タイトル、新たな敵なんて言ってますけど、新しい敵なんて出ません。
もう一回は確実に出てます。
タイトル詐欺に近いです。
自身の魔法がマクレシアの眼に吸い取られる様を見たエルガトスは目を見開き呟く。
「何よ。それ……」
「私の……体質、みたいなものかな。見境無く魔力を吸っちゃうんだよね。」
そう言うマクレシアは顔を強張らせている。どうやら相性が合わなかったようで負担が掛かっているようだ。
「……ふぅん。なら、貴方との戦いでは使えないってことね。」
「ま、そう言うこと。」
頷きながらマクレシアは攻撃を仕掛ける。
それを軽々と大剣で受け止め、弾き返す。だが、マクレシアは弾かれる瞬間、刀から手を離す。
そのせいでエルガトスは前のめりになる。
がら空きになった腹にマクレシアは蹴りを一発入れる。
エルガトスは大剣を持つ手を緩めそうになりながらも掴んだまま、吹き飛んで行く。
「剣だとか、使わないほうが強いんじゃないかしら…」
ケホ、と咳き込みながら立ち上がりマクレシアを睨みつける。
「流石に男子には勝てないよ。」
何歩か下がり、後ろ手で刀を取りながらマクレシアは目を瞑る。
それを不思議そうに思いながらもチャンスだと思いエルガトスは駆け寄り、大剣を振った。
幾度聞いても慣れない風切り音を聞き取ったのか、見ずにそれを避け、パチンと指を鳴らした。
だが、何もならない。
周りを見回して首を傾げる。"何"も無い。
少し壊れてしまっては居るが"いつも"の城内だ。
「っ…!」
そう、何も…誰もいなく、いつも通り静まり返った場内だ。
あるとするならば何のためにあるのか分からないガラスも付いていない窓。
エルガトスはそれに駆け寄り下を見る。
そこにも誰も居なかった。
エルガトスはふと、後ろに気配を感じた。
そして、次の瞬間、背中に強い衝撃が伝う。
来たのは浮遊感だ。
「っ嘘、でしょ!?ふざけないでよマクレシアァぁぁぁぁあ!!」
「いやー、うん。真上を確認しないのは人間の悪い癖だよね。普通居ると思わないだろうし。」
いなくなって行くエルガトスを見送りながらマクレシア…ルーナは一人でうんうんと頷いた。
何が起こったのか。と聞かれれば簡単である。
指を鳴らしたのはフェイクで、後ろのほうを見回している時に跳んだのだ。
天井に闇魔法を発動させてからそこに刀を差し込む。
その後に魔法を解除させれば音も無く天井に張り付くことができる。
「……上に人がいた時は御愁傷様って事で。」
未だに刺さっている刀を抜き取り鞘に納める。
少し……いや、もう使えないくらいに刃こぼれしてしまったので修理に出さなければならないだろう。
ルーナは溜息をつき、どこに向かうでもなく足を通わせた。
♠♤♠♤♠
適当に歩いていた時、後ろの方から声が聞こえてきた。
振り向くと、そこにはマキナとマキナ…いやラストがいた。
二人共似たような剣を持ち、現在はマキナが押されているようだ。
「っ…ルーナ!」
「ルーナ…じゃねぇ!誰だてめぇ…!」
ラストはマキナを弾き、驚いているルーナの首根っこを掴む。
「っぐ…苦し……っ!」
いくら服装から違うと判断できても顔は同じだ。
ルーナが苦しんでいるそう思うとラストは手を緩めてしまった。
それが分かったルーナはマキナよりいく分も高いラストのせいで浮いてしまった足に助走をつけ、ラストの腹を蹴る。
ルーナ…エルガトスは武力が無いため油断していた性もあってか、ラストは手を離してしまう。
「っ、は…ぁ……ガホッ…!」
空気を取り込もうとして、変なところにでも入ったのか、咳き込む。
「……ああ、テメェがアースランドのルーナか。ルーナ……ああクソ!分かりづれぇ。隊長はどうした。」
涙目になったルーナは飛び掛かろうとするマキナを目で抑え、ラストに言う。
「落としたよ……んー、でもそろそろ来るんじゃない?――――あ、ほら。」
そうルーナが指差しながら言った時だった。
ラストの後ろの方――つまりマキナに向かって大剣が振り下ろされる。
「っあぶな!?」
ルーナ――マクレシアが指を差してくれたおかげか、咄嗟に判断することができたマキナはソレを避ける。
「―――見つけた。けど、なんでラクリマになっている筈の魔導士が居るのかしら?」
そこには、ロリータ服がボロボロに破けたエルガトスがいた。