鮮やかな剣捌きで、敵を押すファルベとトリッキーを得意とするシーフ・アポカリプス。一進一退の攻防が繰り広げられていた。
「……フッ!」
ファルベの切り返しからの一薙、そして、突きに流れる剣太刀をシーフ・アポカリプスはステッキ剣を逆手に持ち、攻撃に合わせていく。
『やりますねえ、流石に仮面ライダーは伊達じゃありませんか!?』
フワリと空を漂い、ファルベを困惑させるシーフ・アポカリプスの動き。
「……怪盗じゃない、幽霊かよ……」
それでも、トリッキーな動きには目はとらわれず、しっかりと軌道を掴むファルベ。
『こちらから行きますよ!』
まるで怪盗が得意とする奇術を操るかのようにファルベに向かって、急降下を仕掛けるシーフ・アポカリプス。
「ッ!そういうマジックも、怪盗には必要ってか?」
ファルベは軌道を読もうと、ゆったりと構える。そして、ファルベをシーフ・アポカリプスが捕らえたと思った瞬間だ。
突然、シーフ・アポカリプスの姿が消えたのだ。そして、いきなりファルベの背後に衝撃が走る。
「……ッ!」
受けた衝撃に振り返るファルベ。だが、シーフ・アポカリプスの姿は無い。
『こちらですよ、鬼さん!』
ブアッとシーフ・アポカリプスが姿を現したのは、ファルベの側面だった。
「………そっちか………」
タクトライザーを振るい、シーフ・アポカリプスを捕らえようとするが、刃は空を切る。
「また消えた……。ぐあっ!?」
ファルベが一瞬戸惑い、動きが鈍くなる。その隙をつき、再び真後ろから現れたシーフ・アポカリプスの足が勢い良く蹴り飛ばす。
真後ろからの蹴りを受けたファルベはバランスを崩し、前のめりになる。
『隙あり、ハッ!』
真横に転移したシーフ・アポカリプスがステッキ剣を振るい、バランスを崩したファルベを舐め斬り捨てた。
「ぐあっ!……可笑しな手品を使いやがって……」
煙を胸のプロテクターからあげながら、膝をつかないファルベはどう打開するかと、思考を張り巡らせた。
(恐らくこの能力は転移か、または高速移動か……。確かに厄介だ、なら、攻撃を封じるには予想をひっくり返す至近距離か……)
タクトライザーを構えながら、冷静にシーフ・アポカリプスの攻撃に備えたファルベ。
『フフフッ……。さあ、ますますあなたを混乱させてあげましょう……』
空間の何処からか、シーフ・アポカリプスの声が響く。
「神出鬼没の怪盗には………」
ファルベは声が聞こえたほうを正直に向いていた。
『狙って下さいと言わんばかりにですね。御希望にお答えしましょう!』
饒舌になったシーフ・アポカリプスのトークを聞き流しながら、ファルベは真下を向いた。
それは隙だらけに見える。だが、ファルベは距離を測るために、わざとやり始めたのだ。
そして、音もなくシーフ・アポカリプスのステージが始まる。
『こちらですよ、こちら!』
シーフ・アポカリプスがフワリと浮いた状態で、ファルベの真正面に現れる。そして、隙だらけに見えるファルベに向かって、ステッキ剣の先を向ける。
この絶好の機会を見逃すはずもない。
「…………まだだ………」
コンマを荒そう中でも、ファルベはじっくりと、シーフ・アポカリプスが接近するのを待つ。
ファルベは素早くタクトライザーのダイヤルを『薙刀』の模様にセットした。
《ガッキョク!ナギナタ!》
剣芯が真っ二つに分かれ、剣がいきなり薙刀に変形する。
『ハアッ!』
変形が終わったコンマの中で、シーフ・アポカリプスが駄目押しとばかりに体重を乗せて、直撃のすんでまで加速させる。
と、ファルベはナギナタモードのタクトライザーを軸に突き刺した。
「ハアッ!」
すると、軸を使い、シーフ・アポカリプスの起動線上に高飛びの要領で素早く飛び上がったのだ。
それはまさに予想だにしない攻撃であった。
『なッ!?』
驚いたシーフ・アポカリプスは体重を乗せているため、身体の自由は利かず、頭のロックはかかったままだった。
「ハッ!」
だから、ファルベの真空膝蹴りがシーフ・アポカリプスの顔面に突き刺さった。
『グハッ!』
明らかにダメージが通った瞬間だ。
だが同時にシーフ・アポカリプスがステッキ剣をファルベのがら空きの腹に突き立てた。
自分の意地である。
「ぐっ!?」
まさかの強引なやり方で、空中浮遊のトリックを封じたが、同時にダメージも受ける諸刃の剣を選択したファルベは跳ね返された衝撃で地に刺さったタクトライザーの場所に着地する。
『………うぐっ………』
シーフ・アポカリプスもわき腹を押さえ、堕ちる。
「………フッ!」
先に着地したのが早かったファルベは、タクトライザーを引き抜くと一気に距離をつめ、薙刀の一閃を見舞った。
ザン。大きな金属の斬れる音が聞こえ、シーフ・アポカリプスは火花を散らす。
『………うッ…………』
「ハアッ!」
シーフ・アポカリプスが後ずさったのと同時にファルベは素早き回し蹴りを命中させた。
『グアッ!や、やりますね!』
正直な感想を抱いたシーフ・アポカリプスはファルベと距離をとる。
『ですが、今日はここまでにしましょう……』
受けたダメージが意外にあるのか、シーフ・アポカリプスは驚異的な跳躍で飛び上がった。
「………逃がさない………」
ナギナタモードのタクトライザーのダイヤルを『銃』に回すファルベだが、シーフ・アポカリプスは持ち前の能力でさっさと姿を消していたのだ。
「逃げ足が早いか……」
最早、能力を使われれば追いかけるのも不可能だ。
ファルベはベルトからピースを引き抜くと、変身を解く。
《エンド・ミュージック》
「………………………」
変身を解いた奏貴はシーフ・アポカリプスの行動について考えていた。
「………何故、シーフは物欲を盗むんだ?」
シーフ・アポカリプスが何故、欲望を盗むと言う能力を使い、派手にするのか……。
本当の目的がまだ見えない中、1つの予想が浮かぶ。
「………ここまで派手に騒ぎを起こすのは、まさか……『カモフラージュ』……だったりしてな……」
シーフ・アポカリプスの役目はただの囮。何か、教団が本命の事を起こそうとしているのではないか、と言う事だった。
奏貴は釈然としない考えを丸め込み、再びシーフ・アポカリプスを追いかけるべく、工場を後にしたのだった。
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「あら、何か楽しい事でもあるのかしら?」
教団の本拠地である屋敷。
いつもは白いフードを着て、姿を隠しているディーヴァが白夢の元に、姿を見せる。
青いドレスに、黒いティアラ。金の目が眉唾物の知らせに、垂れ下がる。
彼女を一言で言えば、童話の姫に近いのだろうか。
そんなディーヴァの前にいるのは、ヨハネであった。
「たいしたことは無い。ただ、月にロケットは放たれた事を報告しにな」
それはただの知らせではなかった。
ただのロケットが発射したわけではない。
国連が、とあるモノを回収するためにロケットを飛ばしたのだ。
「あら、早いのね……。それじゃ、仕掛けておいたの?」
「……ああ……。データを集めるために適切で、あわよくば全てを横取りするためのな、シーフのおかげで上手くすんだ……」
教団が影で狙うのは--。