戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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61話 役者、ロンドンに揃う

ーロンドン・空港ロビーー

 

「……長旅、お疲れ様」

 

「とんだ長旅だったぜ、アイツのせいで」

 

ロンドンに降り立っていた奏貴とクリスはロンドンに着いた実感すら無いまま、疲れた顔をしていた。

 

「あら、疲れちゃったの?確かに長旅だったけど、私は楽しかったわ」

 

そんな二人とは対称的にウキウキした様子で、お洒落なストールをくるりと舞わせたリーサ・アンダルテの姿があった。

 

「ッ!何でお前がロンドンにまで着いてきたんだよ!それに隣の席ってどうなってんだ!」

 

クリスの断固抗議が何があったのかを簡単に示してくれた。

 

再現するなら、こうだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……出張は慣れないな……」

 

出発間際のロンドン行きの便の中、前の3人がけの席に中央に奏貴、左端にクリスと言う形で離陸の時を待っていた。

 

「ま、今の時間は気楽にしてるのが一番だしよ」

 

「……そうだな……」

 

奏貴とクリスは時間を潰すための雑談をしていた。だが、どうもぽっかりと空いた右の席が気になる。

 

「誰も来ないのか?」

 

「この時間だし、乗り遅れたか、取ってないかなんだろ?気にすることはねえだろ」

 

だが、二人の予測は大幅に外れるどころか、斜め上に外れていたのを知るのは数十秒後だった。

 

「……申し訳ありません。遅くなりました。私、ここの席なんです」

 

目線を向けあっていた奏貴とクリスの間に入るように透き通った声が耳に入ってきた。

 

「……あ、すいま……」

 

「……な、な、なッ!?」

 

その声に首を動かした瞬間、二人は目を丸くするしかなかった。

 

「すいませんね、野暮でね。と言うわけで、またお会いしたわね、奏貴君、クリスさん」

 

キャラを作った丁寧な言葉使いを脱ぎ捨て、洒落たワンピースと赤いストールがセンスを示す。

 

最早、クリスにとって天敵も同然となったロードの奏者。

 

「お前、何で……リーサ・アンダルテ!?」

 

完全に嫌な奴と会ってしまったと言う感情と何故、ここにいるのか分からないと言う2つの意味がクリスの驚きには混ざっていた。

 

「……………………………」

 

流石に奏貴も言葉が出ないようで口をあんぐりとさせていた。

 

「驚いちゃった?これはね、偶然なのよ。私、ロンドンの本部に顔を見せに行くことになってね」

 

事情を説明しながら、我が物顔で右の席に座り、しっかりシートベルトを閉めるリーサ。

 

「ま、席は色々と手を回して、隣になるように仕組んだわけ」

 

何処まで小悪魔なのか、この女。

 

「……チッ……。お前と隣なんて、気分が最悪だ」

 

「私はそうでも無いわよ。クリスさんともっと深く話して見たかったからね」

 

ここで始まる因縁の火花。その間に挟まれた奏貴は何とも言えない表情を浮かべるしかなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「思い出しただけで腹が立つッ!」

 

「思い出しただけで胃が痛くなる……」

 

クリスも、奏貴もかなりヘビイなフライトであったのは間違いない。顔にはっきりと出てしまっていた。

 

この流れを作った元凶はと言えば……。

 

「私は先に失礼するわね。また、ロンドンの街で会いましょう!」

 

リーサは先にロンドンの街中に向けて、空港から出ていっていた。それもそそくさと。

 

「……なんて身勝手な奴なんだ……」

 

「ま、まあ、何とかなりそうだからいいんじゃないか?」

 

本当にこのロンドン出張で大きな事件が起きない事を祈り、二人はリーサの後を追うように空港から出ていっていた。

 

だが、大概そういう予測は外れるのが関の山である。

 

リーサと言う名の嵐が過ぎ去った後に二人の前に姿を現したのは、もっと嵐と呼べる存在であった。

 

空港の玄関で待っていたのはーー。

 

「……待っていたよ、冴刃奏貴!」

 

もうここまで予想外の人物が現れると驚きと言うものは薄れてしまうものらしい。

 

「……またか……」

 

白いタキシードを纏った変人はいつの間にか、彼らが来るのを掴んでいたようだ。

 

と言うよりもマリアに会っていたのは数十分前だったのを考えると凄まじい移動スピードであった。

 

「……なあ、知り合いか?コイツもかなり怪しいんだけど」

 

その男の事を知らないクリスが耳打ちで聞く。が、奏貴は何も言いたくなさそうな、めんどくさいと言わんばかりの勢いで首を振った。

 

「……………………………」

 

「おーい、奏貴君?奏貴君?奏貴君?」

 

このアピールの仕方はかなりキツい。奏貴も珍しく顔をひきつらせていた。

 

「奏貴君、奏貴君、奏貴君!」

 

「ッ!うっせえ、神城!」

 

ついに根負けした奏貴はプツンときてしまった。これでようやく、ロンドンに味方側の役者が揃った訳であった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ドラキュラ、首尾はいかがですか?」

 

こちらも人知れず、ロンドンに姿を見せたシーフ。彼は棺の中で闇を待つ配下のもとを訪れていたのだ。

 

『……主、順調だ……。もう少しすれば、必ずや、マリア・カデンツァヴナ・イヴと風鳴翼を引っ張り出せる』

 

棺の中から重く、低い声が滲んでいた。その返事に満足したのか、シーフは頷いた。

 

「ならば、よろしいですが……」

 

シーフはここでためを作った。彼の中にある不安要素を口にするためにだ。

 

「……仮面ライダーファルべがどうやら臭いを嗅ぎ付けたようですよ」

 

『仮面ライダーか……』

 

ドラキュラ・アポカリプスは仮面ライダーに対する警戒を深めるーー。

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