久々にツッチー登場したと思ったら、また何かやってくれました。いやぁ、便利便利。
さて、椅魔奈は無事魔理沙達と弾幕ごっこに参加することはできるのか?
多分それは次回に回ります(
巫女と姉妹と弾遊び@椅魔奈が弾幕ごっこに参加したいそうです
「よぉ霊夢、きてやったぜ!」
「お邪魔するねー」
神社の境内に元気な声が響きわたる。
魔理沙はさも当然と言わんばかりに勝手に上がり込み、僕は最低限の礼儀と声をかけるも、返事を待たずにこれまた勝手に上がり込んだ。
その声に反応したように奥から
「まるで私が呼んだみたいに聞こえるわね……?」
「なんだ、私がきて嬉しくないのか?」
「あーそうねー嬉しいわー」
「そうかそうか、んじゃ有り難くもてなすんだな!」
「頭が痛いわ……」
さも偏頭痛がする、という風におでこをつまんで深々とため息を吐く霊夢。
僕にとっては割と見慣れている光景なので、何もいわない。
ちょっと待ってなさい、といい残して霊夢は奥へと引っ込んだ。多分、なんだかんだ言いながらも僕達のためにお茶と茶菓子を出してくれるんだろう。
「しっかし、ほんと人気のない神社だよな、ここは。賽銭箱に賽銭が入ってるのをみた記憶がないぜ?」
「人里からは離れてる上に、近くには妖怪がでるって噂だもん。普通の人はあんまり来たがらないんじゃないかなぁ」
「そうか? ここらの妖怪なんて、すぐに蹴散らせるぜ?」
「それはお姉ちゃんだけです」
自信満々にそう宣う魔理沙に対して、僕はあきれ半分のため息をもらす。
もう半分は何かって?
勿論、憧れである。
魔理沙はまだ子供だというのに、もう並みの大人なんかよりも強く逞しくなっている。
まだ魔法に頼りきりで、
だけど、知る人ぞ知る努力家の魔理沙は、あの敗北から多くのことを学んだようで、メキメキと実力をあげてきている……らしい。
本人は聞いてもはぐらかすだけで、ちゃんと答えてもらったことはないからよく分からないけど。
でも、今までより生き生きとした風に日々を過ごす魔理沙を見れば、何かしら変わった、ということは分かる。
「偶には休息しないとな。やっぱり休みを取るには、ここが一番いいぜ」
「ここを茶屋か何かと勘違いしてない? 別にあんたらに茶菓子出さなくたってこっちは良いのよ」
「そう言いつつ、毎回だしてくれるじゃないか」
「あんまりしつこく来るから、習慣になり掛けちゃってるのよ」
「照れ隠し?」
「10割方本音ね」
お茶と茶菓子を僕たちのそばにおくと、自らもお茶を手にとって啜り始める。
暫く会話もなく、まったりとした時間が過ぎる。
時折お茶を啜る音と、お茶菓子として出された煎餅をかじる音だけが響く。
そんな状態で幾時が流れた。
ふと、隣の魔理沙がやけに静かな気がして、ちらりと盗みみる。
「…………」
お茶を手に持ったまま、ピタリと一点を見つめて考え込んでいた。
その表情はとても真剣なもので、魔理沙がなにか大切なことを考えているのかと錯覚するほど――
「――霊夢」
「んー? 何よ?」
「弾幕ごっこで勝負だぁ!」
「唐突だね?!」
別に大切じゃなかった。そもそも何で突然弾幕勝負を?
