戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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8話 この謝罪は誰のために

「………………………」

 

ホークからの情報を得た奏貴は河川敷に佇む。

 

「あ、アンタ……」

 

そんな奏貴の前に姿を現したのは、身体を包帯で巻いた少年、進藤。

 

「………話を聞きたかった……」

 

同年代でありながら、どこか年季の入った落ち着いた口調の奏貴に、進藤は押されていた。

 

「………君は瀬尾大貴の事を知っているか……?」

 

面倒臭い言い回しは無しだ、と言わんばかりに進藤に向かって質問を投げかける。何を掴んだのか、質問は裏付けか、思惑を隠すかのような静かで、内に怒りを込めたような口調であった。

 

「し、知らない……」

 

直感で、奏貴が自分の事を嗅ぎ回っていると見ると、逃げようと後ずさる進藤。

 

「…………そこで逃げても、またあの怪人に襲われるぞ、瀬尾大貴が変身したあの怪人にな……………」

 

奏貴は逃げようとした進藤に向かって、衝撃をぶつけた。進藤がアポカリプスの標的というハッキリとした真実をだ。

 

「な、何で、俺が!?」

 

「……自覚はあるんだろ?」

 

「……そっ、それは……」

 

痛いところを突かれた進藤はもはや語る言葉を失ったかのようにガクンとうなだれた。

 

「……認めるな、君がイジメに加担していたと言う事実を……」

 

奏貴の最後の一押しに、進藤はもはや操り人形のように首をふり、認めるしかなかった。

 

「い、命だけは……助けてもらえるのかな、なあ!?」

 

同じくイジメに加担していた同級生が、無惨に首をはねられたのを見たことはある。進藤はすっかり怯えきった様子で、助けてくれと言わんばかりの表情を奏貴に向ける。

 

だが、奏貴にはそんな事は分からない。

 

「……俺じゃなくて、本人と向かい合って話すべきなんじゃないか?」

 

奏貴の突き放したような言葉に、さらに絶句し、進藤は腰から座り込む。

 

「……だが……」

 

奏貴はレコーダーを取り出し、条件とばかりに進藤に向ける。

 

「ここで謝罪の一言を言えば、赦しのきっかけにはなるかも知れないぜ?今までの事を詫びて、命を繋ぐか。それとも、まだつまらないプライドにこだわって、首を晒されるか!どっちかだ!」

 

奏貴の強い言葉が、進藤に選択を促す。こうなれば、進藤が選ぶ答えは必然的に限られる。

 

「……分かったよ……。瀬尾、今まで本当にすまなかった!本当だ!だから、だから、だから、死にたくない!」

 

「……その言葉、忘れるなよ?もし、赦された事に安堵して、同じ事を繰り返せば、必ず報いは返るからな……」

 

謝罪の言葉を録音した奏貴はその場を後にする。それと、同時に進藤に再びホークを見張りにつかせた。

 

(……これで寄生型のピースを引き剥がす手立ては揃った、後は……)

 

そんなことを考える奏貴の上空に、ツバメドロイドが舞う。

 

「ツバメ、見つけたか!」

 

それは、カマイタチ・アポカリプスの発見の知らせであった。

 

奏貴は急ぎ、バイクに跨がると走り出した。

 

暴れているだろうカマイタチ・アポカリプスの元へ。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

その旋律は、耳を、身体を、頭をかき混ぜる。

 

 

あがああああああああっ!

 

声ともつかない悲鳴が至る場所でのぼる。

 

『狩り放題だ、完全に支配権を握ったからには最早、復讐は不要。ただ、斬り捨て、魂を粉々にする!』

 

瀬尾大貴の身体を観戦に支配し、ド派手に暴れ出したカマイタチ・アポカリプス。

 

次々と破壊しながら、ターゲットとなる人を品定めしていた。

 

『……誰にしようか……』

 

身体のまわりに風の渦を巻かせながら、浮遊し、上昇するカマイタチ・アポカリプス。

 

『もうみんな斬っちゃえ!』

 

下界で、頭を抱え、強烈な音に苦しむ数人に血潮を吹かせんと、凶行に打って出ようと、一陣の風になろうとした瞬間だった。

 

「そうはさせねえ……」

 

上昇したカマイタチの頭に突如として衝撃が走る。真上から飛来した何かが、頭に強い振動を与えたのだ。

 

『グアアアアアアアアアアッ!』

 

真っ逆様に墜ちていくカマイタチ・アポカリプス。それと同時に世界を蝕んでいた終末音が消し飛ぶ。

 

うあああああああああああああっ!

