東方妹霧雨   作:低蓮

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皆さん睡眠時間はしっかりとっていますか?ちゃんと寝ないと疲労が身体に蓄積されますよ。
かくいう私も1日2時間という睡眠時間で頑張ってたら、体中がだるくて死にそうになりました。
睡眠、大事!


僕と狂気とたまに闇@後半シリアス注意報

 出だしで色々ありながらも、異変を解決するべくしっかりと行動を始めた四人(三人と一匹)は、霊夢の勘にしたがって現在神社から北上していた。

 飛んでいる途中もなんやかんやで騒がしかったのだが、ここではそれは省略しようと思う。いちいち挙げると余白が足りないからだ。

 

 

「そういえばお姉ちゃん、今なんとなく霊夢さんについて飛んでるけど、こっちの方角って何があるの?」

「んー? そういや何があったけなぁ……あー、たしかあれだ、霧の湖」

「霧の湖?」

「なんだか知らんけど、年中霧に覆われてるから霧の湖、らしいぜ。実際行ったことはないから知らんけどな」

「ふーん、そうなんだ……」

『キュー?』

 

 

 椅魔奈と魔理沙がそういった会話をしていると、それを聞いていた霊夢が空中で振り返る。

 どうでもいいが、後ろを向いたままでもしっかりまっすぐ飛べるあたり、さすが霊夢といったところである。

 

 

「正確には、霧が張ってるのは昼間だけなんだけどね」

「あれ、そうなのか?」

「そうよ、原因はよくわかってないんだけど、ね」

「へぇ……おかしな事もあるものですね」

『キュー!』

「おい、この場において最も不思議な奴がなんか相槌うってるぜ」

 

 

 一同は雑談しながらも飛ぶスピードは緩めずに、霊夢に追随して行く。

 やがて幾ら飛んだだろうか、霊夢が止まることにより楽しい空のたびは一時中断された。

 前方に見えるのは、眼下に広がる紅い霧から見ても異常なもの。

 

 

「……はぁ、また面倒なときに現れたわね」

 

 

 霊夢が本当に面倒くさそうにため息を吐いて、視線をそれに集中させる。

 視線の先には何も見えなかった。いや、それは正確ではないか。

 正確には、すべてを覆い隠す闇が広がっていた(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 そんな、圧倒的とも言える光景を創りだしたのは――

 

 

「――ねぇ、貴方達はとって食べれる人類?」

 

 

 たった一人の、幼い少女だった(一匹の、人喰い妖怪だった)

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

「ルーミア、あんたこんなところで何してんのよ」

「あれ、私のこと知ってるのー? ってなんだ、霊夢達かー」

「何だとは言ってくれるじゃない、で繰り返すけど、こんなとこで何やってたのよ」

「この霧、居心地がよくってー。思わず運動しちゃいたい気分になってきたのだー」

「迷惑、直ちにやめて巣に戻りなさい。さもなきゃ退治するわよ」

「むぅ、おーぼーだー」

 

 

 霊夢とルーミアがぎゃあぎゃあ言い合っている横で、椅魔奈と魔理沙は困惑顔で待機していた。

 魔理沙はまたか、というような若干呆れも混じっている顔。

 対して椅魔奈は、目の前の光景よりも別のものに困惑していた。

 

 

「(んー、あれ? 僕ってまだルーミアとはあったことなかったよね……)」

「(なのに何で……懐かしいって感じるんだろ(・・・・・・・・・・・・)?)」

 

 

 一度もあったことない相手に抱く懐かしさ。それが何故なのかわからず、椅魔奈は困惑していたのだ。

 考えるあまり、思わずと言った具合に口から唸り声が漏れてしまい、それを耳聡く聞き取った魔理沙が椅魔奈に向かい合う。

 

 

「椅魔奈、どうかしたのか?」

「え? いや、別に大したことないんだけどね」

「大したことでもないのに、真剣に考えこむ奴があるか。どうしたんだ?」

「えと、それがねお姉ちゃん……」

 

 

 椅魔奈がたった今感じたことを大人しく魔理沙に伝えようとした矢先。

 先程よりヒートアップしていた霊夢とルーミアの言い合い(ばかさわぎ)の矛先が、突然二人に向いた。

 

 

