《ガッキョク!タガー!》
タクトライザーをタガーモードに切り替えたファルベは、ハイド・アポカリプスの左手の鉤爪の攻撃による一撃をはじく。
さらに、マントを翻しながら繰り出されるキックを脚捌きで防ぐ。
「フッ!」
ファルベの逆手の刃が、ハイド・アポカリプスの胸に向かう。捌きから攻撃に転じるテクニシャンらしさ満点の戦いぶりだ。
『させるとでも?』
だが、ハイド・アポカリプスは直ぐに身体を捻り、距離をとる。
「完全なイロモノって訳じゃ無さそうだな!ハッ!」
ハイド・アポカリプスの動きに感心しつつも、直ぐに追撃に移るファルベ。
タガーを回転させ、読めない動きに出るだけでなく、撃の間に回し蹴りを挟んでいく。
『フフフッ……。攻撃は通らんよ?』
ファルベ以上に癖のある動きで、攻撃を受け止め、はじくハイド・アポカリプス。同等の戦いぶりを見せていると言っても差し支えはないだろう。
「……なら、これはどうかな?」
ファルベは攻撃のパターンを切り替えるように、沈み込む。
『また似たような動きを……ッ……』
ステップを繰り出し避けようとしたハイド・アポカリプスは足を滑らせた。
『足元が凍っている!?』
「……ま、こういう罠を仕掛ける事も容易いって事さ……」
脚を滑らせたハイド・アポカリプスの胴をタガーの水の一閃が切り裂く。
『ぐあっ……。この冷気、この凍結はお前の能力か……』
脇を押さえ、ノクターンサウンドの能力を理解したハイド・アポカリプスは分が悪いと踏んだのか、マントを翻す。
『こうなれば、逃げるが勝ちだ……。フハハハハハッ!』
それはイリュージョン紛いの能力だった。嗤いながら、ハイド・アポカリプスは場から消えてしまったのだ。
「………ッ………。逃げ足だけは早いな……。だが……」
ハイド・アポカリプスが消えた事にも冷静なファルベ。既に手を打っていたのだ。
「……さあ、追いかけるぞ……」
ファルベが手にしていたのは、ツバメドロイドのパーツ。密かに、ハイド・アポカリプスのマントの中に潜ませていたのだ。
パーツは引き合う。それを利用したのだ。
ファルベは器用に気絶したままの的場を柱に縛り付け、置いたままのランプを手に取る。
「さあ、これでやるべき事は済んだ。後は警察の仕事、俺は俺の仕事を全うするだけ」
どうやら、既に的場晃の件は通報したらしく、ファルベは神隠しにあった人々の捕まっているランプを回収し、憂いを断ったのだ。
ファルベは引き合うパーツの反応を頼りに、ライブハウスから飛び出していった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『しかし、予想外だった。乗り込んで来られるのは……。まだ、欲望が足りない、次の協力者を見つけなければ……』
まんまと逃げたハイド・アポカリプスは近くの神社に姿を現した。まだ、進化のための協力者を探すようだ。
だが、そう簡単に事は運ぶ筈はなかった。
「見つけたぞ、アポカリプス。読み通り、パズルドロイドを放っておいて、正解だった!」
「奏貴君が動いたから、逃げ出すと思っていたわ……。まんまと誘き出されたのね」
『ま、またかっ!この前の仮面ライダー……』
ハイド・アポカリプスの前に姿を見せたのは、水面下で動いていたロードの2人、光溜とリーサだった。
「さてと、付き合って貰おうッ!俺もこれ以上、アイツの引き立て役になるわけにはいかないんだよッ!」
明らかに沸騰しているのが分かる光溜はスコアドライバーを腰に巻く。
《セット・オン・ステージ!》
素早くスロットに、サウンディカルピースをセットした光溜。
《ピース!トロイメロイ!アンダスタン!》
