戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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38話 立花響との出逢い

謎の停電から数日が過ぎていた。だが、大きな異変はなにも起こっていない状況は続いていた。

 

「……………………………」

 

奏貴も海坊主の取材は当の昔に、記憶の底に沈め、教団の動きを追っていた。

 

神城航の言葉は本質をつくからこそ、異変を見つけようと、躍起にはなるが全てが空振りになっていた。

 

だから、今、奏貴はボーッと海を眺めていたのだ 。

 

ただの休憩ではなく頭を冷やすための、合間であるのだ。

 

「……………………………」

 

ネクタイを緩め、仕切り直しとばかりに背伸びした奏貴。

 

「よし」スッと気持ちをいれ、ここから仕事に向かおうとする奏貴はライドシンフォニーに跨がり、エンジンをかけようとする。

 

その時だった。

 

「フッ、フッ、フッ」

 

奏貴の後ろから跳ねた髪の毛が特徴的なジャージ姿の少女が走ってきたのだ。

 

「……………………………」

 

思わずちらりと、目線を流してみる奏貴。すると、その少女の姿を何処かで見たことがある気がした。

 

「あれっ?うわああああっ!」

 

そんな奏貴の眼差しに引かれたのか、何と少女は小さな石に躓き、豪快に引っくり返ってしまったのだ。それはもう、10点満点のきれいな転びかたで。

 

「……………………………」思わず見とれてしまう奏貴は何も言わず、少女に向かって歩き始めた。

 

「あたた……」

 

「……大丈夫ですか?」

 

少女の元に歩み寄った奏貴は彼女に向かって手を差し出した。

 

「えっ?あわわっ、だ、平気です、へっちゃらです!大丈夫です!ありがとうございます!」

 

思いもよらぬ助け船に驚いた少女はまるで跳ね起きるように慌てて立ち上がった。一礼つきで。

 

「怪我もないみたいだし、大丈夫そうだな、それじゃ……」

 

少女のオーバーリアクションに大丈夫だと確信を得た奏貴は手をあげ、踵を返した。

 

「ち、ちょっと待ってくださいよ!」

 

そんな奏貴を少女が呼び止めた。

 

「まだちゃんとお礼を言ってないです!それに、これを落としましたよ!」

 

手をさしのべてくれたことに対するきちんとしたお礼を言いたいがための呼び止めと共に、少女が偶然に拾ったそれを見せる。

 

「……あ……」

 

しまったと、頭をかく奏貴。それはそうだ、彼が落としたのはパズルのピース。要するにサウンディカルピースであったからだ。

 

こんな大事なものを落としたのは示しがつかない。正直に引き返すと、少女からサウンディカルピースを受け取った。

 

「ありがとう……。あのさ、お礼がしたいんだけど」

 

自分なりに小さいお礼がしたいと自販機を指差す奏貴。

 

だが、少女はぶんぶんと首を振った。

 

「いえ、当然のことをしたまでですよ!始めに声をかけてもらって、お礼をしないのは落ち着きませんし」

 

ニッコリと笑う少女。

 

「いや、今度は俺が釈然としないから……」

 

「いいですよ!」

 

「気持ちだからさ」

 

「ダメです!よくないです!」

 

「だから……」

 

「私、気持ちだけでいいんです!」

 

二人の感謝を巡るやり取りが途中から中心軸がぶれにぶれ、不毛な争いになっていた。

 

互いに引かない奏貴と少女。端から見ても、何処から見てもしょうもないが、本人達は気づいていない。

 

「……仕方ないな……」

 

だが、そんな均衡を破り実力行使に奏貴が打って出た。

 

自販機に小銭を投入し、少女に笑って見せたのだ。

 

「気持ちだから……ね」

 

「……う、それじゃあ……」

 

流石に悪いと思い、折れた少女は奏貴の導きに誘われ、自販機の前に歩いていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

奏貴のおごりを呑み、買ってもらった水を片手に少女はライドシンフォニーの近くに腰かけていた。そして、奏貴もライドシンフォニーの運転席に腰を下ろしていた。

 

「……………………………」

 

「……ああ……。これはどういう状況なんだろう……」

 

不思議なツーショットで、うろたえる少女とは対照的に奏貴はコーヒーを飲み干した。

 

「……えっと、ごちそうさまです。なんと言うか、不思議な感じですね」

 

「ん、そうかもね……」

 

奇妙なやり取りからの出逢いではあったが、大分、落ち着いてきたようだ。

 

「お兄さん、色々とありがとうございました」

 

「お兄さん?ちょ、ちょっと……」

 

少女にお兄さんと言われて、奏貴は少しショックを受けた。どうやら、少女とはそれほど年が離れていないように見えたのだが、そうとは見えなかったらしい。

 

「……これも何かの縁だよな……。俺はそんなに歳は離れていないはずだよ?一応、17だし」

 

少女に向かって、名刺を差し出す奏貴。

 

「えっと……えっ!?」

 

名刺を見て、少女に衝撃が走った。

 

「いっこ、歳上ッ!ええっ!?」

 

「あはは……」

 

ここまでの驚き方は逆に清々しい。奏貴は少女のコロコロ変わる表情を面白がっていた。

 

「一応、フリーライターやってるんだ、俺。」

 

「フリーライター……」

 

どうやら少女はどう答えていいか、処理に時間がかかっているようだ。

 

「ま、こう言う縁もあるってことで。改めまして、俺は冴刃奏貴。よろしく」

 

奏貴の自己紹介に少女が慌て出す。

 

「あ、私も名乗らないといけませんよね!えっと、私は立花響、16歳です!彼氏いない歴は年齢で、趣味は人助け!好きな食べ物はご飯&ご飯!身長は157センチで、体重は内緒です!よろしくお願いします!」

 

少女、いや立花響はらしい自己紹介で奏貴に笑顔を見せた。

 

「響ちゃんか……」

 

「奏貴さん、色々とありがとうございました!」

 

すっかり打ち解けた奏貴と響。

 

この二人の出逢いは運命的であるのは違いなかった。

 

 

 

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