これはオラクル細胞によって形成されたバケモノ、アラガミと戦う話。そんな最中、彼はやって来る。
宇宙から、輝く星に乗って・・・。


※ 注意! ※

・自己満足のための、自己満足による自己満足小説。
・ぽよ、かーびぃぽよぽーよ! (訳:ぽよとかーびぃしか喋らないよ!)
・スーパーアイドルカービィ
・キャラが崩壊している可能性
・多分じゃなくて続かない。

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いつのまにかこんなものを書いてしまった。だが後悔はしないのである。

 
 


流星の使者

 

 

 

 

 

 

ここはヒトが最後の足掻きの地として選んだロシアという国だった場所。その寒さはただのヒトには厳しく、死だってあり得る物だ。・・・ただのヒトだったならば。

 

 

「やーっぱ、ここは冷えるなぁ」

 

「だから一枚多く着ろと言っただろう。馬鹿め」

 

「・・・」

 

「ひっでぇ言い方! ま、動いてりゃあ暖かくなんだろー」

 

 

軍用ヘリコプターの中、くしゃみをして鼻を啜る黒髪の青年リンドウと、そんな青年を厳しく叱る同じ黒髪の女性ツバキ、そんな二人の前の席で白髪の少年ソーマがフードを目深に被って沈黙を保っていた。プロペラの回る轟音の中、気軽に話す彼らは、人類及びこの世の生物全てを脅かすモノである《アラガミ》を殺す兵士―――ゴッドイーターだ。

人類の最終兵器になった先駆者三人が今回任された任務は誘導。簡単に言えば時間稼ぎ。今回の作戦の肝は“旧世代”最強の兵器である核兵器だ。そのため、ゴッドイーターたちはあまり歓迎されていない。だが、どんな気に食わない相手だろうと、面倒な任務だろうと、仕事は仕事。彼らは、今日もアラガミ専用の武器である《神機》を手に戦乱の渦に飛び込んで行くのだ。

談笑していた三人だが、作戦の時間が迫って来た為に各々の神機を手に取った。そしてヘリコプターから飛び降りたその時・・・!

 

 

―――キイイイイイイイン!!!

 

 

そんな音と共に、閃光を放つ物体が空から降ってきた。キラキラ輝くそれは、同じく落下する三人の横を通過して、アラガミたちが蠢いているすぐそこに突き刺さった。

・・・轟音が辺り一面に響く。すわ新手のアラガミか! と雪の上に降り立ち駆け寄ったゴッドイーター。幾つかのアラガミを巻き込んでクレーターを整形したソレは、イラストの星のような形をしていた。そんな星にはなにやらピンク色の丸いモノが引っ付いている。コロンと落ちたソレは気の抜ける声でこう言った。

 

 

「ぺぽ!」

 

 

もぞもぞと転がって立ち上がると笑顔を浮かべて、こちらへと手を振る様はなんの敵意もなく、嬉しそうによじ登ってくる所はどこかほのぼのとしている。・・・がここは戦場だ。すぐ傍までアラガミたちが迫っていた。近くに寄ってきた恐竜のような姿のアラガミ、オウガテイルを切り捨て、コアを破壊しながらアラガミの大群の方へ吹き飛ばす。その余波でピンクのモノがコロリとまた転がっていたが、リンドウたちに構っているヒマはなかった。

 

 

「せぇい! ・・・っておう、お前は逃げろよ。まぁ、通じるわけねえよ、なっ!!」

 

「リンドウ、余所見をするなっ」

 

「・・・」

 

 

激しい戦闘音が辺りに響く。常人であれば出来ない滑らかな動きをしながら、アラガミを駆逐していく三人の後姿を、クレーターからよじ登ってきたピンクボールが眺めていた。そして、オウガテルに追われて全速力で逃げていった。・・・アラガミの群れの方に。

