戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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今回はファルベとカマイタチ・アポカリプスの初戦。

初戦はつまり、決着は……?の流れになっています。

そして、最後に『歌姫』が顔出し?


7話 ソード・ワルツ

ファルベとカマイタチ・アポカリプスの戦いは烈しい刃の応酬となっていた。

 

「ハアッ!」ファルベが巧みに操るタクトライザーの筋は、流れるようなフェンシングをさらに我流で磨いた捌きであった。

 

突き、払い、切り裂きにリズムに乗ったステップを織り交ぜたタクト=指揮棒の名前にあったものであった。

 

だが、カマイタチ・アポカリプスも自身の最大の武器である腕の鎌を振るい、タクトライザーの太刀についていっていた。

 

『そうか、仮面ライダーの太刀と言うのもここまでという事かな?』

 

カマイタチ・アポカリプスはファルベの攻撃を見切ったような口調で、彼を煽る。

 

ところが、不敵に笑っていたのはファルベも同じであった。

 

「…………フッ…………」

 

ファルベは一気にマントを風に舞わせると、タクトライザーを振りかぶる。

 

『また同じような……』

 

カマイタチ・アポカリプスは鎌で太刀を受け止めようと形に入った。

 

ガッ!そんなカマイタチ・アポカリプスの空いた腹に、ファルベの一撃が入った。

 

『ッ!?』体細胞を作っているアポカリプスピースのコアに衝撃が走る。

 

それは、ファルベの太刀ではなく、スマートな流れから繰り出された膝の一撃であった。

 

「ハアッ!」

 

膝の一撃のあと、地に足を着けたファルベはバック転を利用したアッパーの変則蹴りを顎に喰らわせた。

 

『グッ!そう来るなんて……』

 

バランスを崩し、足が覚束ないカマイタチ・アポカリプスに、ファルベは一気に距離を詰めていた。

 

「まだ演奏会は幕を開けたばかりだぜ?」

 

タクトライザーを逆手に持ち替えたファルベは先ほどの繊細かつ大胆な剣捌きを一転させ、豪快に振り下ろした。

 

『しまっ!』

 

斜め上に一振り、カマイタチの十八番を奪う斬撃だった。この一撃だけで、アポカリプスは身体から火花を散らす。

 

「ソレッ!ハアッ!」

 

ここからファルベの舞刀会(マスカレイド)の幕開けだ。

 

ファルベの太刀は次々とリズムを変え、ステップを変え、変幻自在にカマイタチ・アポカリプスの身体に届く。

 

払い、流れ、切り裂き、そして、最後は。

 

「ハアッ!」

 

真っ直ぐ踏み出し、鋭い剣戟を叩き込む突きだ。

 

『グアアアアアアアアアアッ!』

 

翻弄されたカマイタチは最後の突きを受け、身体のパーツをボロボロと落とす。

 

「さあ…………」

 

ファルベはタクトライザーを投げ、左手に持ち替えて、次なる舞刀に繰り出そうとしていた。

 

『……ッ、今は引かせてもらうッ!』

 

すっかりファルベに翻弄され、身体のピースを失ったカマイタチ・アポカリプスはくるりと一回転し、ジャンプした。そして、そのまま一陣の風になり、ファルベの真横を吹き抜けていった。

 

「ッ!」

 

風になった状態での一撃を残して。

 

が、完全に最後の一撃を読んでいたファルベは身体を翻し、横っ飛びで避けた。

 

「…………逃げ足、いや、逃げ風ぶりは厄介だな……………。しかし、ただのアポカリプスにしては身体が直ぐに崩れたな。となると、やはり『寄生型』か……」

 

冷静に戦いの中で読み取った情報を整理したファルベは、ベルトからサウンディカルピースを取り外した。

《エンド・ミュージック》

 

変身を解いたファルベは、奏貴に戻り、直ぐに辺りを確認した。

 

「…………………………」

 

ゴロンと転がった亡骸に、頭を垂れた奏貴。気になるのは傷だらけだった進藤と呼ばれた少年だ。

 

「無事だと良いんだが……」

 

奏貴はポケットから赤と緑のパズルを取り出すと、上空に投げる。

 

「ホーク、あの傷だらけの少年の見張りに、ツバメ、伝言を」

 

パズルドロイドを放った奏貴は、自分はアポカリプスピースに身体を乗っ取られた人物を探すために、するりとその場から離れたのだった。

 

 

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『ハアッ……ハアッ……』

 

カマイタチ・アポカリプスはファルベから逃げた後、直ぐに姿を現し、肩で息をついていた。

 

『まさか、仮面ライダーが……そこまでだったなんて……』

 

カマイタチ・アポカリプスは身体の作りを分解させる。

 

「………うあっ………」

 

すると、変身を解いたアポカリプスはたちまち取り憑いている少年の姿に戻る。

 

『瀬尾 大貴、この力には慣れたかな?』

 

少年の身体の中に再び潜り込んだカマイタチ・アポカリプスのコアが話しかける。が、少年は満身創痍に首を振る。

 

「どうして、進藤君達を?僕は彼らを憎んでいないのに……」

 

少年、いや、ピースの呼ぶ名前を使わせてもらおう。取り憑かれていたとは言え、ショックを受けた瀬尾大貴は叫んだ。

『決まっているだろ?君は内心では欲望をフツフツと沸き立たせているのさ……。復讐したい、バラバラにしてやりたいって言う欲求が渦を巻いて、流れになっているのさ。まだ、僕は命を奪い足りない。さあ、身体の自由を渡せ』

 

再び、大貴の身体はアポカリプスに支配される。

 

「うあああああああああああああっ!」

 

悲鳴が、轟いた。

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喫茶店『アサンブラーシュ』

 

今日も、素敵な昼下がりを満喫する客で賑わって……。

 

「暇だねえ」

 

すらいなかった。だが、この落ち着いた雰囲気を好む客層も多い。

 

例えば、隅っこの席で誰にも目立つことなく、話をしている私立リディアン音楽院の生徒と思われる長い青髪の少女と若いスーツの男性。

(珍しくもない組み合わせだなあ)

 

マスターである春臣はわざとらしく、グラスを拭くふりをしながら、耳を2人に傾ける。まさに、盗み聞きそのものだ。

 

『……決めた事が……』

 

『イギリスに………さん……』

 

『………歌姫………』

 

節々は聞こえないが、確実に重要と思われるワードを拾う春臣のレーダーはスゴいのか、ずれているのか……。

 

(イギリスねえ、イギリスはフィッシュ&チップだけでもう無いよ……。やっぱり、スペインだろ、スペイン。イベリコに、フラメンコ。情熱的だね)

 

完全に1人モードに入ってしまった春臣は手を止め、ニヤニヤと笑いを浮かべていた。

 

少し怖いのはどうしようもない。

 

『……私は夢を追う。このために私は、私は……』

 

青髪の少女の言葉はだんだんと強くなっていた。

 

夢追いの防人『風鳴翼』の、熱い歌に対する想いはここで語られたとは誰も思うまい……。

 

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