 

蜘蛛の子を散らすように逃げ出す人々。

 

ガアン!そして、そんな人々の様子も知ることなく、カマイタチ・アポカリプスは落下した。

 

『ぐうっ……。何が……』

 

地面に叩きつけられたとは言え、ダメージを軽減したカマイタチ・アポカリプスは何が起きたのかを理解しようと伏せた状態で顔を上げた。

 

「フッ!」

 

それと同時に近くに赤いネクタイを風にたなびかせた少年が上空から降り立った。

 

『き、貴様ッ!』

 

カマイタチはその少年を見て、嫌悪感を爆発させた。

 

「……なかなか無謀な犯行をしようとしてるじゃないか、アポカリプス……」

 

堂々と仁王立ちする少年、冴刃奏貴がアポカリプスを睨みつけていた。そんな彼の真横に着陸するライドシンフォニー。

 

何とライドシンフォニーに、赤い翼が装備されていた。

 

「……ホーク、解除だ……」

 

奏貴の指示と共に、ライドシンフォニーと合体していたホークドロイドがパズルの要領で分解し、再びタカ型に戻る。

 

『なッ、そんなおもちゃも持っていたのか!?』

 

「おもちゃじゃない、俺のサポーターだ……。さあ、カマイタチのピースさんよ……お前の取り込んだ少年を返してもらおうじゃないか……」

 

奏貴はそう宣言し、懐からレコーダーを取り出す。もちろん、カマイタチ・アポカリプスには何の動作かは全く分かっていない。

 

『そんな事で、解除出来るとでも!?』

 

だが、奏貴は何も答えず、レコーダーのスイッチを押す。

 

『分かったよ!………』

 

そこから流れ出したのは、あの進藤の謝罪だった。

 

「聞こえるか、瀬尾大貴君。君の怒りの矛先が無様に泣いてるぜ?」

 

まるで、アポカリプスの中にいる瀬尾に語りかけるように口を開く奏貴。

 

『そんなモノで……ん?』

 

カマイタチ・アポカリプスの腹の辺りが動いている。

 

《僕、どうすれば……》

 

「君が向かい合うべきなのは自分の心だ、さあ、復讐心をぶち破れ!大切なのはこれからだ、だから、負けるなよ!」

 

奏貴の言葉で、カマイタチ・アポカリプスのピースが崩れていく。

 

『や、止めろ!』

 

「今だ、ウルフ!」

 

ずっと控えていたウルフドロイドに指示を出した奏貴。それにウルフドロイドは応える。

 

バアッ!真後ろからカマイタチの腹に飛び込み、中から『宿主』を引っ張り出したのだ。

 

「うあっ!」

 

解放された瀬尾大貴はそのままウルフに投げられ、気を失う。

 

『ぐあっ!?よくも、僕の大事なピースを!』

 

一つの核を失い、怒りに震えるカマイタチ・アポカリプス。

 

奏貴は時は熟したとばかりに、ファルベドライバーを腰に巻き付けた。

 

《カンタービレ!サウンド……ダ・カーポ!》

 

勝利への行進曲に乗りながら、プレリュードのサウンディカルピースをスロットにセットし、ゆっくりと手をクロスさせる。

 

《ピース!プレリュード!》

 

「変身!」

 

そして、腕を回し、レバーを引く奏貴。

《サウンド!プレリュード!》

 

奏貴の周りを音符と、螺旋のエフェクトが舞う。

 

奏貴は一瞬で、ピースと鎧を纏う。そう、仮面ライダーファルベの参上である。

 

変身したファルベは指を鳴らし、タクトライザーを掴む。

 

『貴様、何なんだ!?邪魔ばかりして!?』憤怒するカマイタチ・アポカリプスに、ファルベは指を突きつける。

 

「俺は何だって?俺は仮面ライダーファルベ、お前らの野望を砕く者だ!さあ、俺の音、聴いていきな!」

 

決めゼリフで、一気に勢いづくファルベは、カマイタチ・アポカリプスの懐目掛け、タクトライザーを回しながら、突撃する。

 

『もう構っていられるか!お前さら先に切り刻んでやる!』

 

カマイタチ・アポカリプスもファルベを迎え撃つ。

 

そして、互いの刃が激しく交わった--。

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