戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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53話 ロードの天才

「……で、千華さんよ」

 

「何でございますの?」

 

「……リーサは何処に行ったんだ?そして、何故にアイツがいるんだ!?」

 

光溜が指差した先には、パズルドロイドのシステムをいじくり回すテンガロンハットと白衣を羽織った変人がいた。

 

シンフォギアとアポカリプスの戦いを見ようとしていて、千華に呼ばれたあの男だ。

 

「あの男だと?おいおい、光溜君さんよ、よく言うんじゃないですか、ええ?私、やっぱり嫌われているのですね。ハハハッ!」

 

自分がどう思われていようと構わないとばかりに笑うこの男。

 

どう見間違えても、メカニック担当なのは間違いないようだが、変人中の変人だ。

 

「……分かっているなら、そのウザい言い回しを止めろ!」

 

あまりの強烈ぶりに光溜も声をあらげてしまう。いや、狼狽えているのを隠しているようだ。

 

「いや、やめられまへん。だって、私、私ですから」

 

「エセ関西弁!?」

 

「はいはい、さっさとやりなさい。新しいパズルドロイドの完成をチャッチャと進めなさいですわ」

 

千華の命令に、テンガロンハットを上下させながら男は応じる。致し方ないとばかりのその態度が余計に腹ただしい。

 

「あい、あいっと。分かりましたですよだ!」

 

「……どうにかしろよ……」

 

ここまで強烈なメンバーに囲まれた光溜が一瞬にして疲れたような表情を浮かべ、椅子に強引に腰を下ろした。

 

「彼を呼んだのは、S.O.N.G側との交渉のカードになるためですわね。でないと、呼びたくありませんもの。ロンドン本局の誇る超天才……をね」

 

千華にそこまで言わしめるこの男、ただ者ではない。

 

「……それは光栄、天命、賢明……」

 

駄洒落にしてもヘドが出るレベルの羅列をしたこの男。

 

千華がこの男の名前をようやく口にした。

 

「そろそろ口をもぎりますわよ、鷲谷探(ワシヤサグル)」

 

彼は食えない天才、鷲谷探。この男、頭のネジがイカれている。

 

「……リーサは?」

 

それ以上、鷲谷に触れれば大火傷することを知っている光溜は、視線を切り返え、再び千華に戻した。

 

「そうですわね、リーサは仕事に行きましたわよ。色々と思い当たる節もあるのでしょう」

 

「……そうか……」

 

リーサの行動には千華の何らかの考えがある事には気づいたがこれ以上は聞かないことにした光溜は、背を軽く伸ばした。

 

「……少し休む。起こさないでくれ」

 

「分かりましたわ、探さん。研究室に戻って」

 

これから始まるマグネ・アポカリプスの攻撃に備え、仮眠をとる光溜を気遣い、千華が鷲谷に顎で合図した。

 

「いいのかい、いいのかい?ああっ、やっと研究出来ますよ!」

 

やたらとテンションの高い鷲谷は研究室に向かうと、そのまま扉を閉じてしまった。

 

「……こういうのは疲れますわね……」

 

珍しく気遣いをした千華はそのまま指令室を後にした。

 

そして、光溜だけが背凭れに身体を預けた状態で眠り、残された。

 

その頃、リーサはと言うとーー。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……ここか……」

 

奏貴が問題のビルにやって来た。真っ先に乗り込もうとしたその時だった。

 

ゆらりと物陰から鮮やかなカーディガンを羽織った女性が現れ、奏貴の目線上に立った。

 

「……奏貴君、待っていたわ。僅かな時間でここまで導くロジック、流石ね」

 

「……リーサちゃん……」

 

リーサ・アンダルテは奏貴との接触のため、このビルの前で待ち構えていたのだった。

 

「奏貴君の想像通りよ、このビルの会社『メイク・サウンド』の関係者がマグネ・アポカリプスのコアに取り込まれているわ」

 

リーサがここにいた理由はずばり、彼のロジックを肯定するためだった。

 

「やはりか……。でも、何故君がそれを……」

 

予想外だった人物の登場に珍しく戸惑いながらも、奏貴はリーサがその事を知っていた理由を聞いた。

 

「……なんと言うか、ここの社長さんの小野寺楓さんは私の表の仕事で何度か会った人だからかしら。最近、一緒に仕事をしたときから変だったから、もしかしてってね」

 

「表の仕事?」

 

リーサが何故、音楽関連の会社の社長と会っているのか。そして、表の仕事とは何か。

 

気になった奏貴かさらに疑問を投げ掛ける。

 

「あら、ご存じなかったのかしら……。一応、モデルなのよ」

 

「……モデル!?」

 

まさかロードの一人がモデルをしているとは。あまりの暴露に奏貴らしいクールさは鳴りを潜め、本気で驚いてしまっていた。

 

「サプライズだったみたいね、フフフッ」

 

口をあんぐりさせていた奏貴であったが、自分を取り戻すと再びリーサと向かい合った。

 

「……それは確かにね……」

 

苦笑しながら、奏貴は続ける。

 

「じゃあ、マグネ・アポカリプスが取り込んだのは小野寺楓と言う人か……。後は、目的か……」

 

取り込まれた人は分かった。次はマグネ・アポカリプスの狙いだ。

 

「奏貴君、私達が始めに出会った事件、覚えているかしら?」

 

「……………………………」

 

それがどう関係しているかは分からない。だが、このリーサの言葉である可能性に奏貴は気付いた。

 

「……ハイド・アポカリプスのデルタポイント……。磁力と、斥力、重力……。こんなバカな事だったら……」

 

「バカな事をするつもりじゃないかしら?自分達の強さを、そして、正統性を越えてく異常な行動を」

 

奏貴の頭に突飛な事が浮かんだ。もし、こんな事をするためだったら……。

 

思わず、口に出してしまう奏貴。

 

「……天空に街を持ち上げる……」

 

それは、自分達の奇跡を示すために街を土地ごと引っ張りあげると言う物だった。

 

「そのための磁場を作るための大暴れだったとすれば、説明は出来るわ。むちゃくちゃだけど」

 

「……………………………」

 

そうはさせない。奏貴は強く拳を握っていた。

 

「これはただの予想だけどね……。私たちも何とか動いてみるわ」

 

「……頼む……」

 

リーサは上手く話を進め、奏貴に協力の約束を取り付けたのだ。

 

そして、もう1つの仕事に目的を切り替える。

 

「……奏貴、こんな所にって……誰だよ?」

 

「クリス、どうして?」

 

「おっさんが話をしたいらしくてな、探しに来たんだよ」

 

突然、雪音クリスがこの場に現れたのも計算していたように、リーサは笑う。

 

「……雪音クリスさんね……。やっと会えた」

 

「え?」

 

突然のリーサの言葉に状況が呑めないと、首をかしげるクリス。

 

そんなクリスにリーサが口を開いた。

 

「私はリーサ・アンダルテ。あなた達が探しているロードのメンバーです!」

 

「ッ!?」

 

突然の展開にクリスの頭はついていけていなかった。

 

「さて……」

 

リーサの仕事が始まったーー。

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