「ちょっと魔理沙、ついでに椅魔奈。こいつ取っちめるから手伝いなさい」

「ヒキョーだぞー。せーせーどーどー戦え―」

「黙りなさい、連れてこられる仲間が居ないあんたが悪いのよ。所詮たけのこの里勢に仲間なんて居ないわ」

「お前たち、一体何の言い合いをしてたんだ……」

「何って、当然きのこの山派か、たけのこの里派かだけど」

「なのだー」

「あ、そう……」

 

 

 魔理沙は諦めたようにため息を吐いた。

 もう二人に何を言っても無駄なんじゃないかと悟ったんだろう。

 ご愁傷様、とばかりに魔理沙に同情の目を向ける椅魔奈だったが、ふと視線を感じてそちらの方を向いた。

 すると、ルーミアがジィーーっと椅魔奈を見つめていた。ぶっちゃけると少し怖い。

 

 

「え、と。何か用かな?」

「んー? ……私達、どっかであったことないかー?」

「え……」

 

 

 ルーミアも椅魔奈と同じ感覚を覚えていた。

 漠然とした、でもはっきりと懐かしいと分かる気持ち。

 それを、相手も感じているとしって、椅魔奈は更に困惑を深めた。

 

 

――一体、この気持は何なのか。何故、懐かしいなどと感じるのか

 

 

 その正体を探るべく、椅魔奈は口を開こうとし

 

 

「あの――」

「――やっぱり気のせいなのだー。絶対あったことないのは確定的に明らかなのだー」

「そ、そうかな……」

 

 

 やめた。向こうが気のせいというならそうなんだろう、と。

 自分は転生者でルーミアのことを知っていたから懐かしさを覚え、向こうは似た感じの人間に過去であっていたのだろう、と。

 椅魔奈は自分をそう納得させて、その感情を飲み込んだ。

 

 

「んで、結局どうするんのよ。退治されて巣に戻るか、巣に戻って後々退治されるか、選びなさい」

「霊夢、それは選択って言わないんだぜ?」

「そーなのだー」

 

 

 そんな椅魔奈をよそにまた始まるおはなしタイム(ばかさわぎ)。どうやら今度は、魔理沙がルーミア側についているようだ。

 傍目でその騒ぎを見ながら、椅魔奈は呼吸を整える。

 

 

 大丈夫だ、唯の二次創作のみすぎだ。自分になにか特別な力があると思うな。

 どちらも唯の勘違い、物語はそう都合良く回ってくれないのだから。

 自分はただのMOBキャラ(一般人)、自分は物語の歯車(原作)に関わってはいけないのだ、と。

 己に言い聞かせる。期待してしまう自分を諌める。

 現実は、甘くないのだから(・・・ ・・・・・・・・)

 

 

 再び顔を上げた椅魔奈の顔には、もうすでに陰りはなかった。

 椅魔奈は顔に笑顔を張り付かせて、仲間の方へと振り返る。

 

 

「お姉ちゃんたち、そろそろ――」

「これで終わりよ! 【夢想封印】!」

「――へ?」

 

 

 振り返った椅魔奈が見たものは、弾幕ごっこという名の一方的虐殺だった。

 ボロボロで浮いているルーミアと魔理沙に対して、霊夢は無傷で悠然と浮いていた。

 っていうか、トドメの一撃を放っていた。

 

 

「のわー」

「ちょ、霊夢それはまず……?!」

 

 

 そんな二人の悲鳴(?)をかき消して、ものすごい轟音が周囲にこだまする。

 もうもうと煙が舞い、収まった時にはぼろぼろになったルーミアと魔理沙が地面に落ちていた。

 そんな中、呆然とした表情の椅魔奈に、悠然とした様子で振り返った霊夢は、静かに語りかけた。

 

 

「椅魔奈は……きのこの山派? たけのこの里派?(敵? それとも味方?)