そう思って魔理沙の方を見たら、まっすぐに霊夢をじっと見据えている。
その様子に並々ならないものを感じたのか、霊夢はそっとお茶を置いて静かに魔理沙を見返す。
そして、フッと笑ったと思うと。
「嫌よ」
そう、了承――
「――しないの?!」
「椅魔奈、さっきからやけに反応がオーバーだけど、どうしたの?」
「むしろ、お姉ちゃんと霊夢さんがどうしてお互い、さも当然と受け止めてるのかわからないんだけど……」
「だって、当然だろ?」
「当然よね」
なんだろう、僕の方がおかしいんだろうか。
そう錯覚してしまうくらい二人はさっくりとそういった。
「ま、どうでもことだぜ。それより霊夢、勝負だ。前の反省点を活かして、新たな戦法を編み出したんだぜ」
「へぇ、言うじゃない。それが私に通用すると?」
「へへん、やってみなくちゃわからないだろ?」
「いいわ、受けて立つ」
僕がフリーズしかけている間に二人の間では話がまとまったようで、さっさと外へと飛び出していく。
反応の遅れた僕は、その後姿を呆然としながら見送ることしか出来なかった。
◇ ◇ ◇ ◇
眼前で繰り広げられる二人の弾幕ごっこを見ながら、ふと考え事をする。
まともな弾幕ごっこを見る機会があんまりなかっただけに、二人の繰り広げる弾幕にはしょっちゅう目を奪われていたけど。
二人は、いや、魔理沙は。
ただの人間でありながら、最も人間たろうとした
人の身でありながら、才能がないと言われながら、その全てをたゆまぬ努力と奇抜なアイデアで乗り越える。
そんな姿にあこがれた僕は、ただ地上で指をくわえて眺めていることしかできない。
だって、霊夢ほどの才能も、魔理沙ほどの努力も持てない自分が、彼女たちと同じ場所に立てるはずもないのだから。
「はぁ……」
思わずため息が漏れてしまう。
それは空に花咲く色とりどりの弾幕に対してでもあるし、それを眺めるしかない自分に向けたものでもあった。
「わひゃあ?!」
そんな時、突然腰回りにもぞもぞとした奇妙な感覚が伝わってきて、素っ頓狂な声をあげてしまった。
犯人は分かっているので、自分のあげてしまった声に赤面しつつ、服の下から犯人を引っ張り出す。
「おはようツッチー、よく眠れた?」
「キュー……」
しっぽを摘ままれて宙ぶらりんの状態になっているツッチーことツチノコである彼は、まだ眠たげな声で一声鳴く。
何故服の下に入っていたかと言えば、
僕の腰に巻き付いてどうするつもりなのかと思っていたら、急に寝息をたてて爆睡し始めたときには驚いた。
「キュー、キュイー」
「ほら、目を覚まして」
「ムーフー」
ツッチーのほっぺに当たるであろう部分を、思いっ切りグニングニン上下左右に蹂躙する。
気の抜けた声を発しながらされるがままになっていたツッチーは、指をはなすとキューと一声鳴いて気合いを入れたようだった。
「……凄いよね、霊夢さん達って」
「キュー?」
「あんな風に空を飛びまわって、綺麗な
「キュー……」
「……こうやって思うのは筋違いなのかもしれないけど、僕も一緒にあそこを飛んでみたいな、なんて……」
言って、目をそらす。
思わず思っていたことを口にしてしまったことが恥ずかしくて、僅かに頬を朱に染める。
キューキュー唸っているツッチーを横目に見ながら、僕は自分の心境の変化にわずかながら驚く。
──前は極力原作に介入しないようにって考えてたのに……
苦笑が漏れた。
余りの綺麗さに、自分もなんて場違いな感想を思い浮かべてしまったけど、よく考えてみれば無理な話だ。
「──キュー!」
「うぇ? な、なに、ツッチー?」
考え事に集中しすぎてしまっていたのか、ツッチーが僕を呼んでいることに全く気がつかなかった。
思わずどもってしまった返事を受けて、ツッチーはまるで仕方がないなという風に鎌首を左右に振る。
その行動に若干イラッとした僕は、報復としてツッチーのほっぺを思いっきり蹂躙してあげた。
「みゅー、くー」
「…………(グニグニ)」
「むー、むいー」
「…………(グニグニグニグニ)」
「みゅくー……シャー!」
「あ、ごめんごめん」
夢中になってグニグニしていたら、ツッチーが怒ってしまった。
くりくりの目をどんよりとジト目にしつつ、僕の方にジーッと視線を送ってくる。
それに対して微妙に視線を反らせていると、器用に身体をくねらせて僕の視界に入ってくる。
何この無駄な追尾性能。
「そんなことより、僕に何か用事があったんじゃなかったの?」
「キュー? ……キュー!」
「忘れてたんだね……で、用事って何?」
「キュー、キュキュ―、キュ!」
この無意味にキューキュー鳴いてるだけに聞こえる言語を、僕は最近漸く理解できるようになってきた。
パターンとかそういったものは全く無いのだけれど、なんだかこう、直感的に意味が頭のなかに入り込んでくる感覚があるのだ。
ツッチーの話をまとめると、弾幕ごっこがしたいなら手伝うよ? ということらしい。
ちょっと待とうか。
「いや、手伝うって言っても……たしかに前に空を飛ばしてもらったことはあったけど、それとこれとは話が違うと思うよ?」
「キュー? キュー!」
「いや、確かに混ざってみたいとは思ったけどね? ……そんな自信満々に任せてと言われても」
「キュー!!」
