですよ!」
「ハハハ、怖いって言っても所詮作り物よ作り物。一緒だと怖くないから」
「えっ、ちょっ、待って下さい~!」
作り物だと一笑して和也は美春をお化け屋敷へと引っ張っていく。
中に入ってみると、割と本格的なつくりではあった為、美春は本気で怖がってしまうのであった。
「ほら美春、目を凝らして良く見てみろ、多少は暗いが、その辺に演出用の機械とか、雑に塗ってある塗装とか、解りやすいだろ?」
「よ、よく怖くありませんね…………?」
「こういうのは、見飽きているからな。今更こんなモノでは驚かんよ」
そう言って隠れているスタッフに手を振ると、気まずそうな顔をされる。
空気を呼んでスルーしてやるべきだったとそこは和也も後悔した。
と、そんな事を考えていた為か、前方から驚かしてくる別のスタッフへの反応が遅れるのであった。
「おーばーけーでーすーよー!」
「おおぅ」
「あわわわ!? お兄ちゃん何でそんな呑気に返事をしているんですか、クマ、クマですよピンクのクマがお化けですよ!!?」
「落ち着け美春、ピンク色のクマに和風要素は一切ないぞ?」
緊張の糸が一気に切れてしまった様で、美春はその場にへたり込んでしまう。
和也としても、一応は驚いたのだが、隣での混乱ぶりでは直ぐに冷静にもなる。
「ピンクのクマなんて、何処にでも居るだろう。朝倉だってピンクのクマについてよく言ってるし――――――」
「あや、その声は七瀬さんですか?」
「ああ、やっぱりピンクのクマは紫か?」
「ピンクなのか紫なのかどっちかにしてくださいよ……って、紫先輩なんですか!?」
「はい!」
共通の知り合いであった。
目の前にいる天冠をつけたピンク色のクマ――――の着ぐるみは、3-1の紫和泉子であるらしい。
「何時もとは違う恰好なんだな」
「そりゃあ、アルバイトですし。普段とは違う恰好にもなりますよ」
「と、言いますか、紫先輩は意外と力持ちなんですね。その着ぐるみ、重そうですけど」
「あや…………慣れてますから」
「まあ、GWもアルバイトなんて、お疲れ様としか言えないな」
「ううう、デートを見せつけられるなんて、苦学生は辛いですー」
語尾に思い切り(棒)とでも付きそうな演技で言われる。
茶化されているのか解らないが、取りあえずデートだったと2人は思い出すのであった。
「ま、デートには違いないがね。見ての通り、恋人がする様な甘そうな奴では無いのは解るだろう?」
「あ、はい。ゲームの選択肢で言えば外ればかり選んでる感じですね、雰囲気的に」
「……………………何か、他人に言われると癪だな。今度目玉焼き弁当を渡してやろう、朝倉から聞いたぞ、意外な物が嫌いだってな」
「あやややや! そろそろ私は退散しますー!」
余程目玉焼きが嫌いであったのか、物凄く嫌そうな声と共に退散していく和泉子なのであった。
「………………ふん。さて美春、立てるか?」
「え、あ……はい。もう大丈夫です」
会話の流れで、怖さは吹き飛んでしまったのだろう。
和也の手を取り立ち上がるのであった。
これ以降は、余裕も出てきた様で、多少は怖がりながらも出口まで歩いて行けた様であった。
・・・・・・
「――――――本当、バナナは胃袋の何処に入っているんだろうか」
「?」
昼食も終わり、互いに食後のデザートタイムに入っている。
何か食べたいものは無いかと美春に尋ねてみた所、案の定バナナと答えが返ってきたので、バナナを使ったデザートを保存してある空間から取り出して渡している。
現在4品目、一般女子ならこの辺りで満腹も良い所だろうと言う量である。
「いや、気にするな。所で、まだ食えるか?」
「あ、はい」
「んー…………次は、バナナエクレアでもどうだ」
「何でも作りますねー。と、言いますか、その手を入れている【穴】は、一体どこに繋がっているんですか?」
