戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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29話 光溜のプライド

次々と繰り出されるパラボナ・アポカリプスのコード鞭を掻い潜りながら、光溜は机に潜り込む。

 

「答えろ!お前の協力者は誰だ!?」

 

『うるさいでやんす!黙るっでやんすよ!』

 

激しい鞭の中、机から顔を覗かせ、身を隠す光溜の問いには全く応じず、パラボナ・アポカリプスはさらに攻撃を続ける。

 

「ッチ!イライラさせんじゃねえ!ヨッ!」

 

コード鞭の僅かな隙を見逃さず、机から飛び出した光溜は前転で距離を詰め、パラボナ・アポカリプスの視線の真下に潜り込んで見せた。

 

『ち、チョコマカ……』

 

目線を動かそうとしたパラボナ・アポカリプスに対して、光溜は思いっきり右アッパーを繰り出した。

 

鈍い音と共に、パラボナ・アポカリプスのバランスが少しずれた。

 

『うぐっ!』

 

「オラッ!」

 

変身前でも荒々しいファイトぶりは変わらず、ヤクザキックをパラボナ・アポカリプスの腹の真ん中にぶち当てる光溜。

 

パラボナは思いもしない衝撃を受け、後ずさってしまった。

 

『こ、こんなに荒くては逆に難しいでやんす……』

 

光溜の強引なラフファイトに引いてしまうパラボナ・アポカリプス。

 

「荒くて悪いな!これが俺のアイデンティティなんだよ!理解されてたまるものか!」

 

光溜はかなり沸騰しながらも、流れるようにジャケットのポケットからスコアドライバーを取り出し、腰に巻いた。

 

《セット・オン・ステージ!》鳴り響いた電子音と共にピアノの美しい待機音がテンポよく鳴り渡る。

 

そして、光溜はトロイメライのサウンディカルピースをベルトにセットし、力強い握り拳を突き出す。

 

《ピース!トロイメライ!アンダスタン!》

 

「変……身ッ!」

 

勢いよく握り拳をトリガーに当て、セーフティを解除する。

 

《フォルテッシモ!サウンド!トロイメライ!》いつものようなコールと共に、光溜は音の鎧を身に纏う。

 

そして、仮面ライダースコアが姿を現した。屈辱に燃えるオーラを漂わせながら。

 

『あうっ……。これはまずいでやんすね……』スコアの纏う得体の知れない気迫に旗色の悪さを理解することしか出来ないパラボナ・アポカリプス。

 

これは明らかに分が悪い。いや、それどころではなく、ここで撃破されかねない勢いだ。

 

「俺の愛車を壊し、プライドをなめ腐りやがって……。てめえのパラボナアンテナ真っ二つにしてやんよ!」

 

『いや、こけたのは自分の運転……』

 

「しゃらくせえ!オラッ!」

 

運転を謝ったお前が悪いと言いたかったパラボナ・アポカリプスの顔面を思いっきり殴るスコア。今回も脳筋ぶりが振り切れている。

 

『アグッ!?』手順を選ばぬ拳を顔面に受けたパラボナ・アポカリプスは衝撃で壁にぶつかる。

 

「メトロセイバー!!」

 

解き放たれたパワーファイターの真髄、ここにあり。パラボナ・アポカリプスを捻り潰す事に集中したスコアはメトロセイバーを召喚し、アポカリプスに向かって突っ込んでいく。

 

『うぐぐっ……。仕方ないでやんす……』

 

スコアの一撃を受けたパラボナ・アポカリプスは両手にアンテナ型の盾を展開し、嵐のごとき攻撃を防ぐことを第一に考え始めた。

 

「フッ!」そんなパラボナ・アポカリプスに向かって、スコアの鋭い一撃が放たれる。

 

『届かせないでやんすよ!ホレ!』

 

メトロセイバーとアンテナ盾がぶつかり合う。ギリギリと互いに力を入れ合い、力比べに移行しているが、いきなり差がつき始めていた。

 

『のああああああああっ!』

 

「お前の守りなんて、俺には関係ないんだよ!」スコアの言葉通り、パラボナ・アポカリプスが膝をついていた。

 

「オラッ!オラッ!」

 

力を加えながら、スコアはパラボナ・アポカリプスの顔面を膝蹴りする。もはや、仮面ライダーと言う形には囚われていない自由すぎる闘いだ。

 

『ぐっ!ぐっ!ぐあっ!』

 

一方的になぶられるパラボナ・アポカリプスの守りを、メトロセイバーが突破した。

 

ザン!と大きな音と共に、パラボナ・アポカリプスの体から火花が散り、吹き飛んだ。

 

『……む、無茶苦茶でやんすよ……。だけれども、時間は稼げたでやんす……』

 

大きなダメージを受けたパラボナ・アポカリプスはふらつきながら、逃げ出す。

 

「逃がさねえ!」

 

メトロセイバーを構え、追撃に出ようとするスコア。

 

『そ、そうはいかないでやんす……』

 

パラボナ・アポカリプスはとっておきの能力を発動させるため、身体に帯電する。

 

「ッ!させるかよ!」

 

何をしようとしているか、分からないが何か嫌な予感がしたスコアはメトロセイバーを盾のようにし、思いっきり走り出す。

 

『ほれっ!これを食らうでやんす!』

 

パラボナ・アポカリプスが指を鳴らす。すると、彼のアンテナ型の頭から目に見えない電磁波が発信された。

 

「……これはっ!?」

 

この電磁波はスコアには効かなかった。だが、異変を巻き起こした。

 

激しい爆発音と、ショートする機械の音。両方が周りの機械で起きていた。

 

「ッ!」

 

バン!バン!と次々と壊れていく機械が火を吹き、壊れていった。

 

そして、スコアを巻き込み、部屋は煙に包まれていた。

 

「……クソッ!」

 

煙を蹴散らしながら、スコアが出てきた時には既にパラボナ・アポカリプスはおさらばしていたのだった。

 

悔しさと証拠を隠滅され、思わず地団駄を踏むスコア。

 

そんな彼に通信が入る。

 

『光溜、安心して……。どうにかなったわよ、データ、何とかコピー出来たから』

 

「助かった、リーサ」

 

リーサのバックアップを感謝しながらも、パラボナ・アポカリプスを今度こそ仕留めると言わんばかりにスコアは拳を握ったーー。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

神城航はある場所を訪れていた。

 

「……会わせる顔なんてないよなあ……」

 

航が訪れたのは、収容施設だった。彼はするりとセキュリティを掻い潜りながら、ここにやって来たのだ。

 

航は物陰からある女性達を見つめていた。

 

凛とした姿が美しいピンクの長い髪の女性と、そんな彼女と共にいる金髪の少女と、日本人形のような少女。

 

3人の姿を見つめていた。

 

「……………………………」

 

いつもの仮面を脱ぎ捨てた航は複雑な思いを抱えたまま、その場から再び消えた。

 

まるで、止まった時間を噛み締めているかのように……。

 

「マリア、どうしたデスか?」

 

「……何でもないわ……。もしかして、今の……」

 

だが、女性はしっかりと彼の姿を見ていた。

 

「………航?」

 

彼の名をポツリと呼び、胸にとどめておくように。

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