戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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20話 激突、シーフ

「………………………」

 

取材で見事にハズレばかり掴む結果となった奏貴は金の循環がいい場所に目を付け、張り込んでいた。

 

高いバックや、宝石の専門店が並ぶまさに金持ち御用達のような通りだ。

 

「………やっぱりこういう特有の空気、好きになれない………」

 

高い装飾品を纏い、着飾った人々を見つめる奏貴。何やかんや言いながらも、すれ違う人々の様子をしっかりと観察していた。

 

「………博打で捕まえられるか、それとも骨折り損になるか……」

 

ネタを唾をかけた場所に変化が起きるのを待つ張り込みを自由に出来るからこそ、網にかかった時に効力を発揮出来る。

 

それが奏貴の強みである。かれこれ数時間、取材を外してから、この通りを見渡せる百貨店の屋上に張り付いていたのだ。

 

「………………………」

 

端から見れば物思いに耽る若者だろうか、屋上に集まる家族連れや、カップル達は奏貴を目に止めなかった。

 

それだけ自分達の時間が流れている事が大切なのだ。

 

「………………………」

 

再び周りを見る事を止め、雑踏に集中した奏貴。

 

そんな彼の耳に、大きなざわめきが届いた。

 

遠くない場所で、人々が寄せ集まり、何かを奪い合っている。

 

「……ビンゴか………」

 

間違いなく、奇怪なバラまき事件の新しいケースが起きたのだ。

 

「……見つけた……ッ!」

 

奏貴は柵から身を乗り出し、様子を窺うとビルの隙間に緑の発光を目視した。

 

 

これで繋がった。この騒ぎを引き起こしたのは、アポカリプスだと。

 

徐々に周りが非日常に気づき、騒然とする中をするりと抜け出した奏貴は、赤のパズルと、緑のパズルを素早く放り投げた。

 

「ホーク、ツバメ……足止めを頼むッ!」

 

パズルは一気に組み上がり、ホークドロイドとツバメドロイドに変形し、ピースに向かって一直線に飛んでいく。

 

2体のパズルドロイドはパズルを追いかけ、一気に加速していった。

 

「………よし………」

 

奏貴もパズルドロイドを追い、百貨店の非常階段から一気に駆け下りていった。

 

-ふざけんなああああっ!-

 

-私のよ、私の!-

 

奏貴が百貨店から勢いを保ったまま、飛び出すと人集りはさらに大きくなり、紙幣や宝石、ブランドの商品を奪い合っていた。

 

「………こりゃ、一種の催眠に近いか………」

 

奏貴は頼れる密偵を得意とするツバメドロイドの反応を、携帯端末でキャッチすると、影に停めていたライドシンフォニーに跨がり、スロットを踏み込み、反応を追いかけていく。

 

中央線なんて知らない。器用にハンドルをコントロールしながら、車の合間を抜けていく。

 

 

 

「……まだ遠いか……」

 

アポカリプスピースの終末音のシグナルをサウンディカルピースの振動で掴んだ奏貴は片手でハンドルを持つと、ファルベドライバーを腰に巻きつけた。

 

シュルルルッ。勢い良くベルトに変わったバックルにピースをセットする奏貴、バイクを巧みに操るそのハンドル捌きは片手とは思えないほど美しい。

 

ギッ、ギッ、ギッ。右に、左に。ライダーの面目躍如か。

 

《ピース!プレリュード!》

 

「変身!」

 

レバーを引いて、手をハンドルに戻した奏貴の周りを音符のエフェクトが舞う。

 

《サウンド!プレリュード!》

 

「フッ!」

 

そのまま奏貴は風の中で、ファルベに変身する。風にはためくマントがド派手に自分の存在を示していた。

 

「ウルフ!」

 

ファルベは先行くアポカリプスを捕まえるため、青いパズルをバイクの後方に投げる。

 

それはウルフドロイドのピースだが、それは狼にはならず、何とライドシンフォニーのエンジンに装着される。

 

ガシャッ!噛み合ったそのパーツは、超加速を可能にするブースターだ。

 

 

 

「…………よっ…………」

 

クラッチを引き、愛車は加速する。立ちふさがる限界を超え、スピードは最高潮に達する。

 

 

 

ズウウウンと唸る、エンジン。滑走するライドシンフォニーの真上にツバメドロイドが舞っていた。

 

「……いよし、追いついたか……」

 

ファルベの飛ばす先には、廃工場があるのだった--。

 

-------------------

 

廃工場・内部。

 

「………さあて………、愛しのアポカリプスはどこかな」

 

タクトライザーを左手に携えながら、ファルベが廃工場の中をゆっくりと歩む。

 

二階の金網の足場にも、様々な荷物が無造作に置かれている場所にも、アポカリプスの姿は見えない。

 

それがより一層この緊張感を高めていた。

『これは、これは……』

 

ザッ。工場の中心部まで来た時、タンクの影からツートンカラーのアポカリプスが姿を現す。しかも、ファルベにわざと見つかるかのように真正面からだ。

 

「…………度胸、あるな………」

 

『世紀の大怪盗なるものライバルには敬意を払わねばいけませんかね、仮面ライダー』

 

 

 

尊大な口調が、自信満々な内心をはっきりと示す。まさに曲者ぶりが際立っているアポカリプスは、ステッキと剣が合体したような武器を杖代わりにしていた。

 

怪盗のイメージと、紳士のイメージを掛け合わせたかのようなその佇まいが只ならぬ感じを醸し出す。

 

「………待っててくれるとは、なかなかイキなヤツじゃないか……」

 

『シーフの名を持っているのだから、当たり前ですよ』

 

ファルベと自らシーフと名乗るアポカリプスの静かなやりとりが続く。

 

「シーフ、お前があの奇々怪々なバラまきを引き起こした犯人だな?」

 

『御明察、と言うよりおわかりになられて、当然ですよね?』

 

「ああ、それぐらいは分かるが、物欲なんて奪って何をするつもりだ?」

 

『そこまではお教え出来ませんね……。さて、そこに佇むなら退いて貰いましょうか?』

 

シーフ・アポカリプスは宣言と共に、ステッキ剣を構えると、ファルベに向かって軽快なステップで突っ込んでくる。

 

「そうか、なら強引に止めてやるよ……」

 

タクトライザーを素早く振るい、シーフ・アポカリプスの一撃を受け止めたファルベは小手調べと言わんばかりに水平な横蹴りを叩き込む。

 

『フッ』

 

だが、予想外の攻撃もバックステップを利用した動きでシーフ・アポカリプスはダメージを軽減した。

 

そして、直ぐにステッキ剣を前に突き出す。

 

「ッ!フッ!』

 

ファルベも突如とした攻撃を受けるが、タクトライザーをステッキ剣の剣先にぶつける。

 

 

 

ファルベとシーフ・アポカリプスの激しい攻防が幕を開けた--。

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