桜の織り成すキセキ   作:天枷美春

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ウチの初音島は彼岸島とでも思ってもらえれば良いですよ




6話

「折角の休日も、呼び出されて学園とは、面倒な事この上ないな。まあ、そのお陰で学園のアイドルの一人を独り占めにしてるわけだが」

 

「あ、あはは…………」

 

 

本日、休日。

和也が言う通り、本日は休みであると言うのに学園に呼び出されていた。

しかも、学園のアイドル、白河ことりともなれば多くの男共は黙っては居ないだろう。

因みに、此処まで大きな学園ともなると、アイドルと呼ばれる存在は少なくない。一気にファンを獲得した神界魔界の両プリンセスもしかり、魔法科では『姫』と呼ばれる人物だって居る。

 

 

「冗談は置いといて、何でことりは俺の案内を? 呼び出した先が白河先生だからって理由か?」

 

「さぁ、ちょっと解らないですね」

 

「――――――――――――まあ、大体正解だよ七瀬」

 

「あ、お姉ちゃん」

 

 

学園内を話しながら歩いていた所為か、既に呼び出された先である生物準備室まで辿りついていた。

そして、呼び出した張本人である白河暦が待っていた。

 

 

「新入生とか転校生は、余りにも広い学園だから時々迷う奴がでるのさ。余りゆっくりしてる時間もないし、ことりに頼んでみたが、余計な世話だったか」

 

「いえいえ、自分だけが手に入れた物とか、中々良い優越感に浸れますし」

 

「そうか。それは結構だが、余り不真面目な理由でことりに近づくと人体実験を行うから覚悟しておけよ?」

 

「ええ、解っていますよ。先生の噂の中、そんな事とてもとても…………」

 

 

実しやかに囁かれる噂の一つに、緑葉樹は絶対にことりにナンパをしないと言う物がある。

目の前から放たれる威圧感を前に、多分噂は本当なんだろうと思うのであった。

 

 

「後にも先にも、1回だけだったんですよ、緑葉君…………手紙とかで間接的に伝えてこない分、私的には良い印象だったけど」

 

「クックック。付き合うかどうかは別問題と、アイツ8割強のナンパ成功とか言うが、残る2割の壁は随分と高いな」

 

「緑葉もなあ、成績は十分に良いんだけど。ちょっとな…………」

 

「そうそう、急ぎの用事でしたね。先生、俺はその『ちょっと』の事で呼び出されました? 弁解しようにも、初日の遅刻から始まり、ダイルの何時遅刻するか解らない行動とか」

 

「いんや、それはあたしじゃなくて、担任の撫子先生や生活指導の先生の領分さね。あたしが呼んだのは、天枷研究所関連。知っての通りあたしはそもそも研究所からの出向組でね、国がアンタ等魔法界の人間と、此方の人間との違いを調べてくれと依頼が来たのさ」

 

「あれ、人体実け……んん! 天枷研究所って、そんな事やってるんですか、俺の……いえ、かなり小さい頃の記憶ですけど、あそこ普通にロボット工学の研究所でしたよね?」

 

 

幼かった事、後は文化の違いもあるが、理解できない機械が多く存在している場所であったと記憶している。当時の天枷博士の説明からすると、研究所は普通にロボット工学の研究機関であった様にも思えるのだが…………?

 

 

「はは、それは本当に昔の話だな。確かに、今でもロボット工学はあの研究所において基本だが、開門以降、急速に変化するこの島の情勢に合わせて、変わっていったんだよ。まあ、その辺りの事は向かいながら話そう、立ち話をしている時間も勿体無い。勿論、先刻話した『研究』に付き合う事を承諾したらだがな」

 

「構いませんよ、興味深い。後先生、そんな取引風に言わないでくださいよ、ちょっとワクワクするじゃないですか」

 

 

和也も一応魔法使い――――――世界間における魔力の違いとかは研究者としての興味が沸いてくる話であった。

だから、と言うわけではないのだが、色々と考える事があったらしく、あくまでも普通の研究である事を強調する暦についていくのであった。

 

