戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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第二楽章 重なる道
37話 新たなるステージ


シャトル事故から何ヵ月も経ち、世界はがらりと変わった。

 

まず、国連が正式にシンフォギアを傘下に置き、タクトフォース組織『S.O.N.G』を結成した事。

 

第二に欧州の暗黒から現れた錬金術師による魔法少女事変、俗に言う『アルケミック・カルト』により、世界が分解の危機にあった事。

 

アルケミック・カルトの首謀者である『キャロル・マールス・ディーンハイム』は、父の言葉を間違った方に実現しようと、また父の復讐に想い出を燃やし、挑んだ。

 

その危機に少女達は歌を持って、歌を制した。

 

再び、彼女達は世界に奇跡を奏で、希望を灯したのだ。

 

第三に……新たな影が動き始めていた。

 

その名は教団バベル。そう、奴らだ。

 

キャロル達の事変が始まるのを予知したようにパッタリと動きのなかった教団であったが、それはまるでテグスで人形を動かしているかのように裏で動いていた。

 

それを示したのはーー。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

東京の中心部に派手に空いたクレーター。広範囲に渡って広がるその窪みは激しい戦いを示していた。

 

散らばる瓦礫と、城の残骸。

 

アルケミック・カルトの忘れ形見の中を、四人の白装束が歩いていた。

 

「これが錬金術師の本拠地、チフォージュ・シャトーの夢の跡。これはこれで素晴らしいモノであることには違いありません」

 

手を広げ、盛大にアピールして見せるパンドラ。

 

「……でも、役立たずだった錬金術師の遺産をどうするつもりかしら?」

 

ディーヴァは全く価値がないとばかりにキャロル達の錬金術を嘲笑う。

 

「……ディーヴァ……。お前はすぐにそうやって切り捨てる!ロクなモノがみえていないんじゃないのか?」

 

それはヨハネの内角を抉る指摘であった。すぐに返すことが出来ない猛烈な嫌みも込めて。

 

「はあ?貴方こそ、錬金術師が派手にやってくれている中、なにも言わずに傍観していたわよね。ヘタレよ、あなたは!」

 

「……お前は思慮の欠片も無いのか?いや、すでに欠落していたか」

 

「『ふざけるなっ!』」

 

頭のボルテージが降りきれたのか、ディーヴァは姿を変える。

 

黒の花弁を撒き散らし、漆黒のバラをあしらった機械仕掛けのドレスを纏う。

 

ただし、それはアポカリプスではなく、シンフォギアに近い形状であり、ディーヴァ自身もそのままであった。

 

「……相変わらず、未完全な旋律だ。自動人形をガラクタと言うわりにはお前も似たようなモノだ、何故なら……」

 

ヨハネはディーヴァのその姿を見て、吐き捨てた。

 

『言うなっ!私は、アポカリプスだあっ!』

 

「違う!お前は……。いや、いい。そこまで言うなら、違いを知らしめてやろう!」

 

ヨハネはディーヴァの主張を真っ向から否定すると、自分自身も嵐の旋律に身を包む。

 

そこに姿を現したのは、王冠を被った紅い竜と胸に7つの目を持った羊を思わせる顔。そして、狼のような顔を左手に纏った赤と、黒、白が妙に混ざりあった身体を持つ異形であった。

 

ただの異形ではない。それぞれが黙示録に現れる生き物の特長を織り混ぜたグロテスクな怪物。

 

その名はキマイラ・アポカリプス。

 

ヨハネの本来の姿である。

 

『さあ、格の違いを刻んでやろう」

 

キマイラ・アポカリプスとディーヴァの一触即発の空気に、1人肩を揺らすモノクルを目にしたかなり端正な紳士風の男。

 

シルクハットと、ステッキを完備しているあたりがよくその人を表している。

 

可笑しな怪盗だと言う事を。

 

「……二人とも止めてはいかがでしょうかね?パンドラの顔を保つのも大切な事なのでね」

 

シルクハットに目を隠しながら、醜態を晒しかけた二人を冷たく切り捨てるモノクル男。

 

いや、改めて言えば、幹部に加わることとなったシーフの冷たい口調に押しきられたのである。

 

二人ともしぶしぶ 変身を解いた。

 

「なんで、シーフに言われるのよ……」

 

ディーヴァはつまらなさそうであったが、ヨハネは黙ったままでパンドラとシーフに目を向けた。

 

「なら、いいでしょう。 我々の目的を忘れないようにね」

 

シーフは嗤う。すでに彼の初めての部下は放たれていたのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

同時刻。

 

「……………………………」

 

冴刃奏貴は海を見ていた。

 

「……海坊主、いるわけないだろう……」

 

すっかり自分の仕事に戻っていた奏貴に今回舞い込んだのは海坊主のオカルト記事。

 

いつもながら、縁に無茶を振られたのが気にくわないのか、なかなか仕事に集中できず、海を眺めていたのだ。

 

その背中には哀愁すら刻まれ、小さく見える。

 

「……やあ、仮面ライダーファルベ!」

 

「………………また、お前か。神城。……………」

 

そんな奏貴に開口一番、声をかけてきた人物がいた。

 

白いタキシードがいつでも似合う神城航だった。

 

「どうした?確かにアルケミック・カルトは終わったが、どうしても動きを見せない教団でも気にかかっていたか?」

 

「……さあ、な……」

 

航に付き合うのはご勘弁とばかりにすぐに話を切り上げ、奏貴はその場を後にしようとした。

 

「おい、おい……。本当に僕の話を聞かなくていいのかな?」

 

そんな奏貴を見透かしたように、言葉を投げ掛ける航。

 

「………何だ………」

 

すっかり航の扱いになれていたのか、奏貴は彼の本来の目的をあぶり出しにかかった。

 

「簡単さ。教団が動き出したんだね、これが」

 

「ついにか……」

 

いつもはちんぷんかんぷんな航であるが、ストレートに切り出す時は大抵が本当の事であるのを理解した奏貴。

 

「しかも、隠れ蓑が無くなった今、アイツらは本当の牙を向く。それは世界に爪痕を残し、全てをひっくり返すための楔。狙うは、歌女……」

 

「……つまりはそういう事でいいんだな……」

 

奏貴の覚悟は決まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その夜。

 

ーな、何だ?電気が急に?ー

 

落ち着きを取り戻したオフィス街の明かりが一斉に堕ちた。

 

まごうことなき、停電だ。

 

だが、それは一瞬だけで再び明かりが灯る。

 

ただの不調の……はずだった。

 

『……生きのいい電流だぜ、ビリビリくるぜ……』

 

その闇の中、電気コードとコイルを合わせたような姿をした異形が歩いていた。

 

今、新たな戦いの幕が降りる。

 

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