FAIRY TAIL 雷神衆の少女   作:雨宮ラキ

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一人の傍観者は動く

ルーナはここ、マグノリアの一番高くにあるだろう場所に器用に立ち、街を見守っていた。

 

「わぁお、これは…街が半壊しそうな。まぁ、マグノリアなら他の街よりも硬い素材で出来ていそうなものだけど。」

 

フェアリーテイルの喧嘩はいつものように起こる。それなのにこうやって活気付いているのだ。

そう考えてもおかしくはないだろう。本当のところどうなのかは知らない。

 

所々で見慣れた仲間が戦っている。雷神衆のみんなも戦い始めたようだ。

ルーナは目がいい訳ではないので双眼鏡を使って眺めているが。

 

だが、流石に一時間半もこうしていると暇なのだ。

誰もルーナには気付いていないのか、戦う気がないと判断しているからなのか、近付いてくる気配もない。

 

「あ、エルザとエバだ。…エルザどうやって抜けだしたんだろう?」

 

エルザとは、フェアリーテイル最強候補の一人、妖精女王(ティターニア)だ。紅い髪と鎧が特徴なのだが…今日は何故かゴスロリを着ている。

 

「…わ、エルザ、手足使ってエバの魔法防いでるよ…。」

 

ルーナはそんなエルザに感心しながら事の成り行きを見守った。

勝ったのはエルザだった。エバも強いのだが、最強候補の一人には勝てなかったようだ。

 

「石化解けたかな…?」

 

やっと終わったかぁ。そうルーナが安心していた時だった。

 

『聞こえるか、ジジィとギルドの奴らよ。

 

人質が解放されちまったから今から新しいルールを追加する。』

 

ラクサスの声が聞こえてきたのだ。どうやら、ルーナにも聞こえるようにしてくれたらしい。

 

『バトル・オブ・フェアリーテイルを続行するにも俺は神鳴殿を起動させた。』

 

ルーナは下ばかり見ていたから気が付かなかったがいつの間にか雷のラクリマのようなモノがいくつも浮いている。

 

「…ラクサス…。さすがにやり過ぎだよ…。これは私直々に3分間ぶん殴らなきゃ。」

『ルーナの定めたルールは元々意味を成してねぇからな。

さて、残り一時間だ。オレたちに勝てるかな?それとも降参するか?マスター。』

 

厭味ったらしくラクサスは笑いながら話を切った。

ルーナはその言葉が終わると同時に全速力でラクサスの居るであろう場所に向かった。

 

 

 

「ラクサス!何考えてるのさ!馬鹿なの!?私、マスターにラクサスは馬鹿じゃない。キリッとか言っちゃったのに!何してくれちゃってるの!?」

「…いや、それは知らねぇよ。」

 

ルーナは扉を勢い良く開けた瞬間、ラクサスに対して叫んだ。

ルーナは言おうとしていたことがちがかったのか、表情をはっとさせ咳払いをした。

 

「まぁ、それはいいとして。神鳴殿とか何考えてるの?下手すれば私も巻き込まれるよ。」

「お前なら無傷で出てこれるだろ。」

「眼は極力使いたくないの。…よし、一発殴らせて。殴らせてくれたらミラ辺りとでも戦うよ。今、なんでかわからないけどフリードとミラ戦ってるし。」

「はっ!フリードがミラごときに負けるわけねぇだろ?」

「ミラは強いよ。……って、あれ。引き分けか。」

 

その結果を見てルーナは唸る。だが、いきなり頬を叩き、次の瞬間、ラクサスを思い切りぶん殴った。

 

「いっ!?…おい、ルーナ、何しやがる!」

「これだけにするんだから良かったと思っておいて。私にはまだ大仕事が残ってる。」

「テメェ、まさか!」

「…うん。私のリーダーが人様に迷惑をかけたんだ。それぐらいは償わなきゃいけない。」

 

ルーナはそう言い、ラクサスの静止を聞かずに外へと出た。

出た時、ミストガンと会った。

ミストガンのことはルーナもよく知らない。謎に包まれた男なのだ。

 

「…ルーナか。お前は…。」

「私は戦う気ゼロだよ。君がラクサスの所に行くというのなら止めはしない。

けど、私が引き留めなかったって思ったらアレだし。裏辺りから入ってくれる?」

「…わかった。」

 

ルーナは律儀に扉を閉める派なのでラクサスには聞こえていない。

ミストガンはルーナの言葉に頷き、協会の側面に穴を開けて入っていった。

 

「…さて、流石にここじゃやりにくい。真ん中辺りに行こう。」

 

そう呟き、カルディア大聖堂から離れた。

すると、途中でエルザとナツに会った。会った瞬間、ナツに殴られそうになるがエルザに止められる。

ナツのパンチは一撃一撃が痛い。当たっていたら神鳴殿を壊すどころではなかっただろう。

 

「私は戦う気ないよ。」

「それでも戦うって言うなら…後にして。私はやらなきゃいけない事があるんだ。

……けど、私一人じゃ出来ない。出来る限りやって見せるけど、半分が限界かな。

その時になったら、エルザ。よろしくね?」

 

ルーナは真面目な顔をしてエルザに問いかける。

 

「ああ、わかった。引き受けよう。」

 

エルザは何のことを指すのかわかったのだろう。頷いた。ナツは首を傾げていたが。

 

「さぁ、急がないと時間切れだよ。」

 

ルーナは二人を急かすように背中を押した。ナツたちはそれにはっとして走りだす。

それを見送ったルーナも走りだした。目指すは先程まで居た場所。

 

 

 

 

 

ルーナはそこにつき、屋根に登ると、眼帯を取り外し両手を高く伸ばした。

 

「天に感じるは闇の雨。地に感じるは闇の血溜まり…。」

 

ルーナが詠唱を始めると、空が黒く染まった。雲が出てきた訳ではない。本物の暗黒だ。

それはマグノリア全域を囲む大きさで、またマグノリアから一歩出るとそれは見えなくなる。

 

「天地を脅かす、闇の雷鳴。光を滅し、空を覆え!」

 

この魔法は詠唱必要で、その分魔力の消費も多い。

そのため、半分はエルザがやってくれると信じ南を中心にやる。

少しでも自身の魔力を残すためだ。

 

「消えよ、我の邪魔をするモノよ!―――闇黒雷鳴(トゥルエノ)―――!」

 

あと45秒というところでルーナの魔法が発動した。

北の方ではエルザの剣がざっと200個ほど浮いている。

それを知っていたルーナはエルザから遠い所を壊していく。

神鳴殿の上に黒い雷が同時にいくつも降る。

 

 

 

エルザは同時に破壊されたいくつもの神鳴殿に驚きながらも剣を飛ばした。

 

同時に飛ばしたが、いくつかは注を飛んでいくだけで空振りに終わる。

ルーナが破壊していたのだ。

闇黒雷鳴(トゥルエノ)は1分間、発動してくれているため、ルーナが途中で倒れても神鳴殿は破壊されていく。

 

 

 

「っがああああ――――ッ!」

 

ルーナは次々と襲ってくる痛みに耐え切れず、悲鳴をあげる。 

生体リンクの為、自身に自身の魔力が帰ってくる。

考えてる暇がなかったから適当に選んだのだが選択は間違いだったようだ。

 

ルーナはフラリと屋根から落ちた。

 

 

 

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