戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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48話 磁力無用の連鎖

『あれほど話すことがあるのにお戻りにならないとは、これまたすっとんきょうなことですこと』

 

「何だ、千華。文句でもあるか?どこをふらつこうが、俺の勝手だろ?」

 

マグネ・アポカリプスが暴れ始めた頃と同じ時間、近くの公園に光溜がナイトコンダクターに寄りかかった状態でだらけていた。

 

千華からのありがたいお小言が通信で入ってきたようだ。

 

どうやら、光溜は支局にはに帰らず、一晩ふらついていたらしい。と言うより、彼の性格からして、アポカリプスピースに逃げられたままなのが、頭にきているはずだ。

 

プライドのためなら、執念深い。この男と言う存在を如実に示しているではないか。

 

『アポカリプスピースに逃げられて、ダラけて、本当に扱いにくいですわね。曲者、誤魔化しなんて気にしないと言うわけかしら?』

 

「……ダメだ、よく解らん……。変な言い回し、止めろ」

 

『あなたはプライドが高いただのひねくれものと言う事ですわ、光溜。でも、それでいいですの、あなたはあなたで、私は私。ワタクシもひねくれてますもの』

 

久瀬原千華、お得意の遠い言い回しからの口八丁。どうも、光溜は苦手だった。

 

「……やっぱ、苦手だ、お前」

 

『誉め言葉として受け取っておきますわ。さっさと戻ってなさい』

 

もはや勝てる見込みの無くなった光溜はナイトコンダクターに座り直し、ヘルメットに手を伸ばした。

 

だが、彼のパズルドロイドであるレオドロイドが不可思議な波動をキャッチしていた。

 

ガウッ、ガウッ!とひとりでに組上がったレオドロイドが雄叫びを繰り返し、異常を光溜に知らせる。

 

「ッ!ビンゴッ!さあ、もう出てきやがったか!」

 

レオドロイドからの知らせが、アポカリプスのモノだと確信を得た光溜は支局に戻ることをすっかり忘れていた。

 

『光溜、先に……』

 

「……ヘッ、悪いな、千華。こういう時に出る俺の癖が扱いにくいんだろうが、構わねえよ!」

 

『……全く……帰ってきたから、S.O.N.Gの件もありますのよ。ですが、許可いたしますわ。どうやら、今までにないくらいに教団は血の気に満ちているようですもの』

 

千華も光溜の性格に対する愚痴を口走りながらも、結局、彼に単独行動を許す。

 

「……任せておけ!行くぜ、ナイトコンダクター!」

 

見切り発車で飛び出した光溜は、そのまま真っ直ぐ反応のあったほうにバディを走らせていった。これぞ、光溜の真骨頂その物だ。

 

『さて、どうしましょ?リーサ、頼めます?』

 

全く光溜が通信を気に止めていないのを知ってか、千華は手をもう1つ打った。

 

『帰ってきて、いきなり?いいわ、光溜の先走りを何とかするのも、私の仕事だもの』

 

仕事から戻ってきたリーサをすぐさま捕まえの指令を出していたのだ。

 

リーサも光溜の件はよく理解しているからこその二つ返事で了承し、飛び出していったようだ。

 

『……S.O.N.G側とのやり取りの準備でも始めましょ?腕が鳴りますわ』

 

頭の中に描いた地図を実現するために千華は動き出した。

 

ロードの全員が、動き出すーー。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

偶然とは恐ろしいものだ。

 

マグネ・アポカリプスが高らかに笑う。

 

『オホホホッ!さあ、さあ、もっと騒ぎなさい!』

 

砂鉄のドレスのフリルを揺らし、空中に浮遊し、次々と車や、金属類を磁力の混じった斥力で持ち上げる。

 

ーた、助けてくれ!ー

 

ー開かない、開かない!扉が開かない!?ー

 

アポカリプス・サウンドに頭をやられ、車の中から悲鳴をあげる人の声を聞きながら、優雅に踊るマグネ・アポカリプス。

 

『ここで暴れないと、仕事が出来ないの。それ!』

 

ガアン!引力を全開にし、浮かした車を次々と地面に叩きつけていくマグネ・アポカリプス。端から見れば、ただの破壊活動である。

 

叩きつけられた車はスクラップ同然となり、中から聞こえていた悲鳴も途絶えた。

 

そして、車の隙間から真っ赤な液体が流れていた。

 

そこに起きた死が、さらにパニックを掻き立てる。呑気に野次馬をやっていた人から、このエリアにいた全員が大混乱し始めたのだ。

 

押すな、止めろ、死にたくない。

 

どれもマグネ・アポカリプスにとってはその場を盛り上げるBGMにしか過ぎないのだ。

 

『フフフッ、もっとよ!』

 

次は、真下の人々に対して、重力変換を行うマグネ・アポカリプス。

 

ずしっと、一部が地面にめり込み、何人かが巻き込まれた。

 

ー痛い、痛い、痛い、痛いー

 

アポカリプス・サウンドを聞き、転げ回り、苦しむ人々。

 

だが、マグネ・アポカリプスは全く満足していなかった。満たされぬ破壊を満たすために、次はビルに目を向ける。

 

『次はどかんと行っちゃいましょう……』

 

「……待つデス!好きにはやらせないデスよ!」

 

そんなマグネ・アポカリプスの一人舞台を止めるため、真上から声を轟かせる少女。

 

さらに高いビルの屋上。多分、マント……いや、暗幕を羽織り、腕組した暁切歌が堂に入った姿で立っていた。

 

『あら、私に楯突こうって言うの?面白い子ね?』

 

「苦しんでる人がいるんデス!どれだけ相性が悪くたって、立ち向かうしか助ける方法がないなら、やってやるデス!」

 

いつものらしさを微塵も感じさせない、真面目モードの切歌が飛び降りる。

 

「♪Zeios igalima raizen tron……」

 

彼女は歌う。自分のギアのイガリマを作動させるために。そして、彼女は旋律に包まれた。

 

纏いし、緑の衣装は彼女の戦闘服。

 

帽子を纏い、必殺の鎌『イガリマ』を構える。

 

「デース!デス!デスッ!」

 

気合いを込め、彼女の口癖であるデス!で締めくくる。

 

『シンフォギア奏者のイガリマ使いね……。お相手してあげるわ!』

 

「舐めないでいただきたいでデス!」

 

余裕綽々でアポカリプス・サウンドを使わないマグネ・アポカリプスと切歌がぶつかろうとしていた。

 

「切ちゃん、待って!」

 

「調!?」

 

そこに遅れて相棒の月読調も加わった。

 

『……また増えた。まあ、いいわ!』

 

調を加え、切歌&調の戦いが始まった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ライドシンフォニーが急ぐ。

 

「……………………………」

 

奏貴は無言で愛車を走らせる。

 

「……昨日の今日で、好き勝手にやっているようだな……」

 

風に独り言を解かし、とにかく急ぐ。

 

彼の先には、切歌と調がマグネ・アポカリプスと戦う場所があった。

 

「……待ってろよ……」

 

ロードが向かっているとは知らずに、仮面ライダーファルベも動いた。

 

にわかに雲行きがかわり始めたのだーー。

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