戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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2話 ファルベ推参!

奏貴は事件現場を後にすると、直ぐに準備に取りかかっていた。

 

シンプルかつ、派手な音楽記号の装飾を刻んだバイクの荷台に腰をかける。

 

そして、3つのピースのパーツをベストのポケットから引っ張り出していた。昨日使ったメタリックボディのツバメのピースと、他に赤と青のパズルだ。

 

「それじゃ、頼むぜ!」

 

彼は3つのパズルを上空に放り投げる。宙に舞ったピースはそれぞれが組み合わさり、三体のアンドロイドに変形する。

 

緑色のピースはツバメ型、赤色のピースはツバメよりも一回り大きなタカ型に。

 

そして、青いパーツは地面に落ちると、四つ足の形になる。そして、そのまま狼型に変形した。

 

彼をサポートするマシン達。パズルのアンドロイド、其の名もパズルドロイド。愚直なネーミングではあるが、奏貴の頼れる相棒達でもある。

 

「この音を鳴らすアポカリプスピースを追いかけてくれ」

 

奏貴の指示を受け、パズルドロイド達は次々と各地に散らばる。

 

その様子を見届けた奏貴は取材用のバックを愛機のバイク・ライドシンフォニーの荷台に押し込むと、ヘルメットを被る。

 

「……パズルドロイドに任せっきりは良くないからな」と自分の心に沸き立つ感情を呟く。

 

奏貴は自分がこうしていることを許さない。誰かを助けるために自ら探すのだ。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

誰もいないビルとビルの隙間。青白く発光するピースはここに浮かんでいた。

 

『……身体が出来る、俺はここに自分を刻む!』

 

人体発火で人間のエネルギーを吸っていた一片のピースはついに、身体を作る。

 

かちり、かちりと廃材や石を溶媒にピースは怪物となる。

 

『うおおおおおおおおおっ!』

 

雄叫びと共に、ピースはゴツゴツとした石をメインの身体とした炎型の怪人に進化した。

 

「これで、約束を果たす事が出来る……。破滅へのカウントはこの身体で刻んでやる!」

 

身体を得たアポカリプスピースから組み上がった怪人『フレイム・アポカリプス』は恐怖と絶望をかき集めるため、手をあげる。

 

「燃えよ!」

 

身体の制御を目的としたフレイム・アポカリプスの叫びで、青白い炎が試し火と言わんばかりに上がる。

 

「完全だ!これで俺は完全だ!……さて、この力を示すには、もっと人間を燃やす!」

 

フレイム・アポカリプスは人々が集まる場所を目指し、身体をバラバラにし、ピースの状態で空に舞い上がった。

 

それは獲物を探す狩人の如くに。

 

だが、ここまで派手に完成してしまえば見ているモノもいるのだ。

 

赤色のメタリックボディが沈み行く太陽を背に受けて輝く。ホークドロイドは全てを見ていた。

 

奏貴の元に飛び立つホークドロイド。それは風を遥かに凌駕していた。

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−

 

 

「ホークからの信号……もう見つけたか、いや、もうピースがアポカリプスになっちまったってワケか」

 

奇しくも奏貴はライドシンフォニーを駆り、ホークドロイドと合流するかのように走っていた。

 

ピイッ。

 

そんなライドシンフォニーを駆る奏貴の真横にホークドロイドが併走していた。

 

「ホーク、道先案内を頼む!」

 

ホークドロイドに指示を出した奏貴はマシンの後を追いかける形になり、パズルの飛び去ったほうに向かっていった。

 

 

----------------------------

 

駅近くの広場。

 

夕闇近づく広場には人々の影は無く、慌ただしい時間をまるで指し示しているようだった。

 

からりからりとそんな広場に舞い降りる青白いピースは組み上がり、再びアポカリプスに変身する。

 

「獲物は居ないか……。まあ、いい。まずはこの先の雑踏でも燃やしてやるとするか」

 

フレイム・アポカリプスはくるりと方向を変え、駅に向かって歩き出す。破滅へのカウントを刻むため、自分の仕事を果たそうとするためだ。

 

だが、そんな簡単には事は運ばなかった。

 

ザッ。フレイム・アポカリプスの前に一台のバイクが止まったのだ。

 

「探したぜ……、連続人体発火の犯人のアポカリプスさん」

 

