ルーナとラクサス
金髪の青年と金髪の少女が町を歩いていた。彼らの周りには人っ子一人おらず、いたとしても遠くから見ているという感じだ。
金髪の青年はヘッドホンを首にかけていて厳つい顔立ちをしている。
彼の名はラクサス・ドレアー。
妖精の尻尾
金髪の少女はルーナ・マクレシアといい、こちらもフェアリーテイルの一員だ。
赤い瞳を持っていて、片目を眼帯で隠している。
それだけでも目が行くものだが、それよりも目が行ってしまう理由がある。
それは彼女の服装がゴシック・ロリータだからだ。それに、刀を2刀腰につけている。
全体的に黒く、黒くない部分といったら赤いネクタイぐらいだ。
その服装に合わせて眼帯も黒く、他の人達に注目されるのも当然のことだった。
「おい、ルーナ。その服装どうにかならねぇのか。」
「どうにもならないね。私はこの服装をやめる気はない。
でも、それはラクサスも同じだよ。その睨みつけてるような顔。どうかならないの?」
「お前は顔を変えられんのか?」
「あはは。私には無理だね。そんな魔法持ち合わせてない。」
ルーナはラクサスの顔に文句を言いながら酒場の扉を開ける。
その顔はとてつもなく平然としている。
ルーナとラクサスが中にはいると3人組の男が会話をしていた。
「おいおい、見ろよこれ!フェアリーテイルのギルド、リニューアルだってよ。」
「うわ、だっさ!」
「プールとか、何に必要なんだよ!意味分かんねぇ!」
どうやら、彼らはそこにフェアリーテイルの一員がいることに気付いてないのだろう。
ゲラゲラと雑誌…週間ソーサラーを指差しながら笑っている。
その後ろにラクサスが立つ。
威圧感に気付いたのか後ろを振り返り、ラクサスだということに気付くと一目散に逃げて行った。
「陰口聞かれてビビるくらいなら言わなきゃいいのに。こんな人の集まりのいいところで。」
「そんな脳も無ぇんだろ。」
「かもね。」
ルーナたちは、逃げて行った男たちを見送り、近くの片付いている席に座ろうとする。
だが、そこで彼らに一人の男性が話しかけてきた。
「さすが有名人!睨みで人を蹴散らすなんて…しびれますなぁ。」
褒めているのではないのだろう。ぎゃははと笑いながら手を叩く。
「マスター・マカロフの孫でしたっけ?こういうのなんて言うんだっけ、親の七光りだったかな?ぷぅーだっせぇ。」
ラクサスはその男…頭に瓶を乗せた男が言うにはザトーというらしい…に顔を向ける。
「聞いたこともねぇ名前だな。」
「…ザコー?」
「ザトーだ。お前、わざとだろ。」
ルーナは険悪なムードだというのにそれをぶち壊そうとする。
それもザトーによってシリアスに戻されるのだが。
「そちらの無礼な人は…ああ、雷神衆の。まるで金魚のフンですね。」
「…君はどうやら、頭が鳥の巣のようだけど。」
ルーナはザトーのアフロを見ながら言う。
「…まぁいいよ。喧嘩なら受けてたとう。ただ…ハンデをつけよう。私"は"魔法を使わない。外に行こう?」
「ぎゃほー外に出んのは……テメェたちだけだヨ。」
ザトーが目を光らせながら言った瞬間、ルーナとラクサスが居酒屋の壁に吹っ飛んでいく。
そのまま、壁を突き破り地面に転げ込んだ。
ザトーはその無様な姿に笑いながら、妖精狩りにでも行こうかなーとほざいている。
だが、その間にラクサスは地面に右手をつき、地面を伝いザトーに雷の攻撃を食らわした。
ザトーはそのまま注へと吹っ飛び頭から落ちた。
「うわ、痛そー…。」
ルーナはついてしまった埃を払いながら立ち上がる。
ちらりとラクサスを見ると青筋がいくつも浮き上がっており、とてつもない迫力があった。
「…いつからオレのギルドはこんなになめられるようになりやがった…ジジィ…。」
「ラクサス?怖いよ?血管破裂するよ?」
「うるせぇ…。」
ルーナはおお、怖い。と言いながら黒焦げとなったザトーへと近付いた。
「人を傷めつける趣味はないけど。君にはこれぐらいじゃ足りないよね。」
ルーナはそう呟き、ザトーを高く蹴り上げ、降りたところを狙い、壁目掛けて蹴り飛ばした。
「最低でも、私が喰らった痛みは味わって貰わなきゃ。」
驚き、目を丸くしている客には目もくれず。
ルーナはラクサスを宥めながら町を出た。
♠♤♠♤♠♤♠
ルーナは途方に暮れていた。
歩幅も小さく、体力もあまり無い為、途中でラクサスに置いて行かれてしまったのだろう。
とぼとぼと歩く。
だが、ラクサスが何をするかわからないためか、自然と足が速くなっていた。
なんとなくで歩いていたら近くで雷鳴の音が鳴った。
だが、空は青空だ。つまりはラクサスの魔法だ。
「あそこか!」
ルーナはいきなり走りだす。
人が目の前に立ち、邪魔をするのならそれを華麗に避けて。
「っ…はぁ。」
「―――――――!―――――!」
ラクサスの声が聞こえてくる。
それと共に誰かの悲鳴も聞こえてくる。
それを聞いた途端、ルーナの足は先程よりも速くなっていた。
そこでは黒い長髪の青年がラクサスによってだろうか、傷付けられていた。
「っ!」
ルーナが声をかけようとするが、息切れが酷く声が出ない。
「もういい!ラクサス!やめろ!」
そう声をかけたのは長い帽子を被った男、ジェットだ。
その声にラクサスはうるせぇ!と雷を向けた。
だが、その魔法はジェットではなく青髪の少女、レビィに向かって飛んでいく。
「っ……!」
ルーナはついていた眼帯を外しながら走り、レビィの前へと立ち塞がった。
そして、手のひらを雷に向ける。
雷はルーナの手のひらに吸収されたように消えた。
「…ルーナ。」
ラクサスは息切れを通り越し、咳をしていながら眼帯を付け直しているルーナを見つめた。
「何やってるのさ、ラクサス。喧嘩するのは良いけど、部外者に危害をいれるのはあまり良くないよ?」
そんなラクサスにルーナは笑いかけながら近付く。
「…もういいか。俺には仕事があるんだ。」
そんな時、ボロボロになってしまった男がそんなことを言いながら立ち去ろうとする。
それを、ルーナが止めた。
「行くのは別にいいんだけどさ。君誰?」
「俺はガジルだ。」
「ああ、元ファントムロードの。私はルーナ。ごめんね、引き止めて。」
「…いや。気にすんな。」
ルーナは手を振りながらガジルを見守る。
レビィが呼び止めようとしたが、気にするなと言ってフラフラの体で立ち去った。
「ルーナ、行くぞ。」
「はいはい。って、いつも言ってるけど歩くの早いよ。」
ラクサスとルーナはガジルとは逆の方向に歩き始めた。
その時もまた、ラクサスは般若のような顔をしていた。
それを後ろからルーナが心配の目で見ているのに気付かずに。