ある日、ルーナは売店で売っているフィギュアを見ていた。
その中にはルーナ自身のものもあるのだが、お目当ての物が一切見つからない。
ウンウン唸っているとその店の店員であるマックスが声を掛けてきた。
「何探してんだよ。」
「ラクサスのフィギュア。仲間の分全部揃えようと思ってたんだけどラクサスだけ見つからないんだよね…。」
と言っても、当然である。ラクサスはフェアリーテイルの一員ではないのだ。
置いてあるほうが不思議というものだ。
「在庫あったりしない?」
「どうだったかな…。男のなんて買う物好きそうそう居ないからなぁ。あんまり作ってねぇんだよ。」
その言葉にルーナはガックシと肩を落とした。
だが、何かを思い付いたかのようにマックスの手を握り、目を輝かせ言った。
「ラクサスの作ってくれたら5万でも出すよ!だから作って!」
マックスがそれに驚いているとルーナは無言をオーケーと受け取ったのか、鼻唄を歌いながら自身の家である女子寮へと帰って行った。
今日は、ウェンディの歓迎会をするため、のんびりしている暇はないのだ。
小走りで帰ってきたルーナは疲れてしまい、ソファーでゆったりとしていた。
歓迎会の時になったらエルザが教えてくれるというのでお言葉に甘えたのだ。
あと少しで眠ってしまいそう。という時に、ノックする音とエルザの声が聞こえてきた。
「ルーナ、入ってもいいか?」
「良いよ。お菓子ぐらいしか出せないけど。」
ソファーから立ち上がり、扉を開けるとそこにはエルザとなぜか猫の格好をしたルーシィが居た。
驚きルーシィを直視してしまうが恥ずかしそうにエルザに隠れたのを見て、ルーナは謝りながら部屋へと案内した。
「うわ…真っ黒ね。」
黒で統一されたルーナの部屋は改造したのだということが一目でわかる。
黒い床に、黒いカーペットが敷かれており、模様でやっとこさ判別出来るぐらいの差だ。
天蓋付きの豪華なベッドも黒で整えられていて、天蓋からたれているレースとクッションぐらいしか別の色が無い。
だが、それはソファーも同じことだった。
窓から見える景色が映えるのだが流石にここまで黒いと空を見ると眩しく見えてしまう。
「あんまり良い物は出せないけど。ローズヒップティーとバニラのクッキーだよ。」
そうやって出される紅茶のカップが白で安心してしまうほどだ。
「カップは黒じゃないんだな。」
「あるにはあるけど…ローズには白が映えるから。」
「黒いカップもあるのね……。」
ガラステーブルにカップが映り、湯気のせいかゆらゆらと揺れている。
「それにしても…綺麗にしてるのね。」
ルーシィがルーナの部屋を見回しながら言うと、ルーナは苦笑いしながら答えた。
「服をエルザの所に置かせてもらってるからね。」
本当はルーナも部屋数を大きくしたかったのだが、隣接した部分に空き部屋がなく、悩んだ末、エルザが貸してくれたのだ。
「ああ。5部屋も使っている私が悪いんだ。」
「5部屋!?……ということは…家賃、50万J!?」
驚きの事実を言っているというのに、当の本人は普通に過ごしている。
「その一部屋の半分を私が使ってるから正確には45万Jだね。」
それから少し雑談をすると、ルーシィたちは出て行った。
出る直前、エルザに歓迎会を行う時間を伝えられたので、ルーナはそれに合わせて準備をした。
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ウェンディの歓迎会は湖で開かれた。
歓迎会と言ってもケーキとかがでるわけでもなく、ただみんなで遊ぶようなものだが。
「ルーナさん、それ…水着なんですか?」
「うん。」
いつもとあまり代わり映えの無いゴスロリだが、今回は丈が短く、へそが出ている。
それに服の材質も違う。
端から見ればただ、服のまま遊んでいるように見えるが、これはれっきとした水着だ。
プールとかならちゃんとしたビキニなどを着るのだろうが、今日は天気が良く太陽がさんさんと輝いている。
ルーナにとって、日焼けしてしまわないように対策をしているだけなのだが、それを初めて見るウェンディにとっては奇妙としか言えなかった。
