「あああああああああああああああああああああ!」
ルーナたちが歩いているとふと、そんな叫びが聞こえてきた。
その声は空の上から聞こえているのだが、大きさが半端ない。
声質からナツと言うのは判別できるのだが離れているルーナ達にも鮮明に聞こえてくる大きさだった。
「何だこの音は!?」
「……うるさいな。」
「怪獣!?」
「うーん…ナツじゃないかな。」
ルーナとルーシィ、マキナは騒音に耳を塞ぐ。
それでも真横にいる人の言葉などは聞こえてくるようで、ルーナはルーシィにこの声の持ち主の名を教えた。
その声とは思えない叫びはピタリと止まり、みんな安心する。
「鼓膜が破れるかと思ったよ。」
「流石にそこまではないと思うけど!?」
「あはは、ジョーク、ジョーク。」
ルーシィのキレの良いツッコミに適当に返しながら、ルーナは先を行くマキナたちを追った。
「さっきの叫び声…何だったのかしら。」
「さぁ…?」
「…本人のところに行ってみれば分かる。さっき、向こうに落ちていく影が見えたから。」
マキナの言葉にみんなが了承し、小走りでその場所に向かった。
ナツらしき人物が落ちたと推測される場所にはハッピーが一人倒れていた。
ルーナはそれを拾い上げ、周りを見渡す。
「…ナツは?」
「…ブレインに連れていかれちゃったんだ。でも、まだ近くに居るはずだよ…。」
涙声になっているハッピーの目尻に溜まった涙を拭いながら歩き始める。
だが、それは必要なかったようで辺りを探していたグレイに呼び止められる。
「居たぞ!あそこだ。」
そう指差す先にはブレインに引きづられたナツが居た。ナツは全く抵抗しようとしない。
それを見たルーシィがどうしちゃったの!?と問掛けると、ハッピーが答える。
「これ、乗り物だから…。」
「それだけじゃないと思うけど…ハッピーも動けてないし。」
ブレインはルーナたちに顔だけを向けながら喋り始めた。
「六魔も半数を失い、地に落ちた。
これより、新たな六魔をつくるため、この男を頂く。」
その言葉にグレイは頭を抱えた。それも当然だ。ナツの天真爛漫さは闇ギルドにスカウトされてもおかしくはないのだから。
ルーシィはブレインの言葉を否定する。ナツがそんなものになるはずが無い。と。
「ニルヴァーナによってこやつを闇に染める。」
「なるほど。それならそっちにつくだろうな。」
マキナが一人、納得していると突然ナツがブレインの手を噛んだ。
「まだそんな力が!」
そう言いながら、ブレインは投げ飛ばす。予想以上に痛かったのだろう。
ナツは叩きつけられた事で変な叫びをあげるがだるそうにして動こうとはしない。
……いや、動けない。の間違いか。
「頼む……こいつを…止めてくれ……うぷっ…。」
ナツが悲願するとグレイが仕方がなさそうに承諾した。
だが、ブレインは薄ら笑いを止めない。それどころか笑みが大きくなった気がする。
「止める?これを?出来るものか。この都市は間もなく第一の目的地、ケット・シェルターに到達する。」
その衝撃的な言葉にナツは驚く、他のみんなも予想はしていたが鵜呑みにはしていなかったようで目を見開いた。
だが、マキナは違った。結構前に予想から確信に変わっていたのだ。
「ああ、くそ、やっぱりか…。
ブレインって言ったか…俺のギルドに指一本触れてみろ、その腕、切り落とすぞ。」
もう、俺の帰る場所は壊させない。そう言っているようだった。