※練習用掌編です。ハーメルン掲載中
私はどうしても『告白』したいと思った。
たしかに障害がある。
1つは『幼馴染であるため距離が近すぎること』だ。
子供のころから一緒に遊んだ仲だった。
公園や学校の昼休みに力いっぱい遊んだものだと、彼女は思った。
帰ってから親に怒られ、二人仲良く風呂に放り込まれるまでがワンセットであった。
そんな友達のような関係は成長しても変わらなかったためか、彼はいまも友達のような感覚で彼女に接してくる。そのたびに感じる痛み、もどかしさももう限界だと、彼女は思った。
2つは『断られることが怖いこと』だ。
胸がどきどきする。
いつごろだろうか、彼のことを思うたびに胸が締め付けられるように感じるようになったのは。それを自覚した時から、彼の顔をまっすぐ見れなくなった。
酷い話であるが、彼と他の子が話してる姿を見ると意味もなく怒りを覚えるようにもなった。我ながら独占欲の強い話であると、彼女は考えた。
なんども告白しようかと考えるが、断られることが怖くて何度も足踏みしてしまう。
3つは『胸の高まりが抑えられない』だ。
彼のことを考えると、どきどきとする。
胸がとても苦しいけれど、けど、その感じも嫌いじゃなくて。
おなかの中がぐるぐるして、一緒にいたいと強く彼女は思った。
もうこの気持ちを抑えることはできないと、彼女は決心する。
ぐるぐるが止まらない、けれど、この関係が壊れてしまうのも怖い。
しかし、私は決して、決して、あきらめない。
やるだけのことはやってみよう。
決心したのはよいものの、やはり怖い物は怖い。そのため、何か勇気づける、確実に告白を成功させることができるものはないか、探し始めた。
そんなとき、親戚の叔父さんからもらったノートのことを思い出す。
必要になったら見るんだよといってくれた叔父さん。もしかしたら、今が必要な時かもしれない。
いや、必要な時に違いないと彼女は直感した。顔も思い出せない叔父さんに感謝しつつも、早速、ノートを開いた。
載っていたのは。
恋に関することではなく、この家の歴史だった。食後須という人を祖先とする家系図。
不思議な期待と抱いていただけに、彼女はがっかりする。何かお腹が空いてきた。
ふと、空耳が聞こえる。
”てけ”
彼女は部屋を見渡す、何もいない。しかし、確実に聞こえる。鈴を鳴らしたような、黒板を引っ掻いたような、工事の重機のようなちぐはぐな音。
”てけり・り”
いくばくかの懐かしさを感じ、そして、唐突な空腹感。
不可解なことに恐怖は感じなかった
”てけりりりりりりり――――”
結果はこうだ。
動いた。愛おしそうに彼女はさする。
そっと慈しむように、おなかをなでる。
今、彼女は幸福である。念願がかなったのだから。
おなかのなかで、ずっと。
ずっと、ずっと、丸呑みした彼と一緒に過ごせるのだから。
”あはっ、また動いた”
無理やり消化を止めてるため、空腹感は止まらないけれど、その空腹感すら愛おしくて。
彼女は今日も幸せです。