「一応普通のも持ってるんだけどねー。」
「そ、そうなんですか…。」
日傘を差し、絹のように白い肌を守りながら足だけ水に入れる。
いくら暑いと言っても水は冷たく、砂の暖かさに慣れていたせいか、素足には少し刺激が強かったようで、すぐに水から出る。
「ルーナ、何やってるのよ。水が怖いの?」
そんな時、ルーナの後ろからエバがやって来て、ルーナの背中を押す。
結構強かったのか、油断していたルーナはそのまま顔から水に倒れこみ、水飛沫があがる。
「っ……水は怖くないよ!と言うか、危ないでしょ、何するの!?」
「いいじゃない。水着なんだし。」
[そういう問題じゃないっ…から!」
仕返しとでも言うようにルーナはエバに水を思いっ切りかけた。
「ちょっと!冷たいじゃない!」
「私のほうが冷たかったですーっだ!」
子供のように水を掛け合う二人は20歳とは思えなくて…ウェンディは苦笑いをしながらその場から離れ、他の人に混ざった。
ルーナはふと、良い事を思いつき口元をニヤリと緩めた。
その笑みにエバが警戒していると、ルーナはいきなり傘を逆さまにして水に突っ込み、桶のように使い、エバにそれをかけた。
「っわ…!?ちょ、っと!傘は卑怯じゃない傘は!」
「この場にあるものを利用しただけだもん。」
舌をだしてスクスクと笑いながらエバから逃れるために泳ぐ。
が、エバもそれに追い付こうと必死にルーナを追いかける。
そんなこんなで、たくさん遊び、ふと気づいた時にはもう夕暮れだった。
ここらで終わろうという事になり、皆で大浴場に行く。冷えた体を暖めるには湯船に浸かるのが一番いい。
部屋にもシャワーはあるが、浴槽は無い。
お風呂に入っているというのにルーナは眼帯を外してなかった。
この眼は魔法を吸うだけではなく、人の魔力をも徐々に吸っていくのだ。
制御できればそれに越したことはないのだが、まだそこまで行ってなく。
暴走したりしてしまうと手がつけられない。
「たまには皆で入るのも良いものだな。」
湯船に浸かったエルザが微笑みながら言う。
だが、ジュビアは恥ずかしいのか裸を隠すようにうずくまっている。
「あら、ルーナ、お風呂でも眼帯つけてるの?」
「それはエバも同じでしょ。」
それも当然だ。エバの目は人を石にしてしまうのだから。
目があった人を誰彼構わず石にする目を抑えるには眼鏡が必要なのだ。
「……私はそろそろ出るよ。」
ただ、眼鏡が曇るだけのエバとは違い、ルーナは布の眼帯だからか、湿っている。
それを鬱陶しく思ったルーナはおもむろに立ち上がり、大浴場から出て行った。
眼帯を外し、片目を瞑る。視界が削がれてしまうが、それはいつもと同じようなもので。
そこまで気にしてはいないようだった。
「はぁ…今日はつかれた。」
遊び過ぎたのか、体が少し悲鳴をあげている。
ベッドに倒れ込み、目を瞑る。微睡んでいると、外から声が聞こえてきた。
「……を言って…んだ、お前は!」
その声はエルザのようで、少し遠いのか、ちゃんと聞き取れない。
ルーナは疑問に思い、少しだけ開いている窓を全開にさせ、エルザを探す。
「…あ、いた。」
エルザとルーシィがいるようだが、先程の怒鳴り声は喧嘩しているのではなかったようでルーナは胸をおろした。
耳を澄まして聞いてみると、どうやらヒルダ…フェアリーヒルズの寮母だった人だ…について話しているようで、ルーナも昔のことを思い出しながら聞いていた。
エルザはヒルダが事故で死ぬ前にくれたおもちゃの宝石のことを話しているようだった。
「…あれ、エルザが居なくなってから気付いたんだけど、もう一個足りなかったんだよね…。私の好みのものが無かったから要らないって言ったんだっけ。」
懐かしい。そう思いながらもルーナはそっと窓を閉めた。
二人の邪魔をしてはいけないと思ったのだ。
他にも、眠いという理由があったが。
そして、ルーナはそのまま寝た。
朝起きると、エルザが訪ねて来て、ルーナに宝石を1つ渡した。
紅い、ルーナの瞳によく似たルビーの宝石を。
アニメ!あれですね、原作とちょっと違うんですねー。
ラクサス出てきて興奮しましたよ。
…アニメ版も見ながらやったほうがいいのかなと思うこの頃。