・・・就活がつらいです。
【学校】
霊夢side
あれから何日かが過ぎ、霊夢と龍牙は異変に巻き込まれることもなく生活を送っている。幻想郷での生活に比べると、現在の二人の生活は平和と言える。しかし霊夢は、
(そろそろ何かが起きそうね。勘だけど)
持ち前の直感により何かが起きるだろうと感じていた。
異変が自分たちに近づいてきていることを察することができるのは、これまでの経験の賜物と言えるだろう。
(・・今すぐにできることはないわね。どんな問題なのかもわからないし)
実際に幻想郷で異変が起きた際も、事前に対処を行ってきたわけではないため、霊夢が動くのは何かが起きた後である。
(龍牙もいるしなんとかなるでしょ。それよりも今は)
「みんなは将来どんなお仕事につきたいですか?いまから、考えてみてね」
担任の教師がそんなことを言っている。
(将来のことについて考えるのが先ね。とは言っても、私は博霊の巫女だけど)
ここで、霊夢は龍牙の席の方を見て
(龍牙はどうするのかしら?あいつは大体のことはできるし、選択肢は沢山あるだろう けど。それこそ、幻想郷から出ていく可能性だって・・・)
霊夢は龍牙がいない幻想郷を一瞬思い浮かべて、それをすぐに消した。
(龍牙がいなくなったら、私はどうするかしらね・・)
龍牙がいなくなるはずがないとおもってみても、それでも霊夢の漠然とした不安は消えなかった。
【屋上】
龍牙side
午前の授業が終わり、龍牙たちはいつものメンバーでお昼ご飯を食べていた。
初日に弁当を忘れて以来、霊夢の弁当は龍牙が持ってくるようにしている。
「はい、霊夢。今日のお弁当」
「・・ありがと」
霊夢の声に覇気が感じられず(とは言っても、ずっと一緒にいた龍牙だから気づけるのだが)、
「どうかした?元気ないようだけど?」
「・・なんでもないわ」
「でも、」
「本当になんでもないから。さっさと、ご飯食べましょ」
龍牙は疑問に思い霊夢に訊ねてみたが、霊夢が言いたそうにもなかったので会話はほどほどに切り上げることにした。
「そう。時間なくなるし、ご飯食べようか」
そう言って、龍牙たち五人はお昼を食べ始めた。
すこし経って、
「はぁ、将来かぁ・・」
なのはがそう言い、話題は午前中のことに移った。
「アリサちゃんとすずかちゃんは、もう決まってるんだよね?」
なのはが二人に問いかけると、
「でも、ふんわりとした感じよ?いっぱい勉強して、パパとママの会社経営の後を継が なきゃ・・ってくらい」
「私は機械系好きだから工学系で、専門職がいいなと思っているけど」
(小学3年生でそこまで考えられていたら、十分じゃないか?)
龍牙は素直にそう思った。
なのはも同じなようで、
「そっかー・・二人ともすごいよね・・」
なんてことを言ってる。
するとアリサが、
「なのはは翠屋の二代目じゃないの?人気店だし」
なのはに訊いてみるが、
「うん。それも将来の一つのビジョンの一つではあるんだけど、他にやりたいことがあ る気がして・・はっきりとしてはいないんだけど」
自信なさげな答えしか返ってこない。
ただ次の一言は余計であった。
「わたし、特に特技も取り柄もないし・・」
(いや、それはないと思うけどなー)
龍牙は、なのはが理数系を得意としているのを知っていたので心の中で否定した。
アリサも同じように思ったのか、
「この、バカチン!!」
そう言って自分の弁当箱の中にあったレモンをつまんで投げたが、
「それはダメでしょ」
なのはに当たる前に龍牙がキャッチした。
「って、何するのよ」
「いや、食べ物で遊んじゃダメだよ」
アリサは龍牙に言われたが、
「別に遊んだわけじゃないわよ。ただ、」
「あぁ?」
「ナンデモアリマセン」
余計な言い訳をして、龍牙を怒らせるところでもあった。
アリサはそれを感じ取り、とりあえず会話を終わらせることにした。
一部始終を見ていた霊夢となのは、すずかの三人は、
「霊夢ちゃん、龍牙君はなんで怒りそうになってたの?」
「龍牙が怒る場合は主に三つあるわ。一つが、大切な人を傷つけられたとき。二つ目 人が道義に反した行いをしようとしたとき。で、三つ目が食べ物を粗末にしたりした ときよ。覚えておきなさい」
「わ、わかったの」
霊夢の説明を聴きなのは、すずかの二人は心に留めておくとともに、後でアリサにも教えておこうと考えていた。
「生きた心地がしなかったわ・・」
「大げさすぎない?」
