戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

18 / 69
15話 尻尾は捕まえた

「………………………」

 

奏貴が事件を調べてから、数日間が経過した。ハイド・アポカリプスはその間、動きを見せず、膠着状態になっていた。

 

その間に集められる情報を足で稼ぐのが、フリーライターの面目躍如と言うものだ。再び、地図と向かい合い、推測を組み立てている奏貴。

 

「デルタポイントの半径内に音楽に関する建造物は営業を止めたライブハウスか……」

 

奏貴が注目していたのは、神隠しが起こる数ヶ月前にライブハウスが営業していたと言う点であった。

 

彼は今、その情報を元にある糸を手繰っているのだ。

 

「………今もライブハウスのオーナーが土地を借りている……。オーナーは『的場晃』」

 

ライブハウスのオーナーと土地の借り主が同じなのはよくあるだろう。だが、奏貴が着目していたのは借りている期間である。

 

間違いなく、彼が辿り着いた的場晃は建物を借りっぱなしにしていた。

 

奏貴は腕を組んで思い出す。このライブハウスの周りの住民からある証言を得た事を。

 

 

------------------

 

光溜達と何とも言えない別れ方をした奏貴は、ネクタイを締めると聞き込みに動いていた。

 

「この辺りで取材をしているのですが、何か変わった事がありましたか?例えば、火の玉を見たとか、幽霊を見たとか?」

 

恐らくこんな聞き込みをされれば怪訝な顔になるのは間違いない。だが、そこは奏貴の腕の見せ所だ。

 

 

 

「些細な噂でもいいです。少しこの辺りを題材にした小説を書きたいと思ってまして、そう言うオカルトな話があったらなあと言う事で……」

 

完全にやり方次第でどうにかなるを具現化したような、口の廻りである。

 

そんなこんなで上手くごまかしながら得た中に共通している物があった。

 

主婦はこう言った。

『珍しい事なんて無いけど、何か最近、夜中にライトみたいな灯りがばあっと着いたわ』

 

タクシー運転手はこう言った。

 

『ライトがいきなり着いたから、対向車かと思ったらよ、何も無かったんだよ』

 

話を聞いた何人かの口から出て来た『強いライト』。

 

全てがライブハウスの近くで目撃されていたのだ。

 

奏貴にはある覚えがあった。

 

それは……。

 

 

------------------

 

「アポカリプスピースが力を得る前の発光。……見えてきたぞ、事件の形が……」

 

事件を解決するピースは揃った。

 

ピースの発光、ライブハウス、的場晃と言う男。

 

「………あのピースはやはり、欲望をもらう代わりに、願いを実行する『吸収型』か……。となると、的場晃を引っ張り出さないとな」

 

 

奏貴は的場と直接向かい合う事を決めたようだ。足取りはライブハウスに向かっていた。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

「……どうなってるんだ……、ハイド!お前、何故動かないッ!」

 

問題のライブハウスでは、的場がハイド・アポカリプスに不服を口にしていた。

 

『何故だと?仮面ライダーが俺達の計画に気づいた以上、必要以上の攫いは自分の首を締めるぞ?』

 

どうやら数日の間、光溜やリーサが誘拐ポイントを重点的に見てみるようで、動くことが難しくなっていたのだ。

 

「………それでもいい!」

 

『……やれやれ……』

 

壊れた欲望の歯車は止められない。暴走する的場を後目にハイド・アポカリプスはマントを翻す。

 

『なら、次の場所に移ろうか?神隠しが出来る場所に……』

 

「仕方ないな……」

 

ハイドの提案に折れる的場はこのライブハウスを後にする準備を始めた。

 

だが、これは出来っこなかった。

 

「………成る程な……。的場晃、今の会話、録音させてもらったぜ……」

 

ライブハウスの扉の向こうから声が聞こえる。

 

「誰だ!?」

 

ギイイイイッ。と鈍い音を立て、ドアが開く。

 

「………ただのフリーライターだ……。お前が、そこのアポカリプスとつるんで神隠しを引き起こしていたのは、お見通しだ……」

 

ポケットに手を突っ込んだまま、奏貴が姿を現したのだ。

 

『……貴様……。ここも嗅ぎつけたのか……』

 

ハイド・アポカリプスの指摘に奏貴はニヤリと笑いながら、指を突きつける。

 

「観念しな、的場晃、アポカリプス。お前らの悪事、全て暴かせてもらったぜ。さあ、答えてもらおう、攫った人間は何処だ?」

 

表情を崩さず、怒りの籠もった静かな声色で的場とハイド・アポカリプスに迫る奏貴。その凄みに、的場の目が泳ぐ。

 

「そ、そんなッ……。ま、ま、まさか……。そ、そんな事、知らない!知らないぞ!」

 

『ッ!見るなッ、馬鹿か、貴様!』

 

動揺し、吊していたランプを見た的場にハイド・アポカリプスが掴みにかかる。

 

「………そこだな、その中だな……。なら、もう安心だ……」

 

奏貴は心配事の種が取れたのか、ファルベドライバーを腰に巻く。

 

「か、か、か、仮面ライダー!?」

 

『ッ!黙っておけ!』

 

もはや利用する価値も無い、口封じするだけと理解したハイド・アポカリプスは、的場の顔面を殴った。

 

何も言えず、的場は吹き飛び、壁に頭をぶつける。

 

的場が気絶したところで、ハイド・アポカリプスが奏貴に宣言する。

 

『そこまで知られているなら、話はもう早い!お前を葬るのみよ!』

 

「………そうはいくかな?」

 

奏貴が手にしたサウンディカルピースはピアノのサウンディカルピース。

 

迷い無く、スロットにピースをセットする奏貴。

 

《ピース!ノクターン!》

 

「変身!」

 

《サウンド・ノクターン!》

 

 

 

奏貴はファルベ・ノクターンサウンドをスタートとして選ぶ。

 

「さあ、始めようぜ?赤マントさんよ!」

 

タクトライザーを構えたファルベ。

 

『ぬかせッ!』

 

左手に爪を装備したハイド・アポカリプス。

 

技巧派同士の激しい打ち合いが始まった……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。