 

 

 

・・・・・・

「――――――――――ようこそ、良く来てくれたね。ああ、和也君は良い男に成長したじゃないか!」

 

 

到着後直ぐに天枷研究所所長、つまり美春の父が出迎えてくれた。

この人は全然変わっていないなと懐かしみながらも、逆に凄まじく変貌した研究所を見回すのであった。

 

 

「天枷のおじさん、お久しぶりです。後、随分とすごい発展ですね、開門以降……10年でこんなにも変化ですか」

 

「うんうん。魔導科学の導入が進んでね、コレも風見学園が――――って、知っているかい?」

 

「はい。先ほど、白河先生に道すがら」

 

 

初音島史の一端。

開門より5年、日本の中でも進んで異種世界交流を進めたのは風見学園であった。

風見学園の理事長は、ただ単体の私立学校であった風見学園を、この初音島に散らばるその他学業機関全てと併合させて一つの大きな学園として作り上げた。

そして、国よりも早く異種族を通わせる事を目的としたシステムを作り上げたのである。その速さたるや5年、あれよあれよと言う前に観光都市として栄えようとしていた初音島も巻き込み、最先端の島となったのである。

 

 

「それは話が早い。では、聞いての通り、この研究所には、色々な所から、色々な分野の人が集る研究機関となってね、面白い物が沢山あるよ」

 

「流石に魔科学については、多少理解はありますが……流石に、今でも解りませんね。この研究所については」

 

「ハハハ。興味があるなら、いつでも此処に来て学んでいくと良いよ」

 

「面白そうですね。魔法機械ならぬ、機械魔法とか新しい魔法が作れるかもしれませんし――――」

 

「…………分野が全然違うのに、話って弾むものなんだね、お姉ちゃん」

 

「そうだな……あまり長話をしてる暇はありませんよ所長。魔法科の生徒を待たせて居るのでしょう?」

 

「ああ、彼女か。どうせ定期の診断みたいな物だから、先に初めてしまったよ。何せ、今日は和也君への実験もあるからねぇ」

 

「言い切りましたね、実験って。まあ、置いといて、誰か来てるんですか?」

 

 

呼ばれていたのは自分だけではなかったのかと聞いてみる。

後、本当に実験材料にされるのかと、少し不安になった様子である。

 

 

「魔法科の、和也君からしてみれば同級生の娘が来ているんだよ。その娘の家は、魔法を古くから扱ってきた……とは、全く関係のない一般の家でね。血筋とされてきた魔法使いの存在に、一石を投じる存在となって居るんだよ。だから、定期的に研究に協力してもらっているんだ」

 

「ほう。一般の家庭。成程それは、実に興味深いですね、俺も気に成ってきました、さっさと実験とやらを終わらせて見に行っても良いですか?」

 

「検査自体は簡単なものだから、直ぐに終わるよ。じゃあ、こっちに――――――おや、美春?」

 

「あ、お父さん、先輩の実験も終わったので、休んでもらってますよ」

 

「遅かったか……!」

 

「お兄ちゃん?」

 

何故かメイド服を着て現れた美春には目もくれず、貴重な見学の時間を逃してしまったと、和也は残念そうにするのであった。

 

 

「七瀬君、それより、天枷さんがメイド服を着ていることは気に成らないんですか……?」

 

「ん? いや、趣味思考は人それぞれだろ。後、メイド服は友人の家で何度も見たしな」

 

「ああ、いえ。別にコレは美春の趣味ではなく、お父さんの趣味なんです。研究所の手伝いをするときは、何故か着るようにと…………」

 

「ハハハ。矢張りお手伝いさんはメイド服じゃないとね。私が作り上げるロボットも、ゆくゆくは、その服を着て、誰かの傍に居てもらいたいと思っているのだよ。いやぁ、メイドロボ…………メイド服は良いねぇ」

 

「所長、まさかロボット開発の理由とは……………………」

 

「ハハハハハ」

 

 

笑っている天枷博士を冷たい目で見ながら、皆は実験室へと入っていくのであった。

 

