戦姫絶唱×シンフォニックライダー   作:コンテンダー。

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6話 霧の街から来る男

闇に包まれたロンドンに立ち込める霧を風が裂く。

 

「フッ!」

 

大剣を振りかざし、影が踊る。踊る影は3つ。2つの影が1つの影を攻め立てる。

 

「ベルトとギア、ここまで高めあうとは……」

 

2つの影に驚愕する影は川を流れる橋に踊り出る。

 

間違いなく異形であるソイツはアポカリプスとして、間違いは無いだろう。だが、問題はアポカリプスを追いつめている影の正体だ。

 

「逃がさないわよ、こう見えても私はしつこいの!」

 

闇の中からアポカリプスを追い、踊り出したのは何と女だった。

 

フードを纏ってはいるが、黄色の宝石があしらわれた『スロットルブーツ』と広がる真白なドレススカートが風に踊る。

 

そして、一気にアポカリプスに向かって、斬りかかる。

 

「ッ!?」

 

赤い剣先がフードの下から現れ、アポカリプスの防御を切り裂く。

 

「光溜!」

 

少女はフードを翻すと、同じように闇に待つ影に指示を出す。

 

「言われなくてもその位は分かるだろう、リーサ!」

 

闇から躍り出た最後の影に、雲の切れ間から差し込む月の光が姿を照らし出す。

 

霧を裂き、闇夜に溶けるその最後の騎士は、群青色のアンダーアーマーと黒い譜線をモチーフにした騎士甲冑を纏っていた。

 

マスクはヘッドホンをしているような顔を甲冑で隠している。まさに仮面の騎士、そのものだ。

 

そして、相棒の剣よりもはるかに鋭い大剣を片手に担ぎ上げ、アポカリプスの真上にいた。

 

「貴様は塵と化せ!ハアアアアアアアアアアッ!」

 

まさに乾坤一擲、真上から一気に降下し、真一文字にアポカリプスを切り裂く刃。

 

「ガアアアアアアアアアアアアッ!」

 

容赦無い斬撃は確実にアポカリプスのコアまで達し、完膚無きまでに砕いたのだ。あがる断末魔を背に受け、騎士とアーマーを纏った少女は再び闇夜に向かって歩き出す。

 

「……とりあえず、仕事は終わりと。なかなかいい一撃ね、光溜……」

 

少女は仮面の騎士に向かって、変身を解きながら話しかけた。

 

「……そうか、なら感謝しろよ?」

 

「何、いつもながらムカつく、その言い回しは?」

 

少女の変身は完全に解け、フリルのついたゴスロリの衣装に身を包んだ小柄なボブカットの姿になっていた。

 

そして、仮面の騎士も少女が変身を解いたのをきっかけに、ベルトからパズルを外した。それと同時に螺旋のエフェクトがかかり、変身を解除した。

 

仮面の騎士がいた場所には赤いシャツに黒いレザージャケットを羽織ったちょっと路線の変わった青年が立っていた。

 

「別にいつも通りだったからだろ?俺のステージを輝かせるのがバディの役目、なら、俺を映えさせるのは常識だろ?」

 

「はあ?私のほうが輝いていたから、アンタのほうが飾りよ、光溜?」

 

「よく言う」

 

目に見えない火花が飛び散る。だが、どう考えても似た者同士の痴話喧嘩にしか過ぎないのは何故だろうか。いや、何故だろうか、ではなく、確定事項だ。

 

「まあ、今回は許してあげるわ。本部の厄介そうな連中は何とかなったし、残りは……」

 

「本丸だな……」

 

すぐに今の喧嘩を水に流した2人の目は空を見上げていた。

 

その先にあるのは、全ての事変が起こった地『日本』

 

「……楽しみだわ、あの奏者達(ヒロイン)と出会う時が……」

 

「……フッ、心は踊る。されど、踊らず。『ロード』の幹部として、アイツ等の首根っこを叩き斬る……」

 

霧の街から、この2人は日本を目指す。

 

仮面ライダー『スコア』こと高薙光溜(タカナギ ミツル)と、知られざる『奏者』リーサ・アルダンテ。

 

2人は目的の準備をするために、ロンドンの霧の中に再び溶けていった。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

再び、舞台は日本のメトロポリタン。青いベストのボタンをきっちりと締めた冴刃奏貴はとある学園の校門前にいた。

 

