【道場】
龍牙side
恭也さんとの試合が終わり、今は霊夢の試合を見ることになっている。
試合の時は問題なく動けてたけど、やっぱりリーチが短くなっている分、トレーニングもしないといけなさそうだ。・・霊夢の試合が終わった後、僕と霊夢の試合をさせてもらおうかな・・
「龍牙君」
「すずか、どうかした?」
「霊夢ちゃん大丈夫なの?」
「霊夢のことが心配かい?」
「そりゃ、あんたは強かったけど霊夢は女の子なのよ」
アリサも会話に加わってきた。
「確かにそうだね。ただ、心配はあるにはあるけど、霊夢が負けるとも思ってないし」
「その自信はどこからくるのよ?」
「これまで、霊夢と一緒にいた時間からかな」
幻想郷で霊夢たちと一緒に過ごしてきたことを考えると、この評価は妥当だろう。
まぁ、アリサにも言ったように一つだけ心配事はあるけども。
「なぁ、龍牙。こんなこと身内贔屓にも聞こえるかもしれんが、美由希もそれなりに強いぞ」
「大丈夫ですよ恭也さん。霊夢は負けませんから」
「・・・君の方こそ、身内贔屓が過ぎるんじゃないか」
「別に、霊夢のことを贔屓目に見てるわけではないんですけどね。それに」
「それに?」
「霊夢の家系ゆえに戦う力は、ある程度は必要ですし」
「霊夢ちゃんの家系?」
「えぇ。ただ、僕の方からは言うつもりはありません」
「・・・そうか。まぁ、事情はそれぞれあるだろうしな」
「そういことです。そろそろ、試合が始まりそうですよ」
「そうだな。お前がそこまで言う霊夢ちゃんの実力、じっくりと見させてもらおう」
うーん。じっくり見られるかなぁ。
霊夢やりすぎないでよ・・・
僕は、そんなことを考えながら霊夢の試合を見ることにした。
霊夢side
今、私の前には美由希が立っているわ。美由希も恭也と同じように刀を使うみたいね・・
「ねぇ、霊夢ちゃん」
「何かしら?あぁ、もしかして喋り方のこと?それなら、気にしないでもらえると有難いんだけど」
「いや、別に喋り方はいいんだけどね。ただ」
「ただ?」
「ほんとに素手でいいの?」
なるほど。確かに、小学生が高校生に、しかも素手で刀に挑むなんて正気の沙汰とは思えないわね。でも、
「問題ないわ」
そう。はっきり言って、龍牙相手に戦うよりは全然気が楽だ。
「でも・・」
「美由希、霊夢ちゃんが大丈夫だと言っているんだから気にしなくてもいいんじゃないか?それに、根拠もなくそんなことは言わないだろうし」
士郎はある程度、こちらの実力を見抜いているっぽいわね。やっぱり、経験の差かしら?
「・・分かったよ。霊夢ちゃん、遠慮なくいかしてもらうからね」
「こっちも同じよ」
美由希も覚悟を決めたみたいだし。少しだけ、気合入れようかしら?
「二人とも準備はいいかい?」
士郎が私と美由希に訊ねてくる。
「「ええ(はい)」」
「それでは、高町美由希対博麗霊夢・・・・始め!」
士郎が開始の宣言をした瞬間、私は美由希の懐に踏み込み、お腹に拳を一回打ち込んだ。そして・・
龍牙side
「それでは、高町美由希対博麗霊夢・・・・始め!」
士郎さんの宣言と同時に霊夢が一瞬で美由希さんの懐に踏み込んだ。って、あの拳はマズイ!
