2週間前。
開発センター中央制御室。
「月から英雄さんが帰ってくるな……」
国連の役人が、モニターの向こうのシャトルを見て、感慨に浸る。
「カイケルは何をしている?」
役人がセンターの長に話す。このシャトルは月に遺された遺産の調査と、フロンティア事変で星を救った英雄の遺体を回収することも定められていた。
パラボナ・アポカリプスと手を組んだカイケル博士は、このプロジェクトの先頭に立つ人物であったわけだ。
人類にとっての一歩は今、刻まれんとする。
「それは数日前から行方不明でして……。ですが、安全に事は運んでおります!」
「ふん、重圧にでも押し潰されたか……」
カイケル博士を見下すお役所ぶりに漬け込まれることも知らず、栄光に見いられた者達がシャトルを見送った。
その報いは今、起きていた。
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月から戻り足のシャトルとの通信が、開発センターで行われていた。
仮面ライダースコアとパラボナ・アポカリプスの戦いがあったとは思えないほど多数の人々がモニターを見つめ、その瞬間が近づいていることを実感する。
『こちら、衛星の軌道 に入ります』
シャトルを操縦する二人のパイロットの様子が鮮明に映り、彼らとの通信はなんの問題もなく進む。
「了解です。後着陸まで一時間ですが、必ず帰ってきてください」
オペレーターの確認の言葉が周りにまもなくの瞬間を意識させた。
「あと、少しか……」
「そうですね……」
和やかなムードが開発センターの制御室に漂い始めたその時であった。場面は急展開を迎えることになった。
耳をつんざくランデブーサインが一拍を置いて鳴り渡る。
ビイッ、ビイッ!それはシャトルの映像から響いていた。それを皮切りに和やかなムードは消し飛んでしまった。
「どうしました!?」オペレーターが堪らず叫ぶが、シャトルからは何も返答が無い。
そのランデブーサインに導かれるかのようにセンター長に、役人がすっ飛んできて、モニターを呆然と見た。
そして、役人がオペレーターを押し退け、マイクに近づき、叫ぶ。
「おい!応答しろ!何をしているんだ!?重要な機密に何かあったのか!?」
「ち、ちょっ!?」
役人のパイロットをかが見ない言葉にオペレーターが突っ込む。この場合、人命を心配するのは当たり前のはずであるが、役人やセンター長ななはそれがなかった。
「黙っておけ!おい、どうなっているんだ!おい!」
怒鳴り続ける醜い姿は救いようすらない。そんな役人達を絶望させる通信が入った。
『……ジャグミング……通信……装置……イカれて……。変な音で頭がわ、割れるように……』
映像に強いノイズが走り、シャトルの中の様子は完全に見えなくなった。さらに意味ありげな途切れ途切れの言葉が、役人達だけでなく、センターの全員を凍てつかせた。
「……通信、途絶えました……」
シャトルの反応はあるが、通信と言う方法は失われた。まさに危機的状況と言って過言ではないだろう。
青ざめた役人はどうするか、頭が回っていなかった。
確かにこの映像は世界中にネットで配信されており、どうにか出来る可能性もあるだろう。
だが、それは奇跡に近くなければどちらも取れないと言う絶望を示していた。
さらに事態は最悪に転ぶ。
「のあああああああああっ!」
突然、オペレーターや職員達が頭を抱えて、転がりだしたのだ。まるで何者かが操っているかのように、一斉に。
さらに、機材にも影響が起こり始める。あちらこちらで、精密な機械がショートし始めたのだ。
バン!この前と同じように煙をあげ、あっという間に開発センターはおかしな空間に変わってしまった。
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「待たせたな、二人とも」
一方、この緊急事態を知らされた翼は二人の奏者と合流していた。
「先輩、遅すぎですよ。さっさと行きますよ」
翼を壁に寄りかかって待っていたクリスが口を開く。
「私達が出来ることをしに、誰かに手を伸ばすために、行きましょう!翼さん!」
強く宣言する響にクリスも頷く。
そして、翼も一回大きく頷くと、背を向け通路の向こうを見た。
「ああ、行くとしよう。私達を必要とする者を防(さきも)るために!」
「はい!」「ああ!」
響を先頭に、翼、クリスはシャトルの救出に動き出した。
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「……こっちの方角か……」
奏貴の運転するライドシンフォニーは真っ直ぐ走る。
反応を捕まえたアポカリプスの元に急ぐためだ。
だが、奏貴は慌ててブレーキを踏む。目の前に立ちふさがる男がいたからだ。
「……………………………」
無言で立ちすさぶ赤色のジャケットを羽織った男。
「…………お前、どうしてここにいる?」
奏貴はヘルメットを被ったまま、赤ジャケットに聞く。
「フン、そろそろ動いてくると思っていたぞ……冴刃奏貴」
男はずんずんと前に進むと、奏貴の真正面に立つ。
「………高薙光溜………」
二人の仮面ライダーが再び会合した。その意味とは?
「……貴様に先を越されるのは気に食わなくてな。そこでだ、俺と手を組め!」
「は?」
まさかの言葉に奏貴は目を丸くしたのだった。