「わ、わかったよ。一回だけお試しということで」
どうにも自信満々なツッチーに押し切られ、僕は渋々承諾する。
一体、何が始まるというのか。
◇ ◇ ◇ ◇
「――ん?」
魔理沙に挑まれて承諾した弾幕ごっこの最中、魔理沙が使用したスペルカードをひらりひらりと躱していた霊夢は、突然後方から光が放たれたような気がしてそちらの方に顔を向ける。
当然、そんな霊夢などお構いなしに弾幕は迫ってくるのだが、霊夢はそれを見ることもなく躱していく。
まさに神業ともいうべき所業を前に、魔理沙はため息を付きながらも霊夢に抗議した。
「おい霊夢、幾らなんでも戦闘中に余所見をするのは舐めすぎだぜ。そんなにつまんなかったか?」
「あー、ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど」
「じゃ、どういうつもりだったんだ?」
「なんか、椅魔奈がいる方角から光が漏れてた気がしたのよ」
「は? 椅魔奈の?」
言われた魔理沙は、椅魔奈がいた場所に視線を向けようとしたが、それより前に椅魔奈の方が霊夢達に近寄ってくる。
椅魔奈は魔法が使えなかったはずなので、思い当たる節は一つしか無い。
その思いあたる節の外見を想像しつつ、魔理沙は口を開いた。
「よう、椅魔奈。ここまでこれたってことは、あのツチノコ目覚めたんだな」
「うん、ついさっきね」
「ん、でもマフラー巻いてないじゃない。確か前回はマフラーになってたわよね?」
「あ、うん。なんだか今回は違うみたいで、今は指輪になってるよ」
『キュー!』
「指輪ぁ? なんだ、椅魔奈はまだ嫁にはやらないぜ?」
「あんたはどこの親父よ。って、椅魔奈も何喜んでるの」
「あ、いや。なんでもないよ」
「はぁ、まぁどうでもいいわ。それより、あんたは危ないから下がってなさい。いくらごっこ遊びとはいえ、危ないのは危ないんだから」
「そうだぜ椅魔奈、近くで観戦したいと思うのは良いが、ちょっと近すぎだ」
二人の指摘に対し、椅魔奈は少し肩を震わせたかと思うと、キッと二人の方向を見て言い放つ。
「僕も……弾幕ごっこがしたい。だから、ルールとか色々、教えて下さい」
若干不安げに言葉の端々を揺らしつつ、それでも二人をまっすぐに見据えてそう言い切った。
魔理沙と霊夢は、お互いの顔を見合わせると、暫くの間押し黙る。
その様子を不安そうに見ていた椅魔奈に、代表して魔理沙が聞いた。
「そうか。まぁとやかくいうつもりはないんだが、一つだけ言わせて欲しい」
「う、うん……」
「その言葉は……お前の本心か? 誰かにそそのかされたから、私や霊夢がやっていたから。そんな理由なんかじゃなく、お前が心から弾幕ごっこをやりたいと思ったのか?」
「え……?」
「切っ掛けはなんでも良い、お前の本心を聞かせてくれ」
じっと魔理沙が椅魔奈のことを見据える。
その金の瞳に心の底まで見透かされているような感覚を覚えながら、それでも椅魔奈は自分の本心を吐露した。
「……思ったんだ。今回の異変で、お姉ちゃんと霊夢さんが初めて妖怪と弾幕ごっこをしたって聞いた時、凄い驚いた。結果的にお姉ちゃんの方は負けちゃったけど、地力で遙か上を行く相手に善戦したお姉ちゃんは凄いと思ったし、霊夢さんに至っては勝っちゃったんだから。それで最初は、ぼんやりと僕も一緒に戦えたらなって、そういう風に思った。だけど、さっきの二人の勝負を見て、綺麗だなって、そう思ったの。戦いとかそういうのを抜きにして、ただ純粋に綺麗で透き通ってるなって……だから、もし許されるなら僕も空を舞いたいなって……ダメ、かな。こんな理由じゃ」
言い切った椅魔奈は、心配そうに魔理沙へとちらりと視線を送る。
難しい顔をしていた魔理沙は、その視線を受けると椅魔奈の方へ顔を向けた。
そして、残念だが、と切り出す。
その言葉に、椅魔奈はどこか泣きそうな顔になったが。
「合格だぜ、椅魔奈」
一転してニヤリとした笑みを浮かべながらそういった魔理沙に、椅魔奈は一瞬呆けたような顔になる。
それがおかしかったのか、魔理沙は声を出して笑い始めた。
「な、誂わないでよ、お姉ちゃん!」
「だっはっは、悪い悪い! いや、それにしてもお前の本心が聞けてよかったぜ」
「うー!」
「そう不貞腐れるなよ、お前が弾幕のことを綺麗だって思えるんだったら、十二分に資格ありだ。そもそも、誰にも止める権利なんてないさ」
「もう、やっぱり誂ってたんだね!」
「いや、面白い反応だったぜ、と」
ひとしきり笑い転げた魔理沙は、目尻に浮かぶ涙をこすりながら、あの快活な笑みを浮かべつつ椅魔奈に笑いかけた。
「ようこそ椅魔奈、
ちょっとした事情で、文章が以前のものより若干変わってしまっているかもしれませんが、ご了承ください。
この日常編は、前後半に別れる予定です。
っていうか、久々にシリアス成分がなかった気がする! やったぜ、俺にだってシリアス以外もかけるんだ!
それと、いつの間にかUAが結構増えてきたことに吃驚してます。お気に入りもそろそろ50と、読んで下さる皆様には感謝してもしきれませんね。
こんな駄文ばかりの私ですが、今後共一年、よろしくお願い致します!
あ、あけましておめでとう……ございました(
それでは、また次回