戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

20 / 69
17話 交響曲が奏でられるのはいつか?

「………なかなか面白い脳筋ぶりだったぜ……」

 

「ぬかせ、お前がさっさと倒しておけば株を奪われずにすんだのにな」

 

戦いが終わり、変身を解いた光溜は奏貴と向かい合うと、皮肉の応酬を再び始めていた。不毛な争い、と言わずして何というのか。

 

「また始めるの、止めてよ……」

 

話し合いの場を設けたのに、頭を抱えるリーサ。大分、光溜には苦労させられているのが分かる。

 

「……だけど、お前の強さは認めるよ。高薙光溜」

 

「………何だと?」

 

言い争いが過熱しそうになるその前に奏貴が光溜に投げかけたのは、彼の強さを認める一言だった。

 

まさか、そう来るとは思わなかったのか、呆気に取られる光溜。

 

(上手い具合に転がされるのね、また。でも、この言葉、嘘じゃないみたい)

 

リーサはライターらしい口三寸を操る奏貴の話術に感心しながらも、内心では彼が光溜を認めていると見透かしていた。

 

「………知るか、当たり前の事を言われてもお前とは関わるものか!」

 

だが、光溜はさっさと話を切り上げて、神社の階段を下り始めた。

 

「二の舞になったか……」

 

「いえ、あれは光溜特有の拗ね方よ……。相変わらずガキなんだから……。」

 

奏貴とリーサは光溜の我が儘ぶりに心底、残念に思う。

 

「それじゃ、また。奏貴君」

 

「………ああ、アイツとは教団を追うなら、また会う。いや、協力しないとな。大変だが、頼む」

 

「引き受けたわ」

 

奏貴はリーサと内密の約束を結ぶと、奇しくも初めて会った時のように光溜を追いかける彼女の背中を見ていた。

 

「………さて、仕事に戻らないとな……」

 

奏貴は灯りの消えた人々が捕らえられていたランプを目線の高さまで持ってくると、そのままの位置から地面に落とした。

 

地面に落ちたランプは衝撃を受け、あっさりと砕け散った。砕けたランプから、7つの光が宙に放たれる。

 

「…………無事だったみたいだな…………」

 

ランプの中に閉じ込められていた人々を解放した奏貴。

 

ウウウウウウ−−。遠くで、サイレンの音が聞こえると、耳を傾ける。

 

「……これで一安心と言った所か……」

 

奇怪な神隠し事件はこうして幕を閉じたのだった。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

白いフードを脱ぎ捨てたヨハネ。

 

赤いジャケットが隠密活動には全く似合っていないのは、否定出来ない。

 

「………ハイドめ、あっさりと馬脚を露わすとは………」

 

静かな彼の口調には怒りが点り、強く拳を握り締めていた。

 

「ヨハネ、ハイドはあっさりとやられてしまいましたね。ま、期待にすら値しないピースでしたが……」

 

ヨハネの背中に声をかけたのは、未だに白いフードを羽織ったままのパンドラであった。

 

「何かあったか?」

 

パンドラの突然の登場に振り向かず、問いかけるヨハネ。

 

「そうですね。朗報と言いますか、吉報と言いますか、どちらにしろ、動きがありましたよ?」

 

小さく身体を上下に揺らす。パンドラ特有の意地の悪い邪悪な嗤いだ。

 

「さっさと言っておけ。勿体ぶられるのは、嫌いなんだ」

 

パンドラのこの一連の言い回しの本当の意味を知るヨハネは既に理解していた。

 

どうやら唾をかけていた事態が動いたと。

 

「錬金術の胎動が速まっています。いずれ大きな第一波が押し寄せるでしょう」

 

「………第二のピースが、はまるか……。それは楽しみだ」

 

さらに、パンドラは続ける。

 

「その前に、異端の技術を回収する予定のロケットが旅立つ準備を進めているようです。その際は……」

 

「分かった。白羽の矢に値するピースを選んでおこう」

 

今まで明るかった空に雲がかかり、雨粒が降り始めた。急転直下の運命の雲行きのように。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

ある教室。

 

女の子の花園と言うに相応しいそこは私立リディアン音楽院のある教室である。

「私、仮面ライダーを見たの!」

 

「仮面ライダー?」

 

奏貴と光溜に助けられた少女、弓美が興奮しながら、話すのは『都市伝説』の仮面ライダーの話。

 

「でも、仮面ライダーってさ、アニメじゃない?こ~さ」

 

「アニメじゃないの!」

 

仮面ライダーの噂を聞かされる少女達も信じていないようだ。

 

「もし、仮面ライダーが本当にいるなら、ビッキー達と仲良くなれるんじゃない?」

 

まとめ役っぽい少女の一言に、オレンジ色の髪の少女が笑う。

 

「ええッ!?でも、分かり合える気はする!」

 

「分かり合えるって……。もしかしたら、敵かも知れないんだぜ?」

 

「そんな事無いよ、クリスちゃん!きっと、これで!」

 

拳を突き出したオレンジ色の髪の少女、立花響。

 

 

「何というかよ……。慣れてきたな」

 

そんな響のいつもの調子に苦笑いする銀髪の少女、雪音クリス。

 

 

 

「……フフフッ……」

 

そんなやり取りを黒い髪の少女、小日向未来が微笑んで見ていた。

 

彼女達が、どう仮面ライダーと関わるのか……。それを知っているのは、神様だけだ。

 

 

-------------------

 

 

奏貴は夕暮れ迫る神社にまだ佇んでいた。

 

「………………………」

 

奏貴はロケットの中の写真をいつものように見ていた。

 

写真の銀髪の少女は優しく、微笑む。

 

今、リディアンの教室にいる雪音クリスを幼くしたその顔はやはり--。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。