ものの見事にアラガミの間をすり抜けていくピンクの物体を、オウガテイルや猿のようなアラガミであるコンゴウ、サソリのような外見のボルグ・カムラン、赤い外套のような器官を持つ、猫科の動物みたいな姿をしたヴァジュラが目で追う。・・・なぜか他のアラガミも釣られるようにしてピンクボールを追いかけ始める。余所見をしたヴァジュラとコンゴウを切り捨ててコアを潰しながら、三人は呆気に取られてその姿を見ていた。だが、注意はピンクのモノに寄っている。つまりチャンスである。三人の作業は格段に楽になったのだった。

 

 

「・・・なーんか、アイツ、おいしそうなんかねぇ」

 

「こういったモノを見るのは始めてだが・・・出来れば捕獲した方がいいのかも知れないな」

 

「・・・アイツ、なんか変わってないか?」

 

「んん? よーく見りゃ、今さっきまでなかった帽子があるような・・・」

 

 

楽になった単純作業を続けながら、ゴットイーターならではの視力でピンクボールの動向を探る猛者三人。血飛沫飛び交う向こう側では、どこからか現れた牙の生えたトラ猫のような帽子と、赤いマントを羽織ったピンクのモノが、キメポーズと共にどこか見慣れた雷球を繰り出している所だった。掛け声は「カァービィ!」である。

今度こそ三人は驚愕した。なぜならそれは、その攻撃は、ヴァジュラのモノだったからだ。攻撃しては逃げるピンクのモノがアラガミの波に飲まれ、そして姿を現したときにはまた帽子が変わる。今度は戦車に骸骨のデザインをくっつけたような外見の、クアドリガの骸骨と排熱器官をモチーフにした帽子と、肋骨を思わせるデザインの背負い籠に入ったロケット弾を勇ましくふるって爆破を続けている。・・・たまに放すタイミングを失ったのかロケットと一緒に空を舞っていたが。

花火のように空を駆け巡る無数のロケットに、その近くに居たアラガミたちがドンドンと減っていく。だが、それと同時に、増援も吹雪の向こうからやって来るのが見えていた。ピンクのモノもその増援が見えたのか、慌てて逃げようとしている。・・・が、また追いかけっこが始まって「ペボーーーー!!」と悲痛な声が響く。

その憐れさに少しばかりの良心の呵責が起こったところで、ピンクボールが大きく口を開いた。コミカルな表現ではあるものの、ソレはこんな感じに起こったのだった。

 

 

――――パクッ、ゴクン。

 

 

今まで以上の驚愕がゴットイーターたちを襲う。それほどピンクボールが行ったことは、ゴットイーター以上に非常識だったのだ。

何をどうしたかと言えば、ただ、ピンクボールの口にボルグ・カムランが吸い込まれた、と言うだけの話である。・・・その大きさの差を考えなければ、食べたと考えるのが妥当であろうが、ピンクボールは片手で持てそうなほどに小さかった。なのに、ヒトよりも大きなボルグ・カムランを、丸呑みしてしまったから驚きだったのだ。

 

 

「おいおいおい・・・ありえねぇよ、アイツ」

 

「・・・また帽子が変わってるぞ」

 

「どうやら能力をコピーしているらしいな・・・」

 

 

「カービィ!」と言う掛け声と共に、ボルグ・カムランの尻尾と、盾と、鎧のヘルムのような帽子を被ったピンクボールが回転していく。ポーンと今、突進した一つ目のボールに女性の身体をくっつけたようなアラガミ、ザイゴートが吹っ飛ばされていった。段々と目が回ったのか、止まったピンクボールに突進していくアラガミたちだったが、それは空回りする。・・・ソーマがピンクボールを引っ掴んで過ぎ去っていったのだ。ついでとばかりにコンゴウやオウガテイルを真っ二つにしながら、彼は進んでいく。