ドス!「ッガハ!?」
鈍い音とともに、美由希さんの体は飛んで行った。
「「「「「は?」」」」」
どうやら、僕以外の人には何が起きたか見えなかったらしい。それより、美由希さんが危ない!僕は、一瞬で美由希さんが飛んで行った方に回り込み、
「っとと!ふー危ない、危ない」
受け止めた。美由希さんは・・気絶しちゃってるね。霊夢の拳がキレイに入ったし、しょうがないか。
「っは!しょ、勝者、博麗霊夢!」
あ、士郎さんが動き出した。
霊夢は、僕の方にやってきて
「龍牙、美由希は大丈夫?」
「うん。気絶しているだけだし、あ、ほら」
そんなことを話している間に、美由希さんも目を覚ました。
「あ、あれ?わたし・・」
「美由希さん大丈夫ですか?」
とりあえず、確認はしておかないとね。
「う、うん。特に問題はないけど」
「なら良かったです」
「でも、私一体どうしたの?」
「霊夢に飛ばされて、気絶していたんですよ」
「そうだったんだ」
いや、本当に間に合ってよかったよ。
「ところで、龍牙。」
「何?」
「いつまで美由希を抱きかかえているのよ」
「「え」」
霊夢に言われて、僕と美由希さんは自分たちの状態を確認してみる。うん。僕が美由希さんを、いわゆる「お姫様抱っこ」をしている状態でした。
ボン
美由希さんからそんな音がしたかと思うと、急に顔を赤くして
「りゅ、龍牙君!は、早くお、降ろして!」
そんなことを言いながら、慌て始めた。
確かに、顔が近くにあったら驚くよね。
「慌てないでください。はい、どうぞ」
言いながら、美由希さんを降ろした。
「あ、ありがと・・」
美由希さんは顔を赤くして目を少しそむけながら、お礼を言ってくる。
しかし、顔が赤いままだけどどうしたんだろ。
「うー。初めて男の子に抱きかかえられちゃったよ・・」(小声)
「?何か言いましたか?」
「な、なんでもないよ。あはは・・」
?何でもないなら、気にしなくていいかな。
「霊夢ちゃん」
「なに?」
「彼はもしかして」
「えぇ、超が付くほどの鈍感よ」
「・・そうか」
向こうでは霊夢と士郎さんがよく分かんないことを話しているし。
あ、そうだ
「士郎さん」
「どうかしたのかい?」
「そろそろ、他のみんなにも声を掛けたほうがいいかと」
霊夢の試合の後から、士郎さん以外固まったままだし。
「そうだね。みんなを起こして、翠屋に戻ろうか」
そのあと、僕と霊夢、美由希さん(顔は赤いまま)、士郎さんの4人でなのはたちを起こしていった。途中、霊夢の強さのことについて訊かれたりしたけど、僕と修行しているって言ったら、みんな納得してくれた。
ちなみに、僕と霊夢との試合については、また今度っていうことになったよ。
◇
【翠屋】
あの後、久遠を回収した刹那とも合流して全員で翠屋にもどった。
久遠がやつれているのを見て、何人かは同情の眼差しを送っていたりもしたけど。
「あら、みんなもどってきたのね」
桃子さんがそんなことを言いながら迎えてくれる。
「はい。遅くなりましたが、料理の方を作らせてもらいますね」
「楽しみだわ。ところで、怪我とかはしてないかしら?」
「大丈夫ですよ。恭也さんに勝ちましたし」
「それは凄いわね」
「大したことではないですよ。ところで、料理ですがリクエストとかはありますか?」
「任せてもいいかしら?あ、食材は好きに使っていいからね」
「ありがとうございます」
となると、食材を見てから何を作るか考えるかな。時間もないし、
「霊夢、手伝ってくれない?」
「そんな気はしてたわ。さっさと作っちゃいましょう」
「助かるよ」
僕と霊夢はキッチンの方へと入っていった。さーて、気合入れて作りますか!
桃子side
龍牙君と霊夢ちゃんがキッチンへと消えてから、私は気になることがあったから訊いてみた。具体的には、美由希の顔が赤くなっていることについて。
「ところで、美由希」
「な、なに、お母さん」
「あなた顔赤いけど、何かあったの?」
「い、いや、特に変わったことはな、なかったよ」
おもいっきり動揺しているわね。士郎さんも苦笑いしてるし。
「嘘ね。ほら、話してみなさい」
「う、うん。実は・・・」
私は美由希から道場で何があったのかを聞いた。
「あらあら。美由希も女の子ね~」
「お、お母さん!」
「正直、恭也と稽古ばっかりしてたりして心配だったのよ。龍牙君なら良い子そうだし、別にいいわよ。」
「龍牙君は小学生だよ!さすがに付き合うなんてことは・・」
「あら。龍牙君が年のことを気にしなければいいのかしら?」
「そ、そんなんじゃないってば~」
ふふ。顔を真っ赤にしちゃって。美由希にも春が来たかしらね?