「ここが風乃宮学園か。なる程、いかにも成金だ……」

 

まさにマンモス校と言うほどの真新しい校舎と広い敷地図を見た奏貴は吐き捨てるように呟いた。

 

私立風乃宮学園。

 

日本で有数のマンモス校であり、カースト制度があると他から云われるほど、上下の差が激しい事で有名な学校である。

 

奏貴は栄光をタテに振るうかのような豪勢な佇まいが気にくわない様子であった。

 

「………………………」

 

奏貴は両手を勝負として身に纏っているチノパンのポケットにねじ込む。

 

「……カースト制度か……この尻尾を掴むのは容易じゃないな」

 

内部への侵入が難しいセキュリティーの頑丈と睨み合い、どう取材を行おうかと悩む奏貴。だが、取材と言っても記事にできるかどうかは分からない。

 

フリーライターとしての矜持か、出来る限りはするが、引く場所はわきまえる。

 

「………………………」

 

とりあえず奏貴は脇から当たってみることにしようと、くるりと踵を返した。

 

だが、何かが引っかかった。

 

「…………風…………?」

 

奏貴の横を風が吹いた。

 

だが、ただの風ではなかった。まるで、何かが駆けていったような、生物が起こした風圧のような……。

 

「………斬れている?」

 

その風の不自然さを決定的にしたのは、駆け抜けた風によって、愛用のベストに斬れ目があったからだった。

 

「…………取材どころじゃないな………………」

 

奏貴はただならぬ予感を感じ、後ろを振り返った。

 

それと、同時にだ。

 

キャアアアアアアアアアッ!

 

 

遠くにいても、聞き取れるはっきりとした恐怖に染まった悲鳴が耳に届いた。

 

「ッ!」

 

もはやセキュリティーなんて構わない。頭の中にいくつかのパターンが浮かんだ奏貴は悲鳴の方角に向かって走り出した。

 

 

「た、助けて……」

 

奏貴が向かった方角では、体育館の裏で2人の生徒が血まみれになって、逃げていた。

 

「……な、何で……頭、痛くて、身体が痛くて……」

 

 

明らかに体力の限界が近い男子生徒は自分をここまでにした怪物を見上げた。

 

「た、頼むよ……もう、痛くしないで……」

 

『しないよ、もう君は死んだも同然だからね……』

 

風の中から現れたソイツは右手の鎌を、首に向かって振り下ろす。

 

ザクッ。鈍いのか、それとも柔いのか。

 

地面に、頭が転がる。

 

繋がっていた首からは真っ赤な、真っ赤な赤いものが流れた。

 

「ああああああああああああっ!!!」

 

目の前で、友人の死に様を見せられた少年は恐怖に押しつぶされた。そして、ズボンは濡れていた。

 

ついに、怪物の姿が見える。

 

パズルのようなピースの一部が胸に刻まれた機械仕掛けの銀の鎌を持つイタチ。

 

それは、妖怪のカマイタチにそっくりだった。

 

だが、そいつは間違いなくパズルの怪物、アポカリプス。つまりはカマイタチ・アポカリプスだったのだ。

 

『さあ、進藤君?お友達と同じように、首を落としてあげるね』

 

カマイタチ・アポカリプスは進藤と呼んだ血まみれの少年にトドメをさそうと迫る。

 

「ぎゃあああああああああっ!た、助けて……」

 

そして、鎌が振り上げられる。

 

「変身!」

 

《サウンド!プレリュード!》

 

それと同時に、何者かがカマイタチ・アポカリプスと少年の間に飛び込み、アポカリプスを蹴り飛ばした。

 

「フッ!」

 

仮面ライダーファルベが駆けつけてきたのだ。

 

『仮面ライダー……だと?』

 

ファルベを二度見するカマイタチ・アポカリプス。

 

「悪いな、首を切り落とせなくて……。少年、逃げろ!」

 

タクトライザーで鎌を受け止めたファルベは進藤と呼ばれた少年に逃げるように促すと、豪快に鎌を弾いた。

 

「ああああああああああああっ!」

 

恐怖に身を支配されながらも、少年は逃げていった。

 

『チッ……仮面ライダー……邪魔するなら容赦しないッ!』

 

「どっちがだ!」

 

カマイタチ・アポカリプスの凶行に対し、ファルベのステージが幕を開けた。

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