「……俺の事、いや、アポカリプスの事を知っているだと?」

フレイム・アポカリプスはバイクに跨がったその人物が自分の事、いや、自分達の事を知っているのに驚愕した。

 

「教団もいい趣味してるな。人体発火の犯人をそのまま野に放っておくなんて……な」と言ったバイクの人物は静かに地面に足を着けると、アポカリプスと真っ直ぐ向かい合う。

 

「お前、一体何者だ?アポカリプスだけでなく、我々の教団の事を知っているなんてな……。だが、ここで消える!」

 

フレイムは真っ直ぐ向かい合う人物に向かって、人体発火のトリックである遠隔での熱コントロールを発動させようとする。

 

が、フレイム・アポカリプスの身体がバランスを崩した。

 

「ッ!?」

 

驚いたような息を漏らしたのにはワケがある。バランスを崩したのは感じた事のない一点集中の風が巻き上がったからだ。

 

「ツバメ!」

 

風を起こしたそれに指示を出した人物はヘルメットを脱ぎ捨てる。

 

間違いない、彼は奏貴だ。

 

証拠に風を巻き起こしたツバメドロイドが、彼の真上を舞っていた。

 

「パズルドロイドだと……ま、まさか!?」

 

フレイム・アポカリプスはついに気づいた。自分を止めたマシンが天敵のものであり、クールな表情を保った少年こそが『天敵』だと言う事に。

「お前の響かせた罪の音色、ここで断ち切らせてもらう!」

 

奏貴はフレイムにそう宣言すると、青いベストから楽譜の線が刻まれ、中央にパズルをセットするスロットがあるバックルを取り出す。

 

そして、躊躇無く、腰に当てる。それは一瞬でベルトに変わった。

 

《カンタービレ!サウンド……ダ・カーポ!》

 

バックルがベルトとしての機能を取り戻し、電子音声を鳴り響かせる。

 

 

それと同時にベルトから鳴り響く明るい行進曲。

 

初めて、ベルトを手にしたあの日……。

 

『錬金術師でも、魔法でも、何でもいい!』

 

誰かを助けるために、手を伸ばした。

 

そして、スーツ姿の男に託されたこれを巻いた。

 

あの時と同じ。だが、今は自分の意志で、このベルトを巻いている。

 

奏貴はト音記号のパズルをベルトのスロットにセットする。

 

《ピース!プレリュード!》

 

手を指揮者のようにクロスさせ、反動をつけ右拳を握り締めるポーズを取る奏貴。左手はレバーに触れ、お膳立ては整った。

 

「改めて、ここから始まるんだ!変身!」そして、叫ぶ。

 

叫びと同時にレバーを引いた奏貴。

 

《サウンド!プレリュード!》

 

電子音声を引き金に奏貴の周りを舞う音符とメタリックなパーツ。

 

全てが奏貴の身体を包み、音符のエフェクトが振り払われる。

 

「か、仮面ライダー……」

 

フレイム・アポカリプスはそこに立つ仮面の騎士の名を呟いた。

 

「……フッ、ああ、仮面ライダーだ……」

 

そこに立っていたのは始まりの白。

 

白いアンダーアーマーには黒いラインが左肩から斜めに3本走っている。そして、右肩に赤いマントが垂れ下がった威風堂々の姿。

 

白が基調で額に大きなト音記号をモチーフにした飾りがつき、赤い複眼が光るマスクはまさに仮面の騎士そのものだ。

 

「……始まりのプレリュード!さあ、始めようぜ」

 

仮面ライダーはフレイム・アポカリプスに指を突きつける。

 

「ふざけるなよ……仮面ライダーだろうと燃やしてやるよ!」

 

アポカリプスは仮面ライダー目掛けて突進する。

 

だが、ライダーはひらりとマントを翻し、突進をかわす。

 

「血の気は死に繋がるぜ……」

 

「ッ!お前は何なんだ!?」

 

クールなライダーに突進を止め、振り返ったフレイムが聞く。

 

答えは簡単だ。

 

「ファルベ。俺はファルベ……。仮面ライダーファルベだ!さあ、俺の音、聴いていきな!」

 

仮面ライダーファルベを名乗り、フレイムにミドルキックを見舞うライダー。

 

「ッ!?」

 

一撃を受け、後ずさるフレイムをファルベは迎撃に走るのであった。

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