「エクレアは俺の家の冷蔵庫だな。さっき食べたアイスクリームの時は冷凍庫だったし、熱々のバナナパイは、時間の流れが止まってる空間に放り込んで、其処から取り出した。まあ、同じ場所では無いな」
そう言われて穴を広げて美春へと見せる。
本当に冷蔵庫の中に繋がっているらしく、野菜や肉やら、近くの商店街で良く売っているようなモノが見え、そしてひんやりとした空気が伝わってくるのであった。
「…………………………あれ? これって【ゲート】と同じ力ですか?」
「ゲート……ああ、海の遺跡から発掘されたって奴か? アレはもっと別次元のシステムだな。流石にそう簡単に世界と世界を繋げる力は使えんよ」
今一解らないといった顔である。
こればかりは和也も、ゲートがどう言った原理で動いているかなどは知らないので、説明は難しそうにしている。
「あのゲートは、何処の誰が作ったか知らないが、世界と世界を繋げる事が出来る代物だ。当然だが、ゲートを繋げる事が出来るのは、ゲートがある場所に限るけどな。ただまあ、あのゲートは次元だけではなく、時間も関係なしに繋げる事が出来ると言う、優れものと言う訳だ。俺の距離を無視してるだけだ」
「距離を無視するだけでも十分に凄いと思いますが…………と、言いますか、ゲートの事、結構詳しいんですね」
「はっ…………はた迷惑なオッサン二人が、よく語ってくれたからな」
国家機密レベルの事を、よくペラペラと話されたものだと、和也は遠い目をする。
「ゲートが繋がった事で、お知り合いになったそうですけど、何でゲートが繋がったのですか?」
「それは解らん。ま、一種の事故でもあったんだろうな。1年前、だったよな、人間界と神界、魔界のゲートが繋がったのって」
「そうですね。1回ゲートが不完全で閉じられまして、昨年完全に繋がったというお話でしたよ」
「だったら、ネリネとかシアは、何でその時にこっちに来なかったのかって言う話だ」
「それも…………そうですよね?」
何せ、稟大好きと言って憚らない2人が1年間も人間界へ来なかったのだ。
言われてみれば、何かそれなりの理由がありそうだと、知り合いなら考えてしまう。
「まあ、知っての通り、昨年はずっと両王家が開国に向けての交渉を行っていてね。その関係でゲートが繋がったウチを窓口として、現女王に対して長い交渉を行っていた訳だ。勿論、大人は大人同士での交渉だったがね…………じゃあ、子供は子供同士と言う事で、ウチにネリネやシアを居候させての関係づくりをやってたのさ」
「それって…………」
「政治の道具なのは、本人達も理解しているさ。ただまあ、二人とも柔らかい性格だからな。稟への惚気はあれど、ギスギスした関係にならなくて良かったさ」
逆に一年間我慢した分、より稟への想いが爆発している現状がある。
何事も無く終わってからこの流れなのであれば、寧ろ良い方向に働いたのではないだろうか。
「ずっと不思議でしたけど。何で魔法界の皆さんは、外の世界との交流を絶ち続けたのですか?」
「……交流を絶ち続けたんじゃない。結果として、交流が出来なくなっていただけだ」
「?」
「初代女王であるミント様の言葉だ。結界の外は、魔物で溢れているから、その結界を絶やさぬようにとな」
「その言葉を、ずっと守り続けていたのですか?」
「ああ」
結界の外は誰もどうなっているか解らない。
唯一外に出たソレイユが語るのみで、恐ろしい魔物が多く存在していたと、初代女王の言葉が未だに有効である事を示す結果となっている。
「まあ、
「そう言えば、無断で別の世界に行っていたとか、ルシアンさんとか、ダイルさんもお話されていましたね……知っていたから、お兄ちゃんもこっちの世界との交流には賛成をしたんですか?」
「いや、俺は反対の立場だったよ」
