戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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39話 戦いの火蓋は落とされたのか?

その日の夜、また停電が起きていた。

 

ーまた、停電だー

 

ー最近、多いわよね。あ、戻ったー

 

そんな他愛も無い会話の裏では、再び暗躍する影があった。

 

『痺れるぜ……。このコイルには生きたエネルギーが溜まっている』

 

微かな月の光が映し出したのは、肩に鉄のコイル、手はコードの形。そして、電池と発電機のパーツを体に纏った怪人だった。

 

「充電も、溜め込んだ力も、目一杯ですか、エレキ?」

 

そんな怪人の腹の具合を興味津々に月のライトが照らす消えた街灯の下に現れた人物が聞く。

 

『いい具合だぜ、シーフ!これだけあれば大暴れ出来そうだ!』

 

その人物に胸を張って応じる怪人、エレキ・アポカリプス。停電を引き起こしていた犯人はこのアポカリプスであった。

 

シーフが幹部となって差し向けた第1号でもあるエレキ・アポカリプスを見て、彼は満足そうに言った。

 

「ならば、宜しい。今まで表舞台は好まなかったが、そろそろ悲願に向けて、光の灯るステージに躍り出るとしようか。ヨハネやディーヴァのように地味なステージは嫌いですからね」

 

教団バベルの思惑を背負い、シーフが動き始めた。

 

「まずは我々の存在を示すとしようか、正義の味方様方に。フフフッ」

 

エレキ・アポカリプスに指で指示を出すシーフ。

 

それは、これまでレーダーやカメラ等も欺いてきたアポカリプスの存在を隠す特殊な波動を切るようにと言う指示だった。

 

『本当にいいのか?』

 

「……まずは一手。そこから我々と向かい合って頂きましょ、哀れな子羊達に……ね」

 

シーフの浮かべる笑みは不敵なものだった。漂う空気は幹部になった今、より掴み所がなくなっていた。

 

『そらよっ!なら、好きにやらせてもらうッ!』

 

シーフからのゴーサインを受け取ったエレキ・アポカリプスは吸った電気を空中に向かって放った。

 

強烈な閃光が走り、一線の稲妻がかけたーー。

 

「……これで楔は打ちました……。さあ、さあ、さあ……どうするのかな……」

 

『これでいいのか、シーフ!?まだ序の口だが』

 

「十二分にね、これで構いません……」

 

シーフは目論む。この戦いをさらに愉悦に包むために。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃、同時刻のS.O.N.G本部ではーー。

 

「キャロルちゃんは、寝ちゃった?」

 

「流石に遅いからね、あとは私達だけよ」

 

夜勤にいそいそと勤しむのはお馴染みのオペレーターズの藤尭朔也と友里 あおい。

 

「あれからこうも何もないと、このままのんびり出来たならとか思うよ」

 

藤尭の言う通りだ。暇なのがS.O.N.Gにとっては何よりの朗報なのは間違いない。

 

「確かにね、でも何が起こるかなんてわからないもの……そのための私達でしょ?」

 

「そうなんだけどね」

 

二課時代からコンビを組み続けてきただけあって話す内容も、分かりあう。

 

気は緩めず、仕事に取り組むのが初動に大切な事なのだ。

 

「……あれ?」

 

そんな時、藤尭がある可笑しな反応を掴んだ。

 

「どうしたの?」

 

「微弱な反応だけど……これは……」

 

S.O.N.Gの情報のスペシャリストが捉えたのは、不可思議な波長と、強い電気の反応だった。

 

「……何かしら、この反応……。レーダーが反応していないのに、この見たことのない波長の乱れ方……」

 

藤尭とあおいは顔を見合せ、それぞれのツールと向かい合う。

 

「……反応が消えた?残しもなく!?」

 

二人が反応を捕まえようとしたのと同時に反応が忽然と消えた。

 

「……映像も、シャットアウトされてる……」

 

このただならない状況に、流石の腕利きオペレーターである二人も困惑していた。

 

その後、この反応を追おうとしたが結局、うんともすんともなかった。

 

この話はすぐに弦十郎に上がることになるが、この異様な反応の正体は分からなかったのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……………………………」

 

この反応にもう一人察知した人物がいた。

 

冴刃奏貴、言うまでもなく彼である。ネクタイを風にたなびかせ、静かにホークドロイドの通信を受けとる。

 

「……この反応、まさか……」

 

この可笑しな反応を感じとり、この発信先を掴もうとする。

 

「……反応が消えた……。間違いない、アポカリプスの仕業か……」

 

すぐに確信を得た奏貴はこの反応が教団の一手であると認識した。

 

「……………………………」

 

奏貴は急ぎ反応の元に向かうためにライドシンフォニーに乗る。間に合うかは分からないが、動き出す前になんとか封じるために。

 

バイクのエンジンが一気に燃え上がり、ライドシンフォニーはアポカリプスがいた場所に向かう。

 

その中で、奏貴はある違和感を覚えていた。

 

(この反応、どうしてだ……。今までとは違う、まるで……わざと目立とうとしているかのようだ……)

 

その予感はあながち間違いではなかったーー。

 

そして、奏貴が反応があった場所に向かうが何も残っていなかった。

 

「………一足遅かったか……」

 

やはり間違いない、アポカリプスの残響が残っていた。

 

「……………………………」

 

奏貴は空を見上げた。

 

「……神城の言った通りか……」

 

航の言葉を改めて噛みしめ、新たな戦いの火蓋が落ちているのを、頭に焼き付けた奏貴は小さく息を吐いたーー。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……ガイアメモリ、それは星の記憶……」

 

ロンドンの時計塔の上、月夜に輝く白いタキシード。

 

神城航の腰にはベルトが巻かれていた。

 

真ん中にスロットがあるトランプの紋章を四隅にあしらった四角のベルト。赤いトリガーが今か、今かと引かれる時間を待つ。

 

「ならばとて、僕はこの力、何に使う?大切な人を守るために……」

 

時計塔の上には教団の兵か、人の姿をした仮面の兵士達。

 

「……未完成のピースから産まれた兵士(パズルノイズ)ってか……」

 

ノイズ、アルカノイズをさらに劣化させて特異性を失ってはいるが、逆に兵力を高めた兵士を見て、嘆いて見せる航。

 

「なら、受けとるさ……。教団の野望を砕くためにな!」

 

《マジシャン!》

 

航に向かい、兵士が襲いかかる。

 

「変身!」何かを起動させ、真ん中のスロットにセットした航は指をならし、右手で赤いトリガーを引いた。

 

《マジシャン!!レッツ・ショータイム!》

 

四角のバックルが2ヶ所で反転し、真ん中のスロットと組み合い、『M』の形になった。

 

 

そうだ、仮面ライダーは二人だけじゃない……。

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