最近、絵を書いたり仕事をしたりと忙しく、中々筆を執る時間が作れませんでした……
それと、だいぶ時間がたってしまったために、書き方が途中から変わったりなど、大変見苦しい文になってしまいました。
気がついたところから修正はしていきますが、誤字脱字などございましたら感想欄にてご指摘ください。
――え? 忙しかったとか言っておいて、お前他の作品を投稿していただろうって?
な、何のことだかさっぱりわかりませんね……
し、仕事が私を呼んでる!(逃げ
感想や評価などもお待ちしております
「あ、椅魔奈ー! 来たよーっ」
「いらっしゃい、と言っても主催は霊夢さんだけどね。レミリアさんたちも、いらっしゃいです」
「ええ、お邪魔するわ」
「おっ邪魔しまーっす!」
「美鈴? あんまり騒ぐとお嬢様の格が疑われるわ。静かにしなさい」
「ひぐぅ?! わ、わかりました咲夜さん! 騒がないのでそのナイフを仕舞って――あいたぁ?!」
取り敢えず宴会の準備をしようと一旦別れたんだけど、準備の方は殆どすることはなかった。料理は紅魔館の方で作って持ち寄ってくれるそうだったし、やることと言ったら境内に適当に風呂敷を広げて、あとは机を幾つか持ちだして料理を広げる場を確保するのみ。
運び出すだけ運びだしたら手持ち無沙汰になってしまったので、縁側に座ってぼうっと待機していた。
因みに、霊夢はちょっと用があると言って神社の中に引っ込んでしまい、魔理沙は酒を探してくると言って、これまた神社の中に消えていった。そういえば、
そんなこんなで紅魔組を待っていると、程なくしてフランを筆頭に紅魔組が姿を現した。
取り敢えず脳天にナイフが刺さっている目の前の門番は無視して、フランたちを歓迎した。
「それで、その主催の巫女はどこに居るのかしら? 客が来たというのに出迎えもしないなんて」
「なんだか用があるって言って、神社の中に引っ込んじゃった」
「あれ、それじゃ魔理沙は?」
「お姉ちゃんならお酒探すって言って、同じく神社の中。そろそろ凱旋してくる頃だとは思うけど」
「おっしゃ! 漸く見つけたぜ! 霊夢の野郎、座敷下なんかに隠しやがって」
「噂をすればなんとやら、ね」
「寧ろなんでお姉ちゃんはそれを見つけられたのか不思議だよ……」
嬉しそうに酒を振り回しながら魔理沙が神社の中から出てきた。すでに少しだけ頬が赤くなっているところを見ると、もう少し飲んだのかな……
相変わらず霊夢は神社の中から出てこなかったけど、そんなのはお構いなしに咲夜の手によって次々と料理が並べられていく。
やっぱり洋食系等がメインみたいだったけど、霊夢とかを意識したのか和食らしき料理も点々とあった。っていうより――
「えっと、咲夜さん。これ、料理おおすぎない? 私達で食べきれる気がしないんだけど」
「あら、そういえば人数の割には多すぎたかもしれないわね……ま、そのうち野良妖怪が参加して食べ物を消化してくれるでしょ」
「ええ、そんな適当な……」
「美味しそうな匂いがするのだ―!」
「……ほら、一匹釣れた」
「あー……」
見事に釣られたのは、序盤で魔理沙とともに吹き飛ばされていたルーミアだった。
彼女も異変に関わっているといえば関わっているんだけど、霊夢に早々に退治されていたから、正直影が薄かったというかなんというか……
そういえば、霊夢だ。
奥に行ったきり中々戻ってこないし、何かあったのだろうか?
「霊夢さん遅いなぁ……ちょっと僕、見てくるね」
「行ってらっしゃい、もう数名食べ始めてるみたいだし、勝手に始めていてもいいわよね?」
「い、いいんじゃないかな……? その辺も霊夢さんに言っておくね」
「分かったわ、頼んだわよ」
そう言ってレミリアのもとに戻っていく咲夜を見送りながら、僕は神社へとからだの向きを変えた。
用事と言っても、ここまで長いと流石に心配になってしまう。
面倒になって用事と偽って奥で休んでいる可能性もなくはないと思うけど……
大丈夫かな?