「…………そうなんですか?」
「碌な事にならないって思ってたからな」
「美春は、お兄ちゃんとまた会えて、嬉しかったですけどね」
「まあ、それは俺もだが………………所で美春、何でお兄ちゃんなんだ?」
丁度昔の事を思い出していたついでに、何でお兄ちゃんと呼ばれているかを聞いてみる。
疑問に思って居たのは事実だが、あまり深く話したくない話題でもあったからだ。
「………………覚えて、居ないんですか?」
「あ、ああ」
もしかすると、話を変えようとして地雷を踏んだかも知れない。
何せ、美春がジト目で此方を見て来るのだ。
少し考えれば解るが、家族の間柄に使う呼称で呼ばれているのには、それなりの理由がある筈で、それを忘れたと和也は言った。
自業自得である。
「因みに、子供の頃の事、何処まで覚えています?」
「子供の頃、と言うか10年前の話だろ? 思い出したくない事てんこ盛りなんだが」
「………………せめて、初音島に来た辺りは、思い出してくださいよ」
「此処に来たのは、そうだな。前にも話した事があると思うが、母さんが家族全員を連れて、こっちに旅行(?)に来た」
当時の事を思い出してみる。
先ず思い出せたのは、兄妹3人は、大して変わらない身長であった事。
外の世界で不安だと言うのに、泣きもせずにただそこに立っているだけの妹たち。
「美春や、朝倉先輩に出会ったのは?」
「【枯れない桜】で、お前らが遊んでいる所に……合流、だよな? 何か、泣いていた覚えがあるんだ……が…………」
幻想的とも言える光景の中で、不釣り合いな泣き声。
当時の自分は、感動とも言える光景を邪魔されて不機嫌だったと思い出す。
そして段々と自分が何を言っていたかも、思い出されてくる。
「あの時は……朝倉先輩を取り合って、音夢先輩と喧嘩してましたね」
「あー…………そうだな、思い出してきたぞ。おままごとだったな、どちらが朝倉のお嫁さんに相応しいとか言う理由で、2人とも涙目になりながら喧嘩してたな」
今思えば、そんな当時から朝倉はモテモテだったのだなと、苦笑し、そして子供の頃だから言えた訳のわからない事を自分も言っていたと完全に思い出し冷や汗が流れ始める。
「そうですよ、最終的にはどちらが良いかと言い争いになって」
「あ、あの当時からマセてた朝倉が、『お前らは妹だから結婚できない』と言ったんだな。ああ、思い出したぞ、思い出したからその先は――――――」
「それで、和也お兄ちゃんが『どちらかが俺の妹になれば、ソイツとは結婚出来るだろう』って、出てきて言ったんですよね?」
「うわあああ!? 止めてくれ、止めてくれぇぇぇえ!!?」
顔を真っ赤にしながら、テーブルに額を打ち付ける。
朝倉をマセたガキだと言っていたが、対して変わらないだろうとか、コレが黒歴史なんだなとか、頭の中をグルグル廻るのであった。
「まさか、言った本人が忘れるなんて、酷いですよ」
「だから言っただろ、思い出したくない事てんこ盛りだって…………それで、思い出した。悪かった」
「もう。何で妹にするなんて言ったんです?」
「………………何でだろうな。もっと、他にも言葉があっただろうに。まあ、その時既に無くしていたモノの代わりとなる存在が欲しかったんだと思う、今ならな」
「むー……何かの、代わりだったんですか?」
「掛け替えの無いモノの代わりにしようとした、ってだけだ。直ぐに考え直して美春は美春扱いになってたから大丈夫だ」
当時を思い返せば妹たちは大変だったと遠い目をした事もある。
しかし、思い出してみれば自分も考えが結構偏っていたと気付き、矢張り子供は子供で、何も出来なかったのだと苦笑するしかない和也であった。
「………………それは事実そうだから良い事にしましょう。美春も、何か特別扱いされた思い出はありませんし」