キョトンとした顔のピンクのモノは、どうやら安全だと理解したらしく、機嫌よさそうに「ペポー!」と鳴いてから元の状態に戻って、ソーマの手にしがみ付いた。

頬を緩めかけたソーマに、リンドウがからかいの言葉を掛けた。

「おー? ソイツ、気に入ったのか」と。

フン、と鼻を鳴らして、ソーマは素っ気無く答える。

「偶々、引っ掛けただけだ」と。

そうは言うが、ピンクのモノを見る目はどうみても優しい色を宿しており、説得力はあまりなかったのだが。話題のピンクボールはご機嫌で、ソーマの肩によじ登って緩い笑顔を浮かべていたのだった。

その間も戦闘は続く。たまに、どこからかヴァジュラ帽子やクアドリ帽子、いつの間にか増えたのだろうか、サリエルティアラやコンゴウ帽子を被ったピンクボールが援護していく。今度はハイテンションにやっているためか誤射は全くと言っていいほどなかった。

 

 

「おー、お前やるなぁ。お前って名前あんのか?」

 

「かーびぃ!」

 

「お前、カービィって言うのか。すげー、通じんのか」

 

「ぽよー!」

 

 

ドレスを纏った女性のようなアラガミ、サリエルをリンドウが一撃で地面に叩きつけ、周りのザイゴートをリンドウの頭に飛び移ったカービィというらしいピンクボールがヴァジュラ帽子を被って打ち落としていく。その間、のんびりとした会話をしながら、カービィ目掛けて飛び掛って来たクアドリガをボコボコにした。

と、上空にホバリングしていたヘリコプターや兵士たちが後退していくのがみえた。どうやら三人を見捨てる心積もりらしい。カービィはツバキが「あのハゲ」と口汚く罵るのを見たが、どう意味かはわからなかったようで元気にボルグ・カムランに向かってロケットをぶち込んでいた。誰かの頭の上がベストポジションらしく、頭の上で足をぶらつかせながらの攻撃はどこかコミカルであるが、三人には微笑ましいという意識ぐらいしかない。まぁ、その微笑ましい姿で成される光景は、微笑ましいもへったくれもなかったが。

 

 

「あー、このまんまだと厳しいなぁ。カービィ、お前って回復とかできんのか?」

 

「ぽよ? ぽよ!」

 

 

任せろ! とばかりに張り切ったカービィは、リンドウからもらった回復柱というものを飲み込んで一回転してみせた。コレを見よ、とばかりに掲げた手には、翠色の宝石が嵌ったステッキのような物。カービィが一振りすると緑色の光を振り撒いていく。それを全員に飛び移り行うと一仕事終えた、と満足そうにツバキの頭で休み始めた。そんなリンドウたちの傷はいつの間にか綺麗に消えていた。

ツバキに撫でられて嬉しそうなカービィだが、その後ろでおかしな現象が起こっていた。そう、ついに融解炉が爆発を起こしたのだ。・・・だが、それは新たな現象によって飲み込まれる。驚く全員だが、ソレはエネルギーを吸い尽くして消えると、衝撃波を生み出していった。

そんな現象に一番最初に行動したのはカービィだ。大きく吸い込んで一回転し呼んだものは自身が乗ってきた星。音より早くやって来たそれは、三人とカービィを乗せて曇天へと昇り始めた。しがみ付きながらもカービィは赤色と緑色に彩色されたピエロの帽子を被ると、迫り来る衝撃波に向かって鏡のような障壁を出現させた。ぶつかった空気の塊が障壁を揺らす。踏ん張るカービィ。たわむ障壁。だがしかし、障壁は割れることなくソレを跳ね返し、役目を終えて消えて行った。

 

 

「お、おぉおおー。ありがとな。守ってくれたんだなぁ・・・」

 

「ぽよー!!」

 

 

上空から大きいクレーターと、カービィが落ちてきたクレーターを眺めながらリンドウが呟く。どんなもんだい、と言いたげにカービィは大きな声を上げた。

空からやって来た星の戦士、カービィ。彼とアラガミたちとの戦いは、始まったばかり―――。

 

 

 

 

 

 




ありがとうござました。


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