◇ ◇ ◇ ◇
時は少し遡って、用があると神社の奥に入ってきた霊夢。
ある一室でピタリと足を止めると、前を見据えたまま背後の空間へと呼びかけた。
「で、ずっと視線を向けられていると気持ち悪いんだけど……何か用?」
「あら、気持ち悪いだなんて……ただ見ていただけじゃない」
「それが気持ち悪いっての。四六時中視線を感じる身にもなれ」
「お花を積んでいる時なんかは、覗いたりしていないわよ?」
「阿呆、すべて赤裸々に見られてたまるか。んで、何が目的なのよ」
「……霧雨の次女、彼女についての話よ」
「……椅魔奈のこと? あいつがどうしたのよ、魔理沙みたいに魔法が使えるわけでもないし、只の人間でしょ?」
「いいえ、彼女は歪な歯車。今は咬み合っていても、いずれ歯が潰れ回らなくなる」
「はぁ……? 確かに少し抜けてるところがあったり、おかしなやつかもしれないけど……歪ってほどじゃ」
霊夢がため息をつきつつ後ろを振り返ると、予想通りそこには一匹の妖怪が立っていた。
金髪を幾つかリボンで束ね、手にはたたまれた日傘を持っている。
体躯は少女のようだが、その実は長き時を生きる古参の妖怪だ。
その妖怪――八雲紫が立っていたところまでは霊夢の予想通りだったが、纏っている雰囲気は予想外だった。
「なんか、あんたがそういう物悲しげな雰囲気を出してるのって……似合わないわよね」
「……か、かなりざっくり言うわね。私だってこれでも生を持つもの、時に悲しくなる時だってありますわ」
「喜々として相手をはめている雰囲気が一番似合う」
「……ちょっとまって霊夢そのことについて少し詳しくお話を」
「だって、そんな感じじゃない」
「否定はしませんけれど!」
叫んでから、話がそれたとばかりにやや赤面しつつ咳払いをする紫。
彼女の恐ろしさをよく知っているものからしたら、目を疑う光景であったことだろう。
実は紫は霊夢の半ば育て親のようなものであり、霊夢に対してのガードが緩かったりする。
「んんッ! それで、話の続きをしましょうか」
「ええと、椅魔奈が歪だとかなんとか……どういうことよ、あいつが危険なわけ?」
「危険、と言うと少し違うかもしれないわね。彼女はいわば、能ある鷹。けれども、己の持っている爪がどんなものか気がついていない。ただ、無意識のうちに爪を隠してしまっている……」
「わっかりにくいわね……つまりどういうことよ」
「残念だけれど……今は詳しく伝えることは出来ません。今はまだ、その時ではない」
「まぁた面倒なこと考えてるわね……? ったく、その時とやらが来たらちゃんと教えなさいよ?」
「……ええ、約束しますわ」
紫はまたやや悲しげな表情をしたが、しっかりとうなずいた。
その様子を確認した霊夢は、大きなため息を吐きながらもしかたがないというふうに首を左右に振った。
「ならいいわ、あんたがまだって言うならまだなんだろうし」
「霊夢……あなた」
「仮にも巫女としての修行を付けさせられたり、色々面倒見てもらってんのよ。それくらいの信頼は当然生まれるわ」
「……そう、嬉しいことを言ってくれるわね」
「それ以上に、あんたの胡散臭さをみせつけられてるから、複雑な気持ちだけど」
「ちょっと前の感動を返してくださいまし!」
「勝手に感動したのはそっちでしょ。知らないわよそんなの」
「……ところで霊夢さん? 修行の方はきちんとやっていて?」
ゔ、と声をつまらせてそっぽを向いた霊夢に、紫は大きなため息を吐いた。
どうせそんなところだろうとは思っていましたけれど、本当にいつまでたってもやらないものね、と内心ぼやきながらずずいと霊夢に近寄る紫。
それに対して、霊夢は素早く同じだけの距離を空けると、ぶすっとした顔で応じた。
「し、仕方ないじゃない。努力なんて面倒なことしなくたって、今のままで十分よ」
「へぇ……いいますわね。本当に十分なのかしら?」
「あ、あたりまえじゃない! 私を誰だと思って」
「なら当然、【夢想天生】は使え……霊夢?」
紫の言葉の途中、詳しく言えば「なら当然、むそ」というところまで聞こえた時点で、霊夢はがばっと音がするほどの勢いでそっぽを向き、知らん顔をし始めた。ご丁寧に口笛まで吹いている。
完全にジト目になった紫は、更に霊夢に顔を近づけて言い募る。
「当然、【夢想天生】は、使・え・ま・す・わ・よ・ね?」
だらだらと汗を流す霊夢に、視線を向け続けること数分。
漸く霊夢ががっくり肩を落とすと、小さな声で言った。
「今週中には……いえ、今月中……今年、この人生中には習得するわよ」
「……目標がどんどん小さくなっているのには、突っ込むべきなのかしら?」
「是非スルーでお願い致します」
「全く……貴女が努力が嫌いだということは重々承知しているのだけれど、もう少し意欲を見せてくれてもいいのではなくて?」
「そこは却下で」
「はぁ……」
完全に呆れたようにため息を漏らした紫は、ふと何かに反応したようにピクリと眉を動かした。
そして、表情をすっと元に戻すと、霊夢に念を押すように
「『霧雨の二人』、頼みましたわ」
といって、スキマを開けるとそのまま姿を消した。
それを何の気なしに見送ってから、霊夢はあれっと首を傾げた。
霧雨の……
椅魔奈だけじゃなかったっけ?