「変身!」
変身ポーズをとった光溜はベルトのレバーを押し込む。
《フォルテッシモ!サウンド・トロイメロイ!》
光溜の身体が群青のアーマーに包まれ、あっと言う間に仮面ライダースコアに姿を変える。
「もう逃がしはしねえ……。お前の運命、ここで終焉と行こう!」
相棒の柄物であるメトロセイバーを豪快に担いだスコアが一歩を踏み出す。
『最早詰んだか……。逃げ道を作るだけだ!』
仮面ライダーのしつこさに破れかぶれになったハイド・アポカリプスは覚悟を決め、スコアとの戦いに臨む。
『ハアッ!』
先制に打って出たのはハイド・アポカリプス。鉤爪を展開させ、スコアに襲いかかる。
が、スコアは足を止め、真正面から鉤爪を受け止める。
『な、何ッ!?』
「逃げるのなら簡単だ。無理矢理、押さえつけてやればいいんだ。しつこい奴は力押しでこそ、弱みを見せる!」
そのまま拳に力を込め、ハイド・アポカリプスを捻る。
『グアアアアアアアアアッ!』
押さえ込まれたハイド・アポカリプスは力に押され、膝をつく。
「オラッ!」
そんなハイド・アポカリプスの顔面を最短距離の前蹴りが襲う。力任せでも、突っ切ればいい。まさにこの精神を具現化するように、スコアの攻撃は繋がる。
前蹴りで宙に浮いたハイド・アポカリプスをくるっと回し地面に衝突させ、さらに無理矢理立たせるスコア。「オラッ!オラッ!オラッ!」
ふらつくハイド・アポカリプスの脚など関係ない。右フックを脇腹に連続して打ち込み、左膝の打撃を荒々しくぶつけていく。
容赦ない嵐にハイド・アポカリプスの脚は覚束なく、立っているのも限界になりつつあった。
そこでさらにダメ押しに出るのが、スコア。
「これで吹っ飛んどけ!」
メトロセイバーを素早く展開し、刃ではなく、剣の平らな部分をハンマーのように振り回し、ハイド・アポカリプスの頭を殴る。
『ガアッ!?』
あまりにも強引な一撃を受けたハイド・アポカリプスは車輪のように回転しながら、伸びてしまう。
「まだ押しが足りないな。こんなもんじゃ、アンコールするしかないよな?」
メトロセイバーの錘を中段にセットするスコア。
《セット!ヒート!》
「ハアッ!」
スコアは電子音声を引き金に迷い無く、メトロセイバーを立ち上がろうとしたハイド・アポカリプスに振り下ろす。
『な、グアアアアアアアアアッ!』
振り下ろされたメトロセイバーは燃えたぎり、ハイド・アポカリプスを切り裂いた。悲鳴を上げたアポカリプスは再度地面を転がる。
「これで終わりだ!」
スコアは素早く、ベルトのスロットからサウンディカルピースを取り外すと、それをメトロセイバーにセットしたのだ。
メトロセイバーから、カチ、カチ、カチとリズムが刻まれる。
《オーケー!ヒート!》
燃え上がる剣が、より一層赤く染まる。
《クレッシェンド・ブレイク!ザ・ン・ザ・ン!》
リズムは最高速に達し、大きく構えたスコアはメトロセイバーを振り下ろす。
「オメガストライク!焼き尽くせ!」
ザン!まさに一撃必殺。スコアの必殺の一撃はハイド・アポカリプスを真っ二つにした。
『アアアアアアアアアアッ!』
もう逃げる事など出来ない。コアから崩壊したハイド・アポカリプスは断末魔を残し、粉々に砕け散った。
「………これで仕事は終わりだ……」
宣言したスコアの背中を、リーサはただ無言で見つめていた。
そして、目線を別なほうに向ける。
「………どうやら、俺の出番は終わったみたいだな………」
同じように駆けつけた奏貴がそこにいた。
「………フン………」
リーサの目線に気づいたスコアが奏貴のほうを向く。
2人のライダーが再び膠着状態になった--。