「・・あんたは少し自分の恐ろしさを自覚しなさい」
「何それ酷い。でも、今度食べ物を粗末に扱ったら、」
「わかってるわ。で、なのは!」
「な、なにアリサちゃん?」
「あんた、理数系の成績はあたしよりいーじゃないの!それで取り柄がないとはどの口 がいうわけ~!?」
アリサはなのはの頬をつかみ引っ張った。
(あれは、痛いだろうな~)
「い、いふぁいよ、ありふぁちゃん!」
「ふ、二人ともだめだよ~」
ワーワーギャーギャー
◇
騒ぎが収まった後、アリサが霊夢と龍牙に
「それで、あんた達二人は将来どうするの?」
と訊いてきた。
(・・将来か。あまり、考えてはいないけれど)
「私は家の仕事を継ぐわ」
龍牙が考えている間に先に霊夢が答えていた。
「霊夢の家って何かしているの?」
アリサは霊夢の家のことを初めて聞いたので疑問を持っているみたいだね。なのはや、すずかも同じみたいだけど。
「あぁ、私の家のことを話すのも初めてね。私の家系は代々巫女をやってるのよ」
「巫女?」
「えぇ。私は博麗の巫女よ」
「でも、博麗神社って聞いたことないよ」
「なのはも初めて聞いたの」
「まぁ、廃れているっていえば廃れている神社だしね」
霊夢は若干苦笑い気味だね。
「ふーん。あんまり霊夢のイメージに合わないわね」
アリサは意外と厳しいね。
「そう?確かに一般的な巫女とは言えないけれど・・」
「そうなの?」
「私の主な仕事はトラブル解決だし」
「トラブルって・・あんた、何してんのよ」
「そりゃぁ妖怪退治だったり、」
!?その話は不味い!
「よ、妖怪!?」
アリサ、すごい吃驚してるし。あとの二人も驚いているし。
「霊夢!」(小声)
「な、何よ龍牙?」
「こっちで妖怪は一般的ではないよ」(小声)
「あ」
「あ、じゃないよ。とりあえず誤魔化して」(小声)
「りょ、了解」
「霊夢、妖怪って」
やっぱり、訊いてきますよね。アリサさん。
上手く誤魔化してよ霊夢。
「ごめんなさい。言い間違えたわ」
「間違い?」
「えぇ、正しくは除霊とかね」
・・それも、ダメじゃないかな・・
「除霊って偶にテレビとかでやっているようなやつ?」
「イメージは合っているわね。ただ、あんなインチキなもんじゃないわよ」
「そ、そう。なんか細かく聞いたら常識が崩れそうだし、もういいわ」
あれ、誤魔化せた?
三人が若干引いているけど大丈夫かな?
「龍牙。気にしなくていいわよ」
霊夢がそんなことを言ってくる。
「きっと冗談だと思われているし」
「・・だといいね」
うん。気にしないようにしよう。
「霊夢ちゃんはわかったけど、龍牙君はどうするの?」
すずかが話題を変えるためにそんなことを訊いてくる。
まぁ、僕も話題を変えたいのは一緒だし。ただ、
「うーん。実際考え中なんだよね。なのはと同じで明確なイメージがない感じかな」
将来のことをまだ決めてないんだよなー。今は幻想郷で紫や霊夢たちと妖怪と人間が共存できる手伝いをしてたりするけど。
「そうなの?龍牙君、運動できるんだしそっちの方向は?」
「龍牙君、お料理すごく上手だしお店を出したりしてもいいと思うの」
「でも、龍牙って勉強もすごくできるわよ」
霊夢が補足?みたいなことを言ってる。
「へー。あんた、勉強もできるんだ」
アリサは感心したようにこっちを見てくるし。
「師匠が厳しかったからね」
慧音と永琳、紫や藍の下での勉強は大変だったと言っておきたい。
「実際どれくらい出来るの?」
「あー、難関大学の問題ぐらいなら一瞬で解けるくらいかな」
「天才か!」
スパーン!
アリサがハリセンでツッコミを入れてきた。って、
「どっから、ハリセンだしたの!?」
「気にしたら負けよ」
「いや、気にするよ!?」
「そんなことより」
「そんなこと!?」
「あんた、色々できるのね」
「スルー!?え!?これ、スルーするの!?」
「「「「もちろん」」」」
何故か霊夢、なのは、すずかも一緒に言ってくる。
「そんだけあったら、悩むのも当然かもね」
・・もう気にしないよ。
「そういうこと。だから将来のことはこれから考えるさ」
「なんとなく誤魔化された気がするわね」
「気のせいだよ。さて、お昼休みも終わっちゃうし、そろそろ教室に戻ろうか」
「そうね」
僕の将来はまだ決まってないけど、願わくば霊夢や久遠、刹那、それに幻想郷のみんなとずっと一緒に居たいな。
教室に戻っていく霊夢を見て僕はそんなことを考えていた。