戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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30話 翼と言う名の必然

「……どうやら、パラボナは色々とミスをおかしているようね、とってもイライラしちゃう」

 

パラボナ・アポカリプスの計画の進め方が不満なようなディーヴァがヨハネに向かって、口を尖らせていた。

 

「……そう言うのは些細な問題だ。事が運ぶ事が第一だ」

 

相反する意見で、真っ向からぶつかるヨハネ。

 

「……………………………」

 

その二人の争いを腕を組み、静かに聞いているパンドラは哀れな子羊達の集う聖堂を見下ろした。

 

ーこのバベルの塔が地から出でずる時、我々の定めは世界を一つにする!ー

 

ーその通りだ!教団バベルに幸あれ!ー

 

ワアアアッと本当にこの組織を動かしているのはパンドラらとは知らないまま、人々は祭り上げた

司祭を拝む。

 

「それ故に、赦しなど無い。私の望む世界は、終末に彩られ、悲劇に支配させる世界。なんと、救いを求むる者は意地の汚い者よ……」

 

永住の地を得たとばかりに人々が必死になり、教団を祭り上げるその様は滑稽にしか見えなかった。パンドラは愉しそうに、余興を求めていた。

 

「パンドラ、話を聞いていたのかしら?」

 

「……パンドラにすがるか、笑止よ……」

 

この二人の言い争いの矛先が、パンドラに向いた時、彼は不揃いの歯を見せて、笑った。

 

「破滅を近づけるなら、好きなようにしなさい。ただし、筋は通す事が最低の条件でありますが……」

 

パンドラの背後から渦を巻く、禍々しきオーラと凄みが、二人を黙らせた。

 

「……………………………」

 

ヨハネはパンドラの言葉に黙って頷き、ディーヴァから目線をそらし、本に目を落とした。

 

対照的にディーヴァは引き攣った笑顔を浮かべ、壁に寄りかかった。

 

「……仕方無いわね、パンドラの言うことも一理あるしね……」

 

さすがにしゃべりすぎたのか、ディーヴァはブツブツ小声になると、そのまま自分の世界に戻っていった。

 

「ならば、宜しい……」明らかに血の通わない冷徹な言葉がホールに響いた。

 

ーナスターシャ博士の遺体を収容しますー

 

ー分かった、もうしばらくとどまって調査を進めてくれー

 

そんな冷徹なパンドラの耳に流れる声は、ハッキングされたモノであった。

 

「もうしばらくの辛抱ですか、実に楽しみですね……」

 

このパンドラが傍受した放送にはなんの意味があるのか……。それは、徐々に白い霧の中から姿を見せ始めた。

 

「シーフ、あなたの働き、実に素晴らしい……」

 

既に全ては筒抜けだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ロードの日本支局はかなり真剣なムードが漂っていた。

 

「……つまり、パラボナ・アポカリプスは既に協力者を甘い言葉で勧誘して、大がかりな舞台を整えようとしているわけですのね」

 

リーサからの報告を得た千華がかなりすっ飛ばして纏めていた。

 

「平たく言えばね」

 

「その協力者を引っ張りあげる事にまんまと失敗した光溜君はどうするのですか?」

 

この嫌みったらしい千華の煽りが黙ってそっぽを向いたままの光溜に火をつけた。

 

「この性悪女め……。ああ、分かった!見せてやるよ、俺がパラボナ・アポカリプスを撃破するのをな!」

 

「……また、遊ばれちゃって……」

 

いい加減落ち着いて欲しいリーサはため息混じりに相棒を見た。

 

「はい、では頑張ってくださいまし」

 

扇子で顔を覆い隠し、口元を見せない千華ではあるが間違いなく笑っている。

 

「……でも、パラボナ・アポカリプスをそのままにしておいたら、シャトルの回収したデータは……」

 

確かに懸念の通りだ。もし、シャトルからデータがまんまと盗まれればよからぬ事に使われるのは間違いないのだ。

 

だが、それが何に使われるかはまだはっきりと見えていない。

 

それだけでない。リーサが回収した情報にあった協力者と思われる博士、カイケルを捕まえなければ終わらない。

 

懸念を抱えたまま、パラボナ・アポカリプスの計画するシャトル破壊は進んでいくーー。

 

様々な思いが交錯し、数日が経過したーー。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

代わり映えもしない喫茶店アサンブラーシュ。

 

そこにはいつものようにしっかりとアイデンティティを崩さない奏貴がケータイを片手に座っていた。

 

『奏貴君、一人で大丈夫?』

 

端末越しに奏貴の心配をする縁。

 

「大丈夫ですよ、しっかりと聞く事は聞きますからね」

 

縁の心配をピシャリと押さえ込んだ奏貴はある人物を待っていた。いつも以上に冷静なのは不安の裏返しか。

 

はたまた、何か決意を固めたのか。

 

奏貴はその相手を待ち受けていたのだ。その相手とは……。

 

「……お待たせしました……」

 

凛とした雰囲気を纏い、美しい青い髪を揺らす少女。

 

「冴刃さん、今日はお願いします」

 

彼女の後ろにはにこやかな柔らかい笑みを称えた緒川慎次マネージャー。

 

「……始めまして、お目にかかれて光栄です」

 

奏貴は緒川マネージャーと視線による会話を済ませると、少女に向かって頭を下げた。

 

「冴刃奏貴と言います。今日のインタビューを担当する事になりました。どうぞお手柔らかに」

 

奏貴はらしくない硬い台詞を吐いてみせた。

 

「ええ、こちらこそ宜しくお願いします」

 

奏貴の言葉に笑みを浮かべながら、少女は続けてみせた。

 

これが人気アイドル、風鳴翼との始まりの出会いであった。

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