少し悩んだ後、割とどうでも良くなった霊夢は考えを切り上げた。
「――えと、霊夢さん。用事はもう良いの?」
「ん、ええ今終わったわ。待たせて悪かったわね」
「ううん、っていうか皆もう食べ始めちゃったから」
「ま、そんなところだろうとは思っていたけれどね……」
「僕が探しに行こうとしていた時には、もう結構な量食べられていたけどね」
「――こうしちゃいられないわ。タダ飯のチャンスをみすみす逃すもんですか!」
「え、ええ……」
猛烈な勢いで神社の外へ駆け出していった霊夢を呆然と見送りながら、椅魔奈は呆けたような声を発した。
◇ ◇ ◇ ◇
すごい勢いで霊夢が走り去っていった。
すごい勢い過ぎて、一瞬体がぶれたのかと思ったよ、いや本当に。
あんなに焦らなくても、別に料理は逃げていかないのに。
そう思いながら苦笑いを浮かべ、僕は霊夢の後を追った。
ええ、そう思っていた時期が僕にもありました。
確かに料理は逃げて行ってないけど、これはあんまりだ。
僕が霊夢の後を追って境内に出てみると、何やら言い争う声が聞こえた。
お酒がはいって興奮でもしちゃったのかな、と思って近づいてみたんだけど……
「――ちょっと、ふざけんじゃ無いわよこの阿呆妖怪とバカ妖精! あんたらのせいで苦労した私の慰労も兼ねてるんだから、ちょっとは食べるの自重しなさい!」
「そう言われても、目の前に美味しそうな料理が放置されていたら食べるしか無いのだー」
「あふぁいふぁふぁいふぉうふぁふぁふぁ、ふぁべふぇふぇもいいふぁおえ!(あたいは最強だから、食べててもいいわよね!)」
「………………い」
「「い?」」
「いい加減にしなさいこんのアホ共があああぁぁぁぁ!!」
よく見るとルーミアの周りには空のお皿が大量に散らばっており、チルノは逆に大量の食べ物がはいった皿を抱え込むようにして食べていた。
慌てて周囲を見回すと、残っている食べ物は殆ど無く、他の面々は満足して地面に寝そべったり楽しげにお酒を呑んだりしている。
いつの間にか見慣れない妖怪や、あややこと射命丸 文の姿も見える。その奥にいるのは……
……あれ、幽々子だよね? 何やってるのあなたこんなところで。
まだ出番じゃないでしょ、早く帰って! という僕の願いが聞き届けられたのか、妖夢らしき影が幽々子を引きずって行ってくれた。
良かった……ッ! 何が良かったかわからないけど、とりあえず良かった……
さて、霊夢達のことをどうやって諌めたらいいのだろうか。
周りは諌める気は更々無いみたいだけど、このままだと周囲に被害が……
――周囲?