「お姉ちゃん。顔が真っ赤なの」
「なのはまで、そんなこと言わないでよ~」
なのはも言うわね。
「く、なのはだけでなく、美由希までもか」
恭也はいつもどおりね。あ、そうだ。
「ところで、恭也」
「どうかしたのか母さん?」
「龍牙君に負けたら、彼の代わりに支払いするって言ってたわよね?」
「もちろん払うさ。約束だしな」
「じゃあ、お願いね。はいこれ、レシート」
「了解。・・・・・な、なぁ母さん」
「何かしら」
「俺が夢を見ているのか、それとも機械の故障かな?明らかに、喫茶店で払うような金額ではないと思うんだが・・」
「それはね」
「それは?」
「そこにいる久遠さんの分も入っているからよ」
「は?」
「だって、龍牙君の家族なんでしょ。だったら、恭也が龍牙君とした約束の中に彼女も入ってくるわよ」
「あいつの狙いはこれだったのか。・・・ツケでお願いします」
「駄目よ」
ガク
あ、恭弥が項垂れたわね。
「そろそろ、ご飯の支度できるわよ」
キッチンの方から、霊夢ちゃんの声が聞こえてくる。あら、もうそんなに時間が経ってたのかしら。
「わかったわ。ほら、みんなもテーブルに着きましょ」
キッチンの方からも良いにおいがしてくるし、なのはたちの言う通り期待できそうね。
◇
私たちがテーブルについてすぐ龍牙君と霊夢ちゃんが、料理をもってきてくれた。
「時間も少なかったので、簡単にオムライスとスープ、あとは霊夢が作ってくれたサラダだけになってしまいました」
龍牙君はそう言うが、出てきた料理の出来は見事というしかなかった。特に、オムライスの卵のフワッとした食感。あそこまでのものは、私でも無理だろう。
「せっかくですし、冷めないうちに召し上がってください」
「そうね、みんなも頂きましょう」
私が言うと同時に、みんなも食べ始めた。私も頂きましょう。
どれどれ、味の方は
パク
と、とても美味しいわね。一瞬意識が天に昇りそうになったわ。
「やっぱり龍牙君のご飯は美味しいの!」
「こっちのスープもとてもいい味だわ」
「霊夢ちゃんが作ったサラダも素材の味がしっかりしているよ」
なのはたちは一度食べてる分、衝撃は少ないようね。
「ほぉ、これはまた見事なものだ」
「母さんには悪いが、これは母さん以上じゃないか?」
士郎さんは素直に龍牙君の料理を褒めている。そして、恭也の意見には、私も同感だわ。美由希の方はどうかしら?
「あれ、美由希さんどうかしましたか?僕の方をずっと見てて、食べてないようですが」
龍牙君が美由希にそんなことを訊いている。
あー、さっきの話を引きずっているようね。
「あ、な、何でもないの!い、いただきます!」
龍牙君に言われて、急いで食べ始めたわね。って、そんなに急いで食べると!
「・・ング!?ンー!?ンー!?」
「美由希さん!?霊夢、すぐに水を持ってきて!」
案の定、のどに詰まらせたわね。しかし、龍牙君も冷静ね。慣れているのかしら?
「はい!水よ!」
「ありがとう、霊夢!美由希さん、これをゆっくり飲んでください」
「ング!?ゴクゴク・・プハー!し、死ぬかと思った」
「びっくりしたのはこっちですよ」(苦笑)
「ごめんなさい。霊夢ちゃんもありがとう」
「気にしなくていいわ」
「美由希さんはもう少しゆっくり食べたほうがいいですよ」
「は、はい・・」
こうしてみると、龍牙君の方が年上に見えるわね。私からもお礼を言わないと。
「龍牙君、霊夢ちゃん、娘が迷惑をかけたわね」
「別に気にしてないわ」
「えぇ、迷惑だなんて思ってません」
「それでもよ。ところで、龍牙君」
「なんですか?」
「年上と付き合うのって龍牙君の中ではアリかしら?」
「ブー!?」
あ、美由希が吹き出したわ。
「ちょっと、美由希吹き出さないでよ!」
「ご、ごめん霊夢ちゃん!ちょっと、お母さん何言ってるの!?」
「あら、私はただ龍牙君の考えを訊いてみたいと思っただけよ。それで、龍牙君はどう思うかしら」
「何で急にそんなことを訊いてきたのかは知りませんが、僕は人を好きになるのに、年齢は関係ないと思いますよ。」
「いいこと聞いたわ~。じゃあ、うちの美由希なんてどうかしら?」
「美由希さんですか?」
「お母さん!もうホントにやめて!それと、龍牙君も真面目に答えなくていいよ!」
「美由希はああ言っているけど、どうかしら?」
「僕にはもったいないくらい綺麗な人だと思います。それに、桃子さんに似て、ますます綺麗になっていくでしょうね」
「・・・これは想像以上ね」
「はい?」
「なんでもないわ。それと、参考になったわ。ありがとう」
「どういたしまして?」
これは私の期待以上かしら?