 

 

 手には御札を持っている、正直超怖かった。

 そして、霊夢の目が語りかけていた。

 たけのこ派には死を、と。

 

 

「アハハ、ヤダナァレイムサン、キノコハニキマッテルジャナイデスカ」

「ん、それならいいのよ。それじゃ行きましょうか」

「ハイ……ってちょっとタンマ。え、そこの妖怪はともかく、お姉ちゃんはどうするの?」

「は? 歯向かうやつに(たけのこ派に)慈悲なんてないわ。目を覚ましたら勝手に追っかけてくるでしょ」

「うわぁ……適当……」

「なんか言った?」

「イエナニモ」

 

 

 椅魔奈は冷や汗を流しながら、どうしたものかと少し考える。

 そして出した答えは、単純明快。

 

 

「僕はやっぱりお姉ちゃんが心配だから、戻ってお薬持ってくるよ。霊夢さんは先行ってて」

「ん? まぁ言われなくてもそうするけど、ちゃんと場所わかる?」

「なんとか、霧の湖ってとこだったよね」

「そ、その湖の中心に用があるんだけどね。そんじゃ、魔理沙が目を覚ましたらよろしく伝えといてね」

 

 

 霊夢はひらりと手を振ると、そのまま飛び去ってしまった。

 椅魔奈はそれを見送ると、来た道を振り返って気合を入れなおす。

 

 

「よっし、お姉ちゃんのためにも、急いでお薬持ってこないとね」

『キュー!』

 

 

 ツッチー、久々の登場である。というか、今まで黙っていたのか。

 その事実に気がついて、若干苦笑しながらも椅魔奈はもと来た道をひた戻る。

 それが、運命の分かれ道だとは知らずに。

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 昼間は常に霧で覆われている、不思議な湖「霧の湖」の中心。そこには場違いな感じがひしひしと伝わる、紅を基調とした洋館が建っていた。

 窓は全くと言っていいほどなく、立派な門には本来居るべき門番の姿はない。

 そして何を隠そう、今回の異変はこの館の主、レミリア・スカーレットによって引き起こされたものだ。

 そう、ここまでは何の変哲もない普通のお話(原作通り)。しかし、館内の様子は全く別物だった。

 

 

「――っく、パチェ! まだ見つからないの?!」

「レミィ、騒ぐならどこかへ行ってちょうだい。何度も言ってるけど、この幻想郷だって広いのよ。そう簡単に見つかるわけじゃない」

「そ、そうですよお嬢様。暫くは見つからないでしょうし、その間に少し休まれては……」

「黙れ美鈴、そもそもお前が居眠りしてなきゃこんなことにはならなかったのよ?」

「はい、ほんとに申し訳ありませんでした。だからそのぅ、グングニルは勘弁を……」

「咲夜、美鈴を捕まえておきなさい」

「はい」

「ちょっと咲夜さん?! これはいくらなんでも酷すg――」

「――うるさい、ほんとにあんたらここから出てけ」

 

 

 普段感情を滅多に出さないパチュリー・ノーレッジの額に青筋が浮かんでいるのを見た面々は、すぐさま押し黙る。

 騒いでいるものも、作業に集中するものも、思いは皆同じ。

 それを知っているからか、パチュリーはため息一つだけ吐くと、元の作業に戻った。

 しんと静まり返った部屋に、再び息苦しい空気が充満し始めた。

 痛々しいほどの静寂が支配し、そろそろ時間の感覚すら危うくなってきた頃、漸くその静寂は切り裂かれた。

 

 

「――! 見つけた、漸く見つけたわレミィ!」

「よくやった! 今どこにいるんだ?!」

「ここは……!」

 

 

 パチュリーはそこまで言うと、口元をこわばらせて言葉を飲み込んでしまう。

 レミリアはそのことに疑問を感じながらも、焦った表情で続きを促す。

 

 

「パチェ、一体どこだ、どこに居るんだ?!」

 

 

 その言葉に、半ば呆然とした表情で振り返ったパチュリーは、絞りだすような声で言った。

 

 

「人里の近くよ……運の悪いことに、近くに人間も居るわ」

「ま、まさか……」

「ええ、その人間はもう助からないでしょうね――フランと出会ってしまったら」

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 一方椅魔奈は、一度人里に戻ってから薬を持って再度魔理沙のもとへ向かっていた。

 この時すでに魔理沙は目を覚まし、霊夢の後を追っていってしまっているのだが、そんなことは知る由もない椅魔奈。

 少しでも早く薬を届けようと、現在最大速度で飛行中だった。

 

 