 

 

 

 

・・・・・・

「結果とかは、何時出るんですか?」

 

「ああ、もう直ぐ出るよ………………はい、どうぞ」

 

 

そうして結果が渡される。

と言っても、専門用語やグラフ、数値等で全く解らない。

 

 

「簡単に説明しますよ和也君。先ず1枚目の資料ですが、魔力の波長、質を調べてあるのです。今回は魔力の放出を高めた結果の紙ですから、また2枚目3枚目と、様々なパターンがありますよ」

 

「あれ、師匠? 何故此処に?」

 

「私は、普通科以外にも、魔法科でも教鞭を執っていますからね。今日は生徒さんの保護者代わりに来ていたのですよ」

 

「成程。いや、しかし師匠がこうやって家から出ている姿を見ると、軽く感動を覚えますね」

 

「師匠を引きこもり扱いとは良い度胸ですね。首から上を吹き飛ばしますよ?」

 

「はっ! 申し訳ありませんでした!!」

 

 

思わず土下座しかけるほどの笑顔を作られたので、事実であったとしても謝っておく和也であった。

 

 

「それで、結局の所、何か違いとかありました?」

 

「取り合えずだね、君の魔法には2種類あるみたいだ」

 

「2種類?」

 

「杖を取り出す、いや『呼び出す』か。その時と、宙に浮いて貰った時とでは、質も波長も全然違うものでね」

 

「はあ……確かに、呼び出した時は自前の魔力のみで、宙を飛んだときは精霊の力を借りてでしたけれど、解るものなのですか」

 

「――――精霊! 精霊と言ったね! 精霊を使う魔法とはどんな効果なのだい? どうやって発動するんだい?」

 

「えっ、ええと……し、師匠! 科学者に、精霊を説明する方法が解りません!」

 

「安心してください。私も解りません」

 

「この引きこもり、役にたたねえ…………」

 

 

データを築き上げる学問と、フィーリングで築き上げる学問の噛み合わなさは凄まじいと、説明しようと考ええている和也は思うのであった。

尚、完全に引きこもり扱いされたソレイユであるが、説明できないのも事実なので和也の頬を抓りながら悔しがっているのであった。

 

 

「痛いです師匠…………とりあえず、精霊と言うのは、目に見えないエネルギー生命体…………と言う所でしょうか」

 

「目に見えないのかい? 我々が見えないのは良いとして、君たちにも見えない存在なのかい?」

 

「ええ。俺は少なくとも見えません。師匠はそもそも目が見えないので、論外です。ただ、師匠は精霊を通して周囲のイメージを頭の中に入れていますから。それに関連して精霊のイメージとやらは頭には浮かびますよ」

 

「ミント王国では稀に精霊を見て、会話する者があらわれます。そう言った面では、私は会話を行う事ができた者になるのですね」

 

「面白い話だね。和也君が使ったのは精霊魔法だといったけれど、此方の世界にも精霊は居るのだね?」

 

「ええ。少なくとも呼びかけに応じてくれる程度には…………」

 

「では、続いて精霊魔法についてでも研究を重ねる事としよう。和也君、暫く休んでからで構わないが、続けて協力してくれるかい?」

 

「は、はぁ、別に構いませんが…………」

 

 

本職はロボットの開発総責任者であるはずだが、大丈夫なのであろうかと和也は思っている。

他の職員も『また始まったよこの人…………』と言いたそうな顔で見ているのであった。

 

 

「お父さん。ロボットの方は良いんですか?」

 

「ああ、全然構わないよ。私が多少横道にそれて遊んでいた所で、他の優秀な人たちが仕事をしてくれるからね」

 

「確かに、所長の仕事は回路の製作で、それも完了していますが。ボディパーツの製作が難航しているのです。手伝っては頂けないのですか?」

 

「ハハハ。仕方ないね、私としても、もう少し和也君と遊んでいたくてね。それにボディパーツは大体貴咲君任せだからねぇ」

 

