戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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46話 ナイトコンダクター・チェイス

奏貴がS.O.N.Gと協力する事を宣言したその時、首都高を滑走するスーパーマシンがあった。

 

黒の車体に、エレキギターを型どったようなスマートなフォルム。奏貴の駆るライドシンフォニーに近い種別のモノだ。

 

まさにスーパーマシンの片割れと言ったようなバイク・ナイトコンダクターを操るのは、赤いライダースジャケットを着こなす高凪光溜であった。

 

「………やっと動き出しやがったな!さあ、そこ退け、そこ退け!待ちやがれ!」

 

車の間を掻い潜りながら、カーブを強引に曲がり、あるモノを追う光溜。どうも、バイクの運転が荒いのは直っていないようだ。

 

 

さて、光溜が追いかけているモノの正体は、緑に発光しながら、とてつもないスピードで首都高を我が物顔で動き回るパズルのピース。

 

それはまごうことなき、アポカリプスピースだ。

 

『やれやれ、しつこい男は嫌われるわよ?』しっかりと進化を隠密利に果たしていたコアが追跡してくる光溜の感状を昂らせる。

 

セクシャルな女型の高い声質から察するに、女性型のアポカリプスなのは察しがつく。

 

だが、分からないのはその能力だ。不気味なほどに余裕を感じさせる落ち着き払った言い方が一層不敵さを際立たせる。

 

だが、そこはオレ流をど真ん中でいく光溜。全くお構い無しに、千華の口先で配置された新型車であるナイトコンダクターをぶっちぎらせる。

 

最早、ターゲットは逃がしやしない。光溜の頭がアドレナリンで回転する。

 

「フッ!待たないなら、握りつぶして粉々にしてやるよ!変身!」

 

真横にナイトコンダクターをスライドさせながら、光溜が巻いていたスコアドライバーのトリガーを押し込んだ。

 

《フォルテッシモ!サウンド!トロイメロイ!》

 

いつものような華麗なサウンドと共に、仮面ライダースコアに変身した光溜はナイトコンダクターのクラッチを限界まで踏み込んだ。

 

グンッとスロットルを回転させ、無茶な運転をこなして見せるスーパーマシン。

 

ロードの意地が産んだナイトコンダクターは、あっという間にピースの背後にぴたりと並んでいた。

 

さらにギアのスロットルが回り、回り込むのも可能と思えるほどの加速を見せる。

 

「どうだ、お前の姿を見せやがれ!」

 

『めんどくさい!暑苦しい!さっさと諦めなさい!』

 

スコアの自信満面の言葉面にスイッチが入ったのか、アポカリプスピースが緑の発光を単発で繰り返して見せた。

 

「ッ!?」

 

さすがにまずい臭いがしたのか、スコアはブレーキを踏み、急減速する。

 

それは大正解だった。異変がすぐに起こったのだ。

 

「うあああああああっ!?」

 

「いたあああああいっ!?」

 

「ななななッ!車がッ!?」

 

アポカリプス・サウンドの発生で、次々と悲鳴が上がる。いや、それだけでなく高速を走っていた何台もの車が急に浮かび上がったのだ。

 

「斥力の変動か!厄介なッ!?」

 

斥力、つまり、モノを浮かせる力を操る能力持ちのアポカリプスのようだ。

 

さらに、周りの動きが鈍くなる。

 

「重力変化もか!だが、そう簡単には止まらん!」

 

このアポカリプスの二つの能力から厄介な敵なのはちがいない。

 

ナイトコンダクターはそんな影響ももろともせず、突き進む。

 

『喰らいなさい!これで勝負よ!』

 

アポカリプスの指示により、次々と浮いていた車がスコアの行き先を拒むように落下する。

 

まるで、1列が揃ったかのように障害のようになる車。

 

「クソッ!ハッ!」

 

落ちた車にバンドル操作を誤る一歩手前までになったスコアだが、無理矢理、前輪を持ち上げて車のバリケードを飛び越えて見せた。

 

『……やるみたいね、だけどここまで!』

 

だが、一足違いだ。アポカリプスピースはスコアの追随を振り切った。その僅かな差はやはり重力の影響だった。

 

紙一重、これがどうにもスコアには納得いかなかった。

 

「……………クソッ!………………」

 

悪態をつきながら、ナイトコンダクターを止めたスコア。背後の喧騒に目をやり、怪我人も無かったのを確認した。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「ええ、衝撃だけでしたから……」

 

そんな驚愕の事態からの安堵に息をつく人の声を聞くと、スコアは再びナイトコンダクターを闇夜に走らせた。

 

『どうです、ナイトコンダクターのファーストドライブ?』

 

そんな走るナイトコンダクターの通信に、雅な声の通信が入った。恐らく、扇子をひらひらさせて、今頃どや顔をしているだろう彼女にスコアは率直に返した。

 

「お世辞は無しだ。俺はこんなマシンを待っていた!」

 

昂った高揚感を叫びで表現して見せるスコア。はっきりと、しっかりとした声色でテンションがバーストラインを突破しているのがよくわかる。

 

『それならよかった、私も鼻高々、満足ですわ』

 

「……千華。ところで、アルケミック・カルトが解決して以来、水面下での教団の動きが目に見えてきたな……」

 

それは今のアポカリプスの動きからわかる事だった。

 

エレキにしろ、あのアポカリプスにしろ、教団の差し向けたであろう事件が増え始めていたのだ。しかも、前よりも派手になって。

 

それが意味するのは何か?曲がりなく、考えるとすればそれは自ずと導かれる。

 

『……ようやく隠れていた脅威が顔を覗かせた。という解釈でいいんじゃないですの?』

 

「……宣戦布告か……」

 

『それはそうと、S.O.N.Gに仮面ライダーファルベが接触したらしいですわ』

 

大事な事を驚くほど、後だしで言い出す千華。ズルいにも程がある。

 

「そ、それを早く言え!出し惜しみとか……。無しだ!」

 

『オホホホ』

 

軽々とコントロールされるスコア/光溜は大きな声で叫んだ。

 

「……で、リーサは?」

 

流れを変えようと話題を自分の相棒の話に変えるスコア。

 

『リーサは帰りましたわよ。『表』の仕事ですので』

 

「……表か……」

 

ロードのおませなガールリーサの『表』の仕事とは……。

 

ーカメラスタジオー

 

「さて、本番ね」

 

持ち前のお転婆振りをいかすゴスロリ衣装をまとったリーサがカメラの前に立つ。

 

即ち、モデルである。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……参ったな」

 

『参ってはいけませんわよ。光溜、さっさと戻ってなさい』

 

「あいよ」

 

教団の動きが激しくなる中、ロードも動き始めるーー。

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