「ツッチー、もうちょっと速度でないかな?」

『キュー!』

「無理かぁ……残念、まぁこのままでも十分速いけどね。ごめんねツッチー」

『キュー? キュー』

 

 

 段々と会話が成立してきた二人(一人と一匹)だが、そこのところは気にしてはいけない。

 さて、なおも飛行を続ける椅魔奈だったが、ふと視線を感じて周囲を見回す。

 けれども、見える範囲には人っ子一人おらず、妖怪の影すら見えない。

 はて、気のせいだったのだろうか? と探すのをやめて少し行くと、更に視線は濃いものとなった。

 

 

「……なんだろ、誰かに見られてる気がするんだけど……」

『キュー?』

「ツッチーも感じる? なんなんだろうね……」

 

 

 椅魔奈は移動するのをやめると、注意深くあたりを見回す。

 けれども、目に見えるのは眼下の木々や紅い霧、そんなものばっかりで視線の主はどこにも見当たらない。

 おかしいな、と首を傾げた時。

 ゾワッと背筋にすさまじい悪寒が走った。

 

 

 彼女はまだ気がつかない。

 いくら注意深く周りを見ても、その姿を捉えることが出来ないことに。

 何故なら、ソレ(・・)は確実に椅魔奈の死角に来るように絶えず移動しているのだから。

 だから、気がつけない。

 

 

「…………」

 

 

 狂気に飲まれ、狂気に染まり、狂気を振りまく存在に、目をつけられてしまったことに。

 

 

 気がつけないでいた。

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 どうも読者諸君、ここからは僕視点で進行するよ。と言っても詰んでる感満載なんだけど。

 説明しよう、視線を感じた僕は周囲を見回した。だけど誰も居なかった、そしたら僕の第六感が悲鳴を上げ始めた。振り返ったらなんかいた。

 うん、なんかっていうか、あれフランだよね? フランドール・スカーレットだよね?

 はい詰みましたわーなんも出来ませんわー。

 え、何なんでこんなところにいるの? 紅魔館に引きこもってるんじゃなかったの? 出番まだだよね、ねぇ?

 っていうか僕見てすっごい笑ってるし。狂気びんびんに垂れ流してるし。原作仕事しろよ。

 取り敢えず、穏便に済ませたい。絡んだら死ぬ、絶対死ぬ。

 

 

「えと……あなた誰?」

「私はフランドール・スカーレット。最近まで地下に幽閉されてたんだけど、飽きたから出てきちゃった」

「そ、そうなんだー……」

 

 

 飽きたから出てきちゃったっておかしいよね、幽閉されてるのに飽きたら出れちゃうって絶対おかしいよね?

 何この規格外、えっと確かフランの能力って……

 

 

 【すべてを破壊する程度の能力】

 

 

 うん無理、さよなら僕の第二の人生。

 

 

「フランね、いい子にしてろって言われてたから、ずっと一人で待ってたんだ。ずっと、ずぅっと、何百年も一人で。お姉さまが持ってきてくれた玩具で遊びながら、寂しくないって自分に言い聞かせながら…… だけど、飽きちゃったの。お姉さまが持ってきてくれる玩具はすぐ壊れちゃうし、お部屋の景色は代り映えしないもの。だから、全て壊して出てきた。外の景色がどうなってるか見たかったから」

 

 

 僕が人生を諦めかけてると、突然フランが語りだした。

 確か、フランはその身に宿す力と狂気で、地下に幽閉されてたって見たことがあった。

 何も知らなければ、当然のことだって思うよね。実際僕も今この時までそう思ってた。だけど――

 

 

「――でも、外も地下も変わらなかった。広いか狭いかの違いだけで、フランが触れるものは全部壊れちゃう。全部全部、壊れちゃうんだ……」

 

 

 だけど、やっぱり違うんだ。僕はまだ、勘違いしてたんだ。

 この世界に、原作なんてものはない。この世界に生きるもの全てに、きちんとした意志があるんだ。

 そうじゃなきゃ、説明できないじゃないか。

 

 

「……ねぇ、どうしてフランは、生きてるのかな? 何のために、生まれてきたのかなぁ……?」

 

 

 笑いながら、残酷に嗤いながら、純粋な心を狂気で染め上げながら。

 それでも、彼女(フラン)は涙を流しているんだから。

 

