戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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23話 何かが動き出している

突如として現れたキャラの濃い航に、光溜の様子が可笑しい。

 

「な、何なんだ………」

 

白いタキシードを纏った見るからに怪しい奴が何かに吸い寄せられたように声をかけてくると言う不気味な事態に困惑していたのだ。

 

「やあ、ちょっと良いかい。ちょっとばかり僕の話を聞いていかないか?」

 

明らかに古臭いナンパを意識したとしか思えない軽率な口調と、白いタキシードと言うバランスを崩壊させる組み合わせにどうしたらいいのか、さっぱり分からないのだ。

 

対するリーサはと言えばもうどうでもいいと言わんばかりの複雑な感情になっているのがよく分かる冷めた顔になっていた。

 

確かに知り合いではあるが、カバーしきれないと言う無言のギブアップ宣言であった。

 

「……あれ、引いてる?」

 

一寸の曇りすらない事実だ。だが、航は自信ありげな表情を保ったまま、首を捻る。

 

「……可笑しいな……。ワン、ツー、スリー」

 

カウントを刻み出し、パチンと指を鳴らすと航の手の中に自分の名前が入ったトランプが出現した。

 

「自己紹介がまだだからに違いないな!僕は神城航、怪しい者ではないぜ、ただのマジシャンだぜ」

 

挨拶がてらのマジックを披露した事でかなり満足げな航を尻目に、光溜の率直な感想が放たれる。

 

「いや、十分に怪しい!行きずりのマジシャンなんて有り得るワケないッ!」

 

強く航を否定して見せた光溜。

 

だが、航は全く動じずに笑っていた。

 

「ハッハッハッ、そんな事は有り得ないだろう?」

 

いや、有り得るとか有り得ないとかのレベルに値していないのはどうなのか?

 

全く調子を崩さず、ピエロの仮面を被る航。

 

だが、ここで傍観を決め込んでいたリーサがこの流れに耐えかねたのか、口を開いた。

 

「こういう茶番は止めてくれない?何か、あなたが言いたい事があるんじゃない?」

 

このままでは話が進展しないどころか、混沌に巻き込まれると踏んだリーサの手回しであった。

 

「む、お望みとならば仕方無いか。君達は知っているか……。世界を救う歌を奏でた少女達の戦いを、いや、ロードに属する君達は分かっているだろうな」

 

「お前、それをどこでッ!?」

 

自分達がロードに所属している事、恐らくシンフォギアの事を口にした航に警戒を強める光溜。対照的にジッと航の語る事を聞くリーサ。

 

「なら、もうすぐ空に曲線を描き、過去をこの地に戻すために打ち上がる希望の火を我が物としようとする使者に気をつけるといいさ」

 

「おい、訳の分からない事を……」

 

光溜が問い詰めようとした瞬間、指を鳴らした航はタキシードをわざとらしく脱ぎ捨てる。

 

するとそこには誰も鋳なかったかのように、航は消えてしまったのだ。

 

「き、消えた!?マジックか!?」と、辺りを見渡しながらパニクる光溜。

 

「………………………」

 

リーサも派手すぎる退場に若干頭を押さえつつも、航の言葉を考え始めていた。

 

(どういう事よ?私達の知らないところで教団が動き出したって言う事?……ますます、分からないわ……)

 

どこから相も変わらず色々と仕入れてくるのかと感心しながら、より深い事態になろうとしているのだろうか、今はまだ分からない--。

 

 

-------------------

 

奏貴は再び野に放たれたシーフ・アポカリプスを捕まえるため、パズルドロイドを全動員させていた。

 

「………シーフ・アポカリプスのピースの終末音はもう分かっている。なら、確実に捕まえるまで粘る……」

 

シーフの出現しそうなポイントに張り込むパズルドロイドの一方、奏貴自身はある手を打っていた。

 

「………………………」

 

似つかわしくないいいスーツにコート、縁の筋から借りた宝石諸々を身に纏い、若手社長風の姿になっていた。

 

「………似合わない、落ち着かない、でもどうしようもない……。やるしかない」

 

このような衣服をまとう事がどうしても好きになれないのか、必然的にグチが増える。

 

だが、奏貴の姿はどこから見てもいい生活をしている人そのものだ。

 

つまり、奏貴が打った手とは自分を着飾る事でシーフ・アポカリプスのターゲットに扮装する事だったのだ。

 

そして、今。

 

奏貴はとあるオークション会場に紛れ込んでいた。

 

「…………ここに来ればいいが………」

 

奏貴がこのオークションに参加したのには理由がある。このオークションで、幻の絵画と呼ばれる風景画が売られる事が分かったからだ。

 

気づかれた上で同じような犯行を繰り返すとすれば、バレずに、隠密に早急にかつ騒ぎを起こせる条件として、イベントがあると推測したからであった。

 

 

 

オークションが始まって数時間が経った。いよいよこれで最後だ。

 

 

風景画が最後に残っている。それと同時にオークションの司会がオーバーリアクションを取り始めたのだ。

「さあ、いよいよ!最後の品になりました!さあ、ご覧ください、名品の……」

司会のテンションがクライマックスに進む中、奏貴のサウンディカルピースが反応していた。

 

それは、ホークドロイドからの通信である。

 

(近くに来ているか……。さあ、来い。さっさとこの根比べ終わりにしよう……)

 

奏貴は身構える。

 

 

『フフフフフフッ……。いい欲望が集まっていますね……』

 

その時はすぐに訪れた。シーフ・アポカリプスが舞台の中央に姿を現したのだ。

 

「うあああああああああっ!!!」

 

司会の悲鳴が響いた。それが引き金になったのか、次々と成金達が散り散りになっていく。

 

「ば、化け物だ!」

 

「頭がああああああああっ!」

 

軽度のアポカリプス・サウンドで大混乱に陥った客達は会場から逃げていってしまった。

 

その場に残ったのは、シーフ・アポカリプスと。

 

『お会いに来ましたよ、仮面ライダーさん?』

 

「………へえ、見透かしていたか………」

 

成金の衣装を脱ぎ捨て、奏貴が堂々とステージに向かって歩き出した。

 

 

『私も新しい使命が出来ましてね。先にあなたとの決着をつけてしまいたいのですよ』

 

それは怪盗からの挑戦状であった。

 

怪盗からのラブコールを受け取った奏貴は無言で、ファルベドライバーを腰に巻き付ける。

 

そして、口を開いた。

 

「……そんなラブコールを受けておいて、誘いに乗らないのは名が廃る……。」

 

『そうこなくては……』

 

待っていたとばかりにシーフ・アポカリプスがじわりじわりと距離をつめてくる。

 

奏貴もじわりと迫ると、ファルベドライバーに流れるような動作でサウンディカルピースをセットする。

 

《ピース!プレリュード!》

 

『いざッ!」

 

奏貴がベルトにピースをセットしたのと同時にシーフ・アポカリプスが走り出す。

 

「変身!」

 

奏貴もレバーを押し、身体の周りに音のエフェクトを纏わせる。

《サウンド!プレリュード!》

 

奏貴も、仮面ライダーファルベに変身したと同時にタクトライザーを片手にシーフ・アポカリプスにぶつかっていく--。

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