「はぁ…………あの人も、ロボットの体内に無駄に仕込まなければもっと早く完成すると言うのに。生理機能を作る此方の身にもなってほしいものです」

 

 

各分野のスペシャリストが協力して一つの物を作っている様である。

それにしても、ロボットに生理機能とは、何処まで忠実な再現をしようとしているのであろうか。

 

 

「へー。お姉ちゃん、そう言う所の担当だったんだ」

 

「ことりは妹なのに知らなかったのか?」

 

「あたしはそもそも家には仕事を持ち込まない人間なんでね。研究所でロボット開発に携わっているとしか伝えてないんだ」

 

「研究所に来たのも初めてですよ。ところで、生理機能って事は、ロボットは女の子――――――――」

 

「ことり、それ以上いけない。その発言を続けると、優秀な学園のアイドルが、優秀な学園のアイドル(笑)になってしまう」

 

「え、あ、はい……?」

 

 

自分で何を発言したか理解していなかった様なので、頭を抱える和也なのであった。

 

 

「まあ。別に生理機能で間違っちゃ居ないだろうけどさ……白河先生、流石に其処までの技術あるんですか?」

 

「あっはっは、無い無い。そう言った研究は、世界に進出している日本の大企業が行っているとか風の噂で聞くがね。あたしじゃまだまだ其処までの再現は出来ないよ」

 

「…………久々に来ましたけど、改めて凄いんですね。この世界」

 

 

此方の七瀬神社の管理を任せている親戚等に、この世界はどんな変化があったのかを詳しく聞いてみるのも良いかも知れないと和也は思うのであった。




用語集?

白河ことり
朝倉のゲームのヒロイン。
人気過ぎてIFが出たり、IF(イノセントフィナーレ)が出たり、LoveExPが出たりと大忙し。
…………全部似たような内容じゃないかって? またまたご冗談を。少なくとも最後は違う、よね。
買える人は買ってみよう。
イメージ沸かない人は、SN3のアティ先生を更に若くした感じといえば……帽子だけだな。
しかし、ことりの科白のコレじゃない感すごい。仲良くなってから○○っすとか言うんだよね、確か
中央委員会所属。ずっとコレ、何なのか謎だったけど、半世紀後の人らによって、当時の生徒会をそう呼んだと設定を潰されてしまいました。やれやれ……

白河暦
朝倉のゲームのサブキャラ
常識人なんじゃないですかね。どうなんでしょう。
クロスしていなければ変人度高くなる可能性だってありますけど、クロスしてると話の本筋に関わってくる奇人変人な科学者は多いですからねぇ。

天枷博士=天枷のおじさん
朝倉のゲームのサブキャラ。
原作には一度も出で来ない(名前のみの存在となっている)
出ている情報は『存在そのものが冗談のようなマッドサイエンティスト』くらいであろう。
確かに、ロボット工学のみを突出させて半世紀後にも通じる技術を作り上げているその姿は確かに馬鹿げた頭脳を持っている。しかも娘そっくりだし。

天枷研究所
ウチのssではスパロボにおける自軍戦艦とでも考えていただければ…………

魔科学
魔術のつかえない人間達が、科学の力を利用して魔術を使えるようにした技術。
マナの消費量が桁外れに多いため、その枯渇と、ひいては供給元である世界樹ユグドラシルの枯死に繋がることとなる。
『TALES OF PHANTASIA』より……え、違う? あ、はい。
魔科学とは、魔法と科学の融合。科学の足りない部分を魔法で補い、魔法の足りない部分を科学で補う、そんな学問。この世界では日本が数歩リードしてるだろうねぇ。世界情勢怖い怖い。

『精霊を使う魔法とは~』
UMA、勝つぞ

生理機能
子作り出来るなら本当に排卵・生殖機能ついててもおかしくないですなあ。
今回のコレはそう言う意味じゃないですが。
…………本当。メインヒロイン張れるような人物に、何言わせたんだろう。私。

さて。貴咲博士を正式に紹介できるのは何話後だろうか。
解る人いるのかどうか。
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