 

 救いたい、と心の底から思った。

 僕程度が他人を救おうなんて痴がましいとは思う。

 でも、目の前に泣いている女の子がいるんだ、狂気に染まっていようが、実は何百年も生きていようが、そんなのは関係ない。

 もしここにいるのが僕じゃなくて、魔理沙(お姉ちゃん)だったとしても、きっと、いや絶対助けたいと思ったはずだ。

 この世を何も知らないでただ生き続けるなんて、そんなのあんまりじゃないか。

 

 

「僕にはあなたがどうして生きてるのか分からないし、あなたが生まれてきた意味もわからない」

「…………ッ」

「だけど、一つだけわかるよ。あなたは外のことを何も知らない、辛いこともあるけど、それと同じくらい楽しいことがあることを知らない。だからさ、生まれてきた意味なんてどうでもいいんだ。誰か一人でも、あなたにいて欲しいって思う人がいれば、それが理由になるんだよ」

「……でも、そんな人…」

「ここにいるよ、あなたに――フランに居て欲しいって、僕がそう思ってる」

「……どうして? 私達、初対面で、お互いのことなんてなんにも知らないのに、どうして……?」

「友達にいて欲しいって思うのは、おかしいかな?」

「とも……だち……?」

「そう、僕たちは今この時から友達。一緒に笑い合ったり、遊んだり、困ったときは助け合う、そういう関係」

「そっか……ともだち……」

 

 

 フランは、友達という言葉を噛みしめるようにつぶやくと、頬を少し紅潮させ、えへへ、と小さく笑った。

 その笑顔は狂気に染まったものではなく、見た目相応の少女のもので、思わず見とれちゃったのは内緒だけどね。

 一瞬笑ったフランだけど、すぐにその顔に影を落として、言いづらそうに呟いた。

 

 

「……だけど、あなたも触ったら壊れちゃう。だから……」

「大丈夫、僕は壊れないよ。ちゃんと受け止めてあげる」

「……でも」

「……ねぇ、フラン。怖がってたらできるものもできなくなっちゃう。今までたくさんつらい思いをしてきたかもしれないけど、もう一歩だけ、踏み出してみよう?」

「一歩……?」

「うん、あと一歩だけ」

 

 

 そういって僕は右手をフランに差し出す。

 正直色々言ってるけど、僕が壊れない保証なんてどこにもない。

 っていうか、十中八九僕は死ぬかもしれない。

 僕が死んだら、それこそ取り返しのつかないくらいフランは狂気に飲まれるかもしれない。

 でも、きっと大丈夫だって、そんな予感がする。

 根拠の無い、唯の感覚だけど……

 

 

「……ね? 大丈夫」

「……うん、うん…………ッ」

 

 

 恐る恐る僕の手をとったフランの手は、とっても細くて、とっても小さくて。

 僕を壊してしまうんじゃないかって、そういう恐怖からか震えていた。

 だから、僕は安心させるように声をかける。大丈夫だよって、壊れないよって。

 フランは、涙を流しながら何度もうなずいた。終いには、僕に飛びついて大泣きしはじめた。

 それほど辛かったんだろう、どれほど孤独だったんだろうか。

 僕はそう考えながら、何も言わずに、フランが泣き止むまでずっと背中をさすり続けた。

 

 

 

 

 

 

「あ、待ってフラン。そんなに強く抱きしめたら中身でちゃ……ちょ、苦し……クル……かゆ…うま……」ガクン

「え、あごめん力入れすぎちゃった?! ちょっとしっかりして、えーとえーと……あ、名前教えてもらってない! ダメだよ、壊れないって言ってたじゃない!」

「フラン……ごめんね……約束、守れなかった…………あ、ちなみに僕の名前は椅魔奈だよ」

「椅魔奈ぁ! 死んじゃダメぇ!」

「え、ごめんフランさっきのは演技で……ちょ、揺すらないでそんな高速で揺すらないで! 中身が! 中身がシェイクされ……うぷ、オエェェ」




原作と違う? 展開が急?
HAHAHA、そんなものは知らん(

というわけで、何故かEXボスのフランちゃんが1面に相当する場所で登場です。
理由? もちろん、今後フランちゃんをバリバリ外に出すためさ!(
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