「き、綺麗って・・」
「美由希、あんた表情がヤバいことになってるわよ」
美由希には思った以上に効果があったみたいだし。
こうして、夕食の時間は賑やかに過ぎて行った。
龍牙side
夕食を終えて僕と霊夢で片づけをした後、僕たちも帰ることにした。
アリサとすずかの二人はもう暗いということで、恭也さんが彼女たちの家まで送っていった。
「今日はありがとうね」
「こちらこそ、楽しかったです」
「でも、片づけまで任せちゃって、ごめんなさい」
「家でも、家事全般をこなしているので大丈夫ですよ」
「そうなの?」
「僕以外だと霊夢や刹那はできるのですが、久遠は全然だめで」
「だって、私は食べたり、寝たりするのが基本だからね!」
「「「お前は黙ってろ」」」
「はい・・」
あのバカ(久遠)が自慢げにできないことを言ってくるので僕と霊夢、刹那の三人で黙らせた。
「あはは・・また、来るといいわ」
「はい。今度は桃子さんの料理を食べてみたいですしね」
「龍牙君の料理の後だと、自信はないわね」
そんなことはないと思うけどな。なのはも桃子さんの料理はおいしいって言っていたし。
「龍牙君、今度は僕とも試合をしてくれないか?」
「もちろんです。こちらこそ、よろしくお願いします。」
士郎さんとは試合の約束をした。
「じゃ、じゃあね。龍牙君」
美由希さんは何故か食事の時間あたりから顔を合わせてくれない。僕何かしたかな?
「龍牙君、また明日なの!」
「うん。また、学校でね」
「あれ、龍牙君ってバスは使わないの?」
「鍛錬のために、走って学校まで行くからね。だから、バスは使わないんだ」
「霊夢ちゃんは?」
「私も龍牙に付き合って一緒に走るわ」
「そーなんだ。じゃあ、また学校で!」
こうして、僕たちは自宅へと帰った。
◇
【家】
「さて、久遠、刹那」
「「はい」」
「分かっている範囲だけでいいから、今日調べた情報について教えてほしい」
まだ、一日目であるが僕たちは、いま分かっている情報をまとめることにした。
とりあえず、
「じゃあ、私から」
そう言って久遠から話し始めた。
「私はこの町のことを中心に調べたわ。その中で出てきたのが「高町」と「月村」の一族だった」
「なのはとすずかの一族?特に力はなさそうだし、警戒はいらなさそうだけど」
霊夢は幻想郷にいる感覚で言うが、
「力は小さいが、力を持っていること自体が厄介なんだよ。この世界では」
「そうなの」
「そうだ」
刹那はそう言って、霊夢をたしなめた。
「久遠、続けて」
「まず「高町」だけど、本来は「不破」と呼ぶべき一族ね」
「不破?」
「裏に属するものよ。とはいっても、士郎や恭也以外にはいないとみてもいいでしょ。不破は刀を扱う一族で、「龍」と呼ばれる組織と敵対していたらしいわ。今はないけどね」
「裏ね・・それで、月村は?」
「月村は「夜の一族」と呼ばれるもので、」
「吸血鬼」
「正解よ霊夢。ただ、レミリアやフランと違い混血だけどね」
「龍牙の言っていたとおりね」
「それと時々、教会とか裏の人間に狙われたりもしているみたいよ」
「どこにでもそんな連中はいるってことか」
「私が調べれたのはこれくらいよ」
「そうか。ありがとう、久遠」
「どういたしまして」
◇
「次は私だな」
「刹那は何を調べたの?」
「私は次元世界について調べてみた」
次元世界?
「何よ、次元世界って?」
霊夢もどうやら同じ疑問をもったようだ。
「簡単に言えば、ここではない世界。いっそ、別の星って言った方がいいかな」
「何でそんなことを調べたのよ」
「さっきも言ったろう。この世界では幻想郷ほどの力を持つ者はいない。逆に言えば、力あるものは別の世界出身か、後は特殊な家系に限られるということだ」
「つまり、別の世界から何かが持ち込まれて、この世界が破滅に向かうと」
「そういうことだ。依頼を遂行する上で、私たちは絶対に次元世界と関わりをもつだろうしな。今のところは、これぐらいしかわからなかったが・・」
「いや、十分だよ」
さて、今日一日過ごしたけど、この世界は比較的平和といえるだろう。
事件までは、まだ時間があるということかな。となると、
「二人とも、しばらく情報収集は次元世界を中心にお願い。無理はしないように」
「わかったわ」
「了解した」
「霊夢はしばらく修行を中心に行っていくからね」
「面倒くさいけど、仕方がないわね」
「じゃあ、今日はこれで終わり」
こうして、僕たちの異世界での一日目が終了した。
これから、何が起きるのかは分からないけど、仲間たちと一緒なら絶対に乗り切れる。今までの異変もそうやって来たのだから。だから、何でもかかってこい!