……あれ、そういえば一度目を話して以来、魔理沙の姿を見かけないような気がする。
まさかとあたりを見回してみたけど、目立つはずの彼女の風貌を視界に入れることが出来ない。
そして、一つの嫌な予感が頭をよぎる。
――
いや、その可能性は低い。あの魔理沙のことだ、酒を飲んで何処かで休んでいるに違いない。
でももし、もし巻き込まれていたら。
それでもし、怪我の一つでもしていたら――
「――覚悟はできているんですね?」
「「「ッ?!」」」
思ったより低い声が出てしまった。そんなに怒ってるつもりはないんだけどな。
僕の声が聞こえた途端、ビクっとなって身を縮こまらせる三人。
そして、恐る恐ると言った具合に僕の方へと視線を向けてきた。
三人揃って、一度顔を見合わせると、まるでお前が行って来いとばかりに、チルノとルーミアが視線で霊夢を促す。
再び僕の方を向いた三人の中で、徐ろに霊夢が口を開いた。
「えっと……椅魔奈? な、何か気に触ることでも?」
まるで猛獣に対するかのような悲壮な表情で話しかけてくる霊夢に、多少ムッとなる。
すると、その表情をどう捉えたのか、チルノが慌てた様子で横から口を挟んだ。
「あ、後であたいが責任をもって料理を用意するから! だからそんなに怒らないで欲しいっていうか!」
あぁ、なるほど。僕が料理を食べられて怒ってると思ってるんだね。
ははは、やだなぁ。
「怒ってなんか……イナイヨ?」
「ひぃ……?!」
なるべく平常心を心がけていたつもりなんだけど、何故か対面しているチルノはガタガタと震え始めてしまった。
笑顔が足りなかったのかな、とニッコリ笑ってみても、チルノの震えは止まらない。
それどころか、霊夢やルーミアまでガタガタと震え始めた。
「おいおい……何やってるんだ?」
不意に聞こえてきた声に視線を向けてみると、魔理沙が呆れたような顔をして立っていた。
視界の端でほっと胸をなでおろしている三人組が見えたような気もするけど、そんなことは今はどうでもいい。
自然と緩む頬を自覚しつつ、魔理沙に話しかける。
「お姉ちゃん! さっきまでどこに行ってたの?」
「ん、ああ。ちょっと飲み過ぎちまったみたいだから、木陰で休んでたんだ」
「そっかぁ……うん、お姉ちゃん、飲み過ぎはダメだよ?」
「わかってるって。流石にもう飲めないぜ」
飲む酒ももうないしな、と笑う魔理沙に、いくら何でも飲み過ぎよ、と霊夢が突っ込んだ。
チルノとルーミアはいつの間にか退散していて、遠巻きにこちらを眺めながらせっせと料理を消費していた。
っていうか、まだ残ってたんだね……
途中、少し酔っ払った咲夜が宴会に見世物はつきものだと言って、門番をハリネズミにしたりと色々あったけれど、やがて参加者の大半が酔いつぶれるに至って、宴会はお開きになった。
結局、起きていたのは僕と咲夜さんだけで、他の面々は気持ちよさそうに地面に転がって寝ている。
流石に天狗なだけあって、あややは皆が酔いつぶれたあとも元気にお酒を飲んでいたけど、記事を閃きました! と叫んで元気に飛び去っていった。
紅魔勢の世話と後片付けは咲夜に任せて、僕は霊夢と魔理沙を神社の中へと運び込んだ。
他の妖怪たちは……残酷なようだけど、地面で朝を迎えてもらうことにした。
決して、料理を食べ尽くされたことを根に持っての行動ではない。決して。――そういうことにしよう。
片付けは明日に回すことにして、僕もいそいそと布団に潜り込んだ。
なんだかんだ言って、疲れが溜まっていたのだから仕方がない。
魔理沙の寝顔に心のなかでお休みを言ったあと、僕は瞼を下ろし、夢の世界へと旅立っていった。
◇ ◇ ◇ ◇
何もない空間、スキマと呼ばれる世界と世界の間のような場所に、一人の妖怪が立ちすくんでいた。
普段、他者から胡散臭いと評判の顔には表情らしい表情は浮かんでおらず、たたまれた日傘を握る手には無駄に力が篭っている。
暫くの間瞑目していた彼女は、静かに目を開けると歩き始めた。
その目の前の空間が縦に裂け、彼女の身体をすべて飲み込む。
そして、通った先に広がる光景は――
「――ここも、酷い有様ね」
眼下に広がるのは、
木々は枯れ果て、山々は燃えて、生命の気配が全く感じられない世界。
本来、幻想郷がこんな姿になる前に、管理者である紫が対処するはずであり、もし出来なくても少なくとも黙ってみているはずがない。
しかしなぜ、幻想郷がこのような姿になっているのか。
暫くその光景を眺めていた彼女は、ふと何かを見つけて地面に降り立った。
視線の先、そこに転がっている物体――否、妖怪に無言で近寄る。
手足はちぎれかけ、その瞳には何も写っていない。
一目で死んでいるとわかるその妖怪に、彼女は若干の落胆とともにため息を吐いた。
暫くの間その妖怪の死体を眺めていた彼女は、再び空間に裂け目を作ると、どこかへと姿を消した。
ぽつり、と誰もいなくなった幻想郷に恵みの雨が滴る。
けれども、その恵みを受けられるものはすでに幻想郷からは絶えてしまっていた。
冷たい雨が荒れた大地に、斃れた妖怪に降り注ぐ。
雨によって顔に降りかかった血糊が流れ落ち、その成端な顔が顕になる。
見開かれたままで何も写していない瞳は、薄い金色をしている。
長い金髪を、解れてはいるもののリボンでまとめており、そばには見覚えのある日傘が落ちていた。
無限に近くある可能性、その一つ一つに結末が有るように、この幻想郷にも終焉が訪れていた。
平行世界、そう形容される別の世界線にあるこの幻想郷は。
その管理者や住人たちとともに、深い深い、いずれ覚めぬ眠りへとついていたのだった。