超亜空間魔法アニマ
その日、ルーナはテーブルに突っ伏してスヤスヤと眠っていた。
ルーナにとってはうるさいであろう雨の音が心地良いらしい。
その雨はジュビアが悲しんでいるから降っているわけではなく、マグノリアを覆うほどの大きい雨雲が不運なことにやってきているだけだ。
いつしか、雨は強さを増し、窓に叩き付けられる音が不愉快に思えてくる。
そんな中、ルーシィは呟いた。
「何か、面白いこと起きないかなぁ…。」
その声が始まりとなったかのように全てが吸い込まれていった。
文字通り、全てだ。ギルドも人も、跡形も残らず、空へと吸い込まれるかのように消えてしまった。
だが、それでも何人かは生き残った。
その中の一人がルーナだ。
ルーナが目をあけるとそこは真っ暗で、まだ夢の中なのかと錯覚してしまう。
だが、上からシャルルの声が聞こえてきた事から違うのだろう。
「消えたわ…正確に言えばアニマに吸い込まれたのよ。」
その言葉を聞き、ルーナは目を見開いた。
消えたなど信じられないのだ。だが、今ここで出て行っても話しの節を折るだけであろうことは確かだった。
今がどういう状況なのか、それだけは聞きたいところなのだ。
「空にある穴のことよ。
そこにはナツもいたらしく、シャルルの言葉が信用できないのか、騒いでいる。それをウェンディが止めているようだが…。
流石に真上でそんなことをされると困るものがある。
いつ頭を踏まれるか溜まったものじゃないのだ。
シャルルの話によると、別世界のエドラスでは現在、魔法が失われる危機に陥っているらしく、それを止める為に
シャルルもあまり詳しいことは分からないらしく、その説明をしてナツたちをエドラスへと連れて行った。
「っ……んしょ!」
ルーナが地面から出るとそこはただの広野だった。
「…何、これ。」
開いた口が塞がらないとはこの事だろう。それに驚いていたルーナはあることに気が付いた。
左眼が痛いのだ。それも尋常で無いほどに。
集中していたためか、気付かなかったが、眼の奥底がズキズキとする。
左眼を抑えていたルーナは気が付かなかった。後ろに一人の人間がいるということに。
「…ルーナ、か?」
「ひゃい!?」
素っ頓狂な悲鳴をあげてしまったルーナは恐る恐ると言った感じで振り向いた。
その人物が知っている声だとしても、変な声を上げてしまった為、少しばかり恥ずかしいのだ。
そこには、いつものように黒いローブを羽織っているミストガンだった。今日は顔を隠してないようだったが。
「…ミストガン、脅かさないでよ。」
当の本人は脅かしたつもりは1ミリも無いのだが、律儀なようでミストガンは一言謝った。
「ルーナ、これを飲め。」
なんの切り出しもなく渡されたのはひとつの飴玉のようなもの。
首を傾げながらもルーナはそれを飲む。
「んで?これ何。」
「エドラスで魔法を使えるようにする薬だ。」
「ああ、なるほど。」
納得したように頷いているルーナにミストガンは話を切り出した。
「…なんで、お前はここに居るんだ?」
「……と言うと?」
「そのままの意味だ。なぜアニマに吸い込まれていない?」
「んー…何でだろう。…多分、眼が護ってくれたんじゃない?相性が良かったんだと思うよ。」
「…そうか。」
ミストガンはそれだけで納得したらしい。
ルーナの眼は未だによく分かってないのだ。こういう魔法から身を守ってもおかしくはない。
「まぁ、話は聞いてるよ。私の家がなくなるのは嫌だし、エドラスに行きたい。」
「ルーナならそう言うだろうと思ってた。飛ばすことは出来るぞ。」
「じゃあ、お願い!」
ルーナが顔の前で手を合わせて懇願する。ミストガンはそれにコクリと頷いて杖を振った。
すると、ルーナの体がふわりと浮き、物凄い速さでひとつのアニマに向かって飛んでいく。
だというのに、飛ばされているルーナはとても楽しげだ。
ここまで空に飛んだことは無かったのだ。不謹慎ではあるが楽しくなるのも致し方ない。
そして、そのままアニマを潜り、地面へと着地した。
そこは大きな街の外れらしく、一歩歩くと遊園地のように思えてくるほど賑わっている。
周りを見渡すと、逆にルーナに視線が向けられた。
「え、な、何?」
だが、すぐに視線は外される。どうやら、ゴシック服と刀と言う組み合わせが珍しかっただけらしい。
「……こっちの世界にも私とか、マキナとか…住んでるんだろうなぁ…。」
それはミストガンに教えてもらった訳ではなく、憶測だ。
ミストガンはジェラールと瓜二つだった。だからといって決めつける訳ではないが、ラクサスだったか、ビックスローだったか、誰かがミストガンはアナザーだと言ってたことを思い出したのだ。
それに、ミストガンはエドラスについてやけに詳しかった。そこから考えられることはエドラスの住民ではないか。ということ。
そこから憶測しただけだ。
エドラスの自分はどんなものなのだろうも、気になりはするが探そうにもどこを探せば良いのかなど分かったものではない。
それなら無理に探さないで見つけた時に見ればいいだけだ。
「……一応変装しておこ。」
そうして、ルーナは髪を結ぶ。腰まで長い髪をひとつにまとめポニーテールにしたのだ。
あまり変わってない気もするが、今日はそこまでゴスロリチックな服は着てこなかったので大丈夫だろうと思ったのだ。
というもの、先日買った緑の服を着てみたのだがベストを着ると少しくきつくなっている為か、苦しくて寝付けなかったのだ。
だから、脱いで寝ていたのだが、まさかこんなことになるとは思いもよらなかった。
「はぁ……大丈夫かな。私の服。」
服を心配するよりも仲間の心配をして欲しいものだが、結構高いものだったのでそれも仕方ないだろう。
今回のルーナの服装に関しては、GOD EATER2のシエルのような服だと思って頂けると。
分からない人は検索してみてください。
それにしても、どうやってエドラスに飛ばせばいいのか考えるのが一番つらかった……
クライマックス辺りの方は考えてるんだけど、そこまでの道のりを考えるのを忘れているという体たらく……。
たははー…