「本当、よく覚えている事で」
「それこそ、忘れる事なんかできませんよ。大体、何で『妹』だったのですか?」
「俺が
「そうですね。お兄さんは、朝倉先輩だけで十分と言い切るその姿が、とっても羨ましくて。それでその時から、朝倉先輩たちの関係って良いなって、思う様になったんですよ」
「何だ、結局美春もその憧れた関係になりたくて、丁度良い奴が来たから俺を『お兄ちゃん』とした、って事で良いのか?」
「はい!」
結局、その兄妹の関係は、長い時を超えて今も継続しているというのだから、不思議な話だと和也は考える。
「…………いや、また始まったのか。俺が思い出した事で、本当に」
「はい? 何か言いましたか?」
「いや、何も? それより、もう食後のデザートは十分か?」
「あー…………お話していたら喉が渇いてきました!」
「此処で、安易にバナナジュースは取り出さない。バナナ味のキャンディでどうだ」
「べ、別に構いませんけど、随分と懐かしいですね」
「フルーツキャンディは、母さんから教わってね。前と、味は変わらないか?」
「はい――――変わらず、美味しいです」
美春の笑顔に、和也は安心した。
一度は終わってしまった物語が、10年の時を経て、再び繋がり紡がれ始めた事に。
――――ただ、其処に至るまでに、色々と失いたい記憶が思い出され、暫くはこのネタで美春から弄られるのだろうと考えると、それ以上に心穏やかでない和也であった。
~FIN~
エンディングナンバー2.俺達の友情は此処からだ!
まあ、此処でFINって書いておけば、新しく始まっていく物語だと言う事で終わりにする事も出来ますよねー?
一応言っておきましょう
モウチョット ダケ ツヅクンヂャ!
用語集リターンズ
ハイエナジー
犬耳と尻尾が生える現象の事。
実際の元ネタとしては、本文にも書いてある通り、トリコロの多汰美さんが発現するハイエナモード?
犬耳と尻尾が生え、かつ凄まじい体力を得る事が出来る能力である!
(トリコロは日常系ギャグ漫画です)
ジモティー
最早死語! 私なんか、初めて見たのひだまりスケッチの漫画の中が初めてで、しかも住んでる地域含めて一体誰が使っていたのかと言われる程浸透してないコトヴァー!
リアル現在2015年からしてみれば、そりゃ美春さんとて随分古い言葉を使うんですねとツッコミを入れたくなるものですよ!
まあ、この作品の想定している年代を考えても、ちょっと古めの言葉ではある。
桜パーク
初音島が誇る一大テーマパーク。
夏には泳げるは、遊園地と呼ばれる施設にある物殆ど揃ってるわ、ちょっと特殊なチケットを手に入れれば城型テーマパークで恋人と一緒に花火を見る事が出来るわ、50年後も残ってるわと、何、この、何!?
って感じの大型テーマパーク。
きっと、観光客の為の施設、なのかね。
美春の嫌いな物
酢豚、高いところ、速いもの、クラシック音楽、日本人形を怖がる。
この娘、遊園地との相性悪くない?
もしもこれで、和也さんがクラッシック音楽が流れる中華料理屋に美春と共に入って、酢豚を食べてたら、間違いなくフラグバッキバキやね!
まあ、遊園地内にそんな施設あってもいやだが。
ゲート
10年前に遺跡から発掘された転送装置。
神界と魔界を相互に繋ぐゲートが先ず存在して、そのゲートが人間界のゲートと、はた迷惑な事に魔法界の七瀬家に存在したゲートに繋がって、この物語がスタート。
じゃあ、遺跡ってどこにしようかって話になって、初音島と関連付けるとするならば、まあ、湾内の中央付近で良いんじゃないかな。
紫和泉子
ピンク色のク……たにはらなつ………………
朝倉のゲームの追加組ヒロイン。
詳しい存在自体がネタバレとかどうしろってんだよ。
スレンダー黒髪ロングの美人と、何かウチのssの和さんに被る姿をしてるね!
本当だよ!