ファルべとシーフ・アポカリプスはホールから飛び出し、近くの駐車場で激しく戦っていた。
互いに剣を弾き合い、距離を取るファルベとシーフ・アポカリプス。
「………………………」
『フフフッ、どうしました?』
シーフ・アポカリプスの行動にどうも引っかかりを覚えているファルベはタクトライザーを構えつつも、横にステップを踏みつつ、考えていた。
(真正面からシーフ・アポカリプスがぶつかって来るのは何故だ………。やはり囮なのか、だが今は………)
『なら、こちらから!』
考え込むファルベに向かって、シーフ・アポカリプスがご自慢のトリックによる奇襲を仕掛けに動く。
「されども、今は………考えるな!」
ファルベはまるで奇襲を待っていたかのようにベルトのサウンディカルピースを取り外したのだ。
《アインザッツ!》
そして、スロットにトランペットのサウンディカルピースをセットし、ベルトのレバーを引く。
《ピース!ロンド!サウンド・ロンド!》
ファルベの周りを風と軽快な音符達が廻る。ベルトから流れるもの風が地をかけるような軽快な舞踏曲だ。
『フォームチェンジか、そうは……ウガッ!?』
そして、激しい竜巻に風が変化し、シーフ・アポカリプスを弾き飛ばした。
「フッ!」
そして、風の中から姿を現したのは緑のボディに竜巻をイメージさせる肩当てに胸に黒いV字のライン、そして、マントではなく深紅のマフラーをたなびかせたファルベであった。
マスクも丸型から六角に近づき、赤い複眼を三本弦のハイザーで隠す形となり、いかにも風を操る戦士と言うのを印象づけた。
「さてと、ここからが俺の舞踏の始まりだ」
タクトライザーを構え、優雅にステップを踏むファルベ・ロンドサウンドは素早く立ち回るとシーフ・アポカリプスの前に躍り出る。
『その姿……実に美しいですね。私のトリックに並べるか、見せて頂きましょう』
シーフ・アポカリプスはすぐに体勢を立て直すと、ステッキ剣を鮮やかに振るう。恐らく本気であろうその筋はファルべのタクトライザーの剣捌きにも負けず劣らずの早業であった。
「確かに今まででは一番早いなかなかの筋だ。だが、俺のスピードには届かない……」
マフラーをはためかせ、ファルべが風を纏い舞う。ステッキ剣から繰り出される一薙、一薙を身体を捻り、真横へ、縦へ、変幻自在に動き回る。
『こ、このスピードッ!?私の攻撃を完全にかわして!グアッ!』
ロンドサウンドのスピードについていけないシーフ・アポカリプスに向かって、ファルべの回転蹴りが頭をとらえた。そのまま、吹き飛ばされたシーフ・アポカリプスではあるが、空中で体勢を立て直すと、ふわりと浮かぶ。
『ならば、こんなものはいかがですか!?』
シーフ・アポカリプスはステッキ剣をかざすと、エネルギーを溜め始める。
「なるほど、そういう手もあるのか……。だが、この疾風の一撃は破れないぜ?」
シーフ・アポカリプスの攻撃が遠隔によるものと踏んだファルべはタクトライザーを構えると、身体を軸に回転する。
『堕ちなさい!雨よ!』シーフ・アポカリプスがステッキ剣を振りかざすと、四方八方に光弾が降り注ぐ。
「ハアアアアアアアアアアッ!」
だが、既に回転したファルべは風を操り、竜巻を起こし、全ての光弾を掻き消したのだ。
『風をここまで自在に操るのか!これは予想外ですね……』明らかに声に焦燥の色が見えるシーフ・アポカリプスは転移しようとする。
だが、ファルべはその隙を見逃さない。風を纏い、上昇気流のように一瞬でシーフ・アポカリプスの前に飛び上がった。
「転移はさせない、ハアッ!」担ぎ上げたタクトライザーを素早く真横に一閃したファルべ。その一撃は風に乗り、高速のスピードでシーフ・アポカリプスを捉えた。
『ま、まさか!?』反応が遅れたシーフ・アポカリプスは何とか斬撃を避けようとしたが、完璧に一撃が胴を切り裂いた。そして、ファルべは風に乗って上空に舞い上がる。
『グアッ!』
この一撃で大きく体勢を崩したシーフ・アポカリプスの脳天にファルべが繰り出した踵落としの衝撃が走る。
「さあ、盛り上げていこう……。今度は銃のプレゼントだ!」
踵落としの反動を生かし、ファルべはさらに高くまで舞い上がると、タクトライザーのダイヤルを銃に合わせた。
《ガッキョク!ガン!》
一瞬でタクトライザーの剣先が折り畳まれ、柄がトリガーに変形し、銃の形になった。
『ッ!こうなれば……錯乱させてあげましょう!』
堕ちたシーフ・アポカリプスはダメージを受けながらも、立ち上がると、あちらこちらに転移し、ファルべを混乱させようとする。
が、上空でトリガーを引いたファルべはポツリと呟いた。
「風の弾丸に、通用しないぜ……。さあ、見せてやる!」
ガガガガッ!次々と風のエフェクトを描き、弾丸がシーフ・アポカリプスの現れた場所に撃ち込まれた。
『そ、そんな!グアアアアアアアアアッ!』
次々と弾丸を浴び、シーフ・アポカリプスの身体から形成していたパーツが飛び散る。
「よし……、そろそろラストナンバーだ……」
ファルべは一気に加速し、軽く飛び上がると、挟み蹴りの要領でシーフ・アポカリプスを吹っ飛ばした。
『グアアアアアアアアアッ!』シーフは転がると、地面に伏せるがよろよろと立ち上がる。
ファルべは何とか立ち上がるシーフ・アポカリプスに向けて、銃口を向ける。
『わ、私は……、私は……フフフッ!』
不気味に笑うシーフ・アポカリプスは手を広げて、ファルべに向かってアピールして見せる。
『フッフフ!さあ、早く撃ち抜いてみなさい、仮面ライダーファルべ!』
(やはり、コイツ……。何か目的が……)
予想だにしない行動に驚愕するファルべだが、最早止まれない。ベルトからピースを外し、タクトライザーにセットした。
《フィナーレ!レガート!ガンストライク!》
風が螺旋を描き、タクトライザーに溜まっていく。
「覚悟しな、大怪盗!」タクトライザーのトリガーを引くと、竜巻に包まれた弾丸が放たれ、シーフ・アポカリプスの腹を貫いた。
これぞ、ファルべ・ロンドサウンドの一撃『スクリューブラスト』である。
『グアアアアアアアアアッ!アッハハハハハハハッ!また、お会いしましょう!アッハハハハハハハッ!』
シーフ・アポカリプスは笑いと断末魔をあげ、粉々に砕けた。
「終わったか……」
ファルべは釈然としない何かを抱えながらのも、銃を下ろしたのであったーー。