戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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63話 航の素性

空港近くの広場。目立つタキシードが沢山の奇異の目を向けられる。

 

「さて、僕に聞きたいことはあるかな?ボーイ&ガール?」

 

足を組み、腕を組み、偉そうに笑みを称える航に対し、出方をどうするか悩む奏貴。

 

(なあ、奏貴……。何でこう変わってるやつの知り合いが多いんだ?)

 

クリスは怪訝そうに航を見た後、小さく奏貴に耳打ちした。

 

(……止めてくれ……。コイツが絡んでくるだけで知り合いじゃない……)

 

頭の芯から呆れと傷みが出ては、奏貴の顔を曇らせる。

 

「ん、何もなさそうだね。なら、僕の方から色々と話すとしようか。構わないかな?いや、喋るなって言われても喋るのが僕の流儀なんでね、お構いなしに喋るとしよう」

 

呆れ果てた様子の二人を振り切り、フリーダムを突き進む航は自分がロンドンにいる理由を大まかに話し始める。

 

ただし、人をいらっとさせるほどのウザさで。

 

「まずは僕がロンドンにいる訳はね、世界進出を夢見た下見と言うわけではなく、仕事をしに来たんだぜ?」

 

「……私、コイツ、嫌いかもしれない……」クリスのどストレートの意見が口から溢れ出す。

 

お節介な響や、独特の言い回しをする翼、個性ある切歌と調達、仲間達とはベクトルの方向が斜め上に突き抜ける航に強烈な苦手意識を覚えたようだ。

 

「……………………………」

 

それを何とも言えないとばかりに曖昧な笑みで返す奏貴。航がどうも苦手なのはクリスと同じのようだ。

 

だが、まだまだ航のテンションはひとりでに上がっていく。

 

「僕の仕事はね、ご存知の通りのしがないマジシャンだからね。そのためにはるばる……」

 

「いや、そんなはずはない……。神城、嘘をつくな……」

 

奏貴は静かに航の嘘を指摘する。しがないマジシャンではるばるロンドンに来るほどこの男は酔狂ではない。

 

ロンドンで起きている何かを知っている事を確信しての奏貴の指摘であったのだ。

 

「ありゃ、流石にバレるか……。君は何でも見透かすねえ」

 

一本とられた、とばかりの大きなリアクションを取ってみせた航は舌を出したまま、頭をかいてみせた。

 

「そうだな、お前にはあの時の答えを聞いていなかったな……。単刀直入に聞こう。一体、どこの馬の骨だ、お前は。それだけじゃない……シンフォギアについてもかなり詳しいのには訳があるだろう」

 

「奏貴、コイツはロードの連中の仲間とか言うん

じゃねえよな?」

 

「それはない。高凪の事だ、そういう奴がいれば真っ先に口を開くはずだ」

 

「じゃあ、ロードとは関係無くて……」

 

奏貴とクリスのコンビによる追求を耳にしても、涼しい顔を保ったまま、不適ににやつく航。

 

「……ロードとは関係無く、かつ、シンフォギアを知る機会、そして、仮面ライダーを知る情報ルート……」

 

徐々に答えに近づいた時、航はついに行動を開始した。

 

「おっと、それ以上はノーサンキューだ!」

 

二人の言葉を濁すために、航は何処からともなく取り出したトランプを手裏剣のように投げつけたのだ。

 

「「ッ!」」息を合わせたように、互いにシンメトリーの交わしかたを見せる奏貴とクリス。

 

「僕にも一応、踏み込まれたらハートが泣きそうになることもあるんだぜ?」

 

カッコつけているが、要するに止めてくれと言うことは滲み出てくる。

 

今、必要な事は『アポカリプス』だ。奏貴とクリスは無言の同意で、彼からロンドンで起きている事を引き出しにかかった。

 

「分かった。踏み込むのは止める……。だが、お前には聞かなければならない事がある」

 

「ロンドンに通信が通らないのは、アイツ等のせいで間違いないんだな!?」

 

二人で口を真一文字に結んで拗ねるマジシャンを一気に崩しにかかる。

 

「……もう、仕方ないなあ……」

 

拗ねたままでは話が進まないどころか、痛いところを突かれかねないと踏んだ航。

 

「君達は、ウラド三世と言う偉人を知っているか?俗に言う串刺し公を」

 

「………………知ってはいるが、それがどうかしたのか………………」

 

奏貴とクリスはどうしようかと顔を見合わせ、とりあえず話に乗ることにした。

 

「串刺し公を名乗る存在が、このロンドンに暗い影を落としている。それは果たして、偉人か?いや、怪物さ!アポカリプスさ!」

 

「……つまり、アポカリプスが事件を起こしていると言うことでいいんだな」

 

話に付き合いすぎると、かなり痛い目を見るのは何となく分かるからこその冷たい反応。

 

「………ええ………」

 

思いっきり航は不服そうだが、そんな事はどうでもいい。

 

「ウラド三世、ドラキュラか……」

 

「ドラキュラの真似事をするアポカリプスか。想像が沸かない」

 

「……だが、厄介な奴なのは間違いないな……」

 

もう必要な情報を引き出したとばかりに相談を始めた二人を見て、静かに航が笑っていた。

 

「じゃ、頼むぜ?僕には僕なりのやり方があるからな」

 

二人に聞かれないようにそろりと立ち去った航。

 

「……行ったな……」

 

だが、奏貴には見透かされていた。

 

「……奏貴、私が思ってることとアイツの正体、違いは無いよな……」

 

「………多分………」

 

二人は密かに航が歩いていったほうに向かって歩き出した。

 

「神城、お前は……」

 

奏貴の頭には、フロンティア事変。

 

「……………………………」

 

クリスの頭には翼のパートナーの顔が浮かんでいたーー。

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