『私のなかには可愛そうな、可愛そうな人間が眠っているのよ?それでも、私を倒すつもりなのかしら!?』
のしのしと重厚感溢れるステップで迫るスコアに、必死にマグネ・アポカリプスが叫びながら、重力を放つ。
「はあ?そんなの頭を使う仕事をするのは冴刃の仕事なんだよ!俺は、気に食わねえお前をぶっちんッ!とするだけだ!」
脳筋アピールを見せつけたスコア。重力などものともせずに、大股で闊歩していく。
『う、嘘ッ!今までで一番の重力よ!な、なんで平気な顔で!』
絶対的なパワーで突き進むスコア・ロックサウンドに戦慄するしかないマグネ・アポカリプス。
その鋼の鎧が光を反射する度に、スコアの姿は近くなる。
『く、来るな!来ないで!』
次に磁力をぶつけ、反発させようと必死になるマグネ・アポカリプスではあったが、相手は斜めに想像を振り切る化け物だった。
「んな、ちんけな力で大地の音を消せるはずもねえよな?」
そして、圧倒的な存在でマグネ・アポカリプスの前に立つと、顔面をいきなりアッパーカットでぶん殴った。
『はうっ!?』
その力は最早測れない。このアッパーカットだけで、マグネ・アポカリプスの身体は10メートル近く浮き上がった。
「オラアアアアアアッ!」
ついにメトロセイバーを引き抜いたスコアは浮いたマグネ・アポカリプスを巻き込み、刃を地面に叩きつけたのだ。
『ガッ!この馬鹿力……何なのよ……』
激しい衝突で、地面に仰向けになるマグネ・アポカリプス。だが、スコアはさらに激しい音楽を聴かせるように戦う。
「いつまでもオネンネしてんじゃねえよ!」
強引に足をつかみ、そのまま片足をジャイアントスイングの要領で回し出すスコア。
『や、やああああっ!目が、目が、目が!』
マグネ・アポカリプスの酔ったような悲鳴など気にも止めず、投げ捨てる。
『イヤアッ!』
凄まじい勢いで、自分が持ち上げていた車のガラスを突き破り、ホールインワンしてしまったマグネ・アポカリプス。
「ッ!冴刃、いつになったら準備が出来んだよ!早くしろよ!」
いつまでたっても戦いに混ざらないファルべに文句を言う余裕を見せつけるスコア。
「……まあ、そう先走るなよ……」
ファルべの姿はいつの間にか、ノクターンサウンドに変わっており、どうやらまだタイミングを計っているようだった。
「……んなもん、さっさとやればいいだろうがよ!」
「まだだ……。マグネの能力を完全に封じた時が勝負だ……」
それはつまり、重力を出している右肩の肩当てを破壊しろと言う事に違いない。
『ッ!今よ!』
そんなファルべとスコアの会話を見て、バカのひとつ覚えのように、重力を発生させるマグネ・アポカリプス。
「今だッ!」
ファルべがその一瞬の不動を見逃すはずもない。スコアに指さしで指示を出したのだ。
「俺はお前の指図は受けねえが、これでどうだよ!」
ぶつぶつ言いながらも、スコアはメトロセイバーを槍投げのようにマグネ・アポカリプスの肩に投げつけた。
ロックサウンドのパワーを受けたメトロセイバーは重力をねじ曲げ、マグネ・アポカリプスの右肩を撃ち抜いた。
『アアアアアアアアアッ!私の自慢の力が、力が!』
右肩を撃ち抜かれた事で、マグネ・アポカリプスの力が完全にお陀仏となった。自慢の技も発生させる場所が封じられたら、意味がないのである。
「ここだ!さあ、ラストナンバー!」
このスコアが作った流れにファルべが続けとばかりにベルトのフェイバリットホールド起動の手順を踏む。
《スフォルツァンド!ノクターン!》
蒼く何度もベルトが発光し、ファルべはそのエネルギーを足に集中する。
いつの間にかだ、ファルべの足元には泉のような水面が作られ、急に渦巻き出す。
まるで、脚にまとわりつくように水は生き生きとファルべの足を昇っていく。
「フッ!」
水面も蹴るように飛び上がったファルべの足には水の渦が出来上がり、徐々に回転するスピードが速くなっていた。
激流の生んだ水のドリルへと進化して。
「ハアアアアアアアアッ!」
水のドリルの超速度を保ったまま、ファルべがマグネ・アポカリプスの土手っ腹目指し降下する。
『う、嘘でしょ!?バカじゃないの!?』
自分の体を貫くつもりだとすぐに理解したマグネ・アポカリプスはその強引な小野寺楓の救出方法に足を止めてしまった。
そしてーー。
「ハアッ!」
見事にファルべがマグネ・アポカリプスの中心に穴を開けた。
ノクターンサウンドの必殺『ドリルテンペストーゾ』初披露だ。
『あああああっ!取られた……人間が!?』
「……………これで一仕事完了。アンコールは………………」
コアでなんとか体の繋ぎを保つマグネ・アポカリプスは悲鳴をあげる。
ファルべが、小野寺楓を抱えるように着地していたからだ。
「……………………………」
眠るように意識のない楓を地面に寝かせ、わざと区切っていた台詞を続ける。
「……アンコールは、仮面ライダースコアにおまかせだ……」
『ひ、もしかして!』
腹を押さえたまま、振り替えるマグネ・アポカリプス。
「いいぜ、特別なアンコールをくれてやるよ?覚悟しやがれ!」
ドリルテンペストーゾを喰らった拍子に肩から落ちたメトロセイバーを手にしていたスコアがベルトのレバーを三回引いた。
《アンダスタン!アンダスタン!アンダスタン!フィナーレ!ロック!》
必殺の挨拶とも言える音声と共に、赤く光るスコアドライバーのエナジーが、メトロセイバーに集まっていく。
メトロセイバーも赤くなり、限界を超えるすんでまでいった。
《ロック!クレッシェンドブレイク!ザ・ン・ザ・ン!》
これですべてが揃った。スコアは真っ赤なメトロセイバーを振り下ろし、マグネ・アポカリプスを一刀両断する。
「喰らえよ!エクセレントインパク!」
十字の軌道が、マグネ・アポカリプスのコアまで切り裂いた。
『アアアアアアアッ!』
そして、完全にマグネ・アポカリプスはコアごと断末魔のなかに消えたのだったーー。
ファルべはそれを確信しないまま、背をくるりと向け、手のひらを開いた。
「「アンコールはいらないぜ?」」
そして、ファルべとスコアは同